チラシ・看板・新聞広告・SNS広告などの費用は、小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の「広報費」として補助対象になります。ただし第20回は、広報費の補助金額は30万円(税込)が上限で、広報費だけでは申請できません。また、商品・サービスの宣伝を目的としない会社案内や求人広告、名刺は対象外です。

この記事では、第20回公募の公募要領第8版(2026年7月21日改版)の原文をもとに、広告・販促の費用で迷いやすい点を整理します。第20回の全体像(スケジュール・補助額・特例・加点)は持続化補助金 第20回のガイド、ホームページ制作はウェブサイト関連費の記事、店舗改装と設備購入は店舗改装・設備購入の記事にまとめています。

要点は次のとおりです。

  • 広報費の補助金額は30万円(税込)までで、ほかの経費と一緒に申請します(広報費の基本)
  • 対象は「補助事業計画に基づく商品・サービスの広報」です。商品・サービスの名称や宣伝文句、事業者名が付いていない広告は対象外です(対象・対象外)
  • インターネット広告・SNS広告・運用代行費は、第20回から広報費に入りました。自社ホームページで使う写真・動画の制作費はウェブサイト関連費です(ほかの経費との線引き)
  • 補助事業期間内に配布・掲載した分だけが対象です。刷ったまま配っていないチラシや、期間外の掲載分は対象外です(期間内に使い切る)
  • 交付決定日より前の発注・契約・支払いは対象外です。第20回の採択発表は2027年3月頃の予定です(発注・支払い)
  • 広告の中身より前に、申請できる事業者かを確認してください。従業員数の上限(商業・サービス業は5人以下など)があり、医療法人・社会福祉法人などの法人や、申請時点で開業していない創業予定者は対象外です(先に確認)
持続化補助金でチラシ・看板・広告は対象?広報費は上限30万円・単独申請不可【第20回】の記事でわかる3つのこと:広報費は上限30万円(税込)、広報費だけでは申請できない、対象になる広告・ならない広告と、ほかの経費との線引き、未配布分・期間外の掲載と交付決定前の発注は対象外
図解:持続化補助金でチラシ・看板・広告は対象?広報費は上限30万円・単独申請不可【第20回】で最初に押さえたい3つのポイント

先に確認:申請できない事業者・対象外の事業

持続化補助金 第20回は、従業員数の上限を超える事業者や、医療法人・社会福祉法人などの法人、申請時点で開業していない創業予定者は申請できません。チラシや看板の計画を立てる前に、事業者そのものが対象になるかを確認してください(詳細は第20回ガイドの対象外の章)。

補助対象者の要件(公募要領2.)

  • 小規模事業者であること。常時使用する従業員数が、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下です。会社役員と同居の親族従業員は「常時使用する従業員」に含まれません
  • 次の法人・個人は補助対象になりません。医師・歯科医師・助産師、医療法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、一般社団法人・公益社団法人、一般財団法人・公益財団法人、協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)、農事組合法人、任意団体、系統出荷による収入のみの個人農業者です。特定非営利活動法人は、法人税法上の収益事業を行っていて認定NPO法人でない場合に限り対象になり得ます
  • 申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。開業届を出していても、開業届上の開業日が申請日より後なら対象外です。開店チラシを補助金で作る計画は、開業日を先に確認してください
  • 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有されている法人、直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える法人も対象外です

過去の受給・ほかの事業との関係

  • 過去に持続化補助金で採択され補助事業を実施した事業者は、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年が経過し、様式第14(事業効果および賃金引上げ等状況報告書)の提出を完了していることが申請の前提です
  • 一般型の卒業枠、または通常枠の小規模事業者卒業加点で採択を受けて補助事業を実施した事業者は対象外です
  • 創業型に申請中、または創業型で採択を受けている事業者は申請できません(創業型との重複申請は不可)
  • 国が助成する他の制度(補助金のほか、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬など)と同一・類似内容の事業は対象外です。広告で特に注意したいのは、保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等です。薬局・整骨院・鍼灸院などの例として、公募要領に対象外の経費として挙がっています。自費メニューの広告でも、保険診療の案内が一緒に載っていると対象外になり得ます。デイサービス・介護タクシー等の介護報酬が適用されるサービスや、就労継続支援A型・B型事業所などの障害福祉サービス事業と重複する経費も対象外です
  • 同じ取組について、ほかの国の補助金と重複して受け取ることはできません
  • マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等、射幸心をそそるおそれや公の秩序・善良の風俗を害するおそれがある事業は対象外です。補助事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながる見込みがない事業も対象外です

広報費の基本:上限30万円・広報費だけでは申請できない

第20回の広報費は、補助金交付申請額の上限が30万円(税込)で、広報費だけでは申請できません。公募要領の定義では、広報費は「パンフレット・ポスター・チラシ・インターネット広告・SNS 広告等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費」です。

項目第20回公募要領(第8版)の定め
上限当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)
単独申請広報費のみによる申請はできない(ほかの経費と一緒に申請)
対象になる目的補助事業計画に基づく商品・サービスの広報
対象外になる目的単なる会社のPRや営業活動に活用される広報
補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
制度全体の補助上限50万円。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両特例で200万円を上乗せ

上限は二重にかかります。補助金の額は補助対象経費に補助率を掛けた額で、まず制度全体の補助上限に収める必要があります。そのうえで、広報費の部分は30万円までです。公募要領の30万円は特例の有無で区別されていないため、特例で補助上限が上がっても広報費の上限は30万円のままと読めます。

広報費とウェブサイト関連費は、どちらも「ほかの経費と一緒に申請してください」とされています。この2区分だけの組み合わせで申請できるかは、公募要領に明記がありません。第20回の別紙「参考資料」「申請時によくあるご質問」が公開されたら確認するか、地域の商工会・商工会議所に相談してください。

第19回からの変更点

広報費は、第20回で初めて上限と単独申請の禁止が定められました。ネット広告の区分も変わっています(事務局の新旧対照表と公募要領で確認)。

項目第19回(第6版)第20回(第8版)
広報費の上限定めなし補助金交付申請額の上限30万円(税込)
広報費だけでの申請定めなしできない
インターネット広告・バナー広告・SNS広告・運用代行費・インターネットを介したDM・ネットでのプレスリリース配信・電子パンフレットウェブサイト関連費の対象例広報費の対象例
相見積(2者以上)が必要な発注発注総額100万円超(税込)発注総額(1件あたり)50万円超(税込)

第19回までの解説を読んで「チラシや看板は上限なし」「SNS広告はウェブサイト関連費」と考えていると、第20回では計画の金額が合わなくなります。

対象になる広告・ならない広告

広報費の対象・対象外の図解。主な項目:対象例:チラシ・カタログ、新聞・雑誌広告、看板作成・設置、対象例:インターネット広告、SNS広告、運用代行費、DMの発送、対象外:会社案内パンフレット、求人広告、名刺、金券・商品券、対象外:宣伝広告の掲載がない販促品、未配布・未使用のチラシ
図解:広報費の対象・対象外で押さえたいポイント

広報費の対象は、チラシ・カタログ、新聞・雑誌広告、看板、DM、インターネット広告、SNS広告などです。一方、会社案内パンフレット・求人広告・名刺や、商品・サービスの宣伝が載っていない販促品は対象外です。公募要領に挙がっている例は次のとおりです。

対象となる経費例対象とならない経費例
チラシ・カタログの外注や発送商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告・看板・会社案内パンフレット作成・求人広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外)
新聞・雑誌等への商品・サービスの広告試供品(販売用商品と同じものを試供品として用いる場合)
看板作成・設置販促品(商品・サービスの宣伝広告の掲載がない場合)
試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)名刺
販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)金券・商品券
郵送、インターネットを介したDMの発送チラシ等配布物のうち未配布・未使用分
インターネット広告、バナー広告の実施補助事業期間外の広告の掲載や配布物の配布
インターネットでのプレスリリース配信フランチャイズ本部の作製する広告物の購入
電子パンフレット作成チラシ等に使用する画像等における被写体や商品(紹介物等を含む)の購入に係る関連経費
商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成
SNS広告、運用代行費
街頭ビジョンやデジタルサイネージ広告への掲載

線引きは「計画した商品・サービスの宣伝か」

対象外の判断でいちばん多いのは、広告の目的が会社のPRや営業活動にとどまるケースです。公募要領は、対象外の例として「販路開拓に繋がる商品・サービスの名称や宣伝文句および事業者名等が付記されていないもの」を挙げています。たとえば次のように分かれます。

例判断の目安
新メニュー(補助事業で始める商品)の名称・特徴・店名を載せたチラシ対象になり得る
社名とロゴだけを入れた看板、会社案内パンフレット対象外(宣伝広告を目的としない広告・看板)
新サービスの名称と宣伝文句を印刷したノベルティ対象になり得る(宣伝広告が掲載されている販促品)
何も印刷していないエコバッグ・タオル対象外(宣伝広告の掲載がない販促品。タオルは消耗品としても対象外の例)
スタッフ募集の求人広告対象外
割引クーポン付きのチラシチラシは対象になり得る。ただし金券・商品券は対象外

このほか、経費全般の対象外として、他社の商品を宣伝するための取組など他社の販路開拓につながる取組と、他社への寄付金や協賛金が挙がっています。地域のお祭りやイベントへの協賛金として広告を載せてもらう場合は、名目が協賛金だと対象外になる点に注意してください。

表の「判断の目安」は、公募要領の対象例・対象外例に当てはめた当社の整理です。個別の広告物が対象になるかは、見積書と原稿案を示して商工会・商工会議所に確認してください。

試供品は「販売用と明確に違うもの」だけ

試供品が対象になるのは、販売用商品と明確に異なるものである場合だけです。販売している商品と同じものを試供品として配る場合は対象外です。たとえば、販売用とは別に作るお試しサイズの小袋は対象例に近く、店頭で売っている商品をそのまま配る場合は対象外です。

媒体別の注意点

媒体によって、対象になる範囲と、実績報告で求められる確認の方法が変わります。公募要領の定めを媒体ごとにまとめると、次のとおりです。

媒体公募要領での扱い注意点
チラシ・カタログ・パンフレット外注や発送が対象例未配布・未使用分は対象外。会社案内パンフレットは対象外
DM郵送、インターネットを介したDMの発送が対象例補助事業期間内に発送したもの
看板看板作成・設置が対象例商品・サービスの宣伝を目的としない看板は対象外
新聞・雑誌広告商品・サービスの広告が対象例補助事業終了までに掲載誌が発行されないと対象外
インターネット広告・SNS広告実施・運用代行費が対象例発注日・請求額・広告の画面が確認できないと対象外。成功報酬型は対象外
画像・動画商品・サービスの宣伝のための作成が対象例自社ホームページ・ECサイトで使うものはウェブサイト関連費
プレスリリースインターネットでの配信が対象例補助事業期間内に配信したもの
街頭ビジョン・デジタルサイネージ広告への掲載が対象例掲載期間が補助事業期間内に収まるもの

ネット広告・SNS広告は「証拠が残せるか」を先に確認する

ネット広告は、広告の出し方より先に、補助金の証拠書類をそろえられるかを確認してください。公募要領は電子商取引について、取引画面の写しなど経理処理の証拠となる書類を整理・保存・提出できることを把握してから取引するよう求めています。

公募要領が対象外として挙げているのは、次のような場合です。

  • 取引相手先の都合などで、発注した日が確認できる取引画面を提出できない
  • 補助対象経費として計上する取引分の請求額が判明する書類を提出できない
  • 広告が確認できるインターネット画面が取得できない

また、売上高や販売数量、契約数等に応じて課金される経費や成功報酬型の費用は対象外です。成果報酬型の広告やアフィリエイト広告を計画に入れる場合は、課金の仕組みを先に確認してください。広告運用を代行会社に任せる場合も、請求書に補助対象の広告費と運用代行費の内訳が分かるようにしておくと、実績報告で説明しやすくなります。

新聞折込・ポスティングは名指しの例がない

新聞折込やポスティング(配布の委託)は、第20回の公募要領に名指しの対象例がありません。広報費の定義には「広報媒体等を活用するために支払われる経費」が含まれますが、配布を委託する費用をどの区分で扱うかは、申請前に商工会・商工会議所へ確認してください。配布した部数と地域を後から示せるよう、配布業者の報告書などを残しておくことも大切です。

ほかの経費との線引き

同じ「宣伝」に関わる費用でも、公募要領は内容によって計上する区分を分けています。区分を間違えると、上限や対象外の判定が変わります。

費用計上する区分根拠(公募要領の定め)
チラシ・看板・新聞広告・SNS広告②広報費広報費の対象例
自社ホームページやECサイトで使う動画・写真の制作費③ウェブサイト関連費広報費の項に「③ウェブサイト関連費にて計上してください」
展示会・商談会への出展料④展示会等出展費展示会等出展費の定義
商品・サービスPRイベントの会場費⑦借料借料の項に明記
新しい包装パッケージのデザイン費用⑥新商品開発費新商品開発費の対象例(デザインの改良等をしない既存パッケージの印刷・購入は対象外)

ウェブサイト関連費も補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。チラシとホームページを両方作る計画では、広報費30万円とウェブサイト関連費30万円の上限が別々にかかります。ただし、どちらも制度全体の補助上限(通常枠は50万円)の内側に収める必要があります。

委託・外注費は「自ら実行することが困難な業務に限ります」とされ、公募要領に「デザイン会社によるデザインの外注など、補助事業者が通常事業として実施している業務については、自ら実行することが困難な業務に含まれません」という定めがあります。これは、自社の本業として行っている業務(デザイン会社にとってのデザインなど)を外注しても委託・外注費にはならない、という定めです。チラシ・カタログの制作を外注する費用は、広報費の対象例「チラシ・カタログの外注や発送」に当たるので、広報費として計画に書くのが自然です。

補助事業期間内に配布・掲載し、使い切る

広報費は、補助事業期間内に実際に配布・掲載した分だけが対象です。公募要領は「チラシ等配布物のうち未配布・未使用分」と「補助事業期間外の広告の掲載や配布物の配布」を対象外の例に挙げています。

さらに、経費全般の留意事項として次の例が示されています。

  • 新聞・雑誌等への広告掲載契約を結んで掲載料を払っても、補助事業終了までにその新聞・雑誌等の発行による広報がされない場合は、その経費は対象外です
  • 補助事業期間中に発注や引き渡し、支払いがあっても、実際の取組が補助対象期間外なら対象外です

当社がご相談を受けるなかでも、チラシを「単価が下がるから」と多めに刷る計画をよく見かけます。補助事業期間内に配りきれない部数は、補助の対象から外れます。配布の予定(いつ・どこで・何部)から逆算して部数を決め、配布した記録を残してください。

実績報告で求められる証拠

公募要領は、必要な経理書類(見積書・請求書・領収書等)や、事業実施内容を確認するための証憑(成果物の写真、業務完了報告書など)を用意できない経費を対象外としています。広報費では、次のものを補助事業の進行に合わせて残しておくと、実績報告の準備がしやすくなります。

  • チラシ・パンフレット・DMの現物と、配布・発送の記録
  • 看板の設置後の写真
  • 新聞・雑誌の掲載紙面
  • ネット広告・SNS広告の配信画面、発注日と請求額が分かる取引画面

補助事業に関係する帳簿と証拠書類は、補助事業の終了日の属する年度の終了後5年間の保存が必要です。

発注・支払いのルール:交付決定前の発注は対象外

発注・支払いのルールの図解。主な項目:交付決定日より前の発注・契約・支払いは対象外、発注総額(1件あたり)50万円超(税込)は2者以上から見積、1取引10万円超(税抜き)の現金支払いは不可。銀行振込が大原則、クレジットカードは事業者名義で、補助事業期間内に引き落とし完了
図解:発注・支払いのルールで押さえたいポイント

交付決定日より前に発注・契約・支払いをした広告は、すべて対象外です。公募要領は「交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの」を補助対象外としており、採択通知書だけでは補助事業を始められないと明記しています。

第20回のスケジュール(公募要領第8版)は次のとおりです。

項目日付
申請受付2026年11月5日〜12月15日17:00
事業支援計画書(様式4)の発行受付締切2026年12月4日
採択発表(予定)2027年3月頃
見積書等の提出期限2028年2月29日(期限までに提出がない場合は採択取消し)
補助事業実施期間交付決定日から2028年3月31日まで
実績報告書の提出期限2028年4月10日

採択発表後は、計上したすべての経費について見積書等を提出し、事務局の審査を経て交付決定となります。交付決定まで、採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があるとされています。開業記念や季節の繁忙期に合わせた広告は、この期間を見込んで時期を決めてください。

発注と支払いには、次のルールもあります。

  • 相見積: 発注総額(1件あたり)が50万円超(税込)のものは、2者以上から見積を取り、より安価な発注先を選びます。補助事業者自身が別々の企業から取得します
  • 支払方法: 銀行振込が大原則です。旅費や現金決済のみの取引を除き、1取引10万円超(税抜き)の現金支払いは認められません。小切手・手形・相殺も不可です
  • クレジットカード: 申請する事業者の名義で、補助事業期間内に引き落としが完了しているものに限ります。代表者や従業員の個人カードでの支払いは「立替払い」となり、帳簿等で確認できないと対象外です。ネット広告をカード払いにする場合は特に注意してください
  • 発注先の制限: 自社内部やフランチャイズチェーン本部との取引、役員・従業員や代表者・役員の3親等以内の親族への発注、親会社・子会社等への発注は対象外です
  • 計画にない費目の追加: 交付決定後に、補助事業計画に記載のない新しい費目を追加することは原則として認められません。看板も作るかもしれない、という段階なら、申請時の計画に入れておくかを検討してください

いくら補助される?計算例

通常枠(補助率2/3)では、広報費の補助対象経費が45万円で、広報費の上限30万円に達する計算です(上限を補助率で割り戻した当社の計算)。課税事業者は、消費税・地方消費税相当額をあらかじめ補助対象経費から減額して計上します。

次の例は、飲食店が新メニューの販路開拓に取り組む場合の当社の試算です(課税事業者・税抜きの金額・通常枠のみ)。

経費区分補助対象経費補助率2/3を掛けた額
新メニューの看板作成・設置広報費24万円16万円
新メニューのチラシ(デザイン・印刷・配布)広報費12万円8万円
地域情報誌への広告掲載広報費9万円6万円
広報費の小計45万円30万円(広報費の上限ちょうど)
テイクアウト用のショーケース機械装置等費30万円20万円
合計75万円50万円(通常枠の補助上限ちょうど)

この例で看板をあと10万円増やしても、広報費は30万円が上限なので補助金は増えません。補助金は後払いなので、75万円(税込みではさらに消費税分)はいったん自社で支払います。広報費だけでは申請できないため、この例でも機械装置等費と組み合わせています。

審査で見られる点:広告が売上につながる道筋

広告費が補助対象経費に当たるかとは別に、審査では、その広告が売上につながるかが見られます。公募要領は、補助事業によって事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出時に売上高・売上総利益が増加することが見込める事業であることを要件にしています。申請時には、市場や顧客ニーズの分析、新規取引の見込みなどの根拠とともに、売上高・売上総利益の増加を補助事業計画(様式2)に書く必要があります。

計画審査の観点には「積算の透明・適切性」があり、事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているかが見られます。広報費では、次の3点を計画の中で結びつけておくと、積算の根拠が伝わりやすくなります。

  • 誰に届けるか(商圏・客層)と、なぜその媒体か
  • 部数・掲載回数・配信期間と、その根拠
  • 広告から見込む来店数・問い合わせ数と、売上の増加

当社がご相談を受けるなかで弱くなりやすいのは、「チラシを作る」「看板を新しくする」といった手段だけが書かれ、何を宣伝して何がどれだけ増えるのかが書かれていない計画です。広告の原稿案や配布計画の段階で、補助事業で始める商品・サービスの名前が入っているかを確かめてください。

印刷の発注先を選ぶときは

チラシ・パンフレットの印刷は、部数とサイズで金額が大きく変わります。申請前に経費明細を作る段階では、ネット印刷の料金表で部数ごとの金額を確かめておくと、計画の金額を決めやすくなります。

  • ネット印刷が向いているのは、デザインを自社や制作会社で用意し、印刷だけを発注する場合です
  • 原稿づくりから配布まで一括で任せたい場合や、看板の設置工事を伴う場合は、地域の印刷会社・看板業者に相談する方が進めやすいことがあります
  • どちらの場合も、発注と支払いは交付決定日以降です。補助金で支払う場合は、事業者名義での支払いと、請求書・領収書・納品物の写真を残せるかを確認してください

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多くの補助金では、交付決定より前に契約・購入したものは補助の対象外です。補助金を使う予定があるときは、申し込む前に公募要領で時期を確認してください。

よくある質問

Q. チラシの印刷だけで持続化補助金に申請できますか?

いいえ、できません。第20回は「広報費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」とされています。ウェブサイト関連費との2区分だけで申請できるかは公募要領に明記がないため、商工会・商工会議所に確認してください。

Q. 広報費はいくらまで補助されますか?

広報費の補助金額は30万円(税込)までです。通常枠(補助率2/3)なら、補助対象経費45万円で上限に達する計算です。制度全体の補助上限(通常枠は50万円)の範囲にも収める必要があります。

Q. 看板は対象になりますか?

はい、看板作成・設置は広報費の対象例です。ただし、商品・サービスの宣伝を目的としない看板(社名だけの看板など)は対象外です。補助事業で始める商品・サービスの名称や宣伝文句が載る看板にしてください。

Q. SNS広告やリスティング広告はどの経費になりますか?

第20回では広報費です。「インターネット広告、バナー広告の実施」「SNS広告、運用代行費」が広報費の対象例に挙がっています。発注日や請求額、広告の画面を提出できないと対象外になり、成功報酬型の費用も対象外です。

Q. 多めに刷ったチラシの残りはどうなりますか?

補助事業期間内に配布しなかった分は対象外です。公募要領は「チラシ等配布物のうち未配布・未使用分」を対象外の例に挙げています。配布計画から部数を決め、配布した記録を残してください。

Q. 採択の通知が来たら、すぐ広告を発注してよいですか?

いいえ、交付決定日を待ってください。採択発表の後に見積書等を提出し、交付決定を受けてからが発注・契約・支払いの開始日です。採択通知書だけでは補助事業を始められないと、公募要領に明記されています。

まとめ

  • 広報費の補助金額は30万円(税込)まで、広報費だけでは申請できません
  • 対象は補助事業計画に基づく商品・サービスの宣伝です。会社案内・求人広告・名刺、宣伝の載っていない販促品は対象外です
  • SNS広告・ネット広告は第20回から広報費です。自社ホームページで使う写真・動画はウェブサイト関連費です
  • 補助事業期間内に配布・掲載した分だけが対象で、未配布分・期間外の掲載分は対象外です
  • 交付決定前の発注・契約・支払いは対象外。採択発表(2027年3月頃の予定)から交付決定まで概ね1〜2か月かかる場合があります

持続化補助金を含め、自社が使える補助金を確かめたい方は補助金かんたん診断をご利用ください。補助金のご質問はLINEでも受け付けており、どの制度が該当するか、申請条件に合うかをご提案します。

参考(一次情報)