病院、医療法人、クリニックで使える補助金・助成金を紹介いたします。本記事では、新型コロナ感染症の影響を受けた病院・クリニックに使える補助金やIT導入補助金、設備工事や換気空調設備導入に使える補助金を紹介しています。
病院・クリニックが使える補助金まとめ
新型コロナウィルス感染症の影響を受けた医療機関、病院・クリニックが使える補助金をまとめました。
収入の減った医療機関、病院・クリニックは事業復活支援金の受給対象になっていますし、休業や雇用調整を行っている場合の補助も出ます。また、電子カルテツールの導入や予約のオンライン化など業務の効率化を図るITツールの導入などで申請できる補助金もあります。
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)に該当している医療機関は支援事業により支援内容が異なっています。
詳しくはそれぞれの要件を確認してください。
補助金1.事業復活支援金
新型コロナの影響で売り上げが減少した事業者を対象に「事業復活支援金」が支給されます。
医療法人とクリニックが支給対象になっており、医療法人では最大で250万円、クリニックは最大で50万円が支給されます。地域や業種は不問となっており、歯科やクリニック、病院も申請可能となります。
これまでに一時支援金や月次支援金の支給を受けたことのある事業者は申請ステップが省略できます。
対象者
新型コロナの影響を受けた医療法人、病院・クリニック・歯科医院
主な申請要件
2021年11月~2022年3月のいづれかの月の売り上げが、2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月の売上高に対して50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者
支給額
50%以上減少 | 個人クリニック・歯科医院 50万 | 医療法人最大250万 |
30%以上50%未満 | 個人クリニック・歯科医院 30万 | 医療法人最大150万 |
申請期限2022年6月17日まで ←終了
補助金2.IT導入補助金
IT導入補助金はITツールを導入することにより、業務の効率化や売上アップを支援するための補助金です。単にホームページを作るツールは不可となり、IT導入補助金事務局に登録されたITツールのみが対象となります。
医療法人やクリニックでは、患者管理や訪問診療への対応、会計業務にかかる時間の削減のため、電子カルテやレセプト管理、会計業務の効率化に対応するITツールが多く導入されています。
【想定例】
- 治療の際に必須となる医療器具や消耗品、薬品の在庫が規定以下になった場合に、自動的に発注、在庫登録を行う環境を整える。
- 電子カルテツールを導入。電子化によりスタッフ間、地域間での情報連携もスムーズに。
- 電子カルテツールを導入。患者情報やカルテを電子化することで、カルテの検索をスムーズに。予約もオンラインで受け付けることで、受付の手間が削減。
- 電子カルテを導入し、点数計算や窓口での会計業務を一元管理。
- タブレット端末で操作できる電子薬歴を導入。薬歴を電子化して管理。
- 電子カルテに院内チャットの機能を組み合わせて利用できるツールを導入。
- 電子カルテと連動させた薬剤の在庫管理ができるツールを導入。
- 自宅の固定電話番号によって患者情報を管理できるツールを導入することで、家族の情報を連携など
対象者
従業員300人以下の医療法人、病院・クリニック
主な申請要件
IT導入補助金支援事業者が提供するITツールを導入すること
支給額
通常枠A類型 | 30万円~150万円未満 | 補助率 2分の1以内 |
通常枠B類型 | 150万円~450万円以下 | 補助率 2分の1以内 |
デジタル化基盤導入類型 | 5万円~350万円 | 補助率 2分の1~4分の3以内 |
対象経費
通常枠 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大1年分補助)・導入関連費等 |
デジタル化基盤導入類型 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分補助)・導入関連費等 + ハードウェア購入費 |
PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器 | 補助率2分の1以内、補助上限額10万円 |
レジ・券売機等 | 補助率2分の1以内、補助上限額20万円 |
申請期限
2022年3月31日 ~ 終了時期は本事業のホームページにて公開。
※ 株式会社CAREARC はIT導入補助金のITベンダー・サービス事業者です。
補助金3.雇用調整助成金
雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。
また、事業主が労働者を出向させることで雇用を維持した場合も、雇用調整助成金の支給対象となります。
対象者
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける医療法人・病院・クリニック
主な申請要件
新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
支給額
1日最大9,000円
助成率
中小企業 5分の4(解雇等していない場合は10分の9)
大企業 3分の2(解雇等していない場合は 4分の3)
対象経費
事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当など
申請期限
支給対象期間の末日の翌日から2か月以内
2022年6月30日まで特例措置を実施しています
令和4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)
新型コロナウイルス感染症への対応として緊急に必要となる感染拡大防止や医療提供体制の整備等について、地域の実情に応じて、柔軟かつ機動的に実施することができるよう、都道府県の取組を包括的に支援することを目的とする。
実施主体は、都道府県になっており、地域の実情に応じ、市区町村や民間団体など、当該都道府県が適切と認める者に事業を補助又は助成等により実施することができる。
補助等を行う都道府県は、補助等による事業実施及び補助先の選定に対して責任を有するとともに、補助先等と密接に連携を図り、事業の実施状況の把握を行い、より効果的な事業となるよう取り組むとともに、事業全体の執行及び管理について、責任を持って実施すること。
対象者
都道府県、政令市、特別区及びその他厚生労働大臣が認める者
申請期限
新型コロナウイルスワクチンの接種に係る事業は7月までの期間中とし、
それ以外の事業は令和4年9月末までとしており、
10月以降の対応は、今後の感染状況、執行状況等を踏まえて検討することとしている。
【新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)】
- 新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口設置事業
- 新型コロナウイルス感染症対策事業
- 新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関設備整備事業
- 帰国者・接触者外来等設備整備事業
- 新型コロナウイルス重症患者を診療する医療従事者派遣体制の確保事業
- DMAT・DPAT 等医療チーム派遣事業
- 時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業
- 新型コロナウイルスに感染した医師等にかわり診療等を行う医師等派遣体制の確保事業
- 医療搬送体制等確保事業
- ヘリコプター患者搬送体制整備事業
- 新型コロナウイルス感染症の影響に対応した医療機関の地域医療支援体制構築事業
- 新型コロナウイルス感染症により休業等となった医療機関等に対する継続・再開支援事業
- 医療機関における新型コロナウイルス感染症の外国人患者受入れのための設備整備事業
- 新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業
- 新型コロナウイルス感染症重点医療機関等設備整備事業
- 新型コロナウイルス感染症を疑う患者受入れのための救急・周産期・小児医療体制確保事業
- 新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関等における外国人患者の受入れ体制確保事業
- 新型コロナウイルス感染症重症患者に対応する医療従事者養成研修事業
- 新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業
病院・クリニックが東京都で使える助成金5選
医療機関が東京都で使える補助金は、新型コロナ感染症対策の内装や設備工事、換気と空調設備に関する補助金があります。これらを使い感染症を対策しましょう。
また、テレワーク促進や女性雇用に関しても補助金があります。テレワーク促進は支給決定日以降のものしか補助されないことや、女性雇用も女性の割合が4割以下の部門でないと申請できません。
在宅歯科医療についても補助金があり、常時歯科医師がいる医療機関が対象になっております。
各種申請要件を確認し申請してください。
東京都の助成金1.感染症対策サポート助成事業
ガイドラインに沿った感染対策を新たにするときの補助金
対象者
医療法人、病院・クリニック
主な申請要件
「備品購入、内装・設備工事コース」と「消耗品購入コース」があり、それぞれ対象となる取組、対象者、対象経費、助成限度額等が異なります。
支給額
備品購入、内装・設備工事コース | 助成限度額 最大200万円まで | 助成率 3分の2以内 |
消耗品購入コース | 助成限度額 10万円 | 助成率 3分の2もしくは5分の4以内 |
対象経費
備品購入、内装・設備工事コース | サーモカメラの購入、パーテーションの設置工事等 |
消耗品購入コース | アクリル板、消毒液、体温計、ビニールシート、マスク、フェイスシールド等 |
申請期限
2022年6月30日締切
東京都の助成金2.中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業
東京都は、高効率な換気設備と空調設備の導入に要する費用の一部を助成します。
対象者
都内の従業員300人以下の医療法人、病院・クリニック
主な申請要件
1都内で所有し、又は使用する中小規模事業所における導入であること。
2助成対象設備を導入する事業所について、地球温暖化対策報告書を提出すること。
(工事完了時及び工事完了の翌年度から3年間)
3換気設備の導入により、事業所における必要換気量が確保されること。
支給額
助成対象経費の3分の2(補助上限額1,000万円)
対象経費
設計費、設備費、工事費、処分費
申請期限
2022年7月31日(予定)まで
東京都の助成金3.テレワーク促進助成金
都内で事業を営んでいる中堅・中小企業等が、テレワークの活用促進に向けて、在宅勤務、モバイル勤務等テレワークの実施を可能とする情報通信機器等の導入によるテレワーク環境の整備を行う場合に、当該整備に係る費用の一部が助成られます。
対象者
従業員2名以上999人以下の医療法人、病院・クリニック
主な申請要件
1.支給決定日以降に申込、契約、購入等を行うこと
2.支給決定日から4か月以内にテレワーク環境を整備し、テレワーク実施対象者全員にテレワークを6回以上実施させた実績が必要。
支給額
事業者の規模(常時雇用する労働者数) | 助成金の上限 | 助成率 |
30人以上999人以下 | 250万円 | 2分の1 |
2人以上 30人未 満 | 150万円 | 3分の2 |
対象経費
科目 | 内容説明 | 例 |
消耗品費 | 物品購入費等 ※ 税込単価1,000円以上10万円未満に限る | パソコン、タブレット、スマートフォン、 周辺機器・アクセサリ等 |
購入費 | 税込単価10万円以上の業務ソフトウェア | 財務会計ソフト、CADソフト等 |
委託費 | システム機器や物品等の設置・設定費等 システム機器等の保守委託等の業務委託料等 システム導入時運用サポート費等 | VPN環境構築の初期設定費用等 VPNルーター保守管理費用等 研修費用・研修時テキスト費用等 |
賃借料 | 機器リース料、レンタル料等 | パソコンリース・レンタル料等 |
使用料 | ソフトウェア利用料等 | ソフトウェア利用に係るライセンス使用料等 |
申請期限
2023年1月31日(火)
東京都の助成金4.令和4年度女性の活躍推進助成金
女性の新規採用・職域拡大等を目的として、女性が少ない雇用形態、職種、所属等について新規採用する女性のために、トイレ、ロッカー、更衣室、休憩室、シャワー室、仮眠室、ベビールーム、工事現場に設置される仮設トイレの整備を行う場合に、当該整備に係る費用の一部が助成されます。
対象者
従業員2名以上300人以下の医療法人、病院・クリニック
主な申請要件
雇用管理区分ごとに女性の割合を算出し4割を下回っている雇用管理区分が対象です。
支給決定日前に取り組んだ事業はすべて対象外となります。
既にある女性専用設備の老朽化等による改修工事は対象になりません。
助成事業の終了した年度の翌年度から起算して5年を経過する日まで移転しないことが前提となります。
支給額
助成金の上限 500万円 助成率 3分の2
対象経費
助成対象経費は、助成対象事業者が助成対象となる事業所において、女性の新規採用・職域拡大を目的とした設備等の整備にかかる経費を対象とする。
・トイレ ・更衣室 ・休憩室 ・シャワー室 ・仮眠室
・ベビールーム(子ども連れで出勤した場合の授乳・オムツ替えなどのスペース)
・ロッカー(原則、女性更衣室内に設置するもの)
・工事現場に設置される仮設トイレ 等
科目 | 内容説明 |
工事請負費 | 工事費、物品等の設置費 等 |
消耗品費 | 物品購入費 等 (※税込単価10万円未満のもの。) |
役務費 | 仮設トイレの運搬費 等 |
賃借料 | 仮設トイレの利用料 等 |
申請期限
2022年12月23日(金)
東京都の助成金5.東京都在宅歯科医療設備整備事業
主に高齢期・寝たきり者等に対する在宅歯科医療の推進のため、在宅歯科医療を実施する医療機関に対し、在宅歯科医療機器等の設備を整備することにより、安全で安心な質の高い歯科医療提供体制の充実を図ることを目的とする。
対象者
医療法人、病院・クリニック
主な申請要件
区市町村、公共団体及び民間の病院もしくは診療所の開設者で歯科医師が常に勤務していること。
支給額
・基準額 1か所あたり 3,638,000円
・補助率 2/3
対象経費
在宅歯科医療に必要な医療機器等の備品購入費
(※ 1品100,000円に満たないものについては、対象外)
申請期限
2022年6月23日(木曜日)まで
病院・クリニックが補助金を申請するときのポイント
新型コロナウイルス感染症に対応するための事業で実施される費用は、柔軟な支払いの都道府県があるのに対して、補助金は基本的には後払いになり、費用を一時的に負担することが多いです。
医療機関の補助金は新型コロナ感染症の事業への協力なのか自社への補助なのかで対応が変わってきます。
内装工事や、設備の補助金は複数年の事業報告が必要であり、事業計画はしっかり立ててください。また、金額が大きくなりますので、詳しい方がいない場合は専門家を活用ください。
ポイント1.補助金は後払い
補助金はすぐに受給できるわけではありません。
補助金は費用面を補助してくれる有用な制度ですが、後払いが基本です。申請している経費は、自分で用意して先に支払う必要があります。病院やクリニックは額が大きくなることが多いので注意が必要です。
また、補助金の入金タイミングに関しては自分でコントロール出来ないため、入金されるまでの資金繰りが難しくなります。
これらを理解したうえで補助金を有効活用する必要があります。
ポイント2.助成事業が完了しても報告が必要
医療機関の補助金は公共性が高いため、複数年度の報告が必要だったり、その後の事情により変更したりする場合は許可が必要になったりします。しっかり事業計画を立てて、内容を精査してから提出しましょう。
補助金ありきの整備を行うことはないのですが、補助金の情報は知っておいて損はしません。特に新型コロナウィルス感染症対策や、設備や機器の導入、新しく雇用する場合などの医療体制強化のためにも目を通していただければと思います。
ポイント3.審査を通過するためには専門家に相談しよう
補助金・助成金には予算の上限がありますので、申請したもの全てが助成を受けれるわけではありません。
補助金の審査は、同じような内容であれば、より優れたものが採用されるという特徴があります。補助金、助成金に詳しい方がいない場合は専門家を活用することがおすすめです。
専門家には税理士、社会保険労務士、中小企業診断士やコンサルタントがいます。確定申告の時にお世話になっている税理士などお近くの専門家に相談してみましょう。