介護離職防止支援コース(両立支援等助成金)とは|4パターンの支給額と要件

目次10章
介護離職防止支援コースとは、従業員の介護離職を防ぐための取り組みに助成する、両立支援等助成金のコースです。「仕事と介護の両立支援プラン」の作成・実施が軸になります。介護休業の取得・職場復帰、介護と両立できる制度の利用、業務代替体制の整備、介護休暇の有給化という4つのパターンのいずれかに取り組めば対象です。介護休業のパターンの支給額は、40万円(連続15日以上の休業は60万円)です。
- 対象は4パターンとも中小企業事業主のみです。資本金と常時雇用する労働者数の両方が中小企業事業主の基準を超える事業主は、このコースを使えません
- 新規雇用と手当支給等(介護休業)は、同一労働者・同一休業について択一です。両方同時に受給することはできません
- 環境整備加算は、介護休業・介護両立支援制度・業務代替支援の3パターンのみが対象です。介護休暇制度有給化支援では加算を申請できません
- 介護休暇制度有給化支援は、「令和8年4月8日以降に有給化した」制度に限られます。それ以前から有給の介護休暇を導入済みの事業主は、新たに要件を満たす拡充を行わない限り対象になりません
制度全体の6コース比較・受給できない事業主の共通要件は両立支援等助成金とはにまとめています。雇用系の助成金を横断的に確認したい方はキャリアアップ助成金とはもあわせてご覧ください。自社が使える制度を整理したい場合は補助金かんたん診断が早いです。

4パターンの支給額と対象事業主の早見表
介護離職防止支援コースの4パターンについて、対象になる取組・支給額の目安・対象事業主を次の表にまとめました。支給額は「両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)」によります。
| パターン | 何をしたら対象か | 支給額の目安 | 対象事業主 |
|---|---|---|---|
| [[1]介護休業](#kaigo-kyugyo) | 対象労働者が介護休業を取得し、職場復帰した場合 | 40万円(連続15日以上の休業は60万円)/1事業主5人まで | 中小企業事業主のみ |
| [[2]介護両立支援制度](#ryoritsu-seido) | 介護と両立できる制度(時差出勤・短時間勤務等)を導入し、労働者が利用した場合 | 1つ導入・利用20万円(合計60日以上の制度利用は30万円)/2つ以上導入・利用25万円(合計60日以上の制度利用は40万円)/1事業主5人まで | 中小企業事業主のみ |
| [[3]業務代替支援](#gyomu-daitai) | 介護休業取得者・介護のための短時間勤務制度利用者の業務を代替した場合 | 新規雇用20万円(連続15日以上の休業は30万円)/手当支給等(介護休業)5万円(連続15日以上の休業は10万円)/手当支給等(短時間勤務)3万円/3つ合わせて1事業主5人まで | 中小企業事業主のみ |
| [[4]介護休暇制度有給化支援](#yukyuka) | 有給の介護休暇制度を新たに導入・拡充した場合 | 30万円(10日以上の有給休暇付与なら50万円)/1事業主1回限り | 中小企業事業主のみ |
(()内は、それぞれ記載の条件を満たした場合の支給額。加算〔環境整備加算・有期雇用労働者加算〕は含まない。出典:同手引きP.28「支給額」。対象事業主は同手引きP.28と支給要領0301。中小企業事業主の範囲は両立支援等助成金とはを参照)
対象外・併給・回数に関する注意点
介護離職防止支援コースには、新規雇用と手当支給等(介護休業)の択一や、パターンごとの支給回数の上限があります。6コース共通の受給できない事業主要件(不正受給歴・労働保険料の未納付・労働関係法令違反での送検等)は両立支援等助成金とはにまとめています。介護離職防止支援コース固有の重複・上限に関する注意点は次のとおりです。
- 中小企業事業主の範囲を超える事業主は、4パターンのどれも対象外です(支給要領0301イ)
- 新規雇用と手当支給等(介護休業)は択一です。同一労働者の同一の対象家族に係る介護休業について、代替要員を新たに雇い入れた場合は「新規雇用」、既存の同僚に手当を支給して代替してもらった場合は「手当支給等(介護休業)」です。両方を同時に受給することはできません
- 同一の対象家族の同一の介護休業につき、[1]介護休業の支給は1回限りです。ただし、新たに要介護状態となる別の家族が生じた場合は、新たな両立支援プランを作成すれば改めて対象になります
- [2]介護両立支援制度は、同一労働者・同一制度の申請は1回限りです。同一労働者が同一対象家族について異なる複数の制度を利用した場合でも、支給は合計2回までです
- 環境整備加算は、[1]介護休業・[2]介護両立支援制度・[3]業務代替支援の対象事業主のみが申請できます。[4]介護休暇制度有給化支援だけで環境整備加算を申請することはできません
- 有期雇用労働者加算は[1]介護休業・[2]介護両立支援制度のみが対象で、[3]業務代替支援・[4]介護休暇制度有給化支援では申請できません
- 常時雇用する労働者が10人未満で就業規則の作成・届出義務がない場合に限り、明文化された規定と労働者への周知があれば、各パターンの制度要件を満たせます。10人以上の事業所は、就業規則の作成・届出(労働基準監督署)が前提です
(出典:同手引きP.28・P.71〜74「環境整備加算について」「有期雇用労働者加算について」)
[1] 介護休業の支給要件

[1]介護休業は、「仕事と介護の両立支援プラン」を作成し、プランに基づき対象労働者が介護休業を取得して職場復帰した場合に助成されます。支給要件は次の9つです。
- プランにより介護休業等の取得・職場復帰を支援する方針を、対象労働者の介護休業開始日の前日までに周知していること。介護休業の利用開始と同時並行での実施も可能ですが、終了後の周知は対象外です
- 対象労働者と面談を行い、「仕事と介護の両立支援プラン(面談シート兼用)」に記録したうえでプランを作成すること(原則は介護休業開始前だが休業中の作成も可。終了後の作成は対象外)
- プランに基づき、業務の整理・引き継ぎを実施していること
- 対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得したこと。所定労働日ベースでカウントするため、休日を挟むと要件を満たさない場合があります
- 介護休業制度・所定労働時間の短縮等の措置を、対象労働者の介護休業開始前までに労働協約または就業規則に定めていること
- 職場復帰後に介護休業取得者とフォロー面談を行い記録すること
- 介護休業取得者を原職等に復帰させる旨を、職場復帰までに労働協約または就業規則に規定していること
- 介護休業終了後、対象労働者が原則として原職等(原職または原職相当職)に復帰し、3か月以上継続して雇用されていること。復帰後3か月間は、所定労働日の5割以上就業している必要があります
- 対象労働者を介護休業の開始日から支給申請日まで、雇用保険被保険者として継続して雇用していること
申請期限は、介護休業終了日の翌日から起算して3か月が経過する日の翌日から2か月以内です。1事業主あたり、支給要件を満たした労働者5人までを限度に支給されます。
(出典:同手引きP.29〜35「支給要件」「申請手続き」)
[2] 介護両立支援制度の支給要件
[2]介護両立支援制度は、プランを作成し、プランに基づき介護と仕事の両立ができる制度を対象労働者が利用した場合に助成されます。対象の制度は、時差出勤制度・短時間勤務制度・在宅勤務制度・フレックスタイム制度・介護サービス費用補助制度の5類型です。支給要件は次のとおりです。
- プランにより仕事と介護の両立を支援する方針を、制度利用開始日の前日までに周知していること
- 対象労働者と面談を行い、プランを作成すること
- 介護両立支援制度などを、制度利用開始前までに労働協約または就業規則に定めていること
- 対象労働者が制度を利用したこと。制度ごとに、所定労働日ベースで合計20日間以上の利用が要件です。介護サービス費用補助制度は、制度の利用開始日から6か月の間に、労働者が負担した料金の5割に相当する程度の額以上、または10万円以上を補助したことが要件です。実績は制度の利用開始日から起算して1年以内(介護サービス費用補助制度は6か月以内)に必要です
- 制度利用終了後、1か月以上継続して雇用していること
- 対象労働者を制度利用開始日から申請日まで雇用保険被保険者として雇用していること
申請期限は制度の種類で異なります。時差出勤制度など4類型は、利用実績が合計20日または60日を経過する日の翌日を起算日として、1か月経過後の翌日から2か月以内です。介護サービス費用補助制度は、利用開始後6か月経過する日の翌日を起算日として、1か月経過後の翌日から2か月以内です。
(出典:同手引きP.41〜46「支給要件」「申請手続き」)
[3] 業務代替支援の支給要件
[3]業務代替支援は、介護休業取得者・介護のための短時間勤務制度利用者の業務を代替した場合に助成されます。「新規雇用」(代替要員を新たに雇い入れ・派遣受入れ)と、「手当支給等」(既存の同僚に手当を支給して代替してもらう。介護休業分・短時間勤務分の2種類)があります。育児を理由とする休業・短時間勤務の業務代替は、育休中等業務代替支援コースで解説しています。
新規雇用の主な要件(介護休業の場合)
- 代替要員が、次のすべてを満たすこと
- ①介護休業取得者の業務を代替している- ②対象労働者と同じ事業所・部署で勤務している- ③所定労働時間が対象労働者の2分の1以上である- ④業務を代替した期間が介護休業期間の8割以上である- ⑤雇用契約・派遣契約の開始時期が、事業主が要介護の事実を知った日または介護休業開始日の6か月前までのいずれか遅い日以降である
- 対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得したこと
- 対象労働者を介護休業開始日から支給申請日まで雇用保険被保険者として継続雇用していること
- 介護休業制度・所定労働時間の短縮等の措置を労働協約または就業規則に定めていること
新たに雇い入れず、既にいる同僚が業務を代替して手当を支給した場合は、「手当支給等(介護休業)」の対象になる可能性があります。ただし、新規雇用との併給はできません(前掲の対象外・重複の章を参照)。
手当支給等の主な要件
手当支給等は、休業の後から手当を払うだけでは対象になりません。手引き(P.56〜57)は、主に次の5点を求めています。
- 業務代替者の採用日が、対象家族の要介護の事実を事業主が知った日以前であること(要介護を知った後に採用した人は対象外)
- 代替期間が介護休業期間のうち連続5日以上であること
- 業務の休止・廃止、手順の見直し、マニュアル化のいずれかの取組と、業務代替者への面談での説明を、業務代替期間開始日の前日までに実施すること
- 代替業務に対応した手当(「業務代替手当」など)を、対象労働者の介護休業開始日の前日までに労働協約または就業規則に規定すること
- 代替期間の賃金が、1日500円以上または1か月1万円以上のうち、いずれか低い方の額以上増額されていること
手当支給等(短時間勤務)も同様の枠組みですが、増額の下限などが異なるため、手引きで確認してください。
申請期限と支給人数の上限
[3]業務代替支援の申請期限は、介護休業のケースで介護休業終了日の翌日から2か月以内です。1事業主あたり、新規雇用・手当支給等(介護休業)・手当支給等(短時間勤務)を合わせて5人までを限度に支給されます。
(出典:同手引きP.50〜52「支給要件」「申請手続き」)
[4] 介護休暇制度有給化支援の支給要件
[4]介護休暇制度有給化支援は、令和8年4月8日以降に、次のすべてを満たす有給の介護休暇制度を新たに労働協約または就業規則に規定した場合に助成されます。支給額は30万円(10日以上の有給休暇付与なら50万円)です。
- 有給の休暇(年次有給休暇と同等の賃金が支払われるもの)であること
- 時間単位(または時間未満単位)で、始業・終業時刻と連続しない中抜け可能な形で取得できること
- 1日の所定労働時間を変更することなく利用できること
- 年次有給休暇とは別途取得できる制度であること
加えて、次の2点も必要です。
- 支給申請日において、この有給の介護休暇制度を10時間以上利用した雇用保険被保険者が在籍していること(配偶者・親族が同一事業主に雇用され同休暇を取得している場合は合算可)
- 介護休業制度・所定労働時間の短縮等の措置を、労働協約または就業規則に定めていること
申請期限は、制度を利用した雇用保険被保険者の利用時間数が10時間に達した日の翌日から起算して2か月以内です。支給は1事業主1回限りです。
育児・介護休業法上、介護休暇は年5日(対象家族2人以上は10日)まで、法定の権利として認められています。本コースの対象になるのは、この法定の介護休暇を「有給」にする、法律を上回る措置に限られます。すでに法定どおり無給で介護休暇制度を運用している事業主が対象になるには、令和8年4月8日以降に有給化する規定改定が必要です。それ以前から有給化済みの制度は、本コースの対象にはなりません。
(出典:同手引きP.67〜70「支給要件」「申請手続き」)
加算措置(環境整備加算・有期雇用労働者加算)の対象パターン
介護離職防止支援コースの加算は、環境整備加算と有期雇用労働者加算の2つで、どちらも10万円(1事業主1回限り)です。加算ごとに対象になるパターンが異なるため、次の表で確認してください。
| 加算 | 加算額 | 対象になるパターン | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 環境整備加算 | 10万円(1事業主1回限り) | [1]介護休業/[2]介護両立支援制度/[3]業務代替支援 | ①介護休業・介護両立支援制度に関する研修の実施(少なくとも全管理職を対象とし、支給申請日までに実施) ②相談体制の整備 ③取得・利用事例の収集・提供 ④制度内容・取得促進方針の周知、の4つすべてを実施していること(②〜④は、対象労働者の介護休業開始日または制度利用開始日までに実施) |
| 有期雇用労働者加算 | 10万円(1事業主1回限り) | [1]介護休業/[2]介護両立支援制度 | 対象労働者を、介護休業または介護両立支援制度の開始日の前日から起算して過去6か月間、雇用期間の定めのない労働者として雇用していないこと |
[4]介護休暇制度有給化支援は、環境整備加算・有期雇用労働者加算のいずれも対象外です。[4]のパターンだけで申請する場合、加算による上乗せは見込めません。
(出典:同手引きP.71〜74)
よくある質問
Q. 介護休業が5日に満たない場合は対象になりますか?
いいえ、対象になりません。[1]介護休業の要件は「連続5日以上」の介護休業取得です。土日など所定休日を挟む場合、実際の休業日数が5日でも、所定労働日ベースでカウントすると要件を満たさないことがあります。たとえば木曜〜月曜の5日間の休業でも、土日が所定休日なら所定労働日は3日とカウントされます。
Q. 介護離職防止支援コースの申請期限はいつまでですか?
パターンによって異なります。[1]介護休業は、介護休業終了日の翌日から起算して3か月が経過する日の翌日から2か月以内です。[3]業務代替支援は、介護休業のケースで介護休業終了日の翌日から2か月以内です。[4]介護休暇制度有給化支援は、利用時間数が10時間に達した日の翌日から起算して2か月以内です。[2]介護両立支援制度は、制度の種類によって起算日が異なります。
Q. 常時雇用する労働者が10人未満で就業規則がありませんが、申請できますか?
はい、制度が明文化されていて、労働者に周知されていれば対象になります。ただし、常時10人以上の事業所は就業規則の作成・届出(労働基準監督署)が前提で、明文化・周知だけでは要件を満たしません。
Q. 介護休業から復帰した労働者が、以前と違う部署に配置されました。対象になりますか?
「原職相当職」への復帰であれば対象になります。原職相当職の基本要件は、厚生労働省編職業分類の中分類が同一で、かつ休業前と同一の事業所に勤務していることです。組織改編で同一の職務がなくなった場合や、本人の希望による異動である場合など、例外的に対象となるケースもあります。復帰後の所定労働時間や職制上の地位が、休業前を下回っていないかもあわせて確認してください。
Q. 介護休業取得者の代替要員として、既にいる同僚に業務を引き継いでもらい、手当を払いました。新規雇用とどちらで申請すべきですか?
新たに雇い入れていない場合は、「手当支給等(介護休業)」で申請します。ただし、休業前の規定整備など、上記の事前要件を満たしている必要があります。「新規雇用」は、代替要員を新たに雇い入れる、または新たに派遣を受け入れた場合が対象です。既存の同僚による代替とは要件・支給額が異なり、新規雇用は20万円、手当支給等(介護休業)は5万円です(連続15日以上の休業の場合はそれぞれ30万円、10万円)。両方を同時に受給することはできません。
Q. すでに有給の介護休暇制度を導入しています。追加で申請できますか?
令和8年4月8日以降に新たに有給化した、または要件を満たす形に拡充した場合のみ対象になります。それ以前から要件を満たす有給の介護休暇制度を運用していた場合、本コースでの新規申請はできません。
まとめ:4パターンで要件・加算の対象範囲が異なる
- 介護離職防止支援コースには、介護休業・介護両立支援制度・業務代替支援・介護休暇制度有給化支援の4パターンがあり、それぞれ支給額・要件が異なります
- 4パターンとも中小企業事業主のみが対象です。介護休暇制度有給化支援には、令和8年4月8日以降の有給化という発効日の条件もあります
- 環境整備加算は3パターン、有期雇用労働者加算は2パターンのみが対象で、加算ごとに適用範囲が異なります
- 新規雇用と手当支給等(介護休業)は択一で、両方の同時受給はできません
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参考(一次情報)
- 両立支援等助成金|厚生労働省——制度概要・6コースの一覧・各種様式へのリンク(2026年9月25日確認)
- 両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)——介護離職防止支援コースの支給額表・支給要件・申請手続き・加算措置(2026年9月25日確認)
- 雇用関係助成金の申請にあたって(厚生労働省)——雇用関係助成金共通の要件等の様式(2026年9月25日確認)
- 支給要領 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)(令和8年4月8日改正)——0301 支給要件イ(①〜④の助成金とも中小企業事業主であること)(2026年10月12日確認)
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