勤怠管理は、従業員を1人でも雇ったときから必要です。使用者は、労働日ごとに従業員の始業・終業時刻を確認し、記録します。確認の方法は、使用者が自分で見て確かめる(現認する)か、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間などの客観的な記録を基にするのが原則です。

この記録は、雇用関係の助成金を申請するときにも使います。キャリアアップ助成金や両立支援等助成金などには、支給申請で賃金台帳や出勤簿・タイムカードを出すコースがあります。この記事は、厚生労働省のガイドライン・支給要領と、労働基準法・労働安全衛生法の条文(いずれも2026年10月13日に確認)にもとづいています。

  • 始業・終業時刻は、タイムカードなどの客観的な記録で確認するのが原則です。自己申告で把握するときは、使用者が講じる措置が決まっています
  • 2019年4月1日から、管理監督者も含めて「労働時間の状況」を把握する義務があります(労働安全衛生法)
  • 出勤簿やタイムカードは当分の間3年保存します(条文上は5年)。雇用関係助成金を受給したら、提出した書類等の原本を支給決定日の翌日から5年間保存します
  • 雇用関係助成金には、出勤簿の押印だけで出退勤の時間を確認できないと、支給対象にならないコースがあります
  • 勤怠管理ソフトやタイムレコーダーの導入費用は、働き方改革推進支援助成金(令和8年度)の対象になり得ます。成果目標の達成が条件で、交付決定の前に契約したものは対象外です
勤怠管理の始め方の記事でわかる3つのこと:従業員を1人でも雇ったら、始業・終業時刻を客観的な記録で確認する、出勤簿やタイムカードは当分の間3年保存。助成金を受けたら提出書類は5年、勤怠管理ソフトやタイムレコーダーは、働き方改革推進支援助成金の対象になり得る
図解:勤怠管理の始め方で最初に押さえたい3つのポイント

勤怠管理はいつから必要?従業員を1人雇ったときからです

勤怠管理は、従業員を1人でも雇えば必要になります。厚生労働省のガイドラインは、労働基準法の労働時間の規定が適用される全ての事業場を対象にしています。厚生労働省のモデル就業規則も、労働基準法は労働者を1人でも使用する事業場に適用されると説明しています。

使用者がすることは、労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録することです。なお、同居の親族だけを使用する事業には、労働基準法が適用されません(同法116条2項)。同居の親族以外の人を1人でも雇えば、勤怠管理が必要になります。

ガイドラインの対象から外れる人もいます。管理監督者など労働基準法41条に定める人と、みなし労働時間制が適用される人です。ただし、労働安全衛生法は別のルールとして「労働時間の状況」の把握を求めています(66条の8の3)。こちらは2019年4月1日に始まり、管理監督者も対象です。

比べる点労働基準法(ガイドライン)労働安全衛生法
把握するもの労働日ごとの始業・終業時刻労働時間の状況
対象になる人管理監督者など(41条)と、みなし労働時間制が適用される人を除く全員高度プロフェッショナル制度の対象者を除く全員(管理監督者・裁量労働制の人を含む)
把握の方法使用者の現認か、タイムカード等の客観的な記録が原則タイムカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法
記録の保存当分の間3年(109条・附則143条)3年(労働安全衛生規則52条の7の3)

事業場の外で働く人の場合、ガイドラインの対象外になるのは、みなし労働時間制が適用される時間に限られます。また、ガイドラインは、対象外の人についても、健康確保のために使用者が適正な労働時間管理をする責務があるとしています。

記録の方法:タイムカードなどの客観的な記録が原則です

始業・終業時刻は、次のどちらかの方法で確認して記録するのが原則です(ガイドライン4(2))。

  • 使用者が、自分で現認して確認し、適正に記録する
  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基に確認し、適正に記録する

従業員が自分で時刻を書く出勤簿や表計算ソフトは、使用者が毎日現認していなければ「自己申告制」にあたります。ガイドラインは、自己申告制で行わざるを得ない場合に、使用者が次の措置を講じることとしています(4(3))。

  1. 対象の従業員に、労働時間を正しく記録し、適正に申告するよう十分に説明する
  2. 実際に労働時間を管理する人にも、自己申告制の適正な運用を含めて十分に説明する
  3. 申告された時間が実際の労働時間と合っているか、必要に応じて実態調査をして補正する。入退場の記録やパソコンの使用時間と著しくずれているときは、実態調査と補正が必要です
  4. 申告した時間を超えて社内にいた理由を報告してもらう場合は、その報告が適正か確認する。使用者の指示で業務をしていた時間は、休憩や自主的な研修と報告されていても労働時間です
  5. 申告できる時間外労働に上限を設けるなど、正しい申告を妨げる措置をとらない

労働安全衛生法の「労働時間の状況」でも、自己申告は客観的な方法で把握しにくい場合に限られます。厚生労働省の解釈通達は、直行・直帰であることだけを理由に自己申告で把握することを認めていません。社外から社内のシステムにアクセスして記録できる場合などがあるためです。

補助金オタクメモ:勤怠の記録は賃金台帳の元データです
賃金台帳には、従業員ごとに労働日数・労働時間数のほか、時間外・休日・深夜の労働時間数を書きます(労働基準法108条、同法施行規則54条)。これを書かなかったり、故意に虚偽の労働時間数を書いたりすると、30万円以下の罰金の対象になるとガイドラインは示しています(同法120条)。毎日の記録が正確でないと、賃金台帳も正しく書けません。

記録の保存期間は当分の間3年。助成金を受けたら5年です

出勤簿やタイムカードは、当分の間3年保存します。労働基準法109条は、労働者名簿と賃金台帳のほか、「その他労働関係に関する重要な書類」の保存を義務づけています。厚生労働省のQ&Aは、出勤簿やタイムカード等の記録をこの書類の例に挙げています。

保存期間は、条文では5年です。ただし、附則143条により「当分の間」は3年とされています(2020年4月1日施行の改正)。この改正には、施行から5年が過ぎた後に見直しを検討する規定があります。2026年10月13日にe-Gov法令検索で確認した時点では、3年のままです。

書類保存期間数え始める日(起算日)
労働者名簿当分の間3年労働者の死亡・退職・解雇の日
賃金台帳当分の間3年最後に記入した日。賃金の支払期日の方が遅ければその支払期日
出勤簿・タイムカードなど(その他の重要な書類)当分の間3年その書類が完結した日。賃金の支払期日の方が遅ければその支払期日
年次有給休暇管理簿有給休暇を与えた期間中と、その満了後3年(当分の間)有給休暇を与えた期間の満了後
労働時間の状況の記録(労働安全衛生法)3年条文に定めなし
雇用関係助成金の支給申請で提出した書類等の原本5年支給決定日の翌日

起算日のルールは、労働基準法施行規則56条にあります。厚生労働省のQ&Aは、賃金計算期間が毎月1日から末日で、支払日が翌月10日の会社の例を挙げています。この場合、タイムカードなど賃金計算に使った記録は、翌月10日から数えて3年の保存が必要です。

雇用関係助成金を受給した場合は、労働基準法の3年とは別の保存義務があります。提出した書類等の原本(原本を出したときはその写し)を、支給決定日の翌日から5年間保存します(雇用関係助成金共通要領0404)。厚生労働省のパンフレットは、労働局の調査の際に書類が保存されていない場合、支給した助成金の返還を求める場合があるとしています。

従業員を雇ったら、勤怠とあわせてそろえる書類

勤怠管理は、雇い入れの時点で決める労働条件から始まります。始業・終業時刻、休憩、休日は、雇い入れるときに書面で明示する事項です(労働基準法15条、同法施行規則5条)。ここで決めた時刻が、勤怠で記録する時間の基準になります。

書類必要になる場面根拠
労働条件通知書(労働条件の明示)雇い入れるとき。始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩、休日などを書面で示す(本人が希望すれば電子メール等でも可)労働基準法15条、施行規則5条
労働者名簿事業場ごとに作る(日々雇い入れる人を除く)労働基準法107条
賃金台帳事業場ごとに作り、賃金を払うたびに記入する労働基準法108条、施行規則54条
出勤簿・タイムカードなどの労働時間の記録労働日ごとに記録するガイドライン、労働安全衛生法66条の8の3
年次有給休暇管理簿年次有給休暇を与えたとき施行規則24条の7
時間外・休日労働に関する協定届(36協定)1日8時間・週40時間を超えて、または法定の休日に働いてもらうとき。労使で協定し、労働基準監督署に届け出る労働基準法32条・36条
就業規則常時10人以上の労働者を使用するようになったとき。作成して所轄の労働基準監督署長に届け出る労働基準法89条、施行規則49条

週40時間には特例があります。常時10人未満の労働者を使用する次の事業場は、週44時間です(施行規則25条の2)。物品の販売や理容の事業、映画の映写や演劇などの興行(映画の製作を除く)、治療・看護などの保健衛生の事業、旅館・飲食店・娯楽場などの事業が当たります。

就業規則の「常時10人以上」は、企業全体ではなく、店舗や営業所などの事業場ごとに数えます(厚生労働省のモデル就業規則)。10人未満で作成の義務がない事業場でも、助成金の要件として社内の規定が要ることがあります。たとえばキャリアアップ助成金の正社員化コースは、正社員への転換制度を定めていることが要件です。定める先は、就業規則または労働協約その他これに準ずるもの(事業所で周知されているもの)です。

労務の書類や手続きを手元で一通り確認したい場合は、入門書が1冊あると便利です。

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雇用関係助成金の申請では、出勤簿と賃金台帳が審査の材料になります

助成金の申請で出す勤怠の記録の図解。主な項目:キャリアアップ助成金:賃金台帳等。出勤簿は台帳で労働時間等を確認できない場合に提出、両立支援等助成金(育児休業等支援):出勤簿またはタイムカードと賃金台帳、特定求職者雇用開発助成金:日ごとの出勤簿等と賃金台帳等、出勤簿の押印だけでは支給対象にならないコースもある
図解:助成金の申請で出す勤怠の記録で押さえたいポイント

雇用関係助成金には、支給申請のときに賃金台帳や出勤簿・タイムカードの写しを出すコースがあります。何をどの期間分出すかは、コースごとに支給要領で決まっています。主なコースは次のとおりです(2026年10月13日に厚生労働省の支給要領・パンフレットで確認)。

助成金・コース提出する記録対象の期間
キャリアアップ助成金(正社員化コース)賃金台帳等の写し。出勤簿・タイムカード等は、賃金台帳等で出勤日数・労働時間数等が確認できない場合に限り提出転換前6か月分と、転換後の第1期支給対象期(6か月)分。第2期の申請では第2期分
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)出勤簿またはタイムカードと、賃金台帳など育休取得時は育児休業の3か月分。職場復帰時は休業終了前3か月分と復帰後6か月分
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)賃金台帳等と、出勤状況が日ごとに分かる出勤簿等出勤簿等は、雇入れ日の属する月と、6か月ごとの各支給対象期の分
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)賃金台帳または給与明細書の写し等と、出勤簿またはタイムカードの写し等(日ごとに始業・終業時刻と休憩時間が分かるもの)訓練を受けた日が属する賃金の対象期間(eラーニング・通信制・育児休業中の訓練は原則不要)

キャリアアップ助成金の支給対象期は、勤務した日数が11日未満の月を除いて数えます。記録の正確さそのものが支給を左右する規定もあります。

  • 両立支援等助成金の育休中等業務代替支援コース(手当支給等〈短時間勤務〉)は、出退勤時間をタイムカードや出退勤記録簿等の書面で確認できない場合は支給対象にならないとしています。出勤簿の押印のみで出退勤を管理している場合がその例です。同じ趣旨の記載は、介護離職防止支援コースなど他のコースの手引きにもあります
  • 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)は、出勤簿やタイムカードで出勤状況が確認できない訓練の受講時間を、受講時間数に数えません
  • キャリアアップ助成金は、出勤簿や賃金台帳等は事業場で作っている原本か、その複写である必要があるとしています。原本から加工・転記したものや別に作った書類を出したことが明らかになると、不支給決定になります
  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、2026年4月以降の申請分から、賃金台帳の提出が確認できない場合は不支給としています

どの雇用関係助成金も、審査に必要な書類を整備・保管し、労働局の求めに応じて提出し、実地調査などに協力することが受給の要件です(雇用関係助成金共通要領0301)。支給申請書等に事実と異なる記載や証明(軽微な誤りを除く)をした事業主は受給できません(0302)。不正受給と判断されると、返還額に加えて、年3%の延滞金と返還額の2割に相当する額を請求されます(0701)。不支給または支給取消の日から5年間は、雇用関係助成金を受けられません(0702)。

補助金オタクメモ:記録は「あとから整える」ものではありません
申請が近づいてから出勤簿を作り直したり、別の様式に書き写したりすると、提出した書類が原本と違ってしまいます。キャリアアップ助成金のQ&Aは、原本と相違している内容の書類が提出された場合は不正受給となる場合があるとしています。勤怠管理を始めた日から、毎日の記録をそのまま保存しておくことが、助成金のいちばんの準備です。

賃上げと設備投資を助成する業務改善助成金(雇用関係助成金とは別の区分の助成金)も、交付申請に申請前6か月分の賃金台帳の写しを付けます。申請マニュアルは、労働日数・労働時間数などの法定項目がそろった、現に使用している賃金台帳が必要としています。詳しくは業務改善助成金の記事で解説しています。

記録の方法は3つ。働く場所と人数で選ぶ

記録の方法は、出勤簿(手書き・表計算ソフト)、タイムレコーダー、勤怠管理システムの3つが中心です。全員が同じ場所に出勤するならタイムレコーダー、直行・直帰や複数の拠点があるなら勤怠管理システムが候補になります。

方法向いている事業所気をつけたい点
出勤簿(手書き・表計算ソフト)従業員が数人で、使用者が毎日出退勤を見ている使用者が現認していなければ自己申告制になり、上の5つの措置が要る。押印だけの出勤簿では出退勤時間が残らない
タイムレコーダー(紙のタイムカード)全員が同じ店舗・事務所に出勤する直行・直帰やテレワークでは打刻できない。集計の機能は機種で違う。カードを保存する場所が要る
勤怠管理システム拠点が複数ある、直行・直帰やシフト勤務が多い、給与計算と連携したい料金の体系(月額・人数ごと)を確かめる。打刻の修正履歴が残るか、帳簿の形で出力できるかも確かめる

選ぶときは、次の5点を確かめてください。

  • 働く場所:全員が同じ場所に出勤するか。直行・直帰、テレワーク、複数の拠点があるか
  • 集計:締め日ごとに、労働時間と時間外・休日・深夜の時間数を出せるか(賃金台帳に書く項目です)
  • 修正:打刻漏れを直したとき、誰がいつ直したかが残るか
  • 保存:3年分(雇用関係助成金を受けたら、提出した書類は5年分)を、すぐ取り出せる形で残せるか
  • 給与計算:今の給与計算の方法に、手で書き写さずに渡せるか

導入費用は働き方改革推進支援助成金の対象になり得ます

働き方改革推進支援助成金で導入するときの要点の図解。主な項目:勤怠管理ソフトやタイムレコーダーの導入は対象になり得る、成果目標の達成が条件。交付決定の前に契約したものは対象外、補助率は3/4。30人以下で条件を満たすと4/5、交付申請は2026年11月30日午後5時まで。予算で早く締め切る場合あり
図解:働き方改革推進支援助成金で導入するときの要点で押さえたいポイント

勤怠管理ソフトやタイムレコーダーの導入費用は、働き方改革推進支援助成金(令和8年度)の対象になり得ます。ただし、道具を買うだけでは助成されません。時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進などの「成果目標」を選び、その達成に向けた取組として導入する制度です。手続きは交付申請、交付決定、取組の実施、支給申請の順で、交付決定より前に契約したものは対象外です。

項目内容(令和8年度)
個別の企業が使うコース労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、業種別課題対応コース(建設業、運送業等、病院等、砂糖製造業〈鹿児島県・沖縄県〉、情報通信業・宿泊業)
対象になる取組の例勤怠管理ソフトウェア等の導入・更新(クラウドサービス・SaaSを含む)。始業・終業時刻を記録できるなど労務管理が主な機能のタイムレコーダー、ICカード、ICカードの読取装置等の導入・更新
対象外になるもの乗用自動車、パソコン、タブレット、スマートフォンは原則として対象外。同じ機種や能力が同等以下の機種への買い替えも対象外
補助率3/4。常時使用する労働者が30人以下で、ソフトウェア・機器等の導入・更新を行い、改善事業の費用の合計が30万円を超える場合は4/5
助成額成果目標ごとの上限額(加算を含む)と、対象経費×補助率のいずれか低い額
交付申請の期限2026年11月30日(月)午後5時。国の予算の状況により、期限前に受付を締め切る場合があります
取組の実施期間原則として、交付決定の日から2027年1月31日(日)まで
申請先都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。各都道府県の働き方改革推進支援センターでも相談できます

パソコン・タブレット・スマートフォンは、会計給与システムなど特定業務専用のシステムを動かすためと明らかな場合などに限り、対象経費に含められます。

労働時間短縮・年休促進支援コースでは、次の成果目標から1つ以上を選びます。

成果目標主な条件助成上限額
時間外・休日労働の上限設定36協定の時間外・休日労働時間数を減らし、月60時間以下、または月60時間超80時間以下に設定して届け出る。2026年4月1日以前の2年間に、月45時間(1年単位の変形労働時間制の人は月42時間)を超える時間外労働(休日労働を除く)が少なくとも1か月あったことと、交付申請の前に月60時間(月80時間以下に設定する場合は月80時間)を超える時間数で36協定を届け出ていることが前提50万〜150万円(申請前と設定後の時間数で決まる)
年次有給休暇の計画的付与の導入計画的付与を新たに導入する(すでに労使協定を結んでいる場合などは選べない)25万円
時間単位の年次有給休暇と特別休暇の導入時間単位の年次有給休暇と、特別休暇1種以上を新たに導入する(すでに時間単位年休の労使協定がある場合などは選べない)25万円

賃金の引上げや割増賃金率の引上げを成果目標に加えると、上限額に加算があります。

申請する前に、次の要件も確かめてください(3つの個別企業向けコースに共通)。

  • 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること。たとえば小売業は資本金5,000万円以下または常時使用する労働者50人以下、サービス業は資本金5,000万円以下または労働者100人以下です
  • すべての対象事業場で、年次有給休暇の付与の実績にかかわらず、年次有給休暇管理簿を作成していること。常時10人以上の事業場は、年5日の時季指定の対象者の範囲と方法を就業規則に定め、交付申請の前に労働基準監督署へ届け出ていること
  • 労使の話し合いの機会の整備、苦情・意見・要望に応じる担当者の配置、事業実施計画の周知の3つを行うこと(労働時間等設定改善法に基づく措置)
  • 交付決定を受けられるのは、同じコースで同じ年度に1回までです。不交付決定を受けた場合や、交付決定の全部または一部を取り消された場合も、同じ年度にもう一度交付決定を受けることはできません(各コースの交付要綱第11条第6項第2号)
  • 同じ年度に、同じ改善事業や成果目標で国や地方公共団体の他の補助金(間接補助金を含む)を受けている場合は、交付決定されません(同項第1号①)。同じ機器・設備で業務改善助成金と両方を受けることもできず、交付決定を受けられるのはどちらか1つです(各コースの支給要領)
  • 次の場合も交付決定されません(3コースとも交付要綱第11条第5項)。過去5年間に業務改善助成金や雇用関係の助成金等を不正に受給した(しようとした)場合、交付申請日の前日から起算して過去1年間に労働基準関係法令等の違反を行ったことが明らかな場合、前年度より前の労働保険料の滞納が解消されていない場合などです。勤怠の記録が整っていない段階で申請を急ぐ前に、法令違反の指摘を受けていないかも確かめてください
  • 過去の年度の申請や他のコースの申請と成果目標が同じ場合も、交付決定されません(各コースの交付要綱第11条第6項第1号②)。ただし、勤務間インターバル導入コースで過年度に労働者の4分の1超2分の1以下の範囲へ導入した事業主が2分の1超の範囲へ広げる場合と、業種別課題対応コースの「時間外・休日労働の上限設定」「所定外労働時間の削減」の成果目標は、この制限の対象外です

勤怠管理ソフトは、デジタル化・AI導入補助金の通常枠でも対象になり得ます。この補助金の公募要領は、国などの他の補助金等と重複する事業を補助の対象に含めないことを申請要件にしています(2-1-1(2)(キ))。どちらを使うかは、ソフトを契約する前に決めてください。デジタル化・AI導入補助金での扱いは、IT導入補助金で勤怠管理・給与計算ソフトは対象になる?で解説しています。当社は登録IT導入支援事業者として、デジタル化・AI導入補助金の申請サポートを行っています。補助額の目安は見積シミュレーター(デジタル化・AI導入補助金のみ対応)で確認できます。

タイムレコーダーで始めるときの確認点

1か所に出勤する小さな事務所や店舗なら、タイムレコーダーと紙のタイムカードで始められます。選ぶときは、締め日に合わせて集計できるか、登録できる人数、使うタイムカードの種類を確かめてください。対応するタイムカードは機種ごとに違うため、本体と一緒に用意します。

働き方改革推進支援助成金などを使う予定があるなら、交付決定の前にタイムレコーダーを買ったり契約したりしないでください。交付決定の前に契約したものは、助成の対象になりません。見積りを取ることは、交付申請の前でも差し支えありません。交付申請では、原則として2つ以上の事業者の見積書(相見積り)を出します。同じ企業グループ内の別会社から取った見積りは、原則として相見積りに数えられません。助成金を使わずに始める場合は、次の機種が候補です。

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1か所に出勤する事務所や店舗で、紙のタイムカードから始めたい場合の候補です。当社の開業チェックリストでも、従業員を雇うときの備品として紹介しています。

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勤怠管理を始める5つの手順

  1. 労働時間のルールを決める:始業・終業時刻、休憩、休日、締め日と支払日を決め、労働条件通知書に書く
  2. 時間外・休日労働の可能性があれば、36協定を結んで労働基準監督署に届け出る
  3. 記録の方法を選ぶ:働く場所と人数で、出勤簿・タイムレコーダー・勤怠管理システムから選ぶ。助成金を使うなら、契約は交付決定の後にする
  4. 打刻と修正のルールを決めて伝える:打刻を忘れたときの直し方と、誰が確認するかを決める
  5. 締め日ごとに集計して賃金台帳に書き、記録を保存する:当分の間3年。雇用関係助成金を受けたら、提出した書類等の原本を支給決定日の翌日から5年

よくある質問

Q. 従業員が1人だけでも、タイムカードは必要ですか?

タイムカードに限りませんが、始業・終業時刻の記録は1人でも必要です。ガイドラインは、使用者の現認か、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間などの客観的な記録で確認することを原則としています。従業員の人数による例外はありません。

Q. 管理職(管理監督者)の出退勤も記録が必要ですか?

はい、労働安全衛生法の「労働時間の状況」の把握が必要です。2019年4月1日から、高度プロフェッショナル制度の対象者を除く全ての労働者が対象で、管理監督者も含まれます。方法は、タイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法が原則です。

Q. 出勤簿にハンコを押すだけの管理でも、助成金は申請できますか?

コースによっては支給対象になりません。両立支援等助成金の育休中等業務代替支援コースは、出勤簿の押印のみで出退勤を管理していて、出退勤時間を書面で確認できない場合は支給対象にならないとしています。ほかのコースでも、出勤日数や労働時間数を確認できる記録が審査で求められます。

Q. タイムレコーダーや勤怠管理システムの購入費は、助成金の対象になりますか?

働き方改革推進支援助成金(令和8年度)では、対象になり得ます。支給要領は、勤怠管理ソフトウェアの導入・更新や、労務管理が主な機能のタイムレコーダー・ICカードの導入・更新を、対象になる取組に挙げています。ただし、成果目標の達成が条件で、交付決定より前に契約したものは対象外です。パソコン・タブレット・スマートフォンは原則として対象外です。

Q. 出勤簿やタイムカードは何年保存すればよいですか?

当分の間は3年です。労働基準法109条は5年と定めていますが、附則143条で当分の間は3年とされています。数え始めは書類が完結した日で、賃金の支払期日の方が遅ければその日です。雇用関係助成金を受給した場合は、提出した書類等の原本を、支給決定日の翌日から5年間保存します。

まとめ

  • 勤怠管理は、従業員を1人でも雇ったときから必要です。始業・終業時刻は、使用者の現認か、タイムカードなどの客観的な記録で確認するのが原則です
  • 2019年4月1日から、管理監督者も含めて労働時間の状況の把握が必要です
  • 出勤簿やタイムカードは当分の間3年保存します。雇用関係助成金を受給したら、提出した書類等の原本は支給決定日の翌日から5年間です
  • 雇用関係助成金では、出勤簿・タイムカードと賃金台帳が審査の材料になります。押印だけの出勤簿では支給対象にならないコースもあります
  • 勤怠管理ソフトやタイムレコーダーは、働き方改革推進支援助成金の対象になり得ます。令和8年度の交付申請は2026年11月30日(月)午後5時までで、交付決定の前に契約したものは対象外です

自社が対象になりそうかは、補助金かんたん診断(無料)で整理できます。申請は提携の社会保険労務士と連携してご支援します。制度について分からない点はLINEでお問い合わせください。開業時にそろえる備品は起業・開業に必要なものチェックリスト、雇用関係助成金に共通の要件は雇用関係助成金に共通の要件で解説しています。

参考(一次情報)