省力化投資補助金(一般型)の事業計画書は、公募要領で公開されている書面審査の4観点(適格性・技術面・計画面・政策面)に答える形で書くのが基本です。一般型では、応募時に提出した事業計画書を外部有識者からなる審査委員会が評価し、より優れた事業計画書を提出した者を補助金交付候補者として採択します(第8回公募要領の冒頭「重要」欄)。採否を決めるのは、設備の性能ではなく計画書の記述です。

この記事では、公募要領「5-1.書面審査」の審査観点と、公式の「事業計画書作成の参考ガイド」が挙げる確認項目を突き合わせ、計画書に何をどう書くかを整理しました。カタログ注文型は審査項目が少なく手続きも簡易なため、本記事が扱う様式・審査観点は一般型のものです。要点は次の5つです。

  • 書面審査は「適格性」「技術面」「計画面」「政策面」の4観点です。観点が公募要領に明記されているので、計画書はこの4観点に答える形で書くのが最短距離です
  • 事業計画書は、その1(取組内容)・その2(将来の展望)・その3(会社全体の事業計画=指定様式)の3部構成です。その3の数値の算出根拠が、その1・その2の文章から読み取れることが求められます
  • 単に汎用設備を単体で導入する事業は対象になりません。また公式ガイドは、自社開発のシステムを「(NG)」と明記しています
  • 「足下の賃上げ」が弱い計画は、審査上大幅に不利になります。応募申請時の直近決算期から基準年度までの1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、最低でも物価上昇率を上回る水準が求められます
  • ソフトウェア投資やシステム開発等の案件は、口頭審査の対象になり得ます。口頭審査では、事業計画書作成支援者・経営コンサルタント・社外顧問の同席は一切認められません

制度全体の補助率・補助上限額・対象外規定は制度ガイド、採択後の実務は交付決定後にやることをご覧ください。

省力化投資補助金(一般型)事業計画書の書き方の記事でわかる3つのこと:書面審査の4観点と、技術面で問われる4つの数値、事業計画書その1〜その3に書く内容と様式、対象外になる計画と、口頭審査の注意点
図解:省力化投資補助金(一般型)事業計画書の書き方で最初に押さえたい3つのポイント

第9回公募の予定と全公募回のスケジュール

省力化投資補助金(一般型)第8回は、2026年10月16日(金)17:00で受付を終了しました。次の第9回は、公募開始が2026年11月上旬、申請受付開始が12月上旬、締切が12月下旬の予定です(2026年10月20日確認)。第8回は申請受付開始から締切まで1か月弱でした。第9回も、受付開始を待たずに計画書を準備しておくと安全です。全公募回の日程は次の表のとおりです。

公募回公募開始日申請受付開始日公募締切日採択発表日
第1回2025年1月30日2025年3月19日2025年3月31日 17:002025年6月16日
第2回2025年4月15日2025年4月25日2025年5月30日 17:002025年8月8日
第3回2025年6月27日2025年8月4日2025年8月29日 17:002025年11月28日
第4回2025年9月19日2025年11月4日2025年11月27日 17:002026年3月6日
第5回2025年12月19日2026年2月2日2026年2月27日 17:002026年6月5日
第6回2026年3月13日2026年4月15日2026年5月15日 17:002026年8月28日
第7回2026年6月5日2026年7月1日2026年7月31日 17:002026年11月中旬(予定)
第8回2026年8月18日2026年9月18日 10:002026年10月16日 17:00(受付終了)2027年2月上旬(予定)
第9回2026年11月上旬(予定)2026年12月上旬(予定)2026年12月下旬(予定)後日公表

公募回は年3〜4回が予定されており、第10回のスケジュールは詳細が確定次第公表されるとされています。第9回の公募要領は公募開始時に公表されるため、この記事の様式・審査観点(第8回公募要領)から変わる可能性があります。なお、応募申請・交付申請中の事業者や、交付決定を受けて補助金の支払が完了していない事業者は申請できません。第8回の採択発表(2027年2月上旬の予定)は第9回の締切より後なので、第8回に応募して結果を待っている事業者は第9回に応募できません。

締切までに時間のかかる手続きは、次の3つです。

  • GビズIDプライムアカウントが申請に必須です。GビズIDの公式サイトでは、発行までの期間はマイナンバーカードを使うオンライン申請で最短即日、書類郵送申請で最大1か月(書類に不備がない場合)です。未取得なら真っ先に着手します(取得方法)
  • 従業員21名以上の場合は、交付申請時までに、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表する必要があります。掲載には2週間程度かかるため、公募要領は2週間以上の余裕をもった公表申請を求めています(応募時点で未公表なら、公表する旨を宣誓します)
  • 採択後も放置はできません。交付申請は原則、採択発表日から2か月後の日が期限で、これを過ぎると採択決定が取消になります

採否を決める書面審査の4観点

書面審査の4観点の図解。主な項目:適格性:対象事業・対象者・申請要件・補助率等を満たすか、技術面:省力化指数・投資回収期間・付加価値額・オーダーメイド設備、計画面:体制・財務状況・資金調達・賃上げ目標の実現可能性、政策面:地域経済への波及効果・事業承継・イノベーション
図解:書面審査の4観点で押さえたいポイント

省力化投資補助金(一般型)の書面審査は、(1)補助対象事業としての適格性、(2)技術面、(3)計画面、(4)政策面の4観点で行われます。公募要領「5-1.書面審査」が公開している各観点の内容は、次の表のとおりです。計画書は、この表の右列に答える文章として組み立てるのが実務上もっとも確実です。

観点審査で見られること(公募要領の記載)
(1)補助対象事業としての適格性対象事業・対象者・申請要件・補助率等を満たすか。「1-1.事業の目的」に沿わない事業は対象外
(2)技術面省力化指数/投資回収期間/付加価値額の年平均成長率/オーダーメイド設備の4点。いずれも「記載内容や算出根拠が妥当か」を見られる
(3)計画面社内外の体制・財務状況・サイバーセキュリティ対策から遂行できると期待できるか、資金調達の見込み、成果の優位性・収益性とスケジュールの妥当性、高い賃上げ目標の実現可能性、部分最適に留まらず会社全体にシナジーをもたらすか
(4)政策面地域経済への波及効果、事業承継を契機とした経営資源の有効活用、先端デジタル技術・ロボット・低炭素技術等によるイノベーション、イノベーション製品の導入、米国の追加関税措置の影響

技術面の4点は、いずれも「高い/短い/大きいこと」だけでなく、算出根拠の妥当性が問われています。数値を出して終わりにせず、どの業務の何時間をどう数えたのかを書く必要があります。

技術面で問われる4つの数値

技術面の4項目について、公募要領の定義・要件をまとめます。

項目公募要領の定義・要件
省力化指数「(設備導入により削減される業務に要していた時間)-(設備導入後に発生する業務に要する時間)」を用いて、業務量が削減される割合を示す指数。削減時間の詳細な根拠とともに算出し、指定様式その3(Excel)で計算する
投資回収期間「投資額/(削減工数×年間稼働日数×人件費単価+増加した付加価値額)」で計算。根拠資料とともに提出することが要件
付加価値額3〜5年の事業計画期間内に、基準年度と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定すること
オーダーメイド設備人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画であること

省力化指数の「削減される業務に要していた時間」は、既存業務の削減時間を組み込むことが基本です。加えて新規出店を行う場合は、新たな業務プロセスで潜在的・将来的に存在する人手の削減時間も組み込むことができるとされています。

基本要件の数値目標も、計画書に落とし込む必要があります。求められるのは次の3つです。

  • 労働生産性の年平均成長率(CAGR)+4.0%以上
  • 1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上(日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.5%)
  • 事業場内最低賃金を毎年、事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準とすること(事業場が複数ある場合は、その中で事業場内最低賃金が最も低くなる事業場のものを用います)

最低賃金引上げ特例の適用事業者の場合、事業場内最低賃金の要件は適用されません。

先に確認:計画書を書いても対象にならない・減点される類型

汎用設備の単体導入や自社開発のシステムは、計画書をどれだけ作り込んでも省力化投資補助金(一般型)の対象になりません。時間をかけて計画書を書く前に、自社の投資がそもそも対象になるのかを確認してください。次の類型に該当すると、計画書の完成度とは無関係に採択されません。

  • 単に汎用設備を単体で導入する事業は対象になりません。ただし汎用設備でも、次の場合はオーダーメイド設備とみなされ対象になります。導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合と、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出せる場合です
  • 自社開発のシステムは、公式ガイドが「(NG)」と明記しています。ソフトウェア・システム開発費が仕様に対して高額すぎないか、積算根拠が明確な見積を取れているかも確認事項として挙げられています(相見積もりが必要となり、業者へ問い合わせる可能性があるとされています)
  • 応募申請・交付申請中、または交付決定を受けて補助金の支払が完了していない事業者は申請できません(公式スケジュールページに明記)。このほか事業者側の対象外規定として、ものづくり補助金・新事業進出補助金・事業再構築促進補助金の受給歴による重複制限、みなし大企業・みなし同一法人、計画の重複などがあります。該当すると計画書の内容にかかわらず申請できないため、制度ガイドの対象外規定で先に確認してください
  • 認定経営革新等支援機関や専門家等の外部支援を受けているのに、事業計画書作成支援者の名称・報酬・契約期間を記載していない場合は、申請にかかる虚偽となります。その場合、不採択・採択決定の取消・補助金の返還、事業者名や代表者名を含む不正内容の公表等が行われます
  • 「1-1.中小企業省力化投資補助事業(一般型)の目的」に沿わない事業は、審査の適格性の段階で対象外になります

減点の規定もあります。特定の期間に類似のテーマ・設備等の申請が集中している場合は、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあるため、別途審査が行われます。過剰投資と判断された申請は減点されます。また、中小企業庁所管の補助金で賃上げに関する加点を受けて採択されたのに、申請した加点項目要件を達成できなかった場合も減点の対象です。効果報告等で未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁所管の補助金への申請で大幅に減点されます。対象の補助金は、ものづくり補助金・デジタル化・AI導入補助金・持続化補助金・事業承継・M&A補助金・成長加速化補助金・事業再構築補助金・本補助金・GoTech事業等です。正当な理由(災害により事業で著しい損失を受けたと認められる場合等)が認められる場合は除かれます。

なお本補助金は、事業成果による「収益納付」を求めません(公式ガイドに明記)。補助事業実施期間は、交付決定日から17か月以内(ただし採択発表日から19か月後の日まで)です。この期間内に契約(発注)・納品・検収・支払等のすべてを完了し、実績報告書を提出する必要があります。

事業計画書の構成:その1・その2・その3

事業計画書の3部構成の図解。主な項目:その1:補助事業の具体的取組内容と目標数値との整合性、その2:将来の展望(どんな付加価値が生まれるか)、その3:会社全体の事業計画(指定様式のExcel)、その3の数値の算出根拠を、その1・その2の本文で示す
図解:事業計画書の3部構成で押さえたいポイント

省力化投資補助金(一般型)の事業計画書は、その1(補助事業の具体的取組内容)・その2(将来の展望)・その3(会社全体の事業計画)の3部構成です。この3部は、公募要領「4-5.事業計画書への記載事項」に定められています。その1・その2にはひな形(参考様式)が用意され、その3「会社全体の事業計画」の数値目標はすべての事業者が申請します。3部の内容と様式は次の表のとおりです。

区分内容様式
その1補助事業の具体的取組内容と、会社全体の事業計画の目標数値との整合性参考様式(Word)
その2将来の展望参考様式(Word)
その3会社全体の事業計画(労働生産性・1人当たり給与支給総額等の数値目標)指定様式(Excel)

その1・その2の本文は、次の章立てで整理されています。

章小見出し
1. 事業者の概要(現状分析・経営課題)1-1 現状分析/1-2 経営課題/1-3 省力化補助金活用の動機・目的
2. 省力化投資の具体的内容(投資全体金額と補助申請金額を含む)2-1 設備導入による業務プロセスや配置のビフォーアフター/2-2 省力化投資により期待される効果と事業者全体への波及効果
3. 省力化投資で生まれる経営資源の活用による新たな付加価値の創出3-1 労働生産性と1人当たり給与支給総額等の向上
4. 財務計画(資金調達と今後の数値計画)—
5. 事業の実施体制とスケジュール—
6. 補足事項—

米国の追加関税措置の影響を受けており、審査で考慮を希望する事業者(関税影響事業者)は、専用の様式を使います。【指定様式】事業計画書(その1・その2)(関税影響を受けている申請者用)の使用が必須です。

その1で求められる記述

公募要領はその1について、次の内容を求めています。

  • 本事業の目的・手段について、これまでの自社での取組の経緯・内容をはじめ、今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を示すこと
  • 課題を解決するため、不可欠な工程ごとの開発内容、材料や機械装置等を明確にしながら、具体的な目標とその達成手段を記載すること(必要に応じて図表や写真等を用いる)
  • 事業期間内に投資する機械装置等の型番、取得時期や技術の導入時期についての詳細なスケジュール
  • 本事業により、どのように他者と差別化し省力化が実現するか。人手不足の状況・課題・実施体制・取組内容・設備導入によりどの程度プロセスの省力化が図られるかまで、具体的かつ詳細に
  • 補助事業が、補助事業以外の事業、ひいては会社全体の事業計画にどのようなシナジーや成果をもたらすか。とくに、省力化された労働力を補助事業以外の事業にどう活かし、その3の数値を生むのかが分かるように

記載すべき資産の粒度も決まっています。

  • 単価50万円(税抜)以上の機械装置・システム等:名称・分類・取得予定価格等を記載
  • 単価500万円(税抜)以上の機械装置:機械の種類が具体的に分かる名称を記載
  • ソフトウェア:発注予定先を記載

その2・その3で求められる記述

その2(将来の展望)は、計画に沿って事業を実施することで、自社にどのような付加価値が生み出されるのかを簡潔に記載します。

その3(会社全体の事業計画)は指定様式のExcelで、次が求められます。

  • 「労働生産性」「1人当たり給与支給総額」等の算出根拠を記載、または別途提出すること
  • 「省力化指数」「投資回収期間」「付加価値額」「オーダーメイド設備」に関する計画も、同様に算出根拠を示すこと
  • その3で示した数値は、補助事業終了後も毎年度の効果報告等で伸び率の達成状況が確認されること

公式ガイドは、その3について「指定様式事業計画書(その3)の数値を実現していく根拠が、事業計画書(文字情報)から読み取れますか?」という確認項目を置いています。Excelの数値と本文が別々に作られていると、この観点で評価が下がります。

なお計画書は、A4サイズで可能な限り簡潔に作成することが求められており、公募要領は「記載の分量で採択を判断するものではありません」と明記しています。事業内容に直接関係のない個人情報(社長・役員・従業員・顧客の顔写真等)は掲載しないよう指示されています。

公式「参考ガイド」の確認項目を計画書に反映する

中小機構の「事業計画書作成の参考ガイド」は計画作成時の自己点検リストで、「審査においても同様の観点で評価します」と明記されています。章ごとの主な確認項目を、次の表に抜き出します。

章公式ガイドが挙げる確認項目(抜粋)
1. 事業者の概要主な業種・業態は何か/会社の強みや競争優位性/市場の競争環境(競合との差別化要素)/経営課題/省力化できる部分と、逆により注力すべきこと
2. 省力化投資の具体的内容どの業務プロセスにどんなボトルネックがあるか/省力化後のプロセスはどうなるか/設備投資が経営課題の解決につながっているかそれが分かるように書いてあるか/専用設備か、標準品でもカスタマイズ・組合せで独自性があるか/改善効果(例:作業時間○%削減)/省力化指数が詳細な根拠とともに計算されているか
3. 新たな付加価値の創出浮いたリソースをどう活用するか/省力化することだけが目的化していないか/自社の強みが活かせる高付加価値業務は何か/再配置する人材の育成をどう行うか/業務削減を価格戦略やサービス向上にどう活かすか
4. 財務計画投資総額/自己資金か借入か/補助金を活用する範囲は明確か/投資回収期間/付加価値額の増加見込み/労働生産性の年平均成長率が4%以上増加する計画か/算出根拠は明確か
5. 実施体制とスケジュール誰が担当するか/使いこなせる設備・システムか/経営者自ら先頭に立って牽引できるか/期待通りの成果が出なかった場合の対応策/3〜5年の中期計画として実現に無理はないか
6. その他注意すべき事項自社開発のシステムではないか(NG)/開発費用が仕様に対して高額すぎないか/積算根拠が明確な見積を取っているか

ガイドが冒頭で挙げる5つの観点は、そのまま計画書のストーリーラインになります。順番は次のとおりです。

  • ①現在の経営環境と具体的な業務プロセスを十分に把握する
  • ②どの部分を設備投資で省力化できるか(ボトルネックはどこか)、そのために必要な設備は何か
  • ③その設備は事業者固有の課題に対応する専用の設備か
  • ④省力化で捻出できるリソースをどこに振り向けると業績向上そして賃上げに繋がるか
  • ⑤現実的に実行可能か(実施体制・スケジュール・資金計画に無理はないか)

「足下の賃上げ」とは:計画面で最も重い観点

「足下の賃上げ」とは、設備の導入といった補助事業の完了を待たずに実施する賃上げのことです。公募要領は、補助事業完了後における基準年度から最終年度の賃上げ率に加えて、この足下の賃上げを評価するとしています。計画面の審査で、実務上もっとも見落とされやすい点です。

そのうえで公募要領は、最低でも次の水準の賃上げが達成されない計画の場合は、審査上大幅に不利になると明記しています。その水準とは、応募申請時の直近決算期から基準年度までの「従業員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率が、物価上昇率を上回る程度です。

  • 「足下の賃上げ」については、採択後交付決定までの間に従業員への表明が必須です
  • 補助事業期間中の賃上げ実績は、モニタリングの対象です

補助上限額の引き上げを狙う場合は、さらに条件が重くなります。大幅賃上げの特例で求められるのは、次の3点です。

  • 基本要件の1人当たり給与支給総額 年平均成長率+3.5%以上に加えて、さらに+2.5%以上(合計+6.0%以上)増加させる事業計画を策定し、採択後は自身が設定した目標値を達成すること
  • 事業場内最低賃金を、都道府県最低賃金+50円以上の水準とすること
  • その達成に向けた具体的かつ詳細な取り組みを、事業計画書に記載すること

口頭審査:コンサルタントは同席できない

省力化投資補助金(一般型)の口頭審査は申請事業者自身が対応し、事業計画書作成支援者や経営コンサルタントは同席できません。公募要領「5-3.口頭審査」は、ソフトウェア投資やシステム開発等、書面では計画の詳細を正確に理解することが難しい案件を中心に、一定の基準で事業者を選定すると定めています。口頭審査は、必要に応じてオンラインで実施されます。主な定めは次の表のとおりです。

項目公募要領の定め
審査内容適格性・技術面・計画面の観点から審査。計画書の内容を補完する質問や、申請にあたっての意思決定の背景等、計画書に記載のない内容を聞かれることもある
方法・時間オンライン(Zoom等)。1事業者30分程度。会議開始5分前から入室(接続テストあり)
カメラ・録音カメラをオンにし、上半身(顔と耳と肩が明瞭に判別できる)を映す。音声は録音される
本人確認当日、本人確認および周辺環境の確認を実施。顔写真付きの身分証明書(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等)を用意
対応者申請事業者自身(個人事業主本人、法人代表者、社外取締役を除く役員)が対応。役員または従業員(申請時に申請担当者欄に記載している者に限る)1名のみ同席可
同席できない人勤務実態がない者、事業計画書作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等は一切同席不可(日本語でのコミュニケーションに不安がある場合は通訳者1名まで可)

ここは、支援会社を使っている事業者がつまずきやすい点です。計画書の作成を外部に任せきりにしていると、口頭審査で「意思決定の背景」を代表者自身が説明できません。当社は2020年以降の補助金の採択実績800件以上の経験から、計画の数値と設備選定の理由を、代表者が自分の言葉で説明できる状態にしておくことを強くおすすめしています。外部支援を受けている場合は、支援者の名称・報酬・契約期間の記載義務もあります(対象にならない類型参照)。

実務の逆算スケジュール

省力化投資補助金(一般型)の準備は、GビズIDプライムの取得と一般事業主行動計画の公表申請から始めます。第9回(公募開始2026年11月上旬・締切12月下旬の予定)に向けて、着手順を次の表に整理します。

優先度やること所要の目安
最優先GビズIDプライムアカウントの取得オンライン申請は最短即日、書類郵送申請は最大1か月(未取得なら最初に着手)
最優先(従業員21名以上)一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表申請掲載に2週間程度(交付申請時までに公表が必要)
高対象性の確認(汎用設備の単体導入・自社開発システムに該当しないか)—
高積算根拠が明確な見積の取得(相見積もりの可能性も見込む)業者の対応期間に依存
高省力化指数・投資回収期間の算出根拠づくり(現行業務の時間計測)計測が必要なため最も時間がかかる
中その3(Excel)の数値計画と、その1・その2の本文の整合—
中金融機関からの調達予定がある場合、金融機関による事業計画の確認書金融機関の審査期間に依存
採択後交付申請(原則、採択発表日から2か月後の日が期限)期限超過は採択取消

金融機関(ファンド等を含む)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書を提出する必要があります。金融機関は事業場の所在地域にある必要はなく、任意の機関を選定できます。

加点を狙うなら、準備期間が長い項目から着手します。たとえば事業継続力強化計画(連携型含む)の認定は加点項目です。申請システムでの実施状況の振り返り報告や複数回の認定取得によって、加点が上乗せされる仕組みです。過去3年以内に事業承継(株式譲渡等)により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ事業者、またはM&Aを実施した事業者に対する加点もあります。公募要領の注記により、ここでいう事業承継は株式譲渡、相続・贈与による法人と個人間の承継、または同一法人内での代表者交代に限られます。なお、応募申請の手引き(第8回)の提出書類には、個人事業主どうしの相続・贈与・事業譲渡も承継の形態として挙がっています(加点項目の取り方の事業承継の節)。省力化投資補助金の加点10項目は加点項目の取り方、所要期間の長い認定・計画の全体像は補助金の加点項目と準備で整理しています。

よくある質問

Q. 事業計画書は何ページくらい書けばよいですか?

簡潔さが優先で、記載の分量は採否の基準になりません。公募要領は「A4サイズで可能な限り簡潔な事業計画書の作成にご協力ください。記載の分量で採択を判断するものではありません」と明記しています。ページ数を増やすより、審査の4観点(適格性・技術面・計画面・政策面)と公式ガイドの確認項目に、算出根拠つきで漏れなく答えることを優先してください。

Q. カタログに載っている標準品を導入する計画では申請できませんか?

単に汎用設備を単体で導入する計画は、対象になりません。ただし、次の場合はオーダーメイド設備とみなされ対象になります。導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合と、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出せる場合です。計画書では「なぜ自社の課題に対して、その組合せ・構成である必要があるのか」を書いてください。なお、カタログ注文型の製品カタログに登録されているカテゴリに該当する製品を一般型で導入する場合は、審査の際に考慮されるとされています。

Q. 支援会社に事業計画書の作成を依頼しても大丈夫ですか?

はい、依頼そのものは可能です。ただし、支援者の名称・報酬・契約期間を事業計画書に必ず記載してください。記載がないことが明らかになった場合は、申請にかかる虚偽として、不採択・採択決定の取消・補助金の返還、事業者名や代表者名を含む不正内容の公表等が行われます。加えて口頭審査では、事業計画書作成支援者・経営コンサルタント・社外顧問の同席が一切認められません。代表者自身が計画を説明できる状態にしておく必要があります。

Q. 賃上げ目標は、補助事業が終わってからの分だけ考えればよいですか?

いいえ、補助事業の完了を待たずに実施する「足下の賃上げ」も評価されます。審査では、補助事業完了後の基準年度から最終年度の賃上げ率に加えて、足下の賃上げが見られます。公募要領には、応募申請時の直近決算期から基準年度までの1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が物価上昇率を上回らない計画は、審査上大幅に不利になると明記されています。足下の賃上げは採択後交付決定までの間に従業員への表明が必須で、補助事業期間中の実績もモニタリングの対象です。

Q. 新事業進出・ものづくり補助金の事業計画書と同じ書き方でよいですか?

いいえ、審査項目に沿って書くという原則は共通ですが、評価される数値と様式が異なります。本補助金には省力化指数・投資回収期間・オーダーメイド設備という省力化固有の観点があり、その3が指定様式のExcelです。新事業進出・ものづくり補助金の審査項目に沿った書き方は、事業計画書の書き方【審査項目対応】で解説しています。どちらの制度が自社の投資に合うかは、補助金と助成金の違いも参考にしてください。補助金のご質問はLINEでも受け付けています。

まとめ:審査観点に答える計画書にする

  • 採否を決めるのは事業計画書。書面審査の4観点(適格性・技術面・計画面・政策面)が公募要領で公開されているので、計画書はこの観点に答える構成にする
  • 技術面の4数値(省力化指数・投資回収期間・付加価値額・オーダーメイド設備)は、値そのものより算出根拠の妥当性が問われる
  • 単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外。自社開発システムは公式ガイドが「NG」と明記している。計画書を書き始める前に対象性を確認する
  • 「足下の賃上げ」が弱い計画は審査上大幅に不利。直近決算期から基準年度までの上昇率が物価上昇率を上回る水準が最低ライン
  • 口頭審査では、コンサルタント・支援者は同席できない。代表者が自分の言葉で説明できる計画にしておく
  • 締切前のボトルネックになりやすいのは、GビズIDの取得、(従業員21名以上なら)一般事業主行動計画の公表(掲載に2週間程度)、現行業務の時間計測

自社の投資にどの制度が該当するか、申請条件に合うかは、当社でもご提案しています。まずは補助金かんたん診断をお試しください。補助金のご質問はLINEでも受け付けています。申請の全体的な流れは補助金申請の流れで解説しています。

参考(一次情報)