「創業したばかりだが、使える補助金・助成金はあるか」というご相談をよくいただきます。結論からお伝えすると、創業期に使える制度は、事業のステージ(設立直後か、従業員を雇った後か)によって変わります。この記事では、当サイトが公募要領・公式資料の原文で裏取り済みの主要4制度を軸に、どの段階で何が使えるかを整理しました。

なお、地方自治体独自の創業補助金や小規模事業者持続化補助金の創業枠など、本稿執筆時点で公式一次情報を確認できていない制度は本記事では扱いません(理由はこの記事で扱わない制度で説明します)。まずは自社の現状で使える制度を知りたい方は3分でわかる補助金かんたん診断もあわせてご利用ください。

事業のステージ別 早見表

ステージ使える可能性がある制度注意点
設立直後・従業員なしデジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠)必要書類に直近の確定申告書控えが必須。開業直後で確定申告実績がない場合は要確認
設立から1年以上・従業員なし上記に加え、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の「革新的新製品・サービス枠」「グローバル枠」「新事業進出枠」のみ創業1年未満は対象外(後述)
従業員を雇用した後キャリアアップ助成金(正社員化コース)、人材開発支援助成金対象になる雇用形態・訓練内容の要件を満たす必要あり

この表はあくまで「検討の入口」です。各制度には別途、業種・資本金・過去の受給歴などの対象外規定があるため、詳細は各制度の解説記事と公募要領で必ず確認してください。

デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠・インボイス枠)

ITツール(会計・受発注・予約・在庫管理など)を導入する中小企業・小規模事業者・個人事業主向けの補助金です。公募要領上、設立からの年数を要件とする規定は当サイトで確認した範囲では見当たらず、設立直後の事業者も対象になり得ます。

ただし、個人事業主の必要書類には「税務署が受領した直近分の確定申告書の控え」が含まれ、代替書類は一切認められないと公募要領に明記されています。開業したばかりで確定申告の実績がない場合の扱いは個別事情によるため、申請を検討する段階で事務局に確認することをおすすめします(詳細は補助金は個人事業主でも使える?)。

デジタル化・AI導入補助金の対象経費・補助率・通常枠とインボイス枠の違いは、次の記事で詳しく解説しています。

自社の投資額でいくら補助されるかは見積もりシミュレーターで試算できます。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

設備投資や新事業展開を伴う場合に検討する大型補助金です。「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠がありますが、創業期の事業者が特に注意すべきなのは次の対象外規定です。

応募申請時点で従業員数が0名の事業者は対象外です。また、新規設立・創業後1年に満たない事業者は「新事業進出枠」に限り対象外です(最低1期分の決算書の提出が必要なため)。

つまり、従業員が0名の段階ではこの補助金は3枠とも対象外になり、創業1年未満の場合は「新事業進出枠」だけが対象外(「革新的新製品・サービス枠」「グローバル枠」については、当サイトで確認した範囲では創業年数を理由とする対象外規定は見当たりません)という切り分けになります。この受給歴・年数の規定は複雑なため、検討する際は必ず新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とはで全体像を確認してください。

キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金(従業員を雇った後)

次の2つの助成金は、従業員を雇用していることが前提の制度です。創業直後で代表者一人だけの段階では対象になりません。

採用計画があり、非正規雇用からの転換や入社後の研修を予定している場合は、採用前の段階から対象になる制度を把握しておくと、計画に組み込みやすくなります。両制度の対象者の違い・併用可否はキャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の違い・併用ガイドで解説しています。

対象外になりやすい典型パターン

制度を選ぶ前に、自社が次のいずれかに当てはまらないかを確認してください。

パターン対象外になる制度
従業員数が0名新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(3枠すべて)
創業後1年に満たない新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の「新事業進出枠」のみ
開業直後で確定申告の実績がないデジタル化・AI導入補助金(個人事業主の必要書類要件に関わるため要確認)
従業員を雇用していないキャリアアップ助成金、人材開発支援助成金
類似の大型補助金の受給歴があるデジタル化・AI導入補助金(インボイス枠)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金など、制度ごとに受給歴・期間の対象外規定あり

受給歴による対象外規定は制度ごとに条件が細かく異なるため、「一度使ったことがあるから今回もダメ」と早合点せず、各制度の解説記事で該当条件を確認してください。

この記事で扱わない制度について

小規模事業者持続化補助金や、都道府県・市区町村独自の創業補助金も、創業期によく検討される制度です。当サイトでも執筆を予定していますが、本稿執筆時点で公式サイトへの接続が継続的に確認できず、公募要領の原文で裏取りができていません。事実の裏取りができない金額・要件を書くことはしない方針のため、確認が取れ次第、別記事として追加します。

よくある質問

Q. 開業届を出したばかりですが、すぐに使える補助金はありますか?

デジタル化・AI導入補助金は設立年数を理由とする対象外規定が見当たらず、開業直後でも検討の対象になり得ます。ただし個人事業主の必要書類には直近の確定申告書控えが必須で代替が認められないため、確定申告の実績がまだない場合は事務局への事前確認をおすすめします。

Q. 従業員がまだいなくても申請できる制度はありますか?

デジタル化・AI導入補助金は個人事業主・従業員0名でも対象になり得ます。一方、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は従業員数0名の事業者を3枠とも対象外としているため、この段階では検討の対象になりません。

Q. 法人化する前に個人事業主として申請すべきですか?

デジタル化・AI導入補助金には「みなし同一法人」の規定があり、過去に交付決定を受けた個人事業主が法人化した場合も同一の事業者として扱われます。個人と法人のどちらのタイミングで申請するかは、受給歴の管理にも関わるため計画的に判断することをおすすめします。詳しくは補助金は個人事業主でも使える?をご覧ください。

Q. 複数の制度に同時に申請してもいいですか?

制度によって併願の可否・制限が異なります。たとえば新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、事業再構築補助金など他の大型補助金との間で受給歴・期間による対象外規定があります。各制度の解説記事で個別に確認するか、LINEで無料相談からご相談ください。

Q. どの制度から検討を始めればいいですか?

まず自社の現状(従業員の有無・設立からの年数・確定申告の実績)を確認し、この記事の早見表と対象外パターンで候補を絞ってください。そのうえで各制度の詳細記事・公募要領で対象者の章を確認するのが失敗しない順序です。制度選びに迷う場合は補助金かんたん診断もご利用いただけます。

まとめ

  • 創業期に使える補助金・助成金は、設立直後従業員を雇った後かでラインナップが変わる
  • デジタル化・AI導入補助金は設立年数の対象外規定が見当たらないが、個人事業主は確定申告書控えの要件に注意
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、従業員0名は3枠とも対象外。創業1年未満は「新事業進出枠」のみ対象外
  • キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金は従業員を雇用した後に検討する制度
  • 小規模事業者持続化補助金など、一次情報の裏取りができていない制度は本記事では扱っていない

各制度の詳しい対象者・補助率・申請の流れは、この記事からリンクしている個別記事をご覧ください。個別の状況にあわせた相談はLINEで無料相談からどうぞ。

参考(一次情報)