製造業で補助金を申請したい経営者、申請担当者の方へ。本記事では、ものづくり補助金だけでなく、LED照明への切り替えの補助金や、感染症対策のための補助金、事業再構築補助金の具体的な例なども紹介しています。気になった方はぜひチェックしてください!
製造業が使える補助金・助成金一覧
製造業では労働力不足や技能伝承の課題があります。
この課題を解決するときに、補助金や助成金を活用していきましょう。
労働力不足は助成金を申請し、従業員の職場環境を整えましょう。
技術伝承の課題はITを使い解決を図っていきましょう。
しかし具体的な解決策がわからず現状維持にならざるを得ない、という企業も多いのではないでしょうか。
この記事では事例も記載しどのような補助金や助成金かを紹介しています。
まずは自社の抱える課題を確認し、課題を解決した姿を思い描き補助金、助成金を活用してみてください。
1. ものづくり補助金
ものづくり補助金は、小規模事業者が複数年かけて行うさまざまな制度変更(設備投資、働き方改革や賃上げなど)への支援策として用意された補助金です。
この補助金は、設備投資のための費用(機械装置費)が中心になるという魅力的な内容になっています。
例えば、1,875万円の装置を導入して業務革新を展開する際に1,250万円まで補助されるというものです。
対象者
中小企業・個人事業主
主な申請要件
以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
・給与総額を年1.5%以上増加させること
・最低賃金を地域別最低賃金の+30円以上の水準にする
・付加価値額を年率平均+3%以上増加させる。
※付加価値額は企業の生産活動によって新たに生み出された価値のことで、営業利益と人件費、減価償却費の合計額です。
支給額
一般型
通常枠 | 100万円~1,250万円(※) |
回復型賃上げ/雇用拡大枠 | 100万円~1,250万円(※) |
デジタル枠 | 100万円~1,250万円(※) |
グリーン枠 | 100万円~2,000万円(※) |
グローバル展開型 1,000万円~3,000万円
※グローバル展開型の補助率は2分の1もしくは3分の2
対象経費
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
申請期限
2022年8月18日17時締切
2. 事業復活支援金
新型コロナの影響で売り上げが減少した事業者を対象に「事業復活支援金」が支給されます。
法人と個人事業主が支給対象になっており、法人では最大で250万円、個人事業主は最大で50万円が支給されます。
これまでに一時支援金や月次支援金の支給を受けたことのある事業者は申請ステップが省略できます。
対象者
新型コロナの影響を受けた中小企業・個人事業主
主な申請要件
2021年11月~2022年3月のいづれかの月の売り上げが、2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月の売上高に対して50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者
支給額
50%以上減少 | 個人 50万 | 法人 最大250万 |
30%以上50%未満 | 個人 30万 | 法人 最大150万 |
申請期限2022年6月17日まで ←終了
3. 小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、自社の経営を見直し、自らが経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
対象者
中小企業・個人事業主
主な申請要件
受付締切日の前10か月以内に、持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていないこと
支給額
通常枠50万円 特別枠最大200万円
補助率 3分の2
対象経費
補助対象経費科目 | 活用事例 |
1.機械装置等費 | 製造装置の購入等 |
2.広報費 | 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等 |
3.ウェブサイト関連費 | ウェブサイトやECサイト等を構築、更新、改修するために要する経費 |
4.展示会等出展費 | 展示会・商談会の出展料等 |
5.旅費 | 販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費 |
6.開発費 | 新商品・システムの試作開発費等(販売商品の原材料費は対象外) |
7.資料購入費 | 補助事業に関連する資料・図書等 |
8.雑役務費 | 補助事業のために雇用したアルバイト・派遣社員費用 |
9.借料 | 機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの) |
10.設備処分費 | 新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等 |
11.委託・外注費 | 店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼(契約必須) |
申請期限
2022年9月20日締切
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:原則2022年9月12日(月)
4. 事業再構築補助金
事業再構築補助金を活用するためには、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」または「事業再編」のいずれかの事業再構築類型に該当するよう事業を計画する必要があります。
再構築の3例をご紹介します。
半導体製造装置部品製造 | ⇒半導体製造装置の技術を応用した洋上風力設備の部品製造を新たに開始。 |
航空機械部品製造 | ⇒ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げ。 |
伝統工芸品製造 | ⇒百貨店などで売上が激減。ECサイト(オンライン)での販売を開始。 |
事業再構築補助金で、ECサイトなどのネットショップを開設していつでも、どこでも、販売できる環境整備は事業の再構築と言えるでしょう。
補助額が大きく、従業員数によっては最大8,000万円の補助金が受けられる可能性があります。
対象者
新型コロナの影響を受けた中小企業・個人事業主
主な申請要件
- コロナ禍の影響によって売上が減少していること
- 新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと
- 認定経営革新等支援機関(国の認定を受けた中小企業診断士、金融機関等)と事業計画を策定すること
支給額
通常枠(中小企業)の補助額・補助率
従業員数 | 補助額 |
20人以下 | 100万円~2,000万円 |
21~50人 | 100万円~4,000万円 |
51~100人 | 100万円~6,000万円 |
100人以上 | 100万円~8,000万円 |
対象経費
1.補助対象経費の例
補助対象経費は、本事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。
補助対象経費 | 具体例 |
建物費 | 建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、貸し工場・貸店舗等の一時移転 |
機械装置・システム構築費 | 設備、専用ソフトの購入やリース等 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスに加え、プラットフォームのサービス、レンタルサーバー、ウェブサービス等 |
運搬費 | 運搬するためにかかる費用 |
技術導入費 | 知的財産権導入に要する経費 |
知的財産権等関連経費 | 新製品、サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費 |
外注費 | 製品開発に要する加工、設計等 |
専門家経費 | ※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。 |
広告宣伝費・販売促進費 | 広告作成、媒体掲載、展示会出展等 |
研修費 | 教育訓練費、講座受講等 |
2.補助対象外の経費の例
●補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
●不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
●フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費
申請期限
2022年6月30日
製造業が使える東京の補助金
東京の製造業者が使える補助金をまとめてみました。
東京都では、感染症対策の備品や設備工事の補助をしています。この補助金を使いぜひ感染症対策をしていただきたいです。
また、固定費の削減と節電にも力を入れています。
LED照明への変更や、省エネ装置への補助、原油価格高騰への対策事業を行っています。
原油価格高騰への対策は他業種よりも支給額が大きく、手厚い補助になっています。
地域資源か都市課題解決になる新商品・新サービスの開発改良にも力を入れています。
自社にあった補助金があればぜひ活用ください。
感染症対策サポート助成事業
ガイドラインに沿った感染対策を新たにするときの補助金
対象者
中小企業・個人事業主
主な申請要件
感染防止対策の取組
「備品購入、内装・設備工事コース」と「消耗品購入コース」があり、
それぞれ対象となる取組、対象者、対象経費、助成限度額等が異なる。
支給額
助成限度額 | 助成率 | |
備品購入、内装・設備工事コース | 最大200万円まで | 3分の2以内 |
消耗品購入コース | 10万円まで | 3分の2もしくは5分の4以内 |
対象経費
備品購入、内装・設備工事コース | サーモカメラの購入、パーテーションの設置工事等 |
消耗品購入コース | アクリル板、消毒液、体温計、ビニールシート、マスク、フェイスシールド等 |
申請期限
2022年6月30日締切
令和4年度 LED照明等節電促進助成金 申請案内
製造業を営む中小企業者等が、節電のための計画を策定し、その計画に必要な設備(LED照明器具、デマンド監視装置等)を自社の工場に設置する際の導入経費の一部が助成されます。
対象者
都内の製造業を営む中小企業、個人事業主
※製造業以外の方はご応募いただけません。
主な申請要件
自社の工場で生産・加工を行っていること
公社が実施する節電診断かクールネット東京が実施する省エネ診断を受けていること。
支給額
助成率 助成対象経費の1/2以内
助成額 助成上限額 1,500万円(下限額 30万円)
対象経費
(1)LED照明器具 | 既存の照明器具を交換する場合に限る |
(2)デマンド監視装置 | 電気の使用量を常時監視し、設定された目標デマンド値を超過しないように警報やランプで知らせる装置です。 |
(3)進相コンデンサ | 省エネするときの装置 |
(4)インバータ | モーターの回転速度を調節し省エネを促す装置 |
申請期限
期 | 予約受付期間 | 申請受付期間 | 交付決定日 |
6月募集 | 令和4年6月16日~21日 | 令和4年6月24日~7月4日 | 令和4年9月上旬 |
10月募集 | 令和4年9月26日~29日 | 令和4年10月3日~12日 | 令和4年12月上旬 |
1月募集 | 令和4年12月20日~23日 | 令和5年1月11日~19日 | 令和5年3月上旬 |
申請方法
事前予約による対面受付
※申請の際は、お電話にて申請日時の事前予約が必要です。
申請書類一式をご準備の上、予約受付期間内にお電話にてご予約ください。
(平日 9:00~12:00、13:00~17:00)
TOKYO地域資源等活用推進事業
東京都の「地域資源」か都市課題解決の新製品・新サービスの開発・改良に係る経費の一部を助成。
<地域資源の活用事例>
地域資源名 | 申請テーマ | 事業内容 |
金属プレス加工品 | 町工場の技術力で環境対応ランドセルの開発 | 環境に優しい素材を使ったパーツを都内町工場と開発し、WWF(世界自然保護基金)の認証を受けた「地球環境に優しいランドセル」を完成させる。 |
産業用機械部品 | 直動型伸縮アームロボットの開発 | コンパクトでありながら可搬重量を増やし、かつ耐久性に優れた直動型伸縮アームロボットを開発し、労働力人口の不足等の社会構造上の課題の解決に貢献する。 |
江戸切子 | 未来を育み、女性が輝く江戸切子ジュエリー | 江戸切子の技と宝石加工の技術、そして女性ジュエリーデザイナーによるデザインを組合せることで、新しいスタイルの「江戸切子ジュエリー」の開発を行う。 |
東京のくさや | 常温保存を可能にするレトルトくさやの開発 | 前例のない「レトルトのくさや」を開発し、常温で輸送・保存ができ、焼くさやよりも身が柔らかく手軽に食べられるようにすることで、八丈島やくさやの認知度向上を図る。 |
東京くみひも | 東京くみひもの魅力を活かす異素材への新たな挑戦 | 和紙糸や金属繊維等の異素材を使用した組紐を開発することで、建築資材等、帯締め以外の新たな可能性を探り、組紐文化を次世代につないでいく。 |
対象者
都内で引き続き1年以上事業を営む予定の中小企業、個人事業主等
主な申請要件
・東京都内の地域資源を活用した、新製品・新サービスの開発・改良事業
・東京の都市課題解決に資する、新製品・新サービスの開発・改良事業
※「パッケージ・デザインのリニューアルのみ」や「食料加工品における原材料の変更のみ」等は、助成対象になりません
支給額
助成限度額1,500万円(申請下限額 200万円)
助成率1/2以内
対象経費
<開発費>
(1)原材料・副資材費、(2)機械装置・工具器具費、(3)委託・外注費、(4)専門家指導費、(5)賃借費、(6)産業財産権出願・導入費、(7)直接人件費
<試作品広報費>
(8)広告費、(9)展示会等参加費、(10)イベント開催費
申請期限
7月中旬より申請エントリー開始予定
製造現場における原油価格高騰等緊急対策事業
原油価格の高騰等により経営に影響を受けている都内中小製造業事業者に対し、固定費削減に資する設備等の導入経費を助成。
対象者
都内の製造業の中小企業、個人事業主
主な申請要件
直近決算期の売上高が前期又は前々期の決算期と比較して減少している、又は直近決算期において損失を計上していること。
支給額
限度額300万円 助成率4/5以内
対象経費
専門家の助言に基づく固定費削減に資する設備等の導入に必要な経費の一部
例)高効率空調設備の導入、LED照明機器の導入、蓄電池の導入、など
申請期限
令和4年6月17日(金)9:00~
令和4年9月30日(金)16:30
製造業者が補助金を申請するときのポイント
製造業者が補助金を申請するときは、設備などで申請額が大きくなってしまいます。社内に補助金に詳しい担当者がいない場合、専門家を活用することがおすすめです。
補助金は後払いが基本になり、申請した経費をご自身で用意して先に払う必要があります。
入金のタイミングも自分でコントロールできないためある程度余裕の持った資金が必要です。
大きなお金を動かすことになりますので、最初から専門家に相談し、無理のない経営計画をたてましょう。
ポイント1. 補助金は後払い
補助金はすぐに受給できるわけではありません。
補助金は費用面を補助してくれる有用な制度ですが、後払いが基本です。申請している経費は、自分で用意して先に支払う必要があります。製造業は額が大きくなることが多いので注意が必要です。
また、補助金の入金タイミングに関しては自分でコントロール出来ないため、入金されるまでの資金繰りがやや難しくなります。
これらを理解したうえで補助金を有効活用する必要があります。
ポイント2. 申請書は要件を確認しわかりやすく書く
自社にあった補助金が見つけられたら、補助金の要件に合った申請書を作成します。
申請書は補助金・助成金の内容に合った提案を記入しなければなりません。
せっかく時間をかけて申請をしても「要件を満たしていないため支給が受けられない」ということになってしまっては目も当てられません。
そのため、補助金ではその制度の趣旨に合致しているか、課題の解決ができる内容なのか、事業として成り立つのかがポイントになります。
また、審査する担当者はその道のプロではないため、専門用語や業界用語で書かれているとわかりづらいかもしれません。申請書はわかりやすさを重視して作成しましょう。
ポイント3. 審査を通過するためには専門家に相談しよう
補助金・助成金には予算の上限がありますので、申請したもの全てが助成を受けれるわけではありません。
補助金の審査は、同じような内容であれば、より優れたものが採用されるという特徴があります。補助金、助成金に詳しい方がいない場合は専門家を活用することがおすすめです。
専門家には税理士、社会保険労務士、中小企業診断士やコンサルタントがいます。確定申告の時にお世話になっている税理士などお近くの専門家に相談してみましょう。