起業・創業・開業で使える補助金・助成金は、「開業前か、開業後か」「従業員を雇っているか」「どこで開業するか」の3つで大きく変わります。代表的なのは、東京都の創業助成事業(上限400万円・助成率2/3以内)と、小規模事業者持続化補助金〈創業型〉(補助上限200万円・補助率2/3)です。多くの制度は開業してから、あるいは従業員を雇ってからでないと申請できません。一方で、開業前から準備しておかないと間に合わない要件もあります。

「起業したばかりだが、使える補助金・助成金はあるか」というご相談を、当社は多くいただきます。最初に押さえたいのは次の3点です。

  • 開業前(創業予定)でも申請できる制度は限られます。東京都の創業助成事業は「都内での創業を具体的に計画している個人」も対象です。一方、小規模事業者持続化補助金は一般型・創業型とも、申請時点で開業していない創業予定者は対象外です
  • 市区町村の「特定創業支援等事業」の証明が、複数の制度の入口になります。持続化補助金〈創業型〉の申請要件であり、東京都の創業助成事業の要件を満たす方法の1つです。会社設立時の登録免許税の軽減にも使えます
  • 日本政策金融公庫などの創業融資は補助金ではありません(返済が必要です)。また補助金・助成金は原則として後払いのため、立替えの資金計画が欠かせません

この記事では、ステージ別に使える制度と対象外になる条件を整理しました。根拠には、東京都中小企業振興公社の募集要項、持続化補助金の公募要領、厚生労働省・中小企業庁・内閣府・日本政策金融公庫の公式情報を使いました。いずれも原文で確認した範囲で書いています。自社の状況で候補を絞りたい方は2分でわかる補助金かんたん診断もご利用ください。

起業・創業・開業で使える補助金・助成金【2026年】の記事でわかる3つのこと:開業前・開業後・従業員を雇った後で使える制度の違い、東京都の創業助成事業と持続化補助金〈創業型〉の要件、補助金と融資の違い、対象外になりやすいパターン
図解:起業・創業・開業で使える補助金・助成金【2026年】で最初に押さえたい3つのポイント

起業・創業・開業で使える制度の早見表

開業前から申請できるのは、東京都の創業助成事業、一部の自治体の創業補助金・起業支援金、日本政策金融公庫の創業融資などに限られます。それ以外の多くは、開業後や従業員を雇った後に検討する制度です。ステージごとに検討の対象になる制度を、次の表にまとめました。「使える時期」は各制度の公募要領・募集要項の対象者の規定から当社が整理したもので、実際の申請可否は各制度の詳細要件で判断してください。

制度使える時期(目安)創業期に特に注意する点
東京都の創業助成事業開業前(都内で創業予定の個人)〜創業後5年未満指定された創業支援事業の利用が必須。経営経験が通算5年以上の方は対象外
持続化補助金〈創業型〉開業後。支援を受けた日と開業日が公募締切から過去1か年開業前の創業予定者は対象外。特定創業支援等事業の証明が必須
持続化補助金〈一般型 通常枠〉開業後開業前の創業予定者は対象外。創業型との重複申請は不可
自治体の創業補助金・起業支援金制度ごとに異なる(開業前の申請が要件の制度も、開業後の申請が要件の制度もある)起業支援金(新たに起業する場合)は、開業届・法人設立が国の交付決定日以降であることが要件
デジタル化・AI導入補助金開業後(直近の確定申告・決算書類がそろってから)必要書類に代替書類は一切認められない
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金従業員を雇用した後従業員0名は全枠対象外。創業1年未満は新事業進出枠のみ対象外
雇用系助成金従業員を雇用した後(雇用保険の被保険者がいること)雇入れ前・取組前の届出が必要な制度が多い
日本政策金融公庫の創業融資開業前〜事業開始後おおむね7年以内補助金ではなく融資(返済が必要)

この表はあくまで検討の入口です。どの制度にも業種・資本金・過去の受給歴などの対象外規定があるため、詳細は各章と公募要領で確認してください。

融資は補助金ではない|補助金・助成金・融資の違い

補助金・助成金・融資の違いの図解。主な項目:補助金:返済は原則不要。採択後、実績報告をしてから支払われる、助成金:返済は原則不要。要件を満たす取組の後に支給申請する、融資:利息を含めて返済が必要。事業の前に資金を借りられる、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は融資限度額7,200万円
図解:補助金・助成金・融資の違いで押さえたいポイント

日本政策金融公庫などの創業融資は補助金とは違い、利息を含めて返済が必要なお金です。起業の資金について調べると、補助金・助成金・融資が同じ「創業支援」として並んでいることがありますが、性質はまったく違います。3つの違いを表にまとめました。

区分返済受け取り方起業期の主な例
補助金(返済は原則不要・後払い)原則不要審査で採択された後、事業を実施して実績報告をしてから支払われる持続化補助金、東京都の創業助成事業、デジタル化・AI導入補助金
助成金(雇用系・取組の後に支給申請)原則不要要件を満たす取組を実施した後に支給申請するキャリアアップ助成金、トライアル雇用助成金
融資(返済が必要・事業の前に借りられる)必要(利息も含めて返済)審査を経て、事業の前に資金を借りられる日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金、自治体の制度融資

補助金と助成金の違いは補助金と助成金の違いで詳しく解説しています。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(融資)の概要は次のとおりです(公庫の公式ページで確認)。

項目内容
ご利用いただける方新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
資金のお使いみち新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額7,200万円
ご返済期間設備資金20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金10年以内(うち据置期間5年以内)

利率は基準利率が原則です。女性の方、35歳未満または55歳以上の方などは特別利率の対象になります。認定特定創業支援等事業を受けて認定市区町村が発行する証明書を取得した方(有効な証明書の場合に限る)も、特別利率の対象です。審査の結果、希望に沿えない場合があることも公庫は明記しています。

補助金は「後払い」なので、融資や自己資金との組み合わせが前提です。補助金は採択されても、事業を実施して支払いを終え、実績報告と検査を経てから入金されます。たとえば東京都の創業助成事業の募集要項は、申請要件として「助成金の交付がない場合であっても、事業の実施が可能な資金計画であること」を求めています。助成対象期間の終了から一定の期間を経過した後に助成金が支払われる点を踏まえた資金計画であることも、要件の一つです。当社の実務でも、補助金を開業資金の前提にした計画は、採択の有無にかかわらず資金繰りで行き詰まりやすいと感じます。融資や自己資金で開業し、補助金は採択されたら活用する、という順番で計画を立ててください。入金までのつなぎ資金の選び方は補助金の入金までの資金繰りで解説しています。

特定創業支援等事業の証明が複数の制度の入口になる

特定創業支援等事業とは、市区町村が地域の支援機関(商工会・商工会議所、金融機関など)と連携して実施する創業支援です。産業競争力強化法にもとづき市区町村が策定する「創業支援等事業計画」の中で行われます。中小企業庁の説明では、個別相談支援や複数回の授業を行う創業塾・創業セミナーなどを受講し、「経営・財務・人材育成・販路開拓」の知識を身につけるものとされています。受講後に自治体が発行する証明書は、次の表のようにさまざまな場面で使えます。

証明書が使える場面内容
会社設立時の登録免許税の軽減株式会社・合同会社とも資本金の額×0.7%が0.35%に。最低税額は株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円
持続化補助金〈創業型〉支援を受けた証明書(認定市区町村が発行したものに限る)の写しの提出が申請要件
東京都の創業助成事業申請要件2の23項目のうちの1つ(過去3か年の期間内に都内区市町村長の証明を受けた方)
日本政策金融公庫の創業融資有効な証明書を取得した方は特別利率の対象
市区町村の創業補助金証明を受けていることを要件とする制度がある(自治体の創業補助金を参照)

証明書は「いつ受けたか」が要件に関わります。持続化補助金〈創業型〉では、支援を受けた日と開業日の両方が「公募締切時から起算して過去1か年」に入っている必要があります。一方、東京都の創業助成事業では「過去3か年の期間内」の証明が求められます。開業を決めたら、開業予定地の市区町村で特定創業支援等事業の日程を確認し、開業前後のスケジュールに組み込むのが確実です。

東京都の創業助成事業(上限400万円・助成率2/3以内)

東京都の創業助成事業の要点の図解。主な項目:上限400万円(下限100万円)、助成率2/3以内、対象:都内で創業予定の個人、創業から5年未満の中小企業者等、指定された23の創業支援事業のいずれかの利用が必須、経営経験が通算5年以上の方、本店・納税地が都外の方は対象外
図解:東京都の創業助成事業の要点で押さえたいポイント

東京都の創業助成事業は、都内で創業予定の個人または創業から5年未満の中小企業者等向けの助成金で、上限400万円・助成率2/3以内です。東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施し、賃借料・広告費・従業員人件費など、創業初期に必要な経費の一部が助成されます。以下は令和8年度第2回の募集要項で確認した内容です。年度・回ごとに改定されるため、過去年度の情報ではなく申請する回の募集要項を確認してください。

項目内容(令和8年度第2回)
助成限度額上限400万円(下限100万円)。ただし、事業費及び従業員人件費を助成対象経費とする助成金の助成限度額は300万円、委託費を助成対象経費とする助成金の助成限度額は100万円
助成率助成対象と認められる経費の2/3以内
助成対象期間交付決定日(令和9年3月1日予定)から6か月以上2年が経過する日までの間で事業に必要な期間
助成対象経費事業費(賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費)、従業員人件費、委託費(市場調査・分析費)
申請方法電子申請(Jグランツ)のみ。GビズIDプライムの取得が事前に必要

事業費を必ず含める必要があります。「従業員人件費のみ」「委託費のみ」「従業員人件費及び委託費のみ」での申請はできません。

令和8年度の募集スケジュール

募集回申請受付期間状況
第1回令和8年4月7日(火)10時00分〜令和8年4月16日(木)23時59分申請受付終了
第2回令和8年9月29日(火)10時00分〜令和8年10月8日(木)23時59分申請受付終了(2026年10月12日確認)

第2回の審査日程は次のとおりです。書類審査の結果連絡が令和8年12月中旬頃、面接審査が令和9年1月6日(水)〜1月14日(木)の平日日中です。審査結果の連絡は令和9年3月上旬(交付決定日は令和9年3月1日予定)です。次回以降の募集は、公社の発表を確認してください。

準備には時間がかかります。GビズIDプライムは発行の審査に1か月程度かかる場合があると公社が案内しています。GビズIDの公式サイトでは、マイナンバーカードを使うオンライン申請なら最短で即日発行されます。書類郵送申請は、書類に不備がない場合で最大1か月です。書類申請の審査期間は、2026年7月9日に従来の最大2週間から最大1か月へ変わりました。後述の申請要件2は「満たすには概ね3か月以上かかります」とされています。受付期間が始まってから準備を始めると、間に合わない場合があります(GビズIDの取り方はGビズIDプライムの取得方法で解説しています)。

申請できる人・できない人(申請要件1〜4)

東京都の創業助成事業に申請するには、申請要件1〜4をすべて満たす必要があります。先に、申請できない典型パターンを押さえてください。

  • 経営経験が通算5年以上の方(個人事業主・法人の登記上の代表者としての期間の通算。海外での経営経験や、雇われ社長・子会社の社長として事業を実施した期間も含みます。開業届を出していないフリーランスとしての期間は含みません)
  • みなし大企業、個人開業医(病院や診療所等での医業としての申請)
  • 一般社団法人・一般財団法人、事業協同組合、有限責任事業組合(LLP)、医療法人など、中小企業基本法上の「会社」に該当しない法人。特定非営利活動法人は、所定の事業を行っている場合のみ対象です
  • 他の個人事業主・法人の事業の承継や譲渡に該当する場合
  • 風俗関連業・ギャンブル業など、支援の対象として社会通念上適切でないと判断される業態
  • 法人の本店の登記が都外、個人事業主の個人事業税の納税地が都外の場合。都内のバーチャルオフィスのみの場合は、別に都内で実質的に事業を行う拠点がなければ要件を満たしません。拠点の選び方は登記の住所と実際の拠点の選び方で解説しています

申請要件1〜4の主な内容は次の表のとおりです。

要件主な内容
申請要件1(創業者等)都内での創業を具体的に計画している個人、法人登記から5年未満の法人の代表者、税務署へ開業の届出をしてから5年未満の個人事業主など
申請要件2(創業支援事業の利用)指定された23の創業支援事業のいずれかを利用していること(例: TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングによる事業計画書策定支援、東京都中小企業制度融資〈創業〉の利用、都内区市町村の創業者向け制度融資の利用、政策金融機関の資本性劣後ローン〈創業〉の利用、認定特定創業支援等事業による支援)
申請要件3(事業の内容)事業費を申請すること、助成金の交付がなくても実施できる資金計画であること、承継・譲渡でないことなど
申請要件4(納税・重複等)納税地が都内であること、税の滞納がないこと(創業前の個人・個人事業主は住民税など、法人は法人事業税・法人都民税。都や区市町村との協議に基づく分納も滞納に含まれる)、同一経費への重複助成・補助がないこと、本助成金をすでに受給した方の再度の申請でないことなど

公社の他の助成金との関係にも気をつけてください。公社の「商店街起業・承継支援事業」「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」の助成金を受けている方は、申請要件を満たしません。受ける予定の方や、過去に受けたことがある方も同様です。これらや同一経費の助成金・補助金と併願して両方で交付決定を受けた場合は、いずれか一方を取り下げる予定であることが要件です。

助成対象経費と対象外になりやすい経費

対象になるのは、交付決定(助成金の交付が正式に決まること)以降、助成対象期間中に契約・履行・支払いが完了した経費です(賃借料・従業員人件費に限り、交付決定日以前に契約した内容も対象)。創業前の個人として申請した場合は、税務署に開業の届出を行う前に契約・履行・支出した経費は対象になりません。経費区分ごとの主な対象と、対象外になりやすい例は次のとおりです。

経費主な対象対象外になりやすい例
賃借料都内の事務所・店舗・駐車場等の賃借料や共益費、器具備品のリース・レンタル料敷金・礼金・保証金・更新料等、申請者本人・配偶者・三親等以内の親族などが所有する不動産の賃借料、都内区市町村等が設置する創業支援施設の賃借料、バーチャルオフィスの利用料
広告費広告掲載、パンフレット作成、展示会出展、ホームページ作成など予約・決済等のシステム構築、オンラインショップの出店費用、自社HP内の商品・サービス販売ページ
器具備品購入費1点あたりの購入単価が税込1万円以上50万円未満の器具備品中古品、消耗品、自動車等の車両
産業財産権出願・導入費特許権・実用新案権・意匠権・商標権の出願など出願に関する調査・審査請求・登録・権利維持の経費
専門家指導費外部専門家からの助言・指導の手数料書類作成代行、顧問契約
従業員人件費都内勤務の従業員の給与(正規従業員は1人月額35万円、パート・アルバイトは1人日額8,000円が限度)代表者・役員の人件費、個人事業主本人や生計を一にする親族の人件費
市場調査・分析費(委託費)外部専門業者等への市場調査・分析の委託成果物がないもの

採択後に注意したいこと

  • 法人設立のタイミング:助成対象期間中に法人を設立する場合は条件があります。創業予定の個人・個人事業主として申請した方が期間中に法人を設立すると、交付決定の条件により助成金を受給できなくなります。第2回では例外として、基準日(令和9年1月5日)以前に登記を完了して所定の書類を提出すれば、交付決定は設立した法人に対して行われます。申請した個人・個人事業主が代表者となる法人が、申請した事業計画を実施するなどの条件を満たすことが前提です
  • 審査:書類審査を通過した方に代表者本人の面接審査があり、その後の総合審査で決定されます
  • 採択者情報の公開:法人名・代表者名(創業予定者や個人事業主は氏名)・助成事業概要等が公社ホームページで公開されます
  • 事業完了後の5年間:助成事業の完了した年度の翌年度から起算して5年間、都内で事業を実質的に継続して都に納税することが求められます。毎年の企業化状況報告書の提出も必要です。この期間に助成事業で収益を得た場合は、収益の一部の納付を求められる場合があります

小規模事業者持続化補助金〈創業型〉(補助上限200万円・補助率2/3)

小規模事業者持続化補助金〈創業型〉は、創業間もない事業者を重点的に支援する型で、補助上限200万円・補助率2/3です。持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作り、販路開拓等に取り組む小規模事業者向けの補助金です。以下は「第4回公募 公募要領(第8版:2026年5月27日)」で確認した内容です。

第4回公募の概要とスケジュール

項目内容(第4回公募)
補助上限200万円(インボイス特例の要件を満たす場合は50万円上乗せ)
補助率2/3
対象経費機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費
申請受付開始2026年11月5日(木)
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日(金)
申請受付締切2026年12月15日(火)17:00
採択発表2027年3月頃予定
補助事業実施期間交付決定日から2028年3月31日(金)まで

創業型は第1回〜第3回の公募がすでに締め切られています。申請には、地域の商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要です。様式4の発行受付締切は、申請受付締切より前に設定されています。受付締切以降の発行依頼は「いかなる理由があってもできません」と公募要領に明記されています。

広報費とウェブサイト関連費には、それぞれ上限があります。どちらも当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)で、その経費のみでの申請はできません(必ずほかの経費と一緒に申請)。一般型 通常枠の公募要領にも同じ規定があります。チラシなどの広報費だけ、ホームページ制作などのウェブサイト関連費だけでは申請できないため、販路開拓の取組全体で経費を組み立てる必要があります。補助対象は交付決定日以降に発生し、補助事業実施期間中に支払が完了した経費に限られます。

申請要件:支援を受けた日と開業日が「過去1か年」

創業型の申請要件は、「特定創業支援等事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が、公募締切時から起算して過去1か年の間であることです。支援の実施者は、産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」に限られます。公式サイトでは、第4回の期間を2025年12月15日〜2026年12月15日と示しています。

  • 法人は代表者本人が支援を受けている必要があります(代表者以外の役員や従業員が受けた場合は対象外)
  • 個人事業主は本人が支援を受けている必要があります(家族専従者などが受けた場合は対象外)
  • 開業日は、法人は履歴事項全部証明書等の「会社成立の年月日」、個人事業主は開業届の「開業・廃業等日」で判断します(書類の発行日・提出日ではありません)
  • 個人事業の法人化をした場合は、個人事業の開業日から1年を経過していると申請できません
  • 特定創業支援等事業による支援を受けた地域以外の地域で創業した場合も対象になります

対象にならない人と、一般型 通常枠との関係

持続化補助金〈創業型〉の対象にならないのは、主に次の事業者です。

  • 申請時点で開業していない創業予定者は対象外です(開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日より後なら対象外)。ただし、店舗のオープン準備中など、まだ事業活動を開始していない事業者は対象になり得ます。この場合は補助事業終了までに商品・サービスの提供を開始する必要があります
  • 小規模事業者の範囲を超える事業者。常時使用する従業員の数が、商業・サービス業〈宿泊業・娯楽業除く〉は5人以下、宿泊業・娯楽業は20人以下、製造業その他は20人以下であることが条件です
  • 医師、歯科医師、一般社団法人、医療法人などの補助対象にならない者
  • 創業型で申請中・採択済み、または採択を受けて補助事業を実施した事業者
  • 一般型 通常枠で申請中・採択済み、または採択を受けて補助事業を実施した事業者

一般型 通常枠(第20回公募)の公募要領(第8版:2026年7月21日)にも、創業型との重複申請はできないことが明記されています。一般型 通常枠の補助上限は50万円で、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円、両特例で200万円が上乗せされます。補助率は2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)です。申請受付期間と様式4の発行受付締切は、第4回創業型と同じ日程です。支援を受けた日または開業日が「過去1か年」から外れた事業者は、一般型 通常枠を検討することになります。

ただし一般型 通常枠には、創業型と異なる点があります。開業届を提出していても、申請時点までに事業を開始していない場合は一般型 通常枠の補助対象外です。創業型は、補助事業終了までに事業活動を開始すれば対象になり得ます。

また、過去に持続化補助金(創業型を含む)で採択され補助事業を実施した事業者にも条件があります。事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過していることが条件です。あわせて「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果および賃金引上げ等状況報告書」の提出を完了していれば、一般型 通常枠へ申請できます。

インボイス特例にも注意点があります。創業型のインボイス特例の要件は「2023年10月1日以降に創業した事業者で、補助事業の終了時点において『適格請求書発行事業者』の登録を受けていること」です。上乗せを希望して要件を1つでも満たさなかった場合は、上乗せ部分だけでなく補助金全体が交付されません。登録の予定が固まっていない段階で、安易に希望しないでください。

登記の住所と実際の拠点の選び方(バーチャルオフィス・レンタルオフィス)

東京都の創業助成事業を使うなら、法人は本店を都内で登記し(個人事業主は納税地を都内にし)、都内で実質的に事業を行う拠点を持つ必要があります。登記の住所が都内のバーチャルオフィスで、ほかに都内の拠点がない場合は申請要件を満たしません。この節は、創業助成事業(令和8年度第2回)の募集要項と持続化補助金の公募要領で、2026年10月13日に確認した内容です。次回以降の募集では変わる場合があるため、申請する回の募集要項でも確認してください。東京都の創業助成事業以外の制度(持続化補助金・設備投資の補助金・雇用関係助成金など)での住所と拠点の扱いは、バーチャルオフィスで補助金・助成金は申請できる?で制度別にまとめています。

東京都の創業助成事業は「都内の登記(個人事業主は納税地)」と「都内の拠点」の両方が要る

募集要項の申請要件1は、法人と個人事業主に、公社が申請書を受理する時点で都内の拠点が実在することを求めています。創業前の個人は、開業後の所在地が申請要件4で定められています。申請者の区分ごとの内容は次のとおりです。

申請者住所・拠点について求められること
法人本店の所在地が都内に登記されていて、都内で実質的に事業を行っている本店が実在していること(申請要件1)
個人事業主納税地と主たる事業所等が都内に実在し、都内の主たる事業所等で実質的に事業が行われていること(申請要件1)
創業前の個人交付決定後、速やかに開業すること。開業する事業の納税地と主たる事業所等が共に都内にあること(申請要件4)

都内の登記・届出上の住所と、実際に事業を行う場所が違っていても、所在地の要件は満たせます。募集要項のよくあるご質問は、別の所在地が本店(個人事業主は主たる事業所等)として都内に実在し、そこで実質的に事業が行われていれば、申請要件を満たすとしています。登記の住所が都内のバーチャルオフィスでも、ほかに都内で実質的に事業を行う拠点があれば同じ扱いです。

本店の登記が都外の法人は、都内に拠点があっても申請要件を満たしません。公社の創業助成事業のページも、申請要件を満たしていないケースとして「法人の場合、本店の登記が都内でない」を挙げています。個人事業主は、個人事業税の納税地が都内でない場合が同じく挙げられています。

「実質的に事業を行っている」とは、単に登記や建物があることだけでなく、客観的に見て都内に根付く形で事業活動が行われていることです(募集要項の用語説明)。ホームページ、名刺、看板や表札、電話等連絡時の状況、事業実態や従業員の雇用状況等から総合的に判断するとされています。

申請書(事業計画書)にも拠点を書く欄があります。法人は「本店の状況」を選択肢から選び、登記上の所在地と違う場合は「実質的な事業の実施場所」を記入します。記入例では、本店の状況として「登記上の所在地であるが、実質的な事業の実施場所ではない(会議室等の都度利用のみの場合を含む)」が選ばれています。会議室を都度借りるだけの場所は、実質的な事業の実施場所に当たらない扱いと読み取れます。

この要件は申請時だけのものではありません。申請要件3は、申請書の受理から助成対象期間の終了後まで、都内で実質的に事業を行う本店等が実在することを求めています。終了後の期間は、助成対象期間終了年度の翌年度から起算して5年以上経過するまでです。採択後に注意したいことで触れた「事業完了後の5年間」の義務と重なる期間です。都内で実質的に事業を行っている実態がないと認められるときは、交付決定の全部または一部の取消しや、助成金の返還の対象になります。助成事業の完了後に登記の住所や事業所の所在地が変わった場合は、公社へ連絡することとされています。

拠点の種類ごとの扱い(レンタルオフィス・コワーキング・シェアオフィス)

レンタルオフィスやコワーキングスペースの利用料は、賃借料として助成対象になり得ます。ただし、それが「実質的に事業を行っている拠点」に当たるかについて、募集要項に拠点の種類ごとの定めはありません。募集要項で確認できた扱いを、次の表にまとめました。

拠点・住所の種類「実質的な拠点」としての扱い賃借料(助成対象経費)の扱い
都内のバーチャルオフィスこれだけでは要件を満たさない。別に都内の拠点が必要対象外(バーチャルオフィスの利用料)
都内のレンタルオフィス(個室)種類ごとの定めはなく、実態から総合的に判断対象になり得る
都内のシェアオフィス・コワーキングスペース(専有部分がない空間の共同使用)種類ごとの定めはなく、実態から総合的に判断対象になり得る(都外の施設を主に利用する契約は対象外)
会議室の都度利用だけ申請書の「本店の状況」の記入例で「実質的な事業の実施場所ではない」側に含まれている対象外(会議室の使用料、単発的な使用による賃借料)
自宅(個人事業主)都内で実質的に事業を行っていれば、住所地を事業所を兼ねるものとして届け出る場合も「主たる事業所等」に含まれる間仕切り等で物理的に区分されていない住居兼事務所の賃借料と、本人・配偶者・三親等以内の親族が所有する物件の賃借料は対象外

レンタルオフィスの個室でも、コワーキングのフリーデスクやシェアオフィスでも、「実質的な拠点」に当たるかは上の総合判断で決まります。拠点の候補が決まったら、契約の前に公社へ確認することを当社はおすすめします。問い合わせ先は、公社の事業戦略部 創業支援課 創業助成担当(電話 03-5220-1142、原則平日10:00〜17:00)です。

拠点選びは、申請要件2(指定された創業支援事業の利用)にも関わります。その1つが、東京都の認定インキュベーション施設(東京都インキュベーション施設運営計画認定事業の認定を受けた施設)への入居です。認定後(新設施設は運営開始後)6か月以上、継続して入居していることが条件です。あわせて、申請する事業の内容について、入居期間中にインキュベーションマネージャーから個別具体的な支援を継続して受けている(または以前に受けていた)ことが必要です。個室利用以外でも対象ですが、利用期間は一拠点のみで換算します。

中小企業基盤整備機構・都内区市町村・国公立大学などが設置した都内の創業支援施設への入居も、申請要件2の1つです。1年間以上の賃貸借契約を結んで入居している(または過去3か年の期間内に入居していた)ことが条件です。ただし、区市町村・国公立大学など民間企業以外が設置する創業支援施設の賃借料は、助成対象になりません。

賃借料が助成対象になる条件と期間

賃借料は、交付決定日以前に結んだ契約でも助成対象になります。ただし、例外は契約の時期だけです。賃借(履行)と支払は、助成対象期間内(交付決定日から事業完了日まで)に完了している必要があります。交付決定日より前に支払った賃借料と、助成対象期間満了後を対象とした賃借料は対象外です。募集要項で確認できた条件は次のとおりです。

  • 対象は、助成事業の遂行に必要な都内の不動産(事務所、店舗、駐車場等)の賃借料や共益費です。助成対象期間を通して継続的に賃借する経費に限られます
  • 交付決定日以前の契約が認められるのは、賃借料と従業員人件費だけです。交付決定日以前に契約し、継続して使用している賃借も含まれます
  • 第2回の助成対象期間は原則2年です(交付決定日は令和9年3月1日予定。東京都の創業助成事業の表も参照)
  • 賃借料に光熱水費が含まれている場合は、その分を差し引いた金額が対象です
  • 原則として、助成事業の実施のみに使う物件が対象です。他の事業と共同で使う部分がある物件は、面積等で按分できるなど、明確に区分できる物件に限られます
  • 賃借の必要性や使用実績がわかる書類を提出できない場合は、対象外です
  • 国や区市町村などの助成金で家賃の補助を受けた物件でも、その助成と助成対象期間が重ならなければ、同じ物件の賃借料を対象にできます。期間が重なる場合は対象外です(よくあるご質問Q5と、その下の<参考>の表)
  • 敷金・礼金・保証金・手数料・更新料等と、レンタルオフィス等の個別サービス(貸ロッカー等)の利用料は対象外です。会議室の使用料や、バーチャルオフィスの利用料も対象外です
  • 登記や郵便物の受領等を目的とした所在地の借り受けや、郵便転送・電話転送・電話代行・ファックス転送等のみのサービスの利用料も対象外です(申請書の記入上の注意)

創業前の個人として申請する場合は、別の制限もあります。募集要項のよくあるご質問Q3は、創業前に契約・履行・支出した経費は、助成対象期間内であっても対象にならないとしています。対象になるのは、税務署に開業の届出を行って以降に契約・履行・支出した経費です。事務所を借りる予定の方は、開業の届出を済ませてから契約を結ぶ日程にしてください。判断に迷う場合は、契約前に公社へ確認すると確実です。

持続化補助金〈創業型〉など、ほかの制度での住所と家賃の扱い

持続化補助金〈創業型〉の公募要領は、補助対象者を「日本国内に所在する小規模事業者(日本国内に居住する個人、又は日本国内に本店を有する法人)等」としています。小規模事業者であることなど、公募要領の(1)〜(3)の要件をすべて満たすことが前提です。特定の都道府県に拠点を置く要件や、バーチャルオフィスの扱いについての記載は、当社が確認した範囲では公募要領に見当たりません。

持続化補助金では、事務所等に係る家賃は原則として補助対象になりません。創業型と一般型 通常枠の公募要領に、同じ規定があります。ただし、既存の事務所賃料ではなく、新たな販路開拓の取組の一環として新たに事務所等を賃借する場合は、対象となる場合があります。この場合は、審査時に床面積の按分資料が必要です。

申請に必要な事業支援計画書(様式4)は、地域の商工会・商工会議所が発行します。一般型 通常枠の公募要領は、事業を営んでいる場所によって問い合わせ先(商工会地区・商工会議所地区)が異なると案内しています。登記の住所と実際に事業を営む場所の地域が違う場合は、どちらの商工会・商工会議所に相談するかを事前に確認してください。

ケース別の選び方と、拠点・住所の探し方

東京都の創業助成事業を使う予定があるかどうかで、選び方が変わります。

  • 東京都の創業助成事業を使う方:法人は都内で登記し(個人事業主は納税地を都内にし)、都内で実質的に事業を行う拠点を持つ必要があります。バーチャルオフィスは登記の住所として併用できますが、それだけでは申請要件を満たさず、利用料も助成対象外です
  • 東京都の創業助成事業を使わず、自宅とは別の住所で登記したい方:バーチャルオフィスも選択肢になります。許認可や届出が必要な業種では、事務所の要件を所管の窓口で確認してください。自治体の創業補助金を使う予定がある方は、事業所の所在地の要件をその募集要項で確認してください。なお、持続化補助金〈創業型〉では、事務所等に係る家賃は原則として補助対象になりません

都内で実際に事業を行う拠点として、レンタルオフィスの個室やコワーキングスペースを比べる方は、賃借料の条件に合う契約かを先に確かめます。目安は、主に使う拠点が都内か、助成対象期間を通して継続して借りる契約か、光熱水費が含まれる場合に内訳を分けられるかの3点です。法人と個人事業主は、申請書が受理される時点で、都内で実質的に事業を行う拠点が実在している必要があります。その拠点を借りる場合、交付決定日より前に支払った賃料は助成対象になりません。

PRRegus(リージャス)

レンタルオフィス・コワーキングスペースを探す方向け。創業助成事業の拠点に当たるかは、契約前に公社へ確認してください。

レンタルオフィスのRegus (リージャス)

登記の住所だけが必要な方は、バーチャルオフィスが候補になります。東京都の創業助成事業を使う場合は、バーチャルオフィスとは別に都内で実質的に事業を行う拠点が必要です。会員向けに会議室を使えるバーチャルオフィスもありますが、会議室の都度利用だけでは、実質的な事業の実施場所に当たらない扱いと読み取れます。選ぶときは、契約するプランで法人登記ができるかを確かめます。許認可や届出が必要な業種の方は、その住所を届出に使えるかを所管の窓口で確認してください。料金・プランや、住所を使える手続きは変わることがあるため、契約前に各社の公式サイトで確認してください。

PRGMOオフィスサポート

法人登記ができるのは郵便物の転送ありのプランです。転送なしのプランでは登記できません(2026年10月13日に公式サイトで確認)。

GMOオフィスサポート

PRKarigo

全店舗の住所が登記に使えると案内しています。古物商の届出など、実際のスペースが必要な事業の届出には使えないとしています(2026年10月13日に公式サイトで確認)。

Karigo

自治体の創業補助金・起業支援金の探し方

国の制度とは別に、都道府県や市区町村が独自の創業補助金を実施していることがあります。自治体の創業補助金は、開業予定地の都道府県・市区町村の制度を、当サイトの一覧や市区町村の創業支援窓口で探すのが近道です。当サイトが週次で取得しているjGrants(デジタル庁の補助金電子申請システム)のデータには、次のような市区町村の制度が掲載されていました。いずれも2026年10月1日時点のjGrants掲載内容です。

種類掲載例jGrantsに記載された主な条件
開業後に申請する経費補助三重県鈴鹿市の創業促進補助金鈴鹿市の「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明」が必要。申請は創業日から1年以内
開業前に申請する経費補助奈良県橿原市の起業等スタートアップ補助金補助金の申請時点で開業していないこと。市内の空き店舗の活用など
創業融資の保証料・利子の補助愛知県岡崎市の創業資金保証料補助金(同市の創業資金利子補給補助金も掲載)愛知県経済環境適応資金(創業等支援資金)を利用して創業した方などが対象。申請期限は融資実行日から60日以内
創業者向けの奨励金長野県茅野市の特定創業者等支援奨励金特定創業支援等事業による支援を受けた証明書の交付を受けていることなど

同じ「創業補助金」でも、開業後に申請するものと、開業前に申請しなければならないものがあり、タイミングが正反対です。金額・対象者・受付期間も自治体ごとにまったく異なり、予算の範囲内で先着順の制度もあります。必ず各自治体の募集要項で確認してください。探す手順は次のとおりです。

  1. 当サイトの都道府県別ページで、開業予定地の都道府県を開く。当サイトはjGrantsに掲載された募集中の補助金・助成金265件を毎週自動で更新し、都道府県別・市区町村別に整理しています。東京都なら東京都の補助金・助成金から探せます
  2. 創業・起業向けの制度をまとめたページで、開業前・開業後の候補を比較する
  3. 開業予定地の市区町村の創業支援窓口に、特定創業支援等事業と独自の創業支援を問い合わせる(jGrantsに掲載されない制度もあるため)

地方での起業なら「起業支援金」も確認する

起業支援金(地方創生起業支援事業)とは、地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業等する方への支援事業です。都道府県または市町村が、伴走支援と事業費への助成(最大200万円)を行います(内閣府の地方創生のページによる)。執行団体が起業等に必要な経費の2分の1に相当する額を交付します。移住支援金と合わせて利用する場合は最大300万円(単身の場合は最大260万円)とされています。

新たに起業する場合の主な対象要件は次の3つです(すべて満たす必要があります)。

  • 東京圏以外の都道府県や市町村、または東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと
  • 国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届または法人の設立を行うこと
  • 起業地の都道府県内に居住していること、または居住する予定であること

新たに起業する場合は、開業届や法人設立を先に済ませてしまうと要件を満たしません。地方での起業を考えている方は、開業手続きの前に実施団体の募集要項を確認してください。令和8年度に実施する都道府県は、東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府以外の43道府県です。対象となる社会的事業の分野や受付期間は都道府県・市町村が設定しています。

デジタル化・AI導入補助金(開業後の業務ソフト導入)

デジタル化・AI導入補助金は、会計・受発注・予約・在庫管理などのITツールを導入する中小企業・小規模事業者・個人事業主向けの補助金です。公募要領上、設立からの年数を要件とする規定は、当社が確認した範囲では見当たりません。ただし、交付申請の必要書類の側で、開業直後の事業者がそろえられない書類があります。申請者別の必要書類は次のとおりです。

申請者必要書類(交付申請)
法人履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)、税務署で発行された直近分の法人税の納税証明書(その1またはその2)、直近分の貸借対照表及び損益計算書
個人事業主運転免許証等の本人確認書類、税務署で発行された直近分の所得税の納税証明書(その1またはその2)、税務署が受領した直近分の確定申告書の控え、所得税の青色申告決算書又は収支内訳書

公募要領は「代替書類は一切認められない」と明記しています。個人事業主の確定申告書は令和7年(2025年)分(やむを得ない事情がある場合は令和6年分も可)です。そのため、最初の決算・確定申告を迎える前の事業者は、必要書類をそろえられない可能性が高いと当社は考えます。個別の扱いは事務局に確認してください(個人事業主の要件は補助金は個人事業主でも使える?で詳しく解説しています)。

対象経費・補助率・通常枠とインボイス枠の違いは、次の記事をご覧ください。

自社の投資額でいくら補助されるかは見積もりシミュレーターで試算できます。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、設備投資や新事業展開を伴う大型の補助金です。「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠があり、創業期には従業員の有無と創業からの期間が申請の可否を分けます。第1回公募の公募要領(1.3版・令和8年9月)は、申請の対象外となる事業者のうち、創業期に特に関係するものとして次の2つを定めています。

  • 応募申請時点で従業員数が0名の事業者(企業規模の拡大や賃上げを事業の目的とすることから、3枠とも対象外)
  • 新規設立・創業後1年に満たない事業者(ただし新事業進出枠に限る)(最低1期分の決算書の提出が必要なため)

このため、代表者一人で開業した段階では3枠とも申請できません。従業員を雇用した後であれば、創業1年未満でも「革新的新製品・サービス枠」「グローバル枠」は対象になり得ます。この場合、決算書の代わりに法人は履歴事項全部証明書、個人事業主は開業届を添付します。第1回公募は令和8年6月29日に公募が始まり、申請受付は10月30日(金)18:00で終了しました。第2回は11月30日(月)15:00から申請を受け付け、12月25日(金)15:00が締切です。全体像は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とはで確認してください。

従業員を雇うときに使える雇用系助成金

厚生労働省の雇用関係助成金は、雇用保険適用事業所の事業主であること(雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主であること)が共通の要件です。代表者一人で開業した段階では対象にならず、従業員を雇用してから検討する制度です。また多くの制度は、雇入れや取組の前に計画書・届出の提出や、ハローワーク等の紹介が必要です。採用を決めてから調べ始めると間に合わないことがあるため、採用計画の段階で確認してください。創業期に使える場面が多い助成金は次のとおりです。

助成金創業期に使える場面先に押さえたい条件
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、無期雇用への移行を前提に試行雇用するハローワーク等の紹介による雇入れが前提。トライアル雇用開始日から2週間以内に実施計画書を提出
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)高年齢者や障害者等の就職困難者を継続して雇用する労働者として雇い入れるハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介による雇入れが前提
キャリアアップ助成金(正社員化コース)有期雇用労働者等を正社員化する各コース実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成・提出
人材開発支援助成金雇用する労働者に職務に関連した職業訓練等を実施する訓練の計画を届け出て、計画に沿って実施する
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)雇用機会が特に不足している地域で事業所を設置・整備し、その地域に居住する求職者等を雇い入れる計画書を労働局長に提出。設置・整備費用は1点20万円以上・合計300万円以上
業務改善助成金事業場内最低賃金を引き上げ、生産性向上の設備投資等を行う労働者(従業員)がいない場合は対象外。引き上げるのは雇用保険被保険者で雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金。これから実施するものが対象

地域雇用開発助成金には「創業」の扱いがあります。地域に居住する求職者等をハローワーク等の紹介により雇い入れる人数の要件が、通常の3人以上に対し創業の場合は2人以上です。さらに、中小企業事業主であって、かつ創業と認められる場合は、1回目の支給において支給額の2倍が支給されます。対象地域は同意雇用開発促進地域・過疎等雇用改善地域・特定有人国境離島地域等などに限られるため、開業予定地が該当するかを管轄の労働局で確認してください。

このほか雇用関係助成金には、共通の「受給できない事業主」の規定があります。たとえば、支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない場合です(支給申請日の翌日から起算して2か月以内に納付した場合を除く)。支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった場合も該当します。キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の違い・併用の考え方はキャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の違い・併用ガイドで解説しています。

開業前から申請までの進め方

開業前から申請までの進め方の図解。主な項目:特定創業支援等事業を受講し、証明書を取得する、GビズIDプライムを取得する、開業届・法人設立の日付を、制度の要件と照らし合わせる、融資・自己資金で資金を確保し、交付決定前に契約・発注しない
図解:開業前から申請までの進め方で押さえたいポイント

起業・創業期の補助金・助成金は、特定創業支援等事業の受講とGビズIDプライムの取得を先に進め、開業日を制度の要件と照らし合わせてから開業するのが基本です。制度ごとの「タイミングの要件」を踏まえると、次の順番で準備すると取りこぼしを防げます。

  1. 特定創業支援等事業を受講し、証明書を取得する
  2. GビズIDプライムを取得する
  3. 開業届・法人設立の日付を、制度の要件と照らし合わせる
  4. 融資・自己資金で開業資金を確保する
  5. 交付決定より前に、対象にしたい経費を契約・発注しない
  6. 従業員を雇う前に、雇用系助成金の手続きを確認する

1の特定創業支援等事業は、内容や日程、証明書の発行手続きが市区町村ごとに異なります。証明書の発行まで含めて、早めに日程を確保します。2のGビズIDプライムは多くの補助金の電子申請に必要です。書類郵送申請では、発行までに最大1か月かかる場合があります。

最も重要なのは3の日付の確認です。起業支援金(新たに起業する場合)は、国の交付決定日以降の開業が要件です。持続化補助金〈創業型〉は、開業日が公募締切から過去1か年であることが要件です。東京都の創業助成事業は、法人設立の基準日に気をつける必要があります。

4の資金確保が必要なのは、補助金が後払いであるためです。6の雇用系助成金には、求人の出し方(ハローワーク等の紹介か)や計画書の提出時期が要件になっている制度があります。

開業時に準備するものの全体像は起業・開業に必要なものチェックリスト、補助金の申請から入金までの流れは補助金申請の流れで確認できます。

起業・創業期に対象外になりやすい典型パターン

起業・創業期の補助金・助成金は、開業日、従業員数、経営経験、本店所在地、決算の有無などによって対象外になる場合があります。制度を選ぶ前に、自社が次の表のパターンに当てはまらないかを確認してください。

パターン対象外・注意になる制度
まだ開業していない(開業届上の開業日が申請日より後)持続化補助金(一般型 通常枠・創業型)
開業届は出したが、申請時点までに事業を開始していない持続化補助金〈一般型 通常枠〉(創業型は、補助事業終了までに事業活動を開始すれば対象になり得る)
特定創業支援等事業を受けた日、または開業日が公募締切から1年より前持続化補助金〈創業型〉(一般型 通常枠を検討)
一般型 通常枠で申請中・採択済み・補助事業を実施した持続化補助金〈創業型〉
経営経験が通算5年以上(前職での代表者経験を含む)東京都の創業助成事業
本店・納税地が都外、または都内はバーチャルオフィスのみ東京都の創業助成事業(拠点の選び方)
一般社団法人・一般財団法人・LLPで起業する東京都の創業助成事業、持続化補助金(一般社団法人・一般財団法人は対象外)
東京圏(条件不利地域を除く)で起業する、または先に開業届・法人設立を済ませた起業支援金(新たに起業する場合)
最初の決算・確定申告を迎えていないデジタル化・AI導入補助金(必要書類に代替書類は認められない)
従業員数が0名新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(3枠とも)、雇用関係助成金、業務改善助成金
雇い入れた従業員が、まだ雇入れ後6か月を経過していない業務改善助成金(事業場内最低賃金を引き上げる対象は、雇用保険被保険者で雇入れ後6か月を経過した労働者)
創業後1年に満たない新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の新事業進出枠のみ
交付決定前に契約・支払いをした東京都の創業助成事業、持続化補助金など(交付決定前の経費は原則対象外)

よくある質問

Q. 開業前(創業予定)でも申請できる補助金はありますか?

はい、ありますが限られます。東京都の創業助成事業は「都内での創業を具体的に計画している個人」も申請できます。地方の起業支援金は、国の交付決定日以降に開業届・法人設立を行うことが要件です。一方、小規模事業者持続化補助金は一般型・創業型とも、申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。開業前に申請する場合も、多くの制度では対象になる経費の時期が決められています。たとえば東京都の創業助成事業では、交付決定以降で、かつ税務署に開業の届出を行った後に契約・履行・支出した経費が対象です。

Q. 日本政策金融公庫の創業融資は補助金ですか?

いいえ、補助金ではありません。融資なので、利息を含めて返済が必要です。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、融資限度額は7,200万円です。補助金は後払いのため、融資や自己資金で開業資金を確保し、補助金は採択された場合に活用する、という組み立てが現実的です。

Q. 東京都の創業助成事業と持続化補助金〈創業型〉は両方使えますか?

同じ経費で両方を受けることはできません。東京都の創業助成事業の募集要項は、他の助成金・補助金を受けている場合に、同一経費への重複助成・補助がないことを要件としています。同一経費の助成金・補助金と併願して両方で交付決定を受けた場合は、いずれかを取り下げることも求めています。持続化補助金の公募要領も、他の補助金を受給しているか受給予定の方は、双方の事務局等にあらかじめ確認するよう求めています。経費を分けて計画できるかを、申請前に双方へ確認してください。

Q. バーチャルオフィスの住所で登記しても、東京都の創業助成事業に申請できますか?

登記の住所が都内のバーチャルオフィスで、ほかに都内で実質的に事業を行う拠点があれば、所在地の申請要件を満たします。募集要項のよくあるご質問は、バーチャルオフィス以外に都内で実質的に事業を行っている別の拠点があれば、申請要件を満たすとしています。都内のバーチャルオフィスだけでは要件を満たしません。法人の本店の登記が都外の場合も対象外です。経営経験や創業支援事業の利用など、ほかの申請要件も満たす必要があります。なお、バーチャルオフィスの利用料は助成対象経費になりません。

Q. コワーキングスペースの利用料は、東京都の創業助成事業の助成対象になりますか?

対象になり得ます。募集要項は、レンタルオフィスや、シェアオフィス・コワーキングスペースの賃借料も対象と明記しています。ただし、都外のシェアオフィス・コワーキングスペース等を主に利用する契約、貸ロッカーなどの個別サービス、会議室の使用料は対象外です。助成対象期間を通して継続的に賃借することも条件で、交付決定日より前に支払った分は対象になりません。その拠点が「実質的に事業を行っている拠点」に当たるかは総合的に判断されるため、契約前に公社へ確認してください。

Q. 一人で起業した段階で使える助成金はありますか?

いいえ、厚生労働省の雇用関係助成金は、従業員を雇っていない段階では対象になりません。雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主であることが、共通の要件だからです。業務改善助成金も、労働者(従業員)がいない場合は対象外です。一人で起業した段階では、東京都の創業助成事業や持続化補助金〈創業型〉など、補助金の側から検討することになります。

Q. 持続化補助金〈創業型〉は開業からいつまで申請できますか?

特定創業支援等事業による支援を受けた日と開業日(設立年月日)が、公募締切時から起算して過去1か年の間にあることが要件です。第4回公募では、公式サイトがこの期間を2025年12月15日〜2026年12月15日と示しています。個人事業を法人化した場合は、個人事業の開業日から1年を経過していると申請できません。期間から外れた場合は、一般型 通常枠を検討することになります。

Q. 特定創業支援等事業はどこで受けられますか?

創業支援等事業計画の認定を受けた市区町村で受けられます。産業競争力強化法にもとづき、認定を受けた市区町村が商工会・商工会議所や金融機関などの支援機関と連携して実施しています。内容(個別相談、創業塾、創業セミナーなど)や日程、証明書の発行手続きは市区町村ごとに異なるため、市区町村の創業支援窓口に問い合わせてください。持続化補助金〈創業型〉では、支援を受けた地域以外で創業した場合も対象になります。

Q. どの制度から検討を始めればいいですか?

まず「開業日(予定日)」「開業地」「従業員の有無」「特定創業支援等事業の受講状況」の4点を整理し、この記事の早見表と対象外パターンで候補を絞ってください。そのうえで各制度の公募要領・募集要項の対象者の章を確認するのが失敗しない順序です。候補の絞り込みには補助金かんたん診断もご利用いただけます。ご質問はLINEでも受け付けています。

まとめ

  • 起業・創業期に使える制度は、開業前か開業後か・従業員の有無・開業地で大きく変わる
  • 融資は補助金ではない。補助金・助成金は後払いなので、融資や自己資金で開業資金を確保したうえで活用する
  • 特定創業支援等事業の証明は、持続化補助金〈創業型〉の申請要件、東京都の創業助成事業の要件の1つ、登録免許税の軽減、公庫の特別利率に使える。受講時期が要件に関わる
  • 東京都の創業助成事業は上限400万円・助成率2/3以内。創業予定の個人も申請できるが、指定された創業支援事業の利用と、経営経験が通算5年未満であることなどが必要
  • 東京都の創業助成事業は、都内のバーチャルオフィスだけでは要件を満たさない。都内での登記(個人事業主は納税地)と、都内で実質的に事業を行う拠点の両方が必要
  • 持続化補助金〈創業型〉は補助上限200万円・補助率2/3。開業前の創業予定者は対象外で、支援を受けた日と開業日が公募締切から過去1か年であることが要件
  • 雇用系助成金は雇用保険の被保険者がいることが前提。雇入れ前の手続きが必要な制度が多い

各制度の詳しい要件は、この記事からリンクしている個別記事と公募要領・募集要項をご覧ください。ご質問はLINEでも受け付けています。

参考(一次情報)