補助金の加点項目とは、審査で、条件を満たした申請者の評価を上乗せする項目です。必要な準備期間で分けると4種類あります。「実績に該当すれば書類だけで取れるもの」「今日から数日で終わるもの」「1〜3か月かかるもの」「半年〜年単位かかるもの」です。申請を決めてからでは間に合わないものがある一方、賃金台帳を確認するだけで取れるものもあります。

この記事の要点を先にまとめます。

  • 加点は準備期間で4つに分けて考えると、いま何をすべきかが決まる
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)の加点は全17項目で、すべて申請締切日時点で満たしている必要がある
  • 小規模事業者持続化補助金(第20回)は、重点政策加点5種+政策加点11種から計2種類までしか選べない
  • 賃上げ系の加点には、未達なら交付決定後でも補助金が交付されない「返還リスク付き」のものがある
  • ネットに多い旧ものづくり補助金(〜第22次)の加点一覧は、現行制度と構成が別物。現行の公募要領で確認する必要がある

なお、加点を取れば採択されるわけではありません。審査の中心は事業計画の中身で、加点はあくまで同じ土俵に立ったときの差です。その前提でお読みください。

補助金の加点項目一覧【2026年】の記事でわかる3つのこと:加点を準備期間で4つに分けた一覧と、最初の一手、ものづくり補助金の加点17項目と、持続化の「計2種類まで」、未達なら不交付になる賃上げ系の加点と、減点の条件
図解:補助金の加点項目一覧【2026年】で最初に押さえたい3つのポイント

加点項目の一覧:準備期間で4つに分ける

補助金の加点項目は、準備期間で次の4つに分けると、いま何から始めるかが決まります。

時間軸代表的なもの目安
準備期間ゼロ(該当確認だけ)再生事業者・事業場内最低賃金引上げ・地域別最低賃金引上げ・研究開発費の計上実績が要件を満たしていれば書類提出のみ
今日〜数日省力化ナビ・デジwith・成長加速マッチング登録・パートナーシップ構築宣言オンラインで完結
1〜3か月事業継続力強化計画・経営力向上計画・経営革新計画・DX認定審査あり。締切から逆算が必要
半年〜年単位健康経営優良法人・えるぼし認定・くるみん認定年1回の申請サイクル、または実績の積み上げが必要

※「今日〜数日」は、GビズIDプライムをすでに持っている前提です。未取得なら、まずそこから始めてください。マイナンバーカードを使うオンライン申請なら最短で即日(公式FAQの比較表では即日〜数日)、書類郵送申請なら書類に不備がない場合で最大1か月で発行されます。申請全体の準備順は補助金申請の流れ5ステップで確認できます。

「準備期間ゼロ」の枠は見落とされがちです。最初の一手は、認定を取りに行く前に、自社がすでに該当している加点がないかを確認することです(詳細は次の章)。

また、制度によっては申請時に使える加点の本数に上限があります。小規模事業者持続化補助金は、重点政策加点1種+政策加点1種の計2種類までです(各区分から2種類以上を選ぶと加点審査の対象外になります)。多くの加点を取得していても、申請では「どれを出すか」を選ぶ場面があります。

準備期間ゼロ:該当すれば書類だけで取れる加点

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)には、新たに何かを取得しなくても、過去の実績や現在の状態が要件に当てはまれば取れる加点が複数あります。次の表は、2026年8月時点の公募要領から、該当確認だけで済む加点を整理したものです。

加点該当する条件確認するもの
事業場内最低賃金引上げ2025年7月と応募申請直近月を比較し、事業場内最低賃金を全国目安の額(63円以上)引き上げている賃金台帳
地域別最低賃金引上げ2024年10月〜2025年9月の間で、地域別最低賃金以上〜2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇用する従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある賃金台帳・指定様式
研究開発費・試験研究費の計上申請締切の前期までに、会計上の研究開発費または税務上の試験研究費を定められた書類で計上している決算書・税務申告書類
再生事業者中小企業活性化協議会等の支援で再生計画等を策定中、または策定済かつ成立から3年以内再生計画関係書類

当社がご相談を受けるなかで感じるのは、この4つは「気づいた者勝ち」に近いということです。特に最低賃金まわりの2つは、直近の賃上げで意図せず要件を満たしている会社が珍しくありません。認定の取得計画を立てる前に、まず賃金台帳と決算書を確認してみてください。

細かい様式・証憑の指定があるため、該当しそうな場合は必ず公募要領の該当ページで要件の原文を確認してください。

今日から数日で取れる加点:オンラインで完結する手続き

今日から数日で取れる加点は、省力化ナビ・デジwith・成長加速マッチングサービス・パートナーシップ構築宣言など、オンラインで完結する手続きです。どの補助金で加点になるかは、手続きごとに違います。

省力化ナビの活用(中小機構)

省力化ナビは、サイトで業種と悩みごとを選び、「解決策」のPDFをダウンロードするだけで完結します。利用は無料と明記されています。

デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠では、公募要領 3-3(2)①13)に「交付申請締切日時点において、中小機構『省力化ナビ』を活用し、『解決策』のPDFをダウンロードすることにより生産性向上の知見を確認していること」とあります。2026年5月15日の改訂で、要件が「PDFをダウンロードすること」という具体的な行為に明確化されました。以前の記述で覚えている方は、要件を読み直しておいてください。

省力化ナビの加点は、中小企業省力化投資補助金(一般型)でも使えます(第9回公募要領の加点8。応募申請時点で活用していることが要件)。名前のとおり相性がよい制度です。

見落とし注意:GビズIDを合わせること
省力化ナビを使うときは、補助金の申請に使うGビズIDプライムと同じIDを入力する必要があります。別のIDで実施すると加点になりません。

デジwith「IT戦略ナビwith」/IT経営サポートセンター

デジwith「IT戦略ナビwith」は中小機構のデジタル化支援ポータルで、公式サイトに「5分で見える化!」とあるとおり、オンラインで完結します。デジタル化・AI導入補助金の加点項目で、交付申請の前に実施しておく必要があります(公募要領 3-3(2)①9)。実施時には申請に使うGビズIDプライムを入力し、実施結果(IT戦略マップ)が表示されたものを交付申請時に添付します。

2026年8月28日の改訂で、通常枠の加点項目9)にもう1つの選択肢が追加されました。中小機構「IT経営サポートセンター」(1回60分の無料オンライン相談窓口)の利用でも加点対象になります(第6回公募回より加点措置を実施)。この選択肢は通常枠だけで、IT戦略ナビwithは通常枠・インボイス枠(両類型)・セキュリティ対策推進枠の4つで加点の対象です。IT経営サポートセンターの条件は次の2つです。

  • 2026年8月1日以降に利用申込を行うこと
  • 交付申請日以前、かつ各公募回の交付申請締切日の前月末日までに利用が確認できること

締切日から数えると、6次(2026年10月30日締切)は9月30日までの利用が条件で、2026年10月12日時点でこの期限は過ぎています。7次(2026年12月1日締切)は11月30日まで、8次(2027年1月7日締切)は2026年12月31日までの利用が条件です。

通常枠でIT戦略ナビwithとIT経営サポートセンターの両方を利用しても、加点は重複せず、いずれか一方のみです。公募要領が定めるのは、利用申込の際に申請に使う法人名・住所・法人番号(法人のみ)を入力することと、利用が確認できた場合に加点対象とすることです。IT戦略ナビwithと違い、交付申請時に添付する書類の記載はありません。

このほか通常枠では、第3回公募回(3次締切分)から「デジタル化セカンドオピニオン」の取組みも加点の対象です。交付申請時点までに確認者(中小企業診断士またはITコーディネータ)との面談を終え、そのうえで交付申請を提出する必要があります。確認者との面談が要る点で、ほかのオンライン手続きとは性質が違います。

成長加速マッチングサービスへの登録

成長加速マッチングサービスは、GビズIDプライムで会員登録し、自社の「挑戦課題」を登録して使います。公式サイトに「本サービスの利用は無料」と記載があります。

加点の条件は、マイページで「掲載中」と表示された状態になっていることです。登録しただけで掲載中になっていなければ、要件を満たしません。この加点は、デジタル化・AI導入補助金のほか、ものづくり・省力化投資・事業承継M&Aなど複数の制度で使えます。

パートナーシップ構築宣言

パートナーシップ構築宣言は、ひな形をダウンロードして宣言文を作り、登録フォームからPDFをアップロードして行います。

注意したいのは、ひな形の版です。新事業進出・ものづくり補助金の第1回公募では「令和8年1月1日に更新されたひな形を利用して宣言を公表している事業者」と限定されています。数年前に宣言したまま更新していないと加点されません。自社の宣言がいつのひな形か、一度確認しておくことをおすすめします。

なお、この宣言はデジタル化・AI導入補助金2026の加点項目には入っていません。同じ宣言でも、加点になるかどうかは制度ごとに違います。

輸出支援プログラムへの登録(グローバル枠のみ)

輸出支援プログラムへの登録は、新事業進出・ものづくり補助金のグローバル枠に申請する場合に限り加点になります。対象は「新規輸出1万者支援プログラム」「日本の食輸出1万者支援プログラム」で、いずれもポータルサイトへの登録完了が要件です。グローバル枠以外の枠では対象にならないため、枠選びとセットで判断してください。

一般事業主行動計画の公表:制度によっては加点ではなく必須要件

次世代法(次世代育成支援対策推進法)にもとづく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表する手続きは、制度によって扱いがまったく違います。この記事でいちばんお伝えしたい点です。制度ごとの扱いは次の表のとおりです。

制度扱い
新事業進出・ものづくり補助金全申請者の必須要件(公表していないと申請できない)
中小企業省力化投資補助金(一般型)従業員21名以上は必須要件
小規模事業者持続化補助金従業員100人以下なら加点(計画期間に公募締切日・補助事業終了予定日がいずれも含まれる場合)
事業承継・M&A補助金従業員100人以下なら加点

ものづくり系を狙うなら、行動計画の公表は申請の前提になる手続きです。しかも「両立支援のひろば」への掲載には1〜2週間程度かかり、公募要領には遅れによる申請期限の延長は認められないと明記されています。締切間際に気づいても間に合いません。

後述するくるみん認定は取得に2年以上かかりますが、その第一歩もこの行動計画の公表です。1〜2週間の手続きが、ものづくり系では申請の入場券に、持続化・事業承継M&Aでは加点になり、2年後にはくるみん認定につながります。当社は、加点準備のなかでもっとも費用対効果の高い一手だと考えています。

1〜3か月で取れる加点:審査のある計画・認定

1〜3か月で取れる加点の図解。主な項目:事業継続力強化計画:認定まで45日程度(GビズIDの書類申請は最大1か月)、経営力向上計画:電子申請なら約14日(休日等を除く)、経営革新計画:所要期間は都道府県で3倍近い差、DX認定:標準処理期間60営業日、有効期間2年
図解:1〜3か月で取れる加点で押さえたいポイント

1〜3か月で取れる加点の代表は、事業継続力強化計画・経営力向上計画・経営革新計画・DX認定です。いずれも審査があるため、補助金の締切から逆算して着手する必要があります。

事業継続力強化計画(通称ジギョケイ・簡易BCP)

事業継続力強化計画とは、自然災害などに備えた事業継続の計画を作り、経済産業大臣の認定を受ける制度です。近畿経済産業局は「不備が無い状態で、認定日までに45日程度要します」と案内しています。

申請は電子申請システムから行い、GビズIDアカウントが必要です。同局は「アカウントの取得には、2週間程度かかります」とも案内しています。ただしGビズIDの公式サイトでは、書類郵送申請の審査期間は2026年7月9日から最大1か月です(マイナンバーカードを使うオンライン申請なら最短で即日)。GビズIDを持っていない場合は、取得期間も含めて実質2〜3か月を見込んでください。

認定済みでなければ加点にならない
同ページには「補助金の申請時点までに事業継続力強化計画の認定を受けていないと加点を受けることができません」と明記されています。申請中・審査中では加点になりません。持続化第20回の公募要領も、締切日より後に認定を受けた事業者・認定申請中の事業者・実施期間が終了している事業者は対象外と明記しています。「認定済み・かつ実施期間内」の状態で締切を迎える必要があるため、補助金の締切から逆算して、最低でも2か月前には動き出してください。
補助金オタクメモ:当社も取得しています
当社(株式会社CAREARC)は本計画の認定を受けています(認定番号 20240425関東第56号)。実際に作ってみると、ハザードマップで自社の立地を確認し、初動対応と「ヒト・モノ・カネ・情報」の対策を書く構成で、事業計画書ほどの重さはありません。防災の棚卸しとしても役立ちました。認定を受けると、税制優遇・金融支援も受けられます。

事業継続力強化計画は、本記事で扱う5制度のうち4制度で加点になる横断的な項目です(ものづくり系・持続化・省力化投資・事業承継M&A)。デジタル化・AI導入補助金2026の加点項目には入っていません。中小企業省力化投資補助金(一般型 第8回)には「複数回の認定を取得することにより加点が上乗せされます」という規定まであります。

申請の手順・必ず不備になる記載漏れ・認定番号の見方までは事業継続力強化計画の取り方で詳しく解説しています。

経営力向上計画

経営力向上計画とは、生産性向上のための計画を作り、主務大臣の認定を受ける制度です。標準処理期間は約30日(複数省庁にまたがる場合は約45日)です。経営力向上計画申請プラットフォームで電子申請すれば、約14日(休日等を除く)と大幅に短縮されます(経済産業部局宛の申請に限る)。急ぐなら電子申請を選んでください。

計画期間は3年・4年・5年のいずれかを選びます。認定を受けると、中小企業経営強化税制(即時償却等)・金融支援・補助金における優先採択の対象になります。

小規模事業者持続化補助金では【政策加点】の1つで、事業承継・M&A補助金でも経営革新計画と並ぶ加点事由になっています。

経営革新計画

経営革新計画とは、新事業への挑戦を都道府県知事等に承認してもらう制度です。申請手数料は不要です(広島県の案内に「手数料:不要」と明記)。

ただし、所要期間は都道府県によって3倍近い差があります。公表値ベースで最短1か月、実務上は2〜3か月、余裕を見るなら4〜6か月前に着手するのが安全です。お住まいの都道府県の産業労働部の案内で標準処理期間を確認してください。

経営革新計画が加点になるのは、ものづくり系と事業承継系の補助金です。デジタル化・AI導入補助金2026と小規模事業者持続化補助金 第20回の加点項目には入っていません。間違えやすいところです。

都道府県ごとの所要期間の違いと、計画期間の起点の落とし穴は経営革新計画の取り方で詳しく解説しています。

DX認定(IPA)

DX認定とは、デジタルガバナンス・コードに対応した企業を国が認定する制度で、ものづくり系の加点になります。デジタル化・AI導入補助金2026の加点項目には入っていません(名前から誤解されやすい点は後述)。

取得プロセスの要点は次のとおりです(2026年8月時点・IPAの案内より)。

  • 申請はIPAのWebサイトから電子申請します
  • 審査の標準処理期間は60営業日です。暦日ではないため、実質3か月前後を見込んで逆算します
  • 認定の有効期間は2年です。継続して使うには更新申請が必要で、有効期限の60日前までに手続きします

DX認定は「1〜3か月」枠の中でもっとも時間がかかる部類です。ものづくり系の締切に合わせるなら、公募スケジュールの発表を待たずに動き始めることをおすすめします。

半年〜年単位で準備する加点:健康経営・えるぼし・くるみん

半年〜年単位の準備が必要な加点は、健康経営優良法人・えるぼし認定・くるみん認定です。年1回の申請サイクルや実績の積み上げが前提になるため、申請直前には取れません。

健康経営優良法人(中小規模法人部門)

健康経営優良法人は、当社が調べた5制度すべてで加点対象になる、もっとも横断的に効く認定です。その分、取得のハードルも高く、時間もかかります。

  • 申請は年1回だけです。2027年認定の申請期間は2026年8月17日(月)〜10月16日(金)17時、認定発表は2027年3月です。締切を過ぎると、次は1年後になります
  • 保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)の健康宣言事業への参加が前提です。準備はここから始めます
  • 認定申請料がかかります。中小規模法人部門は15,000円(税込16,500円)/件です
  • 申請書に書けるのは「申請日までに実施済み」の取り組みだけで、予定は書けません

このため、申請直前に思い立って取ることは制度の仕組み上できません。詳しくは健康経営優良法人の取り方で解説しています。

えるぼし認定(女性活躍推進法)

えるぼし認定とは、女性活躍の取り組みを厚生労働大臣が認定する制度です。5つの評価項目のうちいくつを満たすかで、1段階目〜3段階目に分かれます。

すでに基準を満たしている企業なら認定申請に進めますが、審査期間は公式に公表されていません。基準を満たしていない場合は実績値の改善が必要になるため、年単位を見込んでください。まずは自社が何項目を満たしているかを確かめ、取得時期は申請先の都道府県労働局に問い合わせるのが確実です。

くるみん認定(次世代育成支援対策推進法)

くるみん認定は、加点に使う認定のなかで最も時間がかかります。制度の仕組み上、最短でも2年以上です。

理由は認定基準にあります。次世代法にもとづく一般事業主行動計画の計画期間は2年以上5年以下と定められており、その計画を実際に走らせて目標を達成してから申請する仕組みです。そのため、計画開始から最短でも2年+申請審査期間(書類審査は1か月程度)がかかります。

さらに、認定基準の労働時間は「計画期間の終了日が属する事業年度」で算定するため、その事業年度の実績が固まるまで申請できません。準備期間と審査を足すと、思い立ってから実質2年半〜3年を見ておくのが安全です。

2025年4月の基準改正に注意
くるみんの男性育休取得率の基準は10%から30%へ引き上げられました(トライくるみんは7%→10%、プラチナくるみんは30%→50%)。ネット上に残る「くるみんは男性10%」という記述は旧基準です。取得期間を「数か月で取れる」とする記述も見かけますが、計画期間2年以上が認定要件に組み込まれているため、数か月での取得は制度上あり得ません。現実的には、まずトライくるみん(10%)を取り、その後くるみんを狙う流れになりました。
なお2027年3月31日までは旧基準での申請も可能ですが、付与されるのは「旧基準達成」版のマークです。

くるみん・えるぼしは、デジタル化・AI導入補助金では「くるみん・えるぼしのいずれか」で1項目の扱いです。ものづくり系・省力化投資では、別項目として並列に加点されます。どちらから狙うべきかはくるみん・えるぼし認定と補助金の加点で整理しています。

【制度別】新事業進出・ものづくり補助金の加点17項目

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)の加点項目は全17項目です。公募要領は「加点項目は申請締切日時点で満たしている必要があります」と明記しており、「申請中」「手続き中」では1つも認められません。

次の表は、全17項目を準備のタイプ別に整理したものです(並びは当社の整理で、公募要領の番号順ではありません。各項目の詳細条件は公募要領でご確認ください)。

加点項目タイプポイント
パートナーシップ構築宣言宣言(数日)令和8年1月1日更新のひな形での公表が条件
成長加速マッチングサービス登録(数日)「掲載中」表示になっていること
新規輸出1万者支援プログラム登録(数日)グローバル枠のみ。ポータル登録完了が要件
日本の食輸出1万者支援プログラム登録(数日)グローバル枠のみ
事業継続力強化計画認定(45日程度〜)認定済みであること。申請中は不可
経営革新計画承認(1〜3か月)都道府県により所要期間に差
DX認定認定(約3か月)標準処理期間60営業日・有効期間2年
技術情報管理認証認証(機関による)認証機関の審査が必要。費用・期間は各機関へ確認
健康経営優良法人認定(年1回)申請は年1回サイクル
くるみん認定認定(2年以上)行動計画2年以上が認定要件
えるぼし認定認定(状況による)基準充足済みなら申請可
J-Startup / J-Startup地域版選定該当選定されている事業者が対象(詳細は公募要領)
アトツギ甲子園出場実績ピッチ大会に出場した事業者が対象。エントリー時期に依存
再生事業者実績該当(期間ゼロ)再生計画を策定中、または策定済かつ成立から3年以内
研究開発費・試験研究費の計上実績該当(期間ゼロ)申請締切の前期までに会計上・税務上の計上実績
地域別最低賃金引上げ実績該当(期間ゼロ)2024年10月〜2025年9月の間で、最賃近傍の従業員が30%以上の月が3か月以上
事業場内最低賃金引上げ実績該当(期間ゼロ)2025年7月比で63円以上の引上げ

旧ものづくり補助金の「加点一覧」は現行制度に使えない

検索すると、旧ものづくり補助金(〜第22次)の加点一覧(15項目前後)を解説した記事が今も多数ヒットします。しかし2026年の新制度(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)では、加点の構成が大きく変わりました。

  • 賃上げは「加点」ではなくなりました。新制度では、賃上げが基本要件(未達なら返還義務あり)と上乗せの特例に組み込まれています。「賃上げ加点で差をつける」という旧制度の発想のままだと、要件そのものを読み違えます
  • 旧制度の一覧にあった項目のいくつかは、第1回公募要領の加点一覧には見当たりません。逆に、研究開発費・アトツギ甲子園・輸出支援プログラム・最低賃金引上げ系など、旧一覧に無い項目が新設されています
  • パートナーシップ構築宣言は、ひな形の版まで指定される運用になりました

古い一覧を前提に準備すると、取れるはずの加点を落とし、無い加点を追いかけることになります。必ず現行の公募要領の加点一覧を原文で確認してください。制度全体の解説は新事業進出・ものづくり補助金の記事に、加点・減点の詳しい取り方は新事業進出・ものづくり補助金の加点と減点にまとめています。

【制度別】小規模事業者持続化補助金 第20回の加点

持続化補助金 第20回の加点の図解。主な項目:重点政策加点5種・政策加点11種から計2種類まで、賃金引上げ加点と小規模事業者卒業加点は未達なら不交付、くるみん・えるぼし加点と行動計画加点を両方選んでも重点政策加点分のみ、健康経営優良法人加点はGビズIDの登録情報で自動判定
図解:持続化補助金 第20回の加点で押さえたいポイント

小規模事業者持続化補助金(第20回)の加点は、【重点政策加点】5種と【政策加点】11種の2区分です。選べるのは、重点政策加点から1種類+政策加点から1種類の計2種類までです。公募要領は「【重点政策加点】、【政策加点】から2種類以上を選択された場合には、加点審査の対象となりません」と定めています。この章は第20回公募要領の第8版(2026年7月21日改版)にもとづいています。

なお、賃金引上げ特例を希望すると、政策加点の「賃金引上げ加点」が自動的に適用されます。赤字事業者として希望した場合は、重点政策加点の「赤字賃上げ加点」も自動的に適用されます。自動的に適用された加点が「各区分1種類」の枠にどう数えられるかは、公募要領に明記がありません。賃金引上げ特例とあわせてほかの加点も選ぶ場合は、申請前に公募要領記載のお問合せ先へ確認してください。

重点政策加点(5種から1つ)

重点政策加点の5種は次のとおりです。

加点概要
赤字賃上げ加点賃金引上げ特例に申請する事業者のうち、赤字(直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下)の事業者。賃金引上げ特例(赤字事業者)を希望すると自動的に適用され、政策加点の賃金引上げ加点も自動的に適用されます
事業環境変化加点ウクライナ情勢や原油価格・LPガス価格等の高騰、米国による相互関税の影響を受けている事業者向け(詳細要件は公募要領)
東日本大震災加点原発事故で避難指示等の対象となった福島県12市町村に補助事業実施場所がある事業者、またはALPS処理水の処分に伴う風評影響の克服に向けて新たな販路開拓等に取り組む太平洋沿岸部(北海道・青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉)の水産仲買業者・水産加工業者(詳細要件は公募要領)
くるみん・えるぼし加点くるみん認定またはえるぼし認定の取得事業者
健康経営優良法人加点認定情報とGビズIDの登録情報で自動判定される

健康経営優良法人加点について、公募要領には「GビズIDに登録された情報と『健康経営優良法人』の認定情報を基に自動判定します」とあります。証明書類を添付するのではなく、GビズID側の情報で機械的に判定される仕組みです。GビズIDの法人情報が最新か、認定名義と一致しているかを確認しておいてください。

政策加点(11種から1つ)

政策加点の11種は次のとおりです。

加点概要
賃金引上げ加点1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上引上げ。未達なら不交付(後述)。賃金引上げ特例を希望した場合は自動的に適用されます
地方創生型加点地域資源活用等の取り組み(旧回次の「パワーアップ型」系から改称。詳細は公募要領)
経営力向上計画加点各受付締切回の基準日までに経営力向上計画の認定を受けている事業者。認定書の写しの提出が必要で、基準日より後の認定・認定申請中は対象外(基準日の詳細は後日公開の参考資料で示されます)
事業承継加点基準日時点で代表者が満60歳以上かつ後継者候補が補助事業を中心に行う場合。商工会・商工会議所発行の事業承継診断票が必要
過疎地域加点過疎地域の事業者(詳細は公募要領)
一般事業主行動計画策定加点従業員100人以下で、行動計画を厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」または「両立支援のひろば」に公表している事業者。計画期間に公募締切日と補助事業終了予定日がいずれも含まれる場合に加点の対象
後継者支援加点申請時においてアトツギ甲子園のファイナリストまたは準ファイナリストであること。過去の持続化補助金の「後継者支援枠」で採択され事業を実施した事業者は対象外(異なる年度に要件を満たす場合は対象となり得ると注記あり)
小規模事業者卒業加点雇用拡大により小規模事業者の従業員数を超える計画。未達なら不交付(後述)
事業継続力強化計画策定加点認定済み・かつ実施期間が終了していないこと。締切後の認定・申請中・期間終了済みは対象外
令和6年能登半島地震等に伴う加点石川・富山・新潟・福井の各県内に補助事業の実施場所があり、地震・豪雨による直接被害、または売上の20%以上減少(間接被害)を地方自治体等の証明書で確認できる事業者。災害支援枠ですでに採択を受けて補助事業を実施している場合や、同枠に申請中の場合は原則選べません(詳細は公募要領)
地域別最低賃金引上げ加点直近からひとつ前の改定以降、直近の改定までの期間に、直近の改定での地域別最低賃金額未満で雇用していた従業員(連続した3か月以上)がいる事業者。直近の改定前から事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金以上だった場合は対象外。第8版で「以下」から「未満」に改められました

「返還リスク付き」の加点が2つある

政策加点のうち、賃金引上げ加点と小規模事業者卒業加点は、ほかの加点と性質が違います。公募要領は賃金引上げ加点について「本要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、補助金は交付されません」と明記しています。小規模事業者卒業加点にも同様の規定があります。

この2つは、書類を出せば得をする加点というより、将来の達成を約束する契約に近い加点です。採択後に未達だと、事業を実施し終えていても補助金を受け取れません。達成の見込みを冷静に確認してから選んでください。

賃上げの未達は、その回の不交付だけでは終わりません。対象は、賃金引上げ特例での申請もしくは賃金引上げ加点を受けて採択されたのに、申請した賃上げ要件を達成できなかった場合です。減点の期間は、様式第14(事業効果および賃金引上げ等状況報告書)で未達が報告されてから18ヵ月の間です。公募要領は、この間の中小企業庁が所管する補助金への申請を、正当な理由が認められない限り大幅に減点すると定めています(災害等のやむを得ない理由が認められた場合に限り免除)。公募要領が示す対象の例(2025年4月時点)には、持続化補助金のほか、ものづくり補助金・IT導入支援事業・事業承継・M&A補助金・新事業進出補助金なども挙がっています。ほかの補助金の申請にも響く点に注意してください。

さらに小規模事業者卒業加点には、この加点で採択され補助事業を実施した事業者は、以後この補助金の対象外になるという定めもあります(公募要領「3.補助対象外となる事業者」)。次回以降も持続化補助金を使う予定があるなら、その点も含めて判断してください。

くるみん・えるぼし加点と行動計画加点の重複ルール

重点政策加点の「くるみん・えるぼし加点」と、政策加点の「一般事業主行動計画策定加点」の両方に該当して両方選んでも、加点されるのは重点政策加点分のみです。公募要領に明記されているわりに、見落とされがちなルールです。

くるみん認定企業は行動計画も公表しているため両方に該当しますが、政策加点の枠を行動計画加点に使うと損をします。該当する場合は、政策加点に別の項目(経営力向上計画や事業継続力強化計画など)を充ててください。

どの補助金で何が加点になるか:主要5制度の対応表

主要5制度のすべてで加点になるのは、健康経営優良法人とくるみん・えるぼし認定です。次いで事業継続力強化計画が4制度で加点になります。次の表は、主要5制度の加点項目を公募要領で照合したものです(2026年8月時点)。

記号の意味:◯=加点/必須=加点ではなく申請の必須要件(満たさないと申請できない、または返還対象)/—=該当なし

項目デジタル化AI導入ものづくり系持続化省力化投資事業承継M&A
健康経営優良法人◯◯◯◯◯
くるみん・えるぼし認定◯◯◯◯◯
事業継続力強化計画—◯◯◯◯
成長加速マッチング登録◯◯—◯◯
省力化ナビの活用◯——◯—
デジwith「IT戦略ナビwith」/IT経営サポートセンター◯————
経営革新計画—◯——◯
経営力向上計画——◯—◯
パートナーシップ構築宣言—◯———
DX認定—◯———
賃上げ計画の策定・表明◯※必須◯必須◯
一般事業主行動計画の公表—必須◯必須(21名以上)◯

※デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)では、次の2つの場合に賃上げ計画の一部が申請の必須要件になります。補助金申請額が150万円以上の場合と、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた場合です。そのうえで、加点項目5)〜8)の水準(150万円以上は事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上など)を満たす計画は、加点の対象です。7次(2026年12月1日締切)以降は、必須要件に「1年後に1人当たり給与支給総額を3%以上(交付決定歴ありは3.5%以上)向上」が加わります。なお、次の事業者は、これらの賃上げの申請要件(7次以降に加わる要件を含む)の適用外です。保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校・専修学校・一定の要件を満たす各種学校です(公募要領 2-1-1(2)申請要件(ニ))。

この表でいちばん大事なのは「必須」のマスです。ものづくり系では、賃上げ計画も一般事業主行動計画も加点ではなく基本要件で、賃上げは未達なら補助金の返還義務が生じます。「加点じゃないなら関係ない」と読み飛ばすと、申請そのものができません。

補足の注意:

  • 制度名は通称です。「ものづくり系」は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を指します。同制度の全17項目は上の章、持続化の全16種は前の章にまとめています
  • 事業承継M&Aの列は、事業承継促進枠を基準にしています。同補助金は枠ごとに加点事由が異なり、廃業・再チャレンジ枠は加点が3項目のみです
  • 持続化は加点を2種類までしか選べません(重点政策加点1+政策加点1)。一方、ものづくり系の第1回公募要領には選択本数の上限は明記されていません
  • 加点項目は公募回ごとに変わります。申請前に必ず最新の公募要領でご確認ください

反対に効き先が限られるのは、デジwith(デジタル化・AI導入補助金だけ)と省力化ナビ(デジタル化・AI導入補助金と省力化投資補助金の2制度)です。狙う制度が決まっているなら、その列だけ見て準備を絞るのが効率的です。制度ごとの加点の全項目は、デジタル化・AI導入補助金2026の加点項目一覧と省力化投資補助金(一般型)の加点で解説しています。

加点の取得にかかる費用はいくらか

多くの加点はオンライン手続きのみで費用がかからず、一次情報で有料と確認できたのは健康経営優良法人の認定申請料です。「加点のために持ち出しがいくら必要か」もよく聞かれるので、確認できる範囲を整理します(2026年8月時点)。

  • 無料と明記されているもの:省力化ナビ、成長加速マッチングサービス、経営革新計画(申請手数料不要)
  • 有料と確認できるもの:健康経営優良法人の認定申請料(中小規模法人部門 15,000円・税込16,500円/件)
  • 認証機関・支援機関により異なるもの:技術情報管理認証(認証機関の審査費用が発生します。金額は各認証機関の公表料金でご確認ください)

実際に制約になるのは、費用よりも時間(準備期間)です。社労士・コンサルタントに認定取得を依頼する場合は、報酬が別途かかります。ただ、事業継続力強化計画や経営力向上計画のように書式が定まっているものは、自社で作成することも十分現実的です。

加点で間違えやすい4つのポイント

加点で特に間違えやすいのは、SECURITY ACTION・DX認定・インボイス登録の扱いと、「申請中」でも加点になるという思い込みの4つです。

1. SECURITY ACTIONは「加点」ではなく「要件」

デジタル化・AI導入補助金では、SECURITY ACTIONの★一つ星または★★二つ星の宣言は全枠共通の申請要件です(公募要領 2-1-1(2)申請要件)。加点ではなく、宣言していないとそもそも申請できません。

★★二つ星の宣言が加点になるのはセキュリティ対策推進枠のみで、通常枠では二つ星を宣言しても加点になりません。宣言自体はオンラインで完結しますが、宣言済みアカウントIDの発行に時間がかかる場合があるため、締切間際は避けてください。

2. DX認定はデジタル化・AI導入補助金の加点ではない

名前から誤解されやすいのですが、DX認定が加点になるのはものづくり系のみです。デジタル化・AI導入補助金2026の加点項目には入っていません。取得に約3か月かかる認定なので、効かない制度のために取りにいくと時間を無駄にします。

3. インボイス登録は「未登録の人だけ」の加点

インボイス枠(インボイス対応類型)の加点項目は「交付申請時点でインボイス登録を行っておらず、実績報告日までにインボイス登録を行うこと」です。このため、すでに登録済みの事業者は、この加点を取れません。登録していないことが条件になる、珍しい加点項目です。

この加点を選ぶと、リスクも背負います。登録年月日が交付申請日以前(交付申請日当日を含む)だった場合や、実績報告日までに登録できなかった場合は、原則として交付決定が取り消されます。「加点だから取っておこう」と軽く選べる項目ではありません。

4. 「申請中」は加点にならない

申請中の計画や認定は、加点になりません。事業継続力強化計画・経営革新計画・各種認定に共通する原則です。ものづくり系の公募要領は「申請締切日時点で満たしている必要があります」と明記しており、持続化も事業継続力強化計画について、認定申請中は対象外としています。「いま申請中なので加点してほしい」という扱いは受けられないため、締切から逆算して着手してください。

加点より怖い「減点」:制度別の減点項目

補助金には加点だけでなく減点もあり、過去の交付決定歴や賃上げの未達などが審査でマイナスに働きます。加点を積む前に、自社に減点要素がないかを確認しておくことをおすすめします。

デジタル化・AI導入補助金の減点

  • 過去に同系統の補助金で交付決定を受けている事業者は、減点の対象です(2022〜2025年の交付決定者に拡大されました)
  • 賃上げ加点を受けたのに未達だった場合、18か月間のペナルティがあります。1つの補助金での未達が、ほかの補助金にも波及します

詳しくは再申請と減点の記事と賃上げ加点と返還リスクの記事で解説しています。

新事業進出・ものづくり補助金の減点等

第1回公募要領には、審査上マイナスに働く事項として次の5つが挙げられています(適用条件の詳細は公募要領の原文でご確認ください)。

  1. 過去の賃上げ加点の未達(未達成の場合、以後18か月間の減点)
  2. 過剰投資の抑制:公募要領には「類似のテーマ・設備等に関する申請が集中してなされている場合には、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあるため、別途審査を行います」とあり、流行テーマへの相乗り申請は大幅な減点対象になり得ます
  3. 過去の補助事業の事業化状況が低い(事業化段階が一定以下)
  4. 過去3年間に交付決定を受けている
  5. 過去の補助事業で基本要件を達成できなかった(ものづくり補助金・新事業進出補助金の第1回公募以降に交付決定を受けて事業を実施したものの、賃上げ要件・事業場内最賃水準要件を達成できなかった事業者)

特に2つ目の「過剰投資の抑制」はあまり知られていません。当社がご相談を受けるなかでも、話題の設備・AIツールに「みんなが出すから」と同じテーマで申請するのは、逆効果になり得ると感じています。自社の経営課題から説き起こした計画かどうかが、加点の数以上に問われます。

小規模事業者持続化補助金の減点等

第20回公募要領(第8版)には、過去に持続化補助金を使った事業者に関わる次の定めがあります。

  1. 過去の実施回数に応じた減点:「過去の補助事業(全国対象)の実施回数等に応じて段階的に減点調整を行います」と明記されています
  2. 過去と同じ事業は不採択:中小企業生産性革命推進事業として実施された持続化補助金の公募で採択を受け、補助事業を実施した事業者は、これまでの補助事業と異なる事業であることを申請時に記載する必要があります。同じ事業と見受けられる場合は不採択になります(採択後に判明した場合も遡って採択取消し)
  3. 賃上げ未達による18ヵ月間の減点:賃金引上げ特例や賃金引上げ加点で採択されて賃上げ要件が未達だった場合、中小企業庁所管の補助金への申請で大幅に減点されます(詳しくは持続化補助金の加点の章)
  4. 再申請までの期間:過去に一般型通常枠・創業型など公募要領に挙がる4つの事業で採択され、補助事業を実施した事業者が対象です。事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、様式第14の提出を完了していれば申請できます(第8版で、提出完了後「さらに1年」待つ定めが削除されました)。ただし、第20回で採択され補助事業を実施する事業者は、提出完了後さらに1年が経過してから再度の申請が可能とされています

「加点◯個で採択率◯%」という数値について

「加点を4つ取ると採択率8割」といった数値を載せた記事を見かけます。出どころは旧ものづくり補助金の公式データポータルで、そこには「加点項目の数」別の申請・採択状況データが公表されています。ただし、これは制度が再編される前の旧制度の実績で、現行制度の採択率を約束する数字ではありません。当記事では、一次情報の文字データとして検証できない具体的な割合の引用は控えます。傾向を確認したい方は、公式データポータルを直接ご覧ください(記事末尾にリンクがあります)。

加点準備は何から手をつけるか(当社のおすすめ順)

加点準備のおすすめ順の図解。主な項目:GビズIDプライムを取得する(オンライン申請なら最短で即日)、準備期間ゼロの該当確認と、省力化ナビ・デジwith・成長加速マッチング登録、一般事業主行動計画の公表(掲載に1〜2週間)とパートナーシップ構築宣言、事業継続力強化計画に着手し、長期では健康経営優良法人・くるみん認定へ
図解:加点準備のおすすめ順で押さえたいポイント

加点の準備は、GビズIDプライムの取得を前提に、「準備期間ゼロ」の該当確認から始め、時間のかかる認定へと順に進めます。当社のおすすめ順は次のとおりです。

  1. 前提:GビズIDプライムを取得する(オンライン申請なら最短で即日、書類郵送申請なら最大1か月。以降のほぼ全部がこれを使います)
  2. 今日:「準備期間ゼロ」の該当確認(賃金台帳で最低賃金系2つ、決算書で研究開発費、再生計画の有無)。次に省力化ナビ(デジタル化・AI導入/省力化投資に効く)・デジwith・成長加速マッチング登録。いずれも申請に使うGビズIDプライムと同じIDで実施します
  3. 今週:一般事業主行動計画の公表(掲載に1〜2週間。ものづくり系は必須要件なので最優先)、パートナーシップ構築宣言(ひな形が令和8年1月1日版か確認)
  4. 今月中に着手:事業継続力強化計画(認定まで45日程度。GビズIDがなければ、その発行期間も加わります)。防災の棚卸しにもなります
  5. 狙う制度が決まったら:経営力向上計画(持続化なら)/経営革新計画・DX認定(ものづくり系なら。DX認定は標準処理期間60営業日)
  6. 半年先を見て:健康経営優良法人の次回申請に間に合うよう、保険者の健康宣言事業に参加
  7. 長期の投資として:一般事業主行動計画を2年以上走らせて、くるみん認定へ
当社の実例
当社は、事業継続力強化計画の認定(20240425関東第56号)、パートナーシップ構築宣言、次世代法にもとづく一般事業主行動計画の策定・届出を実際に行っています。また、デジタル化・AI導入補助金のIT導入支援事業者として登録している当事者(申請番号 ITP04-0002803)でもあります。この記事は、制度を使う側と支援する側の両方の立場から書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。

よくある質問

Q. 加点を取れば採択されますか?

いいえ、加点を取っても採択されるとは限りません。審査の中心は事業計画の中身で、加点は同程度の計画が並んだときに効くものです。加点があっても不採択になることはあり、逆に加点が少なくても計画が優れていれば採択されます。加点は「やらない理由がない準備」と捉えるのが実情に合っています。

Q. 加点は何個くらい取ればいいですか?

取れるだけ取って損はありませんが、制度によっては申請で出せる本数に上限があります。持続化は重点政策加点1+政策加点1の計2種類までです。一方、ものづくり系の第1回公募要領には選択本数の上限は明記されていません。旧制度の実績では、加点項目数と採択状況のデータが公式に公表されており、加点が結果に影響していたことはうかがえます。ただし、具体的な割合は制度再編前の数字です。「何個」よりも、必須要件の充足→減点要素の排除→取れる加点の上限まで、という順番で考えてください。

Q. どれか1つだけやるとしたら何ですか?

一般事業主行動計画の公表です。ものづくり系では必須要件、持続化・事業承継M&Aでは加点になり、くるみん認定の第一歩にもなります。1〜2週間で終わるのに、効き先がもっとも広い手続きです。

狙う制度が決まっている場合、デジタル化・AI導入補助金なら省力化ナビとデジwith(当日中に終わります)、省力化投資なら省力化ナビが効きます。判断に迷う場合は補助金かんたん診断で候補制度を絞ってからでも遅くありません。

Q. 加点はいつまでに満たせばいいですか?

補助金の申請締切の時点までに満たしているのが原則です。ものづくり系は申請締切日時点です。デジタル化・AI導入補助金では、IT戦略ナビwithは交付申請前、省力化ナビは交付申請締切日時点で済ませている必要があります。事業継続力強化計画のように「認定済み・かつ実施期間内」まで求められるものもあります。共通するのは、どの制度も「申請中」「手続き中」は認めないことです。締切日ではなく、そこから審査期間ぶん手前を自社の締切として設定してください。

Q. 賃上げ系の加点はリスクがありますか?

はい、あります。持続化の賃金引上げ加点と小規模事業者卒業加点は、未達の場合は交付決定後であっても補助金が交付されないと公募要領に明記されています。さらに持続化では、賃金引上げ特例や賃金引上げ加点で採択されて賃上げ要件が未達だった場合の減点もあります。未達の報告から18ヵ月の間、中小企業庁所管の補助金への申請が、正当な理由が認められない限り大幅に減点されます。デジタル化・AI導入補助金でも、賃上げ加点の未達には18か月間のペナルティがあります。一方、ものづくり系では賃上げは加点ではなく基本要件(未達で返還義務)です。どの制度でも、賃上げ関連は達成できる計画かどうかで判断してください。

Q. 認定の取得を専門家に頼むべきですか?

計画の種類によります。事業継続力強化計画や経営力向上計画は、書式が定まっているため自社で作成される方も多くいます。一方、経営革新計画は数値目標の設計が必要で、都道府県との事前相談も含めると手間がかかります。商工会議所・商工会や経営革新等支援機関が申請をサポートする仕組みもあるので、まず窓口に相談するのが費用的にも現実的です。

Q. 加点に使う認定はいつまで有効ですか?

有効期間は認定ごとに異なります。経営革新計画は、計画期間(3〜5年)が終われば承認の効力も終わります。DX認定の有効期間は2年で、更新は期限の60日前までです。健康経営優良法人は年度ごとの認定なので、毎年申請し直します。補助金側は「申請締切日時点で有効」を求めるものが多いため、取得日だけでなく失効日も管理してください。

Q. 昔のものづくり補助金の加点一覧を参考にしてもいいですか?

いいえ、おすすめしません。旧ものづくり補助金(〜第22次)と現行の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、加点の構成が別物です。賃上げは加点から基本要件に移り、研究開発費・アトツギ甲子園・最低賃金引上げ系などが新設され、パートナーシップ構築宣言はひな形の版まで指定されるようになりました。検索上位の記事でも旧制度の一覧のまま更新されていないものがあるため、必ず現行公募要領の原文で確認してください。

Q. 加点項目は毎年変わりますか?

はい、変わります。公募回の途中で変わることもあります。デジタル化・AI導入補助金2026では、2026年5月15日の改訂で省力化ナビの要件が具体化されました。通常枠では、デジタル化セカンドオピニオンの加点が第3回公募回から、IT経営サポートセンターの利用の加点が第6回公募回から加わっています。2026年10月9日には、7次(12月1日締切)から適用される「第7回公募以降」の公募要領も公開されました。申請前に必ず最新の公募要領と加点項目一覧をご確認ください。当サイトでは公式情報を毎朝自動で確認し、変更があれば記事に反映しています。

まとめ

  • 加点は「準備期間ゼロ(該当確認だけ)」「今日〜数日」「1〜3か月」「半年〜年単位」の4つの時間軸で考える
  • 最初の一手は、賃金台帳・決算書での該当確認と、一般事業主行動計画の公表(ものづくり系では必須要件・掲載に1〜2週間)
  • ものづくり系の加点は全17項目で、申請締切日時点での充足が条件。旧制度の加点一覧は現行制度に使えない
  • 持続化は重点政策加点5種+政策加点11種から計2種類まで。くるみん・えるぼし加点と行動計画加点の重複ルールに注意
  • 賃上げ系の加点は、未達なら不交付・返還のリスク付き。達成見込みで選ぶ
  • 加点より減点のほうが影響が大きい場合がある(過去の交付決定歴・実施回数・賃上げ未達・過剰投資の抑制)

「自社ならどれを準備すべきか」といった補助金のご質問は、公式LINEでも受け付けています。どの制度が該当するか、申請条件に合うかをご提案します。デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠)の補助額は、見積もりシミュレーター(無料・30秒)で試算できます。

参考(一次情報)