東京都の展示会出展助成事業とは、東京都と(公財)東京都中小企業振興公社(以下「公社」)が、都内中小企業の展示会出展にかかる経費の一部を助成する制度です。都内の中小企業がBtoBの展示会に出展するとき、まず候補になります。出展小間料・ブース装飾・輸送費などの3分の2以内、最大150万円が助成され、令和8年度は全10回の申請機会があります。

一方で、この助成金は「展示会に出れば誰でも使える」制度ではありません。無料経営分析の受診、売上減少または損失計上、交付決定の翌月以降の会期など、知らずに準備を進めると申請直前で止まる条件がいくつもあります。この記事は公社の募集要項(令和8年度 V1.1)の原文にもとづき、申請の可否判断から実績報告までを1本にまとめました。

  • 助成率は対象経費の3分の2以内(千円未満切捨て)、助成限度額は150万円です。申請はJグランツのみで、同一年度に1事業者1件です
  • 令和8年4月〜令和9年1月に全10回の申請受付があり、各回最終日は16時締切です。受付期間中でも、予算に達した時点で締め切られます
  • 申請には、都内商工会議所・商工会などの「無料経営分析」を受け、当助成事業の利用が有効と認められていることが必要です
  • 直近決算期の売上減少、損失計上、グロースサポートの証明のいずれかに当てはまらないと、申請できません
  • 出展できるのは、交付決定日が属する月の翌月1日以降に開催される展示会です。会期から逆算して申請回を選びます

検索でよく見かける「展示会出展助成プラス」は、令和7年度の同種事業の名称です。令和8年度の募集要項は前年度の事業を「令和7年度展示会出展助成プラス」と呼んでおり、令和8年度の正式名称は「展示会出展助成事業」です。

東京都の展示会出展助成事業【令和8年度】の記事でわかる3つのこと:助成率2/3・上限150万円と、全10回の申請スケジュール、必須の無料経営分析と、売上減少・損失計上などの要件、対象になる展示会・経費と、公社のほかの販路助成との違い
図解:東京都の展示会出展助成事業【令和8年度】で最初に押さえたい3つのポイント

制度の概要:助成率2/3・上限150万円・年10回

展示会出展助成事業は、助成率2/3以内・助成限度額150万円で、令和8年度は年10回の申請受付があります。次の表は、募集要項の主な項目をまとめたものです。

項目内容(令和8年度 募集要項)
正式名称令和8年度 展示会出展助成事業
実施東京都・(公財)東京都中小企業振興公社(申請・問い合わせは公社 企画管理部助成課)
目的経営基盤の強化に取り組む都内中小企業や、積極的にPR展開を図る企業が、販路拡大のために出展する展示会に係る経費の一部を助成
助成限度額150万円
助成率助成対象と認められる経費の3分の2以内(千円未満切捨て)
助成対象期間交付決定日から1年1か月以内
申請受付令和8年4月1日〜令和9年1月14日の全10回(各回最終日は16時締切)
申請方法国(デジタル庁)の電子申請システム「Jグランツ」のみ(GビズIDプライムが必要)
申請件数同一年度の申請は一事業者につき一件

この事業は、東京都の報道発表では令和8年度「目指せ!中小企業経営力強化アドバンスプラス事業」の一環と位置づけられています。Jグランツ上の制度ページは当サイトの令和8年度展示会出展助成事業の詳細ページからも確認できます。

助成額の計算例

公社は、助成金額の算定方法を「助成金額=(事業を行うためにかかった経費-助成対象外経費)×助成率」としています。そのうえで、「助成限度額を超える場合は、限度額が助成金額となる」と説明しています。消費税は租税公課として助成対象外のため、税抜の金額で計算します。2つの例で計算すると、次のとおりです。

例経費(税抜)計算助成予定額
A:国内展示会に1回出展小間料60万円+装飾40万円+輸送10万円+配布用カタログ印刷30万円=140万円140万円×2/3=933,333円→千円未満切捨て933,000円
B:大型展示会に大きな小間で出展小間料150万円+装飾90万円=240万円240万円×2/3=160万円→限度額を超える150万円(限度額)

交付決定時に通知される助成予定額は、最終的な支払額を決定・保証するものではありません。実績報告で履行や支払いが確認できない経費は対象外となり、確定額が減ることがあります。

申請要件:経営分析と売上減少・損失計上など6つ

申請要件の主なチェック項目の図解。主な項目:中小企業者で、都内で実質的に事業を営んでいる、確定申告書の控えを直近2期分提出できる(11か月以下の期は対象外)、商工会議所・商工会の無料経営分析で、利用が有効と認められている、直近決算期の売上減少・損失計上・グロースサポート証明のいずれか
図解:申請要件の主なチェック項目で押さえたいポイント

展示会出展助成事業の申請要件は(1)〜(6)の6つで、募集要項はすべて満たすことを求めています。(5)を除き、助成対象期間の終了時(それより前に事業が完了する場合は完了時)まで要件を満たし続ける必要があります。

先に確認:申請できない典型パターン

準備を始める前に、申請できないケースを確認しておきます。1つでも当てはまれば、この助成金は使えません。

  • 直近決算期の売上高が1期前より減っておらず、利益もすべて黒字で、グロースサポートの証明もない(要件(5))。法人の場合は、営業利益・経常利益・当期純利益〔税引後〕のいずれも黒字の状態です
  • 確定申告書を直近2期分そろえられない。休眠・休業期間を含む期や、11か月以下の期は対象外です。設立から2期に満たない会社や、決算期変更で短い期がある場合は要注意です(要件(3))
  • 法人で都内に登記簿上の本店・支店がない、個人事業主で開業届により都内の所在が確認できない(要件(2))
  • 医療法人・NPO・協同組合・社団法人・財団法人など、会社でない法人。申請に必須の経営分析が、これらの法人を利用対象外としています(要件(4))。公社の助成事業FAQも、医療法人・学校法人・宗教法人・社会福祉法人・NPO法人などは中小企業に該当しないとしています
  • 大企業が実質的に経営に参画している(いわゆるみなし大企業。要件(1))
  • 令和6年度展示会出展助成事業・令和7年度展示会出展助成プラスの助成事業者で、事業を完了して助成金が入金されていない(入金の翌日以降なら申請可。事業中止の承認を受けている場合も可)
  • 事業税等を滞納している(分納期間中も申請できません)
  • 過去に公社の助成金を受け、企業化状況報告書・実施結果状況報告書などが未提出

要件(1)〜(3):中小企業者・都内で事業・確定申告書2期分

要件(1)中小企業者であること

法人または個人事業者で、次の表に該当し、大企業が実質的に経営に参画していない中小企業者が対象です。表は業種ごとの資本金と従業員数の基準です。

業種資本金及び常時使用する従業員数
製造業、その他3億円以下 又は 300人以下
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ製造業及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円以下 又は 900人以下
卸売業1億円以下 又は 100人以下
小売業5千万円以下 又は 50人以下
サービス業5千万円以下 又は 100人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業3億円以下 又は 300人以下
旅館業5千万円以下 又は 200人以下

「大企業が実質的に経営に参画」とは、次のような場合を指します。

  • 大企業が単独で発行済株式総数等の2分の1以上を所有・出資している場合
  • 複数の大企業で3分の2以上を所有・出資している場合
  • 役員総数の2分の1以上を大企業の役員・職員が兼務している場合 など

要件(2)都内で実質的に事業を営んでいること

区分都内所在の確認納税証明
法人申請日時点で、都内に登記簿上の本店又は支店があること都税事務所発行の「法人事業税及び法人都民税の納税証明書」
個人事業者税務署に提出済みの開業・廃業等届出書の写しで、納税地・主たる事業所等の都内所在等が確認できること都税事務所発行の「個人事業税の納税証明書」と区市町村発行の「住民税の納税証明書」(非課税の場合は「所得税納税証明書(その1)」と「住民税の非課税証明書」)

「実質的に事業を営んでいる」とは、登記簿や開業届の所在地に建物があるだけでなく、客観的に都内に根付く形で事業活動が行われていることを指します。

要件(3)確定申告書の控えを直近2期分提出できること

法人は法人税申告書、個人事業者は所得税及び復興特別所得税の確定申告書(令和6年・令和7年の2期分)です。申請できない典型パターンでも触れたとおり、休眠・休業期間を含まないこと、11か月以下の期は対象外であることに注意してください。

要件(4)所定の経営分析を受けていること

最寄りの都内商工会議所・商工会、東京都商工会連合会が実施する「中小企業活力向上プロジェクトアドバンスプラス」の「無料経営分析」(令和7年度または令和8年度)を受ける必要があります。そのうえで、当助成事業の利用が有効であると認められていることが要件です。申請時には、その「経営分析報告書」を提出します。

東京都の事業である同プロジェクトの公式サイト(よくある質問)によると、実務上の目安は次のとおりです。

項目公式サイトの記載
費用無料(東京都の事業として実施)
申込から報告書まで通常は1か月ほど。経営分析の実施後、1週間を目途に報告書を提出
当日の所要時間通常2時間程度
実施場所原則、事業所での対面(中小企業診断士と商工会・商工会議所の職員が訪問)
対応者社長でなくてもよいが、財務数値まで把握した経営者(役員等)
利用回数2025年度〜2027年度の3年間、1社あたり各年度1回
23区内の事業者東京商工会議所の管轄。申込時にチェックシートの提出が必要
利用対象外医療法人・NPO・協同組合・社団法人・財団法人等の会社でない法人、一部の業種(病院・診療所・学校教育など)

商工会議所・商工会の会員でなくても利用できます。申請したい回の締切から、1か月以上前には申し込んでおくのが安全です。

要件(5)売上減少・損失計上・グロースサポートのいずれか

次のア〜ウのいずれかに該当する必要があります。

区分原文の要件判定に使う数字
ア 売上減少直近決算期の売上高が、1期前と比較して減少している売上高
イ 損失計上直近決算期で損失を計上している法人:営業利益、経常利益、当期純利益(税引後)のいずれか/個人:青色申告は損益計算書の㉝差引金額または㊺所得金額、白色申告は収支内訳書の㉑所得金額
ウ 所定の支援所定の支援の証明書の発行を受け、提出できる令和7年度または令和8年度の同プロジェクトの「グロースサポート」で発行される書類

イの損失は、法人なら営業利益・経常利益・当期純利益(税引後)のいずれか1つが赤字であれば該当します。経常利益が黒字でも、営業利益が赤字なら対象になり得ます。

ウの「グロースサポート」は、要件(4)の経営分析とは別の支援です。同プロジェクトのよくある質問によると、グロースサポートは経営分析を受けたうえで「支援の必要性あり」と認められた場合に進めるものです。支援期間は通常半年から1年で、展示会出展助成への申請のみを目的とした利用は受けられないとされています。売上が減っておらず黒字の会社が、「証明だけ取ればよい」と考えて短期間で用意できるものではありません。

要件(6)その他(ア〜ソ)

主なものは次のとおりです。

  • 同一の内容(展示会・経費)について、公社(他事業)・国・都府県・区市町村等から助成を受けていない/採択後も受けないこと
  • 同一の内容(展示会・経費)について、公社の他の助成事業に併願申請していないこと
  • 同一年度の申請は一事業者につき一件
  • 事業税等の滞納がない(分納期間中も不可)、東京都・公社への賃料等の支払いが滞っていない
  • 申請日までの過去5年間に、公社・国・都府県・区市町村等の助成事業等で不正等の事故を起こしていない
  • 民事再生法・会社更生法の申立て等、事業の継続性に不確実な状況がない
  • 風俗関連業・ギャンブル業・連鎖販売取引など、支援の対象として適切でない業態を営んでいない

対象になる展示会:商談目的で交付決定の翌月以降に開催

展示会出展助成事業の対象になる展示会は、申請事業者の販路拡大を主たる出展目的とした展示会等です。次の(1)〜(10)をすべて満たす必要があります。公社は「出展予定の展示会が助成対象となるかについて、申請前のお答えはできません」としているため、自社で条件を照合してから申請することになります。

条件内容
(1)商談目的事業者との商談を主たる目的とする展示会(出展要項の「開催目的」「来場対象者」で判定)
(2)出展可能期間内交付決定日が属する月の翌月1日以降、かつ助成対象期間内に開催
(3)公募されている主催者発行の出展案内(出展要項)が公開され、公募されている
(4)特定顧客向けでない主催者の取引先、協会・組合の会員等のみを来場対象とする展示会ではない
(5)自社主催でない申請事業者(役員・従業員が兼務する法人等を含む)が主催・運営に携わる展示会ではない
(6)販売中の商品を展示申請時点で販売を開始している自社商品(自社で企画・製造し販売)または自社取扱商品(代理店契約等で販売・PRの権利を得ている商品)
(7)自社が主体の出展申込から支払い・実施まで助成事業者名義で行い、自ら小間内で商談する
(8)販売しない販売を行わない出展である
(9)資金調達目的でない起業家・ファンド等からの資金調達を目的とした出展ではない
(10)オンライン展示会リアルタイムで商談できるシステム(チャット機能等)があり、出展可能期間内に会期の定めがある(契約・販売できる機能があるものは対象外)

共同出展、代理出展、営業支援・プロモーション支援等の一環で行う出展代行、試作品のPRや市場調査を主目的とした出展は、対象外です。募集要項は「共同出展とみなされる主な例」として、次のようなケースを挙げています。

  • 同一小間に複数企業で出展する場合
  • 経費負担に関わらず他社をPRする出展(社名板・会場案内図・壁面等に他社名を掲示、小間内で他社や他社商品〔自社取扱商品を除く〕を紹介)
  • 隣接他社の小間と一体に見える装飾

商品製造元・関連会社・グループ会社・親会社・子会社等も、「他社」に該当します。

海外展示会も対象になり得ます。経費は代理店を介さず直接契約するのが原則ですが、海外展示会の出展小間料に限っては、主催者が認める代理店を経由した申込・支払いも対象です。資材費も、海外展示会で出展申込と一体で資材等を申し込む場合は、主催者の認める代理店を経由した申込・支払いが対象になります。日本語以外の出展案内には、必要項目の和訳と、小間料の算出に用いた為替レートの追記が必要です。

申請スケジュール:全10回の受付と出展できる期間

申請回と出展できる期間の図解。主な項目:令和8年4月〜令和9年1月に全10回、各回最終日16時締切、出展できるのは交付決定日が属する月の翌月1日以降の会期、第7回(10月1日〜14日受付)なら2027年1月1日以降の会期、小間料の申込は前でもよいが、支払いは交付決定日以降
図解:申請回と出展できる期間で押さえたいポイント

展示会出展助成事業の申請受付は、令和8年4月から令和9年1月までの全10回です。出展できるのは、各回の交付決定日が属する月の翌月1日以降に開催される展示会です。

全10回の申請受付と出展できる期間

各回最終日は16時締切です。交付決定日が土日祝日の場合は、翌営業日にJグランツで通知されます。予定は状況により変更される場合があり、受付期間中でも予算に達した時点で受付は締め切られます。次の表は、各回の申請受付・交付決定日・出展できる期間をまとめたものです。

回申請受付交付決定日出展できる期間(出展開始〜事業終了)状況(2026年10月30日時点)
第1回2026/4/1〜4/142026/6/12026/7/1〜2027/6/30受付終了
第2回2026/5/1〜5/142026/7/12026/8/1〜2027/7/31受付終了
第3回2026/6/1〜6/152026/8/12026/9/1〜2027/8/31受付終了
第4回2026/7/1〜7/142026/9/12026/10/1〜2027/9/30受付終了
第5回2026/8/1〜8/142026/10/12026/11/1〜2027/10/31受付終了
第6回2026/9/1〜9/142026/11/12026/12/1〜2027/11/30受付終了
第7回2026/10/1〜10/142026/12/12027/1/1〜2027/12/31受付終了
第8回2026/11/1〜11/162027/1/12027/2/1〜2028/1/31受付前
第9回2026/12/1〜12/142027/2/12027/3/1〜2028/2/29受付前
第10回2027/1/1〜1/142027/3/12027/4/1〜2028/3/31受付前

事務手続き説明会と実績報告の最終期限

交付決定後の手続きの日程は次のとおりです。事務手続き説明会は参加必須で、出席者は実際に事務を担当する自社の社員・役員に限られます。

回事務手続き説明会実績報告の最終期限
第1回2026/6/92027/7/15
第2回2026/7/92027/8/15
第3回2026/8/72027/9/15
第4回2026/9/82027/10/15
第5回2026/10/82027/11/15
第6回2026/11/102027/12/15
第7回2026/12/82028/1/15
第8回2027/1/122028/2/15
第9回2027/2/92028/3/15
第10回2027/3/92028/4/15

会期から逆算して申請回を選ぶ

どの回も、申請受付が始まる月の3か月後の1日が出展開始日です(4月受付→7月1日、10月受付→1月1日)。たとえば第7回(10月1日〜14日受付)で申請すると、出展できるのは2027年1月1日以降の会期です。2026年12月に開催される展示会は、第6回(9月14日締切)までに申請しておく必要がありました。

同一年度の申請は1件だけです。助成対象期間(1年1か月)に予定している展示会は、すべて申請時に計画しておきます。募集要項は交付決定後の変更について、「展示会の出展回数を増やすことはできません(申請時の回数を上限とします)」としています。出展する展示会を変更する場合も、当初申請した展示会の会期開始前に承認申請を行い、公社の承認を得る必要があります。

小間料の支払いは交付決定日以降に

もう1つ確認したいのが、小間料の支払い時期です。小間の申込(契約)だけは、助成対象期間前でも対象になります。一方で、出展と支払いは助成対象期間内(交付決定日以降)に行われるものに限られます。人気の展示会は申込締切が早いため、申込は先に済ませ、支払期日が交付決定日より後になるかを主催者の出展要項で確認しておきます。

助成対象経費と上限:小間料かEC出店料の申請が必須

展示会出展助成事業の助成対象経費は、「展示会等参加費」と「販売促進費」の2区分です。このうち「出展小間料」「EC出店初期登録料」のいずれか(又は両方)の申請が必須で、資材費・輸送費・販売促進費だけの申請はできません。実施後に小間料・EC出店初期登録料が全額対象外になった場合は、事業中止となります。次の表は、経費ごとの助成限度額・主な条件・対象外の例をまとめたものです。

経費区分経費助成限度額主な条件対象外の例
展示会等参加費出展小間料個別の記載なし(全体で150万円)社名板・会場案内図に助成事業者名または自社ブランド名を掲示。出展社検索サイト掲載料・来場者データ取得サービス料もここに計上。出展者を公募しているパビリオンへの出展も対象セミナー・講演会等の経費、招待券、懇親会、来場者サービス、駐車場代、協賛金、キャンセル料、共同商談エリア等の自社小間以外、他社ブランド名のみでの出展
展示会等参加費オンライン出展基本料20万円出展ページに助成事業者名または自社ブランド名を表示出展基本料以外(コンテンツ、システム、ログ解析費、アーカイブ配信費等)
展示会等参加費資材費個別の記載なし(全体で150万円)小間内の装飾委託費、什器・備品のリース代、光熱水費、ポスター・パネルの印刷委託費事業終了後も使える特注品・資材の購入(タペストリー、横断幕、社名入りクロス等)、自社で設営した場合の資材、商品サンプル、試食・試飲・実演、スタッフ用什器
展示会等参加費輸送費個別の記載なし(全体で150万円)自社と展示会場間(経由地を含まない)の運送委託費。輸送費に含まれる保険料も対象保管・梱包、発着地が確認できないもの、レンタカー代・ガソリン代・駐車場代、ドライバーの宿泊費・飲食費
展示会等参加費EC出店初期登録料20万円初めて出店するモール型ECサイトへの初期登録料独自ドメインのサイト、構築・運用・デザイン費、クラウドファンディング・フリーマーケットへの登録料
販売促進費印刷物制作費50万円展示会の自社小間内で配布するチラシ・カタログ等の印刷委託費名刺・封筒・手提げ袋・うちわ等、DM・招待状・一般消費者向けチラシ、自社でのコピー、データ作成のみの契約
販売促進費動画制作費20万円自社小間内で放映する動画の制作委託(1種類のみ)自社制作、素材のみの契約、モデル等の人件費
販売促進費広告掲載費20万円主催者発行のガイドブック、または出展を周知する新聞・雑誌(紙媒体)の広告掲載枠。媒体の発行事業者と直接契約デザイン・入稿データ作成費、出展する展示会名等の記載がない広告
販売促進費サイト制作・改修費20万円自社webサイトの新規制作、または全自社サイトの全ページの一新(申請時点で申告が必要)予約・決済・カート等の販売管理システムの搭載、一部ページのみの更新、ドメイン・サーバ等の運用費

経費全体に共通する条件は、次の2つです。

  • 生業かつ主要業務とする業者へ委託・契約すること
  • 代理店を介さず直接発注・契約すること(海外展示会の小間料などの例外を除く)

経費全体で対象外になるもの

  • 振込手数料、交通費、宿泊費、飲食費、保険料(輸送に係る保険を除く)などの間接経費
  • 消費税・印紙代などの租税公課、支払時に取得・使用したポイント相当分
  • 調査・提案・打ち合わせ等の費用、コンサルタント的要素を含む経費
  • 国内取引で代理店を通した経費、再委託が行われている経費
  • 親会社・子会社・グループ企業、役員等や社員が兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社、顧問契約等を結んでいる会社、助成対象商品の販売に直接関係する会社との取引
  • 手形・小切手・電子記録債権による支払い、一般的な市場価格と比べて著しく高額な経費
  • 出展しなかった展示会に係るすべての経費

支払方法のルール

支払いは、助成事業者名義の口座からの振込払いが原則です。役員・社員個人の口座からの振込は対象外です。振込以外の方法には、次のような条件があります。

  • 現金:総額10万円未満(税込)で、振込が困難な場合
  • クレジットカード:助成事業者名義のカード(法人は法人名義)で、利用日と口座引き落としが助成対象期間内、リボ払い・分割払いでないこと など
  • 電子マネー:支払いは対象になりません

申請の流れと必要書類

申請から振込までの流れの図解。主な項目:GビズIDプライムを取得し、無料経営分析を申し込む、出展する展示会を決め、申請概要書と必要書類をそろえる、Jグランツで申請し、交付決定後に事務手続き説明会へ参加、出展・支払いのあと実績報告、完了検査を経て振込
図解:申請から振込までの流れで押さえたいポイント

展示会出展助成事業は、GビズIDプライムの取得と無料経営分析の申込から始まります。そのあと、Jグランツでの申請、交付決定、出展・支払い、実績報告を経て、助成金が振り込まれます。

申請から助成金の振込までの9ステップ

  1. GビズIDプライムを取得する。公社は発行に2〜3週間かかるとして、事前登録を呼びかけています。GビズIDの公式サイトでは、マイナンバーカードを使うオンライン申請なら最短で即日発行されます。書類郵送申請は、書類に不備がない場合で最大1か月です。書類申請の審査期間は、2026年7月9日に従来の最大2週間から最大1か月へ変わりました(取得方法はGビズIDプライムの取得方法)
  2. 無料経営分析を申し込む(報告書まで通常1か月ほど)。あわせて、要件(5)の売上減少・損失計上に当てはまるかを決算書で確認する
  3. 出展する展示会を決め、出展要項を入手する(会期が出展できる期間に入るかを確認)
  4. 公社の申請概要書(Excel)を作成し、必要書類をそろえる
  5. Jグランツで申請する(各回最終日16時締切)
  6. 交付決定(Jグランツで通知)のあと、事務手続き説明会に参加する(必須)
  7. 出展・発注・支払いを行う(交付決定時に届く「事務の手引き」に沿って行う)
  8. 実績報告:全ての出展・支払いの完了後、2か月以内を目途にJグランツで提出する(各回の最終期限まで)
  9. 完了検査→助成金額の確定→請求→振込(請求日から30日以内を目安)

必要書類:全員が出す6点と申請内容で追加する書類

次の表は、全員が出す6点と、申請内容によって追加する書類の一覧です。

区分書類入手先・注意点
必須ア 申請概要書公社webサイトの指定様式
必須イ 経営分析報告書令和7年度又は8年度の中小企業活力向上プロジェクトアドバンスプラスのもの
必須ウ 履歴事項全部証明書等法人:発行後3か月以内の原本/個人:都内税務署に提出した開業・廃業等届出書の写し
必須エ 自社の会社案内任意様式
必須オ 直近の納税証明書法人:法人事業税及び法人都民税の納税証明書(原本)/個人:個人事業税納税証明書(事業税が非課税なら所得税納税証明書その1)と住民税納税証明書(非課税なら住民税非課税証明書)。いずれも原本
必須カ 二期分の確定申告書類法人:別表一・別表二、法人事業概況説明書、決算報告書、勘定科目内訳明細書/個人:確定申告書第一表、収支内訳書又は青色申告決算書
該当時キ 証明申請書要件(5)ウ(グロースサポート)で申請する場合
小間料を申請ク 展示会の出展要項等①主催者 ②会期 ③会場 ④開催目的 ⑤来場対象者 ⑥小間料の6項目に番号を追記(オンラインは5項目)
EC料を申請ケ ECサイトの出店登録要項運営者・初期出店登録料・利用規約・URLが示されたページ
サイト制作を申請コ・サ 申請時点の全自社サイトの全ページ、要求仕様書仕様書には企画概要・スケジュール・サイトマップ・ワイヤーフレームを含める

決算直後の申請は納税証明書・確定申告書の期に注意

納税証明書は原則として直近期(前期)分ですが、前期決算日の翌日から2か月以内で納付が済んでいない場合は前々期分を出します。確定申告書類も同様に、前期決算日の翌日から2か月以内で申告が済んでいない場合は一期前分と二期前分を出します。マイナンバーが記載された書類は黒塗り等のうえ提出し、Jグランツにアップロードできるのは1ファイル16MBまでです。申請後の書類の加筆・修正はできません。

行政書士など第三者に申請を依頼する場合のルール

募集要項は、申請の確認・提出と申請受付以降の手続きを、申請事業者の代表者又は従業員が行うことを原則としています。そのうえで、Jグランツ上の当初申請手続きに限り、第三者が代理申請機能を使えるとしています。

  • 申請者(委任元)が第三者(行政書士等)にGビズID上で委任の依頼をし、受任した行政書士等がJグランツ上で申請を作成できる
  • ただし、申請の確認及び提出は申請者自身が行い、申請受付以降の手続きも申請者自身が行う
  • 助成対象経費に関与する事業者(外注先)とその従業員、事業の運営・審査に関わる者(公社職員・相談員等)は、代理申請を請け負えない
  • 代理申請を行う場合は、公社webサイトからダウンロードした所定の同意書(代理申請用)を、Jグランツ申請フォームの指定箇所にアップロードする
  • 申請者と代理申請者の間のトラブルに公社(事務局)は関与しない

このため、助成対象経費の外注先になるブース施工会社や印刷会社などは、代理申請を請け負えません。交付決定後の説明会への出席や実績報告も自社で行う前提で、社内の担当者を決めておく必要があります。

公社の他の販路助成・区市町村・国の制度との違い

展示会の費用に使える制度は、展示会出展助成事業のほかに、公社の市場開拓助成事業や販路拡大助成、区市町村の補助、小規模事業者持続化補助金などがあります。次の表は、主な候補を令和8年度の公式情報で比較したものです。

制度助成率・上限対象になる商品・事業者令和8年度の受付
展示会出展助成事業(公社)2/3以内・150万円自社商品または自社取扱商品。経営分析+売上減少・損失計上等が必要全10回(第7回は2026/10/14 16時まで)
市場開拓助成事業(公社)1/2以内・300万円都・公社の支援を受けた自社製品、またはイノベーションマップの成長産業分野の自社製品(自ら企画・製造。販売代理店は不可)2026/5/15〜5/29(受付終了)
課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成(公社)2/3以内・150万円「安全・安心」「高齢者・介護・障害者」「DX推進」「暑さ対策」関連の自社製品・サービス第2回:2026/11/10〜11/30 17時
ゼロエミ推進製品・サービス等の販路拡大助成(公社)2/3以内・150万円ゼロエミッション東京戦略の4分野に該当する自社製品等2026/8/10〜8/31(受付終了)
区市町村の補助(例:文京区 展示会等出展費用補助金)1/2・国内10万円/国外30万円区内に登記上の本店(法人)・主たる事業所(個人)があり、区内で引き続き1年以上事業を営む中小企業者等(文京区の場合)文京区は2026/4/1から受付。展示会の開催日で上半期・下半期に分けた先着順(出展申込後、開催日の約1か月前までに申請)
小規模事業者持続化補助金(国・一般型 通常枠)2/3・50万円(インボイス特例・賃金引上げ特例で上乗せあり。賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)小規模事業者等。対象経費に「展示会等出展費」がある第20回(商工会議所地区):2026/11/5〜12/15 17時

市場開拓助成事業は上限が300万円と大きく、海外展示会の通訳費も対象です。ただし助成率は1/2で、成長産業分野の区分では面接審査があります。また展示会出展助成事業と異なり、販売代理店として扱う他社商品では申請できません。自社製品が都・公社の支援を受けた実績があるか、成長産業分野に当てはまるなら、次の募集が公表された段階で比較してみてください。

同じ展示会・同じ経費で、複数の制度から助成を受けることはできません。展示会出展助成事業の要件(6)は、同一の内容(展示会・経費)について、公社の他事業・国・区市町村等から助成を受けないことを求めています。公社内での併願申請も禁止しています。文京区の補助金も、申請する展示会で他の自治体等から補助を受ける場合は対象外です。使い分けるなら、展示会ごとに制度を分けることになります。

公社のほかの助成金は、東京都中小企業振興公社の助成金一覧にまとめています。東京都内の区市町村の制度を含めた最新の募集状況は、週次で自動更新している東京都の補助金・助成金一覧で確認できます。当サイトでは募集中の制度を273件掲載しています。

注意点:実務でつまずきやすいポイント

当社が募集要項を読み込んで、特に事前に押さえておきたいと考える点は次のとおりです。会期と支払いの時期、共同出展の扱い、支払方法に関するものが中心です。

  • 展示会の会期が、出展できる期間に入っていない。交付決定日の属する月の翌月1日より前の会期は対象外です
  • 小間料を交付決定前に支払ってしまう。申込は前でもよいが、支払いは助成対象期間内に限られます
  • 共同出展とみなされる。親会社・グループ会社も「他社」です。社名板や壁面に他社名を出さない、隣の小間と装飾を一体にしない、の2点を守ります
  • 社名板・会場案内図に、自社名(または自社ブランド名)が出ていない。他社ブランド名のみでの出展は、小間料が対象外です
  • 開催時の写真が足りない。小間・資材・印刷物の配布・動画の再生は、開催時(準備中は不可)のカラー写真で確認されます
  • 代表者個人のカードで立て替える、リボ払いにする、国内の代理店経由で契約する
  • 必要以上の部数を印刷する。公社は「展示会出展支援の助成金に対して、会場で配布する以上のパンフ等の作成費用を申請」を過剰な経費の例に挙げています
  • 計画変更の承認を取らずに経費区分を増やす。増額する経費区分で当初から20%を超える増加、新たな経費区分の計上は事前承認が必要です(交付決定通知書の助成予定額は超えられません)

よくある質問

Q. 「展示会出展助成プラス」と「展示会出展助成事業」は別の制度ですか?

「展示会出展助成プラス」は令和7年度の同種事業の名称で、令和8年度に申請できるのは「展示会出展助成事業」です。令和8年度の募集要項は、前年度の事業を「令和7年度展示会出展助成プラス」と呼んでいます。令和7年度の展示会出展助成プラスの助成事業者は、事業を完了し助成金が入金されていれば(入金の翌日以降)、または事業中止の承認を受けていれば申請できます。

Q. 出展したい展示会が対象になるか、申請前に公社へ確認できますか?

いいえ、できません。募集要項は「出展予定の展示会が助成対象となるかについて、申請前のお答えはできません」としています。この記事の対象になる展示会の10の条件と、主催者の出展要項に記載された開催目的・来場対象者を照らし合わせて判断してください。

Q. 海外展示会やオンライン展示会も対象ですか?

はい、条件を満たせば対象になり得ます。海外展示会は、出展小間料と、出展申込と一体で申し込む資材費について、主催者が認める代理店経由の申込・支払いも認められます。外国語の出展案内には和訳と為替レートの追記が必要です。オンライン展示会は、リアルタイムで商談できるシステムがあり、会期の定めがあることが条件です。出展基本料の助成限度額は20万円です。

Q. 経営分析はどこに申し込み、どのくらい時間がかかりますか?

中小企業活力向上プロジェクトアドバンスプラスの公式サイトの「無料経営分析」から申し込み、申込から報告書が届くまで通常1か月ほどかかります。申込フォームは、23区内の事業者と23区外の事業者で分かれています。申し込むと、最寄りの商工会議所・商工会の経営指導員から連絡があり、中小企業診断士が事業所を訪問してヒアリングを行います。当日の所要時間は、公式サイトによると2時間程度です。決算書(通常は直近2期分)を準備しておくと進めやすくなります。

Q. 1回の申請で複数の展示会を申請できますか?

申請時に、出展する展示会をまとめて計画する形式です。募集要項は、出展要項のファイル名に申請概要書の展示会番号(展1など)を付ける形式をとっています。交付決定後は「展示会の出展回数を増やすことはできません(申請時の回数を上限とします)」としています。同一年度の申請は1事業者1件のため、助成対象期間内に出展する展示会は申請時にまとめて計画してください。

Q. 売上が前期より減っておらず、黒字です。申請する方法はありますか?

まず、法人なら営業利益・経常利益・当期純利益(税引後)の3つの利益を確認してください。要件(5)は「売上減少」「損失計上」「グロースサポートの証明」のいずれかで、法人の損失計上は3つのうちいずれか1つが赤字なら該当します。いずれにも当てはまらない場合は、グロースサポートの証明が必要です。ただし、グロースサポートは経営分析のあとに支援の必要性が認められた企業が進むものです。支援期間は通常半年から1年で、展示会出展助成への申請のみを目的とした利用はできないとされています。展示会の会期が迫っている場合は、公社の他の販路助成や区市町村の制度も検討してください。

Q. 小規模事業者持続化補助金と併用できますか?

同じ展示会・同じ経費では、併用できません。展示会出展助成事業は、同一の内容(展示会・経費)について国・区市町村等から助成を受けないことを要件としています。持続化補助金の公募要領も、「国(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)により出展料の一部助成を受けるもの」を展示会等出展費の対象外としています。別々の展示会であれば、それぞれの制度の要件を満たす範囲で検討できます。持続化補助金の第20回については、小規模事業者持続化補助金 第20回の解説で詳しく説明しています。

まとめ:会期から逆算し、経営分析を最初に申し込む

  • 展示会出展助成事業は、助成率2/3以内・上限150万円です。令和8年度は全10回、各回最終日16時締切で、予算到達時は受付期間中でも締め切られます
  • 無料経営分析(報告書まで通常1か月ほど)と、売上減少・損失計上・グロースサポート証明のいずれかが、申請の前提です
  • 出展できるのは、交付決定日の属する月の翌月1日以降の会期です。第7回なら、2027年1月1日以降が対象です。小間料の支払いも、交付決定日以降に行います
  • 申請は同一年度に1件です。助成対象期間内の展示会は、申請時にまとめて計画します
  • 代理申請はJグランツ上の当初申請に限られ、申請の確認・提出と申請受付以降の手続きは申請者自身が行います

自社が使える他の補助金・助成金は補助金かんたん診断(無料)で確認できます。制度選びや要件の読み方について、ご質問はLINEでも受け付けています。東京都の制度の一覧は東京都の補助金・助成金、補助金と助成金の仕組みの違いは補助金と助成金の違い、個人事業主が申請するときの注意点は補助金は個人事業主でも使える?で解説しています。

参考(一次情報)