「補助金と助成金って何が違うの?」——経営者の方からもっともよくいただく質問のひとつです。

結論からお伝えすると、補助金は「審査で選ばれた事業者だけ」がもらえるお金、助成金は「要件を満たせば原則もらえる」お金です。この違いを押さえるだけで、自社が今どちらを狙うべきかがはっきりします。

この記事では両者の違いを比較表で整理したうえで、紛らわしい「給付金・交付金・奨励金」との違い、代表的な制度、そして自社がどちらを使うべきかの判断基準まで、5分で読める形にまとめました。

補助金と助成金の違い【比較表】

観点補助金助成金
主な管轄経済産業省・中小企業庁・自治体など厚生労働省が中心
受給の条件審査あり(不採択になることがある)要件を満たせば原則支給
主な目的設備投資・販路開拓・新規事業などの事業支援雇用の維持・人材育成・職場環境の改善
募集期間公募期間が限られる(数週間〜数ヶ月)通年で募集しているものが多い
金額の傾向数十万円〜数億円と幅広い数十万円〜数百万円程度が中心
お金の性質どちらも返済不要・原則後払い・課税対象同左

※制度によって例外はあります。個別の制度は必ず公募要領・支給要領をご確認ください。

どちらを使うべき?2つの質問でわかる判断フロー

迷ったら、この2つの質問に答えるだけで方向が決まります。

Q1. そのお金、何に使いますか?

  • 設備・システム・広告・店舗など「事業への投資」→ 補助金が本命
  • 採用・正社員化・研修・職場環境など「人への投資」→ 助成金が本命

Q2. いつまでに必要ですか?

  • 具体的な投資計画があり時期が決まっている → 補助金の公募スケジュールを今すぐ確認(締切を過ぎたら次回公募まで待ちです)
  • 急ぎではない → 通年募集の助成金と並行して、次の補助金公募に備えるのが効率的

自社に当てはまる制度を具体的に知りたい方は、3分でわかる補助金かんたん診断で業種・地域・目的から無料でチェックできます。

補助金の特徴と代表的な制度

補助金は、国や自治体が政策目的に沿った事業を後押しするためのお金です。押さえておきたい特徴は3つあります。

  • 審査がある:事業計画書を提出し、採択されなければ受給できません。予算枠が決まっているため、要件を満たしていても落ちることがあります。
  • 公募期間が短い:多くの制度は公募期間が数週間〜数ヶ月に限られます。「気づいたときには締切が過ぎていた」が一番多い失敗です。
  • 金額のレンジが広い:地域の小さな制度で数十万円、大型の国の制度では数千万円規模まであります。

よく使われる代表的な補助金

制度名何に使える?
小規模事業者持続化補助金チラシ・広告・ECサイトなどの販路開拓
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)会計ソフト・予約システムなど登録ITツールの導入
ものづくり補助金生産性を上げる設備投資・新製品開発
事業承継・M&A関連の補助金事業の引き継ぎに伴う投資や専門家費用

自社の業種でどんな制度が使えるかは業種別の一覧でも探せます。

※上限額・補助率は公募回ごとに変わるため、ここではあえて記載していません。最新の募集状況は募集中の補助金一覧(毎週自動更新)でご確認ください。当サイトは現在297件の募集中制度を掲載しています。

助成金の特徴と代表的な制度

助成金は、主に厚生労働省が管轄する、雇用や労働環境の改善を支援するお金です。

  • 要件を満たせば原則支給:補助金のような競争審査ではなく、支給要件を満たしているかの確認が中心です。
  • 通年募集が多い:公募期間に追われず、自社のタイミングで準備できます(業務改善助成金のように申請期間が限られる例外もあります)。
  • 雇用関係の取り組みが対象:正社員化、賃上げ、研修、育児と仕事の両立支援などが代表例です。

よく使われる代表的な助成金

制度名何に使える?
キャリアアップ助成金パート・契約社員の正社員化、処遇改善
人材開発支援助成金従業員の研修・職業訓練
業務改善助成金賃上げとセットで行う設備投資・業務効率化
両立支援等助成金育休・介護休業を取りやすい職場づくり

※業務改善助成金は名前こそ「助成金」ですが、労働局の審査と交付決定を経てから設備投資に着手する、補助金に近い運用の制度です(交付決定前に購入した設備は対象外・予算枠あり・申請期間も限定)。

なお、厚生労働省系の雇用関係助成金の多くは、事業主が納める雇用保険料を財源としています。雇用保険の適用事業所であることが前提になる点は覚えておきましょう。

※「助成金」という名称でも、自治体の創業助成金のように審査型の制度も一部あります。名前だけで判断せず、最終的には各制度の要領で確認するのが確実です。

給付金・交付金・奨励金との違いは?

検索していると出てくる紛らわしい言葉も、2行ずつで整理しておきます。

名称ざっくり言うと
給付金条件に当てはまる人・事業者に広く配られるお金。コロナ禍の持続化給付金が代表例で、平時の事業者向けは少ない
交付金主に国から自治体などに配られる政策実行のためのお金。事業者が直接申請する場面は少ない
奨励金自治体や団体が特定の行動を促すために出すお金。実態は助成金に近いものが多い
支援金明確な定義はなく、給付金・助成金的な制度に幅広く使われる呼び名

実務上は、事業者が自分から申請して事業に使うお金は「補助金」か「助成金」が中心と覚えておけば十分です。

補助金と助成金の共通点(申請前の必須知識)

違いばかりが注目されますが、共通するルールこそ重要です。

  • 返済不要:融資と違い、原則返す必要はありません。
  • 後払いが原則:先にお金がもらえるわけではありません。事業を実施し、実績報告をしたあとに入金されます。それまでの支払いは自己資金での立て替えが必要です(詳しくは補助金申請の流れ5ステップで図解しています)。
  • 経費の全額は出ない:「補助率1/2」「上限◯万円」のように、かかった経費の一部が支給される仕組みです。
  • 税金の対象になる:受け取ったお金は法人税・所得税の課税対象(収入扱い)です。一方、消費税はかかりません。
  • 不正受給は厳禁:実態と異なる申請は返還命令・加算金・公表などの重いペナルティの対象です。「もらえるように話を作る」のは絶対にやめましょう。
実務でよくある失敗①:入金前に資金がショート
「採択されたから大丈夫」と大きな発注をした後、入金まで半年以上かかることを知らず資金繰りに窮するケースは珍しくありません。後払い前提の資金計画(必要ならつなぎ融資の検討)まで含めて「申請」です。
実務でよくある失敗②:同じ経費で二重申請
同一の経費に複数の制度からお金を受けることはできません。設備は補助金・研修は助成金のように経費を分ければ併用できるので、申請前に経費の切り分けを設計しましょう。

よくある質問

Q. 補助金と助成金は同時に申請できますか?

はい、対象となる経費が重複しなければ併用できるケースが多くあります。ただし「同じ経費」に対して国のお金を二重に受け取ることはできません。併用可否は各制度の公募要領に明記されているので、必ず確認しましょう。

Q. 給付金とは何が違うのですか?

給付金は「条件に当てはまれば広く配られる」お金で、使い道の報告が求められないものが多いのが特徴です。一方、補助金・助成金は「特定の取り組みへの支援」なので、実施内容の報告義務があります。平時に事業者が狙うのは補助金・助成金が中心です。

Q. 個人事業主でも申請できますか?

多くの制度で個人事業主も対象です。ただし制度ごとに対象者の定義(従業員数・業種・創業年数など)が異なるため、公募要領の「対象者」欄の確認が必須です。

Q. 申請すれば必ずもらえますか?

助成金は要件を満たせば原則支給されますが、補助金は審査があるため不採択もあります。採択率は制度や回次によって大きく異なります。不採択でも多くの制度は再チャレンジできます。

Q. 何から始めればいいですか?

まず「自社が使える制度があるか」を知ることです。3分でわかる補助金かんたん診断で、業種・地域・目的に合う制度を無料でチェックできます。

まとめ

  • 補助金=審査あり・事業投資向け・公募期間限定
  • 助成金=要件充足で原則支給・雇用関連・通年募集が多い
  • 給付金・交付金・奨励金は別物。事業者が狙うのは補助金・助成金が中心
  • どちらも「後払い・一部支給・課税対象」。資金繰り計画までがセット
  • 経費が重ならなければ併用も可能

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参考(一次情報)