65歳超雇用推進助成金とは、定年の引上げや継続雇用制度の導入、高年齢者向けの雇用管理制度の整備、有期雇用者の無期転換に取り組んだ事業主に支給される助成金です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の助成金で、厚生労働省が所管する雇用関係助成金の一種でもあります。65歳超継続雇用促進コース・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース・高年齢者無期雇用転換コースの3コースで構成され、いずれも申請窓口はJEEDの都道府県支部です。

  • 3コースのうち支給額が最も大きいのは65歳超継続雇用促進コースです。10人以上の被保険者を抱える事業主が定年の定めを廃止した場合に、最大240万円が支給されます
  • 事業主都合の解雇があると不支給になるのは、高年齢者無期雇用転換コースだけです。継続雇用促進コース・評価制度等雇用管理改善コースにこの要件はなく、代わりに高年齢者雇用安定法の遵守状況を確認します(コースで確認する法律の条文が異なります)
  • 評価制度等雇用管理改善コース・無期雇用転換コースは、取組を実施する前に「計画」を提出して認定を受ける必要があります。実施してから慌てて申請しても対象になりません
  • キャリアアップ助成金の正社員化コース・障害者正社員化コース・賃金規定等改定コースなど複数のコースとは、同一の対象労働者について併給調整がかかります。扱いはコースの組み合わせで変わります

雇用系の助成金を横断的に比較したい方はキャリアアップ助成金とはや人材開発支援助成金とはもあわせてご覧ください。自社が使える制度をまとめて知りたい場合は、補助金かんたん診断をご利用ください。

65歳超雇用推進助成金とはの記事でわかる3つのこと:3コースの支給額(最大240万円)と対象になる取組、事前の計画提出が必要なコースと提出の時期、解雇要件の有無とキャリアアップ助成金との併給調整
図解:65歳超雇用推進助成金とはで最初に押さえたい3つのポイント

65歳超雇用推進助成金の3コース早見表:対象・支給額・計画提出

65歳超雇用推進助成金の3コースは、対象になる取組、支給額、事前の計画提出の要否がそれぞれ異なります。次の表は3コースの違いを並べたものです。支給額は令和8年度のパンフレット(令和8年4月8日掲載)と各コースの支給申請の手引き(令和8年5月15日掲載)によります。

コース何をしたら対象か支給額の目安事前の計画提出
65歳超継続雇用促進コース65歳以上への定年引上げ・定年廃止・66歳以上への継続雇用制度導入・他社による継続雇用制度導入15万円〜240万円(被保険者数・引上げ内容で変動)不要(制度実施後に申請)
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース高年齢者向けの賃金・人事処遇制度、労働時間制度、健康管理制度等を導入・改善中小企業30万円〜60万円+機器等導入費の上乗せ必要(雇用管理整備計画)
高年齢者無期雇用転換コース50歳以上・定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換対象労働者1人につき40万円(中小企業以外30万円)必要(無期雇用転換計画)

受給できない事業主と、3コースの支給額・要件

3コースの計画提出と解雇要件の図解。主な項目:継続雇用促進コース:計画提出は不要で、制度実施後に申請、評価制度等雇用管理改善コース:開始日の6か月前〜3か月前に計画提出、無期雇用転換コース:開始日の6か月前〜3か月前に計画提出、事業主都合の解雇要件があるのは無期雇用転換コースだけ
図解:3コースの計画提出と解雇要件で押さえたいポイント

65歳超雇用推進助成金は、次のいずれかに該当する事業主には3コースとも共通で支給されません。コースごとの支給対象事業主の要件(このあとのコース別の解説を参照)は、この共通要件をクリアしたうえで、さらに確認される要件です。

  1. 偽りその他不正の行為により助成金の支給を受け、または受けようとしたことにより、支給申請日・支給決定日時点で不支給措置が取られている事業主
  2. 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納付していない事業主。ただし、申請翌日から起算して2か月以内の納付、または猶予期間終了翌日から2か月以内の納付で、対象外を回避できます
  3. 支給申請日の前日から過去1年間に労働関係法令の違反を行った事業主(労働基準監督署等からの送検、労働局・運輸局の告訴告発による送検、その他の告訴告発による送検が明確な場合)
  4. 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
  5. 暴力団と関わりのある事業主
  6. 暴力主義的破壊活動を行った、または行う恐れがある団体等に属している事業主・役員等
  7. 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主
  8. 機構の審査・調査への協力、書類の保管・提出、不正受給発覚時の事業主名公表・返還等について承諾していない事業主
  9. 不正受給による不支給決定または支給決定取消しの日から3年(平成31年3月31日以前に申請した助成金)または5年(平成31年4月1日以降に申請した助成金)を経過していない事業主。平成31年4月1日以降に申請した助成金の不正受給に関与した役員等がいる事業主も、5年間は対象外です
  10. 「役員等一覧」を提出していない事業主、支給要領に従うことを承諾していない事業主、支給申請書等に事実と異なる記載または証明(軽微な誤りは除く)を行った事業主など

国・地方公共団体・行政執行法人・特定地方独立行政法人と、特別の法律により設立された一部の法人も対象外です。一方で、株式会社等の営利法人・NPO法人・医療法人・社会福祉法人・宗教法人・学校法人等は、支給対象となる法人の例に挙げられています。「うちは医療法人だから対象外では」と誤解するケースがありますが、法人形態だけで一律に対象外になるわけではありません。ただし、4に当たる事業主は、法人形態にかかわらず対象外です。なお、接待飲食等営業で、許可を得ているだけで接待営業をしていない場合や、接待営業の規模が事業全体の一部である場合は、4に当たりません。

労働保険料の滞納は、当社への相談でも「指摘されて初めて気づいた」というケースが実際にあります。滞納していても申請自体は受け付けられ、不支給の通知で初めて分かります。制度を実施する前に、労働保険の納付状況を確認してください。

雇用関係助成金すべてに共通する要件は、雇用関係助成金に共通の要件で解説しています。ここからは、コースごとの支給額と要件を見ていきます。

65歳超継続雇用促進コース:支給額と要件

65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、66歳以上への継続雇用制度の導入のいずれかを実施した場合の支給額です。他社による継続雇用制度の導入は要件が異なるため、別表にしています。

自社での定年引上げ・定年廃止の支給額

引上げ年齢別の支給額です。「5歳未満」「5歳以上」は引上げ幅を指します。

被保険者数65歳へ引上げ66〜69歳へ引上げ(5歳未満)66〜69歳へ引上げ(5歳以上)70歳以上へ引上げ定年の定めの廃止
1〜3人15万円25万円40万円45万円60万円
4〜6人20万円32万円65万円70万円120万円
7〜9人25万円39万円110万円115万円180万円
10人以上30万円46万円135万円140万円240万円

自社での66歳以上への継続雇用制度の導入の支給額

対象者を限定しない「希望者全員」か、労使協定等の基準で対象者を絞る「対象者基準あり」かで金額が変わります。

被保険者数66〜69歳・希望者全員66〜69歳・対象者基準あり70歳以上・希望者全員70歳以上・対象者基準あり
1〜3人22万円20万円40万円36万円
4〜6人37万円32万円65万円60万円
7〜9人60万円50万円105万円95万円
10人以上90万円75万円130万円120万円

他社による継続雇用制度の導入の支給額

要件が異なる別区分です。詳細はJEEDの別冊パンフレットで確認してください。

被保険者数66〜69歳・希望者全員66〜69歳・対象者基準あり70歳以上・希望者全員70歳以上・対象者基準あり
1〜3人20万円16万円32万円30万円
4〜6人30万円26万円50万円45万円
7〜9人50万円40万円85万円75万円
10人以上70万円60万円105万円100万円

※複数の措置を同時に実施した場合であっても、支給額はいずれか高い額のみです。

65歳超継続雇用促進コースの支給要件(9点)

65歳超継続雇用促進コースの支給を受けるには、次の9点すべてに該当する必要があります。

  1. 雇用保険適用事業所の事業主(支給申請日・支給決定日時点で被保険者が存在すること)
  2. 上記いずれかの制度を申請日前日までに実施していること(改正後就業規則の施行日で確認)
  3. 定年の引上げ等の制度を就業規則等に書面で整備し、労働基準監督署等へ届出していること
  4. 制度実施日から起算して6か月前の日から支給申請日前日までの間、高年齢者雇用安定法第8条または第9条第1項の規定と異なる定めをしておらず、同法に基づく是正勧告を受けていないこと
  5. 支給申請日前日において、1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること
  6. 支給申請日前日において高年齢者雇用等推進者を選任し、高年齢者雇用管理に関する措置(教育訓練・作業施設改善・健康管理・職域拡大・処遇の推進・賃金体系見直し・勤務時間制度の弾力化のいずれか1つ以上)を実施していること
  7. 支給申請書等の写しを支給決定日の翌日から5年間保存すること
  8. 審査・調査に協力すること
  9. 制度実施日の属する月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から15日までに申請すること

65歳超継続雇用促進コースには、事業主都合の解雇要件がありません。その代わりに、4の「高年齢者雇用安定法の遵守」が事実上の対象外規定として働きます。就業規則に65歳までの雇用確保措置(定年引上げ・継続雇用制度・定年廃止のいずれか)が明記されていない場合や、是正勧告を受けたまま是正していない場合は対象外です。運用上は継続雇用を行っていても、就業規則に明記されていなければ支給対象になりません(申立てによる救済は認められません)。

申請期間は「制度実施日の属する月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から15日まで」と細かく区切られています。制度を実施した月は申請期間外で、各月の16日以降も期間外です(15日が行政機関の休日の場合は翌開庁日まで)。JEEDの手引きの例では、令和8年6月1日に制度を実施した場合、7月〜10月の各月1日〜15日が申請期間です。1回目の申請結果が出る前に2回目の申請を出すこと自体は可能です。ただし、1回目が不支給になった理由が解消されていないと2回目も不支給になり得るため、JEEDは1回目の結果を確認してからの申請を案内しています。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース:支給額と要件

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、高年齢者向けの賃金・人事処遇制度、労働時間制度、在宅勤務制度、研修制度、健康管理制度のいずれかを導入・改善した場合が対象です。実施前に「雇用管理整備計画」の提出・認定が必要です。措置の種類ごとの支給額は次の表のとおりです。

措置の種類中小企業事業主中小企業以外の事業主
①賃金・人事処遇制度の導入または改善60万円45万円
②上記①以外(労働時間・在宅勤務・研修・健康管理制度等)30万円23万円
③機器等の導入(①②のいずれかに付随)導入費(上限50万円)×60%導入費(上限50万円)×45%

①②を同時に実施した場合はいずれか高い額のみ、③はそれに上乗せです。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの支給要件(10点)

支給対象事業主の要件は次の10点です(機器等を導入した場合は⑩も追加で必要)。

  1. 雇用保険適用事業所の事業主
  2. 審査・調査に必要な書類を整備・保管していること
  3. 審査・調査に協力すること
  4. 雇用管理整備計画書を提出し、認定通知書の交付を受けていること
  5. 計画の実施期間内(1年以内)に高年齢者雇用管理整備措置を実施し、記録書類を整備していること
  6. 計画書提出日前日において高年齢者雇用等推進者を選任していること
  7. 労働協約または就業規則で高年齢者雇用安定法第8条・第9条第1項の規定と異なる定めをしておらず、是正勧告を受けていないこと
  8. 支給申請日前日において1年以上継続雇用されている60歳以上の被保険者で、計画終了日の翌日から6か月以上継続雇用されている者(支給対象被保険者)が1人以上いること
  9. 措置の実施に必要な許認可等を受けていること
  10. (機器等導入時のみ)対象経費を実際に支払っていること

評価制度等雇用管理改善コースにも、事業主都合の解雇要件はありません。継続雇用促進コースと同じく、高年齢者雇用安定法の遵守(継続雇用促進コースの要件4と同じ第8条・第9条第1項)で確認します。

雇用管理整備計画は、計画の開始日の6か月前の日から3か月前の日までに提出する必要があります。提出の時期が早いので、スケジュールを逆算して準備します。実施期間1年の計画を令和9年2月1日開始とする場合は、次の流れです。

  • 計画書の提出:令和8年8月1日〜11月1日
  • 計画の実施:1年間(令和9年2月1日開始)
  • 実施確認期間:6か月
  • 支給申請期間:令和10年8月1日〜9月30日(2か月以内)

取組を始めてから計画を出しても遅く、対象になりません。

高年齢者無期雇用転換コース:支給額と要件

高年齢者無期雇用転換コースは、50歳以上・定年年齢未満の有期契約労働者を、就業規則等に基づく無期雇用転換制度により無期雇用労働者に転換した場合が対象です。このコースも、実施前に「無期雇用転換計画」の提出・認定が必要です。

  • 対象労働者1人につき40万円(中小企業以外は30万円)
  • 1支給申請年度(4月〜3月)・1適用事業所あたり10人まで

転換した有期契約労働者なら誰でも対象になるわけではありません。JEEDの「対象となる労働者」要件により、次のいずれかに該当する者は対象外です。

  • 転換日において64歳以上の者(無期転換後、65歳〈事業主の定年が65歳を超える場合はその定年年齢〉以上まで雇用される見込みが必要)
  • 派遣労働者
  • 転換日の前日から過去3年以内に、同じ事業主の事業所で無期雇用労働者として雇用されていたことがある者
  • 採用時から無期雇用労働者として雇用することを約束されていた有期契約労働者
  • 有期労働契約が通算5年を超えて更新され、労働契約法第18条の無期転換申込権の行使によって無期雇用労働者に転換した者

最後の1点は、特に見落としやすい要件です。本助成金の対象になるのは、法律上の無期転換義務が生じる前に、事業主が就業規則等で独自の早期転換制度を設けて転換させた場合に限られます。従業員が労働契約法18条の権利を行使して無期社員になった場合(いわゆる法定の無期転換ルールによる転換)は、そのままでは対象になりません。「有期社員を無期転換したから対象になるはず」と早合点せず、転換の根拠がどちらかを確認してください。

高年齢者無期雇用転換コースの支給要件(3段階)

支給対象事業主の要件は、確認する時点によって3段階に分かれます。

(1)手続き全般で確認する事項

  1. 雇用保険適用事業所の事業主
  2. 審査・調査に必要な書類の整備・保管、審査・調査への協力
  3. 計画書提出日の前日から支給申請日の前日までの間、高年齢者雇用安定法第8条・第9条第1項の規定と異なる定めをしておらず、是正勧告を受けていないこと

(2)計画書提出までに確認する事項

  1. 有期契約労働者(通算契約期間5年以内)を無期雇用労働者に転換する制度を就業規則等に規定していること(転換の実施時期が「随時」「適時」など不明確な場合は対象外)
  2. 計画書提出日前日において高年齢者雇用等推進者を選任し、高年齢者雇用管理に関する措置を1つ以上実施していること

(3)支給申請書提出までに確認する事項

  1. 無期雇用転換計画認定通知書の交付を受けていること
  2. 計画期間内に50歳以上・定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換したこと
  3. 転換後6か月以上継続雇用し、転換日以後6か月分の賃金を転換日以後12か月後の賃金支払日までに支給したこと
  4. 支給申請日において制度を継続して運用していること
  5. 転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、事業主都合により被保険者を解雇等で離職させていないこと
  6. 同じ期間内に、特定受給資格者となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職者数を、転換日における被保険者数で除した割合が6%を超えていないこと(特定受給資格者の数が3人以下の場合を除く)
  7. 転換日から支給申請日前日まで、転換した労働者を雇用保険被保険者として適用させていること

3コースのうち、事業主都合の解雇要件(10・11)があるのは、この無期雇用転換コースだけです。継続雇用促進コース・評価制度等雇用管理改善コースは、高年齢者雇用安定法の遵守で確認します。これに対して無期雇用転換コースは、キャリアアップ助成金の正社員化コースと同じ「6か月前〜1年間の事業主都合解雇」「特定受給資格者6%超」の枠組みで確認します。コースによって対象外の判定軸が違うため、3コースをまとめて検討する場合は個別に確認してください。

計画は最長3年間設定できます。計画実施期間1年ごとに1回以上の転換を実施しないと計画が失効し、それ以降の支給を受けられなくなります。計画書の提出は開始日の6か月前〜3か月前、支給申請は転換後6か月分の賃金支払いから2か月以内です。

併給調整:キャリアアップ助成金との組み合わせに注意

65歳超雇用推進助成金は、同一の対象労働者・同一の事由について、他の助成金と重複して受給できません。このように、同じ労働者や同じ取組について複数の助成金が重ねて支給されないよう調整することを、併給調整といいます。特に次の組み合わせに注意してください。

最新の併給調整の有無は、厚生労働省の「併給調整早見ツール」(雇用関係助成金の申請にあたって)で確認できます。同一の行為・同一の経費負担軽減を目的として2つ以上の助成金を同時に申請した場合、要件を両方満たしていても一方しか支給されないことがあります。申請前に組み合わせを確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. 3コースは同時に申請できますか?

はい、異なる取組であれば複数コースの申請自体は可能です。コースごとに要件・対象となる取組が異なるためです(例:定年を引上げつつ、別途評価制度を整備した場合)。ただし同一の措置・同一の対象労働者について重複して支給されることはありません。組み合わせを検討する場合は都道府県支部に確認してください。

Q. すでに継続雇用を実施していますが、就業規則に書いていません。申請できますか?

いいえ、就業規則等に書かれていなければ申請できません。本助成金は制度助成のため、実際の運用実態ではなく就業規則等の書面で内容を確認します。「運用では65歳まで雇用している」という申立てだけでは、支給要件を満たしません。まず就業規則の整備・労働基準監督署への届出を済ませてから制度を実施し、申請する必要があります。

Q. 労働契約法18条の無期転換ルールで有期社員を無期社員にしました。高年齢者無期雇用転換コースの対象になりますか?

いいえ、対象になりません。このコースが助成するのは、法律上の無期転換義務が生じる前に、事業主が就業規則等で独自の早期転換制度を設けて転換させた場合に限られます。労働契約法18条の無期転換申込権を従業員が行使したことによる転換(通算契約期間が5年を超えてからの法定の無期転換)は対象外です。このほか、転換日に64歳以上の者、派遣労働者、転換日前日から過去3年以内に同じ事業所で無期雇用労働者として雇用されていた者なども対象外になります。

Q. 過去に従業員を解雇したことがあります。もう申請できませんか?

コースによって異なります。高年齢者無期雇用転換コースは、転換日の前日から起算して6か月前〜1年間に事業主都合の解雇があると対象外です。一方、65歳超継続雇用促進コース・高年齢者評価制度等雇用管理改善コースには、この解雇要件がありません(代わりに高年齢者雇用安定法の遵守状況を確認します)。過去の解雇を理由に一律で諦める前に、どのコースの要件かを確認してください。

Q. 評価制度等雇用管理改善コース・無期雇用転換コースは、取組を始めてから計画を出しても間に合いますか?

いいえ、間に合いません。どちらのコースも、計画の開始日の6か月前〜3か月前までに計画書を提出し、認定を受けてから取組を実施する必要があります。先に取組を始めてしまうと、その取組は計画の対象外になります。65歳超継続雇用促進コースだけは事前の計画提出が不要で、制度実施後の申請です。

Q. 助成金はいつ振り込まれますか?

決まった時期はありません。支給申請から決定までの期間は審査状況により異なり、標準処理期間は公表されていません。継続雇用促進コースは各月月初から15日までの申請、評価制度等雇用管理改善コース・無期雇用転換コースは実施確認期間を経てからの申請です。資金繰りの計画では、確定的な入金として当て込まないことをおすすめします。

まとめ:コースで異なる「事前の計画」と「対象外の判定軸」

  • 3コースのうち支給額が最大なのは65歳超継続雇用促進コース(定年廃止・10人以上で240万円)です。ただし、他社による継続雇用制度の導入は要件が異なります
  • 評価制度等雇用管理改善コース・無期雇用転換コースは、実施前の計画提出・認定が必須です。継続雇用促進コースだけは制度実施後の申請です
  • 事業主都合の解雇要件があるのは無期雇用転換コースだけです。ほかの2コースは高年齢者雇用安定法の遵守状況で確認するため、判定の軸が異なります
  • 無期雇用転換コースは、労働契約法18条の無期転換ルールによる転換が対象外です。事業主が義務発生前に独自の早期転換制度で転換させた場合に限られます
  • キャリアアップ助成金の複数コースとは、同一労働者・同一事由での併給調整があります。組み合わせを検討する場合は、厚生労働省の併給調整早見ツールで確認してください

自社がどの制度を使えるか整理したい場合は補助金かんたん診断(無料)をご利用ください。個別のご質問はLINEでのご相談でも受け付けています。支援会社に依頼する場合の見極め方は補助金申請サポート会社の選び方にまとめました。

参考(一次情報)