トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3か月間試行雇用し、無期雇用への移行につなげる制度です。支給額は1人あたり月額4万円(最長3か月)です。

この助成金は、採用してから手続きを調べ始めると間に合いません。トライアル雇用の開始日から2週間以内に実施計画書を提出する必要があります。支給申請には受理印のある実施計画書の写しを添付するため、提出が遅れると受給できなくなるおそれがあります。この記事では厚生労働省の公式情報にもとづき、期限と対象外の条件を先に整理し、そのあと支給額と要件を説明します。

  • トライアル雇用開始日から2週間以内に、実施計画書をハローワークへ提出する必要があります
  • 支給申請はトライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内です。厚生労働省は「申請期限を過ぎると助成金を受給できなくなります」と明記しています
  • ハローワーク等の職業紹介による雇入れが前提です。事前にトライアル雇用求人の提出が必要になります
  • 支給額は月額4万円(母子家庭の母等・父子家庭の父は5万円)です。実際に就労した日数の割合によって減額されます
  • 派遣求人をトライアル雇用求人にすることはできません
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の記事でわかる3つのこと:実施計画書は2週間以内、支給申請は2か月以内という2つの期限、対象になる求職者の5つの要件と、対象にならない人、月額4万円の支給額と、就労日数の割合による減額
図解:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)で最初に押さえたい3つのポイント

まず確認:期限のある2つの手続き(実施計画書・支給申請)

トライアル雇用助成金には、期限が決まっている手続きが2つあります。トライアル雇用開始日から2週間以内の実施計画書の提出と、終了日の翌日から起算して2か月以内の支給申請です。次の表は、2つの手続きの期限と提出先をまとめたものです。

手続き期限提出先
実施計画書の提出トライアル雇用開始日から2週間以内対象者を紹介したハローワーク
支給申請書の提出トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内事業所を管轄するハローワークまたは労働局

厚生労働省のリーフレットは、支給申請について「申請期限を過ぎると助成金を受給できなくなりますので、ご注意ください」と明記しています。

実施計画書も、期限内の提出が前提です。支給要領は、支給申請の添付書類として、ハローワーク等の受理印のある実施計画書の写しを求めています。実施要領が期限後の提出を認めているのは、天災その他やむを得ない理由がある場合です。その場合は、理由がやんだ後1か月以内に、理由を記した書面を添えて提出します。

実施計画書を提出する際は、雇用契約書など労働条件が確認できる書類を添付します。また、トライアル雇用の途中で無期雇用へ移行した場合や自己都合で離職した場合は、支給申請期間も変わります。その場合は、速やかに紹介を受けたハローワークへ連絡してください。

手続きの順番としては、求人の提出が先です。この助成金は「事前にトライアル雇用求人をハローワーク、地方運輸局、職業紹介事業者に提出し、これらの紹介により対象労働者を雇い入れた場合」に支給されます。自社で直接募集した人を、後から当てはめることはできません。

対象になる職業紹介事業者は、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の取り扱いを行うにあたって、雇用関係助成金の取り扱いに係る同意書を労働局に提出している事業者に限られます。

トライアル雇用助成金の対象者:5つの要件のいずれかに該当すること

トライアル雇用助成金の対象者は、紹介日に本人がトライアル雇用を希望していて、次のいずれかに該当する方です。

  • ①紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  • ②紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている(パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと)
  • ③妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  • ④60歳未満で、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている
  • ⑤就職の援助を行うにあたって、特別な配慮を要する

⑤に含まれるのは、生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者、ウクライナ避難民、補完的保護対象者です。

④は、厚生労働省の令和8年度のパンフレットとリーフレット(いずれも令和8年4月8日時点)の記載です。2026年10月12日時点の厚生労働省のトライアル雇用助成金のページには、「生年月日が1968(昭和43)年4月2日以降で、かつ安定した職業に就いておらず、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている」という以前の記載が残っています。紹介の時期によって扱いが異なる可能性があるため、該当するかはハローワークで確認してください。

なお「安定した職業」とは、期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であるものをいいます。

紹介日時点で対象にならない方

  • 安定した職業に就いている人
  • 自ら事業を営んでいる人または役員に就いている人で、1週間当たりの実働時間が30時間以上の人
  • 学校に在籍中で卒業していない人(ただし、卒業年度の1月1日以降も卒業後の就職の内定がない人は対象になります)
  • 他の事業所でトライアル雇用期間中の人

雇入れの条件:ハローワーク等の紹介・原則3か月・週30時間以上

トライアル雇用助成金を受けるには、雇い入れ方について次の3つの条件を満たす必要があります。

  • ハローワーク等の紹介により雇い入れること
  • 原則3か月のトライアル雇用をすること
  • 1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間(30時間以上)と同じであること

所定労働時間には例外があります。対象労働者が日雇労働者、ホームレス、住居喪失不安定就労者の場合は、20時間以上です。

対象労働者の側にも、「1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用による雇入れを希望している」「トライアル雇用制度を理解した上で、トライアル雇用による雇入れについても希望している」という要件があります。無期雇用への移行を前提とした制度だと理解したうえで、求人を出します。

支給額:月額4万円(最長3か月)、就労日数の割合で減額

就労日数の割合と月額の図解。主な項目:A≧75%:40,000円(増額となる場合50,000円)、75%>A≧50%:30,000円(増額となる場合37,500円)、50%>A≧25%:20,000円(増額となる場合25,000円)、25%>A>0%:10,000円(増額となる場合12,500円)
図解:就労日数の割合と月額で押さえたいポイント

トライアル雇用助成金の支給額は、支給対象者1人につき月額4万円です。対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は、5万円になります。

支給対象期間は雇入れの日から1か月単位で最長3か月間で、この期間中の各月の月額の合計額が、まとめて1回で支給されます。

月額は、実際に就労した日数の割合で減額されます。支給対象期間中のある月において、就労を予定していた日数に対する実際に就労した日数の割合(A)が次の表のとおりの場合、その月の月額は表の額になります。

就労日数の割合(A)月額月額(増額となる場合)
A≧75%40,000円50,000円
75%>A≧50%30,000円37,500円
50%>A≧25%20,000円25,000円
25%>A>0%10,000円12,500円
A=0%0円0円

A=(支給対象者が1か月間に実際に就労した日数)÷(支給対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数)で計算します。

この日数計算が適用されるのは、次の場合です。

  • トライアル雇用に係る雇用期間が1か月に満たない月がある場合

- 支給対象者が支給対象期間の途中で離職した場合(本人の責めに帰すべき理由による解雇等、本人の都合による退職、本人の死亡、天災その他のやむを得ない理由により事業の継続が不可能になったことによる解雇に限る)- トライアル雇用の支給対象期間の途中で無期雇用へ移行した場合- トライアル雇用の期間中に、週の所定労働時間が30時間未満または20時間未満に変更された場合

  • 支給対象者本人の都合による休暇、またはトライアル雇用事業主の都合による休業があった場合

なお、年次有給休暇等の就業規則等に定められている有給の休暇は、就労した日数とみなされます。

他の助成金との組み合わせ(特定求職者雇用開発助成金など)

トライアル雇用助成金を受けたあと、条件によっては次の助成金も受給できる場合があります。

  • 特定求職者雇用開発助成金:トライアル雇用で雇い入れた対象者(母子家庭の母等、父子家庭の父、中国残留邦人等永住帰国者、生活保護受給者および生活困窮者)を、トライアル雇用終了後も引き続き継続して雇用する場合です。特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コースまたは生活保護受給者等雇用開発コース)の一部を受給できる場合があります(特定求職者雇用開発助成金)
  • 若年・女性建設労働者トライアルコース:中小建設事業主が若年者(35歳未満)または女性を建設技能労働者等として一定期間試行雇用し、トライアル雇用助成金の支給を受けた場合に受給できます

障害のある方を対象にする場合は、別のコースです。厚生労働省は「障害がある方の雇用を希望する事業主の皆さまは、別リーフレット(『障害者トライアル雇用』のご案内)をご覧ください」としています。障害者トライアル雇用から正社員へ転換する場合の取扱いはキャリアアップ助成金 障害者正社員化コースでも解説しています。

トライアル雇用求人の注意点:派遣求人は不可

トライアル雇用求人には、派遣求人を使えないなどの制限があります。厚生労働省のリーフレットが挙げている注意事項は次のとおりです。

  • 派遣求人を「トライアル雇用求人」とすることはできません
  • トライアル雇用求人の選考中の人数が求人数の5倍以上となっている場合、それ以降トライアル雇用としての紹介は行われません
  • 求人数を超えたトライアル雇用は実施できません
  • トライアル雇用対象者の選考は、なるべく書類ではなく面接で行うことが求められています

なお、この助成金には雇用関係助成金共通の要件も適用されます。雇用保険の適用事業主であること、労働保険料を滞納していないこと、労働関係法令の違反がないことなどが含まれます。詳しくは雇用関係助成金に共通の要件で確認してください。

よくある質問

Q. 自社の求人サイトで応募してきた人をトライアル雇用にできますか?

いいえ、できません。事前にトライアル雇用求人をハローワーク等に提出し、その紹介により雇い入れることが前提です。直接募集した方を後からトライアル雇用に当てはめる形は想定されていません。

Q. 実施計画書の提出を忘れました。あとから出せますか?

原則として、期限後に提出できるのは天災その他やむを得ない理由がある場合に限られます。実施要領は、その場合に理由がやんだ後1か月以内に、理由を記した書面を添えて提出するとしています。支給申請には受理印のある実施計画書の写しを添付するため、期限内に提出していないと受給できないおそれがあります。気づいた時点で、速やかに対象者を紹介したハローワークへ連絡してください。

Q. トライアル雇用の途中で本人が辞めた場合、助成金はどうなりますか?

本人の都合による退職などの場合、その月の月額は、実際に就労した日数の割合に応じた額になります(就労割合が0%なら0円)。また、途中で離職や無期雇用移行があると支給申請期間も変わるため、速やかにハローワークへ連絡してください。

Q. 3か月経ったら必ず無期雇用にしなければなりませんか?

移行しない場合の具体的な取扱いは、紹介を受けたハローワークにご確認ください。この助成金は「無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用を行う」制度で、適性や能力を見極めることを目的としています。なお、トライアル雇用期間中に週の所定労働時間を30時間未満に変更した場合などは、減額の対象になります。

Q. パートタイムでトライアル雇用できますか?

原則として、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同じ(30時間以上)であることが条件です。対象労働者が日雇労働者、ホームレス、住居喪失不安定就労者の場合のみ、20時間以上とされています。

まとめ:求人の提出と実施計画書が起点

  • トライアル雇用開始日から2週間以内に実施計画書、終了日の翌日から2か月以内に支給申請します。支給申請は期限を過ぎると受給できず、実施計画書も受理印のある写しを支給申請に添付します
  • ハローワーク等への求人提出と職業紹介が前提です。直接募集した方は対象になりません
  • 支給額は月額4万円(母子家庭の母等・父子家庭の父は5万円)で最長3か月です。就労日数の割合で減額されます
  • 対象労働者は5要件のいずれかに該当する方です。安定した職業に就いている人・在学中の人などは対象外です
  • 派遣求人は使えません。求人数を超えたトライアル雇用も実施できません

雇用系の助成金は手続きの順番を誤ると受けられません。自社が使える制度の整理は補助金かんたん診断やLINEでの無料相談をご利用ください。関連する制度は特定求職者雇用開発助成金、キャリアアップ助成金とは、人材開発支援助成金とはでも解説しています。

参考(一次情報)