キャリアアップ助成金 短時間労働者労働時間延長支援コースとは【令和8年度】|「年収の壁」対応で1人30万〜50万円

目次11章
キャリアアップ助成金の短時間労働者労働時間延長支援コースとは、短時間労働者の労働時間延長と社会保険加入を支援する厚生労働省の助成金です。週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者とした事業主に支給されます。対象はパート・アルバイトなど短時間の有期雇用労働者等で、1年目の支給額は1人あたり小規模企業50万円・中小企業40万円・大企業30万円です。いわゆる「年収の壁」を意識せずに働ける環境づくりを後押しする制度で、支給要領も「いわゆる年収の壁を意識せず働くことのできるよう週所定労働時間を5時間以上延長する等の措置を講じること」と明記しています。全体像は次の3点でつかめます。
- 1年目は、週所定労働時間の延長時間に応じて必要な賃上げ率が変わります。2年目にさらに取り組むと、追加で小規模企業25万円・中小企業20万円・大企業15万円が支給されます
- 令和7年7月1日に新設されたコースで、旧「社会保険適用時処遇改善コース」の後継にあたります。旧コースは令和8年3月末で暫定措置が終了しており、これから新たに取り組む場合は本コースが対象です。なお、本コース自体も支給要領上「当分の間の暫定措置」と位置づけられており、将来的に見直される可能性があります
- 企業規模の判定に「小規模企業事業主」(常時雇用する労働者30人以下)の区分があるのは、全6コースの中でこのコースだけです。中小企業・大企業の2区分だけで判断すると、支給額を取り違えます
この記事は、厚生労働省の支給要領(令和8年4月8日付け・6000番台)とパンフレット(令和8年度版)の原文にもとづいています。対象外になるケースから、支給額・要件・申請スケジュール・必要書類までを、この記事だけで判断できるように整理しました。制度全体(全6コース)の位置づけはキャリアアップ助成金とは|全6コースの支給額一覧をご覧ください。当社は助成金の申請を提携の社会保険労務士と連携してご支援しており、ご相談の多いつまずきポイントも織り込んでいます。

まず確認:旧コースからの切替え条件と対象外になるケース
短時間労働者労働時間延長支援コースでは、最初に旧「社会保険適用時処遇改善コース」との関係を整理しておく必要があります。厚生労働省は、令和8年3月末までに取組を行った事業主は旧コースの対象としています。令和8年4月1日以降に、新たな社会保険加入と収入増加の取組を行う場合は、本コースの活用を案内しています。
旧コースから本コースへ切り替えて申請できるのは、併用メニュー(3期目)または労働時間延長メニューの対象労働者に限られます。当該メニューの支給申請をまだ提出していないことが条件です(支給要領6002ニ)。
事業主として受給できないケース(全コース共通)
- 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主(滞納の通知はされないため、申請前に自社で確認が必要です)
- 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
- 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
- 暴力団と関わりのある事業主、暴力主義的破壊活動を行った・行う恐れがある団体等に属している事業主
- 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主
- 支給申請時または支給決定時に雇用保険適用事業所の事業主でない事業主
雇用関係の助成金に共通するこれらの要件は、雇用関係助成金に共通の要件で詳しく解説しています。
対象労働者として数えられないケース(本コース固有)
- 社会保険の適用日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていた者、または同じ事業所で過去2年以内に社会保険に加入していた者(支給要領6003ハ)。すでに社会保険に加入していた人をいったん外して入れ直すような形は、対象になりません
- 週所定労働時間の延長等を行った事業所の、事業主または取締役の3親等以内の親族
- 支給申請日において離職している者(本人都合の離職、天災等で事業継続が困難になった場合、本人の責めに帰すべき理由による解雇を除く)
- 対象労働者の基本給および定額で支給されている諸手当を、延長等の前後で減額した場合も、その労働者は支給対象になりません(支給要領6002ハ。「合理的な理由」の扱いに注意)
正社員化コースにある「転換前後に事業主都合の解雇があると不支給」という要件は、本コースの支給要領(6000番台)には規定されていません。ただし、対象労働者本人が支給申請日に離職していないことは要件です。退職予定者を対象人数に入れないよう注意してください。
他の助成金との併給調整
- 同じ労働者の同一支給対象期間に行った処遇改善について、賃金規定等改定コースとの重複支給はされません(支給要領0503ロ)。どちらか一方のコースでしか申請できません
- 旧・短時間労働者労働時間延長コースまたは旧・社会保険適用時処遇改善コースの支給を受けた事業主は、同一の対象労働者について本コースの支給を受けられません(支給要領0503)。旧コースで受給済みの労働者を、本コースで重ねて申請することはできません
- 65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)との併給調整規定は、支給要領上、賃金規定等改定コース・賃金規定等共通化コース・賞与退職金制度導入コース(3000〜5000番台)を対象として明記されています。本コース(6000番台)は記載されていません(原文に規定なし)。個別の判断は労働局に確認してください
支給額はいくら?1年目・2年目の早見表

短時間労働者労働時間延長支援コースの1年目の支給額は、1人あたり小規模企業50万円・中小企業40万円・大企業30万円です。支給額は1年目の取組(週所定労働時間の延長時間と企業規模)で決まり、延長時間が5時間未満の場合は基本給の増額も別途必要です。次の表は、延長時間ごとに必要な基本給の増額率をまとめたものです。
| 延長時間 | 5時間以上 | 4時間以上5時間未満 | 3時間以上4時間未満 | 2時間以上3時間未満 |
|---|---|---|---|---|
| 別途必要な基本給の増額率 | 増額要件なし | 5%以上 | 10%以上 | 15%以上 |
(出典:キャリアアップ助成金支給要領〔令和8年4月8日付け〕6005イ、パンフレット令和8年度版P.54)
| 企業規模 | 1年目の支給額 |
|---|---|
| 小規模企業事業主 | 50万円 |
| 中小企業事業主(小規模企業事業主を除く) | 40万円 |
| 大企業事業主 | 30万円 |
支給額は延長時間にかかわらず一律です。延長時間が短いほど必要な賃上げ率が上がる形で、釣り合いを取っています。小規模企業事業主(常時雇用する労働者の数が30人を常態として超えない事業主)の区分を確認するのは、全6コースの中でこのコースだけです。中小企業(小規模企業を除く)と混同しないよう注意してください。
2年目の取組とは、1年目の取組後、第2期支給対象期の開始日までに次のいずれかを行うことです。
- a. 週所定労働時間をさらに2時間以上延長
- b. 基本給をさらに5%以上増加
- c. 昇給、賞与もしくは退職金制度のいずれかの制度を新たに適用
cの措置には条件があります。有期雇用労働者等に適用される就業規則等に昇給・賞与・退職金制度の実施が規定され、その就業規則等が有期雇用労働者等に適用されていることが必要です。あわせて、有期雇用労働者等に適用する制度として、相当な水準の待遇を備えた制度であることも求められます(支給要領6002イ(ハ)※5・※6)。Q&A⑦Q-3は、「適用」とは制度の導入だけでなく、実際に運用されている(制度に基づく賃金が支給されている)ことを指すとしています。
2年目の取組を行った場合の追加の支給額は、次の表のとおりです。
| 企業規模 | 2年目の支給額 |
|---|---|
| 小規模企業事業主 | 25万円 |
| 中小企業事業主(小規模企業事業主を除く) | 20万円 |
| 大企業事業主 | 15万円 |
1年目と2年目をあわせると、対象労働者1人あたり小規模企業なら最大75万円、中小企業なら最大60万円、大企業なら最大45万円です。支給申請回数は、同一の対象労働者に対して原則1回、2年目の取組を行う場合は計2回です(支給要領0503イf)。
社会保険への加入まで複数年かける場合も、対象になります。一度に5時間延長できなくても、複数回に分けて労働時間を延長し、最終的に社会保険の被保険者要件を満たせば、1年目の取組として扱われます。ただし、社会保険の適用日および適用日前の延長日が、いずれもキャリアアップ計画期間内にあることが条件です。あわせて、延長を始めた最初の日の前6か月と社会保険適用後6か月を比較して、要件を満たしている必要があります(支給要領6002イ(ロ))。
対象となる労働者の要件
短時間労働者労働時間延長支援コースの対象労働者は、次のすべてに該当する有期雇用労働者等です(支給要領6003)。
- 週所定労働時間の延長等をした日または新たに社会保険の被保険者とした日の、いずれか早い方の前日から起算して6か月前の日から継続して支給対象事業主に雇用されている(複数年かけて延長する場合は、延長を始めた最初の日を基準に同様に判定)
- 新たに社会保険の適用を受ける日の前日から起算して、1か月前の日から3か月が経過するまでの間に、週所定労働時間の延長等の措置が講じられ、新たに社会保険の被保険者要件を満たすこととなった者
- 社会保険の適用日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であって、かつ支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかった者
- 週所定労働時間の延長等を行った事業所の、事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
- 支給申請日において離職していない者(本人都合の離職・天災等・本人の責めに帰すべき解雇を除く)
対象労働者の判定基準日は、「延長した日」と「社会保険に加入した日」のいずれか早い方が起点になります。社会保険の適用手続きをあわせて進める場合は、両方の日付を記録として残しておくと、支給申請時の突合がスムーズです。
対象となる事業主の要件
短時間労働者労働時間延長支援コースの事業主は、まず全コース共通の要件として次の5つを満たす必要があります。
- ①雇用保険適用事業所の事業主であること
- ②事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いていること(複数の事業所および労働者代表との兼任はできません)
- ③事業所ごとに対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出していること
- ④対象労働者の労働条件・勤務状況・賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにできること
- ⑤計画期間内に取組を実施していること
そのうえで、本コースの支給対象事業主は、次の表のすべてに該当する必要があります(支給要領6002)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 週所定労働時間の延長等の措置 | 対象労働者について、1年目の取組(延長5時間以上、または延長2〜5時間未満+基本給増額)または2年目の取組を実際に講じている |
| ② 雇用継続と賃金支給 | 措置後の各支給対象期間以上継続して対象労働者を雇用し、当該支給対象期分の賃金を支給している |
| ③ 賃金の維持 | 対象労働者の基本給および定額で支給されている諸手当を減額していない。比較するのは、1年目は延長等前後の各6か月、複数年かけた1年目は延長等を行った最初の日前6か月と社会保険適用後6か月、2年目は延長等後6か月と第2期支給対象期の6か月(「合理的な理由」の扱い) |
| ④ 旧コースからの切替え | 旧・社会保険適用時処遇改善コースの併用メニュー(3期目)または労働時間延長メニューから切り替える場合、当該対象労働者について同メニューの支給申請を提出していない |
| ⑤ 継続適用 | 対象労働者を、社会保険の被保険者要件を満たすこととなった日以降、全期間にわたり雇用保険・社会保険の被保険者として適用させている |
| ⑥ 書類整備 | 対象労働者の週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成・交付している |
「合理的な理由があれば減額してよいか」は資料で書きぶりが違う
表の③(賃金の維持)の減額について、公式資料の書きぶりが一致していません。次の表は、3つの資料の記載を並べたものです。
| 資料 | 記載 |
|---|---|
| 支給要領(令和8年4月8日付け)6002ハ | 「基本給及び定額で支給されている諸手当を、(中略)減額していない事業主であること」(「合理的な理由なく」の限定なし。6008ニの確認方法も「減額させることなく支給した事業主であることの確認」) |
| キャリアアップ助成金Q&A(令和8年7月29日)⑦Q-4 | 「週所定労働時間の延長等前後6か月で基本給及び定額で支給されている諸手当が減額されている場合は支給対象となりません」 |
| パンフレット(令和8年度版)P.56 | 「合理的な理由なく減額していない事業主」(どのような理由が合理的と認められるかの説明はなし) |
どちらを優先するかを定めた公式の記載は、確認できませんでした。延長の前後で基本給・定額の諸手当を減額しない前提で設計し、やむを得ず減額が生じる場合は、申請前に管轄の労働局へ確認してください。「合理的な理由があるから大丈夫」と自己判断すると、支給要領の文言どおりに判断された場合に、不支給となるおそれがあります。
申請の流れと申請期限:第1期・第2期の2期制

短時間労働者労働時間延長支援コースは、「1年目の取組=第1期支給対象期」「2年目の取組=第2期支給対象期」という2期制で申請します。申請期限は各期とも、対象期分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内です。
第1期(1年目の取組)
- 週所定労働時間の延長等後の6か月間(勤務日数11日未満の月は除く)が、第1期支給対象期です
- その6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書(様式第3号・別添様式6)を管轄労働局長に提出します
- 賃金締切日の翌日が延長日でない場合は、延長日以降の最初の賃金締切日後6か月分が対象です。時間外手当を翌月に別途支給している場合は、6か月分の時間外手当が支給される日を「賃金を支給した日」とします
第2期(2年目の取組を行う場合)
- 第1期支給対象期間の末日の翌日から起算して、7か月目から6か月間が第2期支給対象期です
- 第1期と同様に、対象期分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請します
次の表は、賃金締切日が月末・翌月15日払いの企業で、4月1日に延長等および社会保険適用を行った場合の例です。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 4月1日 | 労働時間延長等・社会保険適用日(第1期支給対象期の開始) |
| 9月30日 | 6か月目の賃金締切日(第1期支給対象期の末日) |
| 10月15日 | 賃金支払日 |
| 10月16日〜12月15日 | 第1期の支給申請期間(賃金支払日の翌日から2か月以内) |
| 翌年4月1日〜9月30日 | 第2期支給対象期(第1期末日の翌日から7か月目〜6か月間) |
| 翌年10月15日 | 賃金支払日 |
| 翌年10月16日〜12月15日 | 第2期の支給申請期間 |
キャリアアップ計画の提出は、取組開始前が原則です。ただし、旧・社会保険適用時処遇改善コースの計画届をすでに提出している場合は、本コースの計画届・変更届を改めて提出する必要はありません。新規に取り組む場合は、他コースと同様に取組開始前の計画提出が必要です。
支給申請の必要書類
短時間労働者労働時間延長支援コースの支給申請時に提出する主な書類は、次の表のとおりです(パンフレットP.58、支給要領6007)。
| 区分 | 書類 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| 申請書類 | キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号) | 記入漏れがないか |
| 申請書類 | 短時間労働者労働時間延長支援コース内訳(様式第3号・別添様式6) | 第2面(第1期)・第3面(第2期)が添付されているか |
| 申請書類 | 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号) | 記載事項が適切か(該当項目に「いいえ」があると支給を受けられません) |
| 申請書類 | 支払方法・受取人住所届(未登録または口座変更の場合のみ) | 通帳の写し等の添付 |
| 添付書類 | 対象労働者の雇用契約書または労働条件通知書等(写) | 各時点の労働条件・週所定労働時間・社会保険加入状況が確認できるか |
| 添付書類 | 対象労働者の賃金台帳等(写) | 延長等前後6か月分。基本給・諸手当を減額していないことが確認できるか |
| 添付書類 | 出勤簿またはタイムカード等(写) | 賃金台帳で出勤日数・労働時間数が確認できない場合のみ |
| 条件に応じて | 小規模企業事業主・中小企業事業主であることの確認書類(事業所確認票 様式第4号) | 常時雇用する労働者の数で判定する場合 |
| 条件に応じて | 特定適用事業所・任意特定適用事業所の該当通知書 | 該当する場合 |
| 条件に応じて | 昇給・賞与・退職金制度の適用前後の就業規則等 | 2年目の取組でcの措置を実施した場合 |
添付書類は原本の写しでなければなりません。見やすいように原本を加工・転記して別途作成した書類は認められません。労働局が必要と認める書類の追加提出を求められることもあります。
他のコース・制度との関係(併用できるか)
短時間労働者労働時間延長支援コースは、同じ労働者・同一支給対象期間の処遇改善について、賃金規定等改定コースと重ねて申請できません。そのほかのコース・制度との関係は、次のとおりです。
- 賃金規定等改定コースとは、同じ労働者の同一支給対象期間の処遇改善について、どちらか一方のコースでしか申請できません(コースの解説記事)
- 旧・社会保険適用時処遇改善コースは、令和8年3月末で新規の取組が締め切られています。すでに取組を開始している場合の切替え条件は、本記事の対象外パターンの節を参照してください
- 正社員化コースとは、支給要領上、両コースの間に併給調整の規定はありません。同じ事業所で正社員転換と労働時間延長の両方に取り組むこと自体は可能ですが、対象労働者が別であることが前提です。正社員化コースには、転換の要件が別途あります
- 研修とセットで人材育成に取り組む場合は、人材開発支援助成金が候補です。雇用系助成金の使い分けはキャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の違いにまとめています
- 最低賃金引上げとセットで設備投資まで行う場合は、業務改善助成金も選択肢です。対象労働者を分けて設計する必要があります
キャリアアップ助成金は雇用保険法に基づく「助成金」です。事業計画の審査で採否を競う「補助金」とは性格が異なり、支給要件を満たしているかを書類で確認する仕組みです。両者の違いは補助金と助成金の違いで解説しています。
実務でつまずきやすいポイント
短時間労働者労働時間延長支援コースについて、当社がご相談を受けるなかで最初に確認するのは次の4点です。
- 「小規模企業事業主」の判定を忘れない。 このコースだけ常時雇用する労働者30人以下という区分があり、中小企業(30人超)とは支給額が10万円(1年目)違います。企業規模の確認書類は早めに準備しておきます
- 「延長した日」と「社会保険に加入した日」の記録を両方残す。 対象労働者の要件は、両者のいずれか早い方の日を基準に判定されます。雇用契約書・労働条件通知書の改定日と、社会保険の資格取得日をあわせて管理しておくと、申請時にスムーズです
- 旧コースからの切替え条件を確認する。 すでに旧・社会保険適用時処遇改善コースで取組を始めている場合、切り替えられるのは併用メニュー(3期目)または労働時間延長メニューの対象労働者に限られます。該当メニューの支給申請を提出していないことも条件で、すでに支給申請済みの労働者は切替えの対象になりません
- 基本給・諸手当を延長前後で減額しない。 延長にあわせて他の手当を減らすと、その労働者は支給対象から外れます(支給要領には理由による例外の記載がありません。詳しくはこちら)。賃金台帳で、延長前後の比較ができる状態にしておいてください
助成金は後払いです。社会保険料の事業主負担分の増加は、自社で先に見込んで資金繰りを組んでおく必要があります。設備投資や採用にあわせた資金需要があれば、募集中273件の制度から自社に合うものを補助金かんたん診断で絞り込めます。申請は提携の社会保険労務士と連携してご支援します。「自社のケースで小規模企業事業主に該当するか」「旧コースからの切替え条件を満たすか」といった助成金のご質問は、公式LINEでも受け付けています。
よくある質問
Q. 旧・社会保険適用時処遇改善コースで計画届を出しています。本コースの計画届も出し直す必要がありますか?
いいえ、出し直す必要はありません。旧コースの計画届を提出している場合、本コースの計画届・変更届の提出は不要です(パンフレットP.58)。ただし、本コースの支給要件を満たすかどうかは、別途確認が必要です。社会保険適用等の取組を行った日がキャリアアップ計画期間内にあることも、申請時の確認事項です(同P.58)。
Q. 「小規模企業事業主」と「中小企業事業主」はどう違いますか?
小規模企業事業主は、常時雇用する労働者の数が30人を常態として超えない事業主で、本コースでのみ確認が必要な区分です。中小企業事業主(小規模企業事業主を除く)は、業種ごとの資本金・出資額または常時雇用する労働者の数で判定します(例:サービス業なら資本金5,000万円以下または100人以下)。小規模企業に該当すれば、中小企業より高い支給額(1年目50万円)が適用されます。
Q. 支給額は延長する時間の長さで変わりますか?
いいえ、変わりません。1年目の支給額は延長時間にかかわらず一律で、企業規模で決まります。延長時間が短いほど、別途必要な基本給の増額率が上がります(5時間以上は増額要件なし、2時間以上3時間未満は15%以上)。
Q. 1年目の取組だけで終えることはできますか?2年目は必須ですか?
はい、1年目の取組だけで終えられます。2年目の取組は任意で、1年目の取組のみで支給申請を完結させることもできます。2年目の取組(さらなる延長・賃上げ・昇給等の制度適用のいずれか)を行った場合に限り、追加の支給額(小規模企業25万円・中小企業20万円・大企業15万円)を受け取れます。
Q. 一度に5時間延長するのが難しい場合はどうすればよいですか?
複数年かけて段階的に延長し、最終的に社会保険の被保険者要件を満たす形でも対象になります。ただし、延長を始めた最初の日と社会保険の適用日が、いずれもキャリアアップ計画期間内にあることが条件です。あわせて、延長開始前6か月と社会保険適用後6か月を比較して、延長時間・賃金増額の要件を満たしている必要があります(支給要領6002イ(ロ))。
Q. 対象労働者がもともとフルタイムに近い時間で働いていた場合も対象になりますか?
労働時間の長さだけでは決まりません。基準は、社会保険の適用日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかったかどうかです。かつ、支給対象事業主の事業所において、過去2年以内に社会保険に加入していなかった者であることも必要です(支給要領6003ハ)。この6か月間にすでに適用要件を満たす働き方をしていた人は、対象になりません。適用要件を満たしていなかった人であれば、もとの労働時間が比較的長くても、ほかの要件を満たす限り対象になり得ます。
まとめ
- 短時間労働者労働時間延長支援コースは、短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者とした事業主への助成です。1年目は1人あたり小規模企業50万円・中小企業40万円・大企業30万円、2年目はさらに小規模企業25万円・中小企業20万円・大企業15万円です
- 「年収の壁」対応として令和7年7月1日に新設されました。旧・社会保険適用時処遇改善コースは令和8年3月末で新規の取組が終了しており、切替え申請には条件があります
- 「小規模企業事業主」(常時30人以下)の区分がある、全6コースで唯一のコースです。中小企業(30人超)と取り違えないよう注意します
- 対象労働者は、社会保険の適用日前の過去6か月間は社会保険の適用要件を満たしておらず、かつ過去2年以内に同事業所で社会保険に加入していなかった人に限られます。延長前後で基本給・諸手当を減額すると、対象外になります
- 申請は第1期(1年目)・第2期(2年目)の2期制です。各支給対象期6か月分の賃金支給日の翌日から、2か月以内に申請します
- 賃金規定等改定コースとの重複支給はできません(同一労働者・同一支給対象期間)
自社のケースで小規模企業事業主に該当するか、旧コースからの切替え条件を満たすかは、会社ごとに判断が分かれます。助成金のご質問は公式LINEでも受け付けています。賃上げ・処遇改善とあわせて使える補助金は、募集中273件から絞り込める補助金かんたん診断でご確認ください。
参考(一次情報)
- キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)(厚生労働省)——短時間労働者労働時間延長支援コースの新設(令和7年7月1日)の案内、旧コースからの切替え、「年収の壁」対応の位置づけ(2026年9月3日確認)
- キャリアアップ助成金(厚生労働省)——制度の総合案内ページ・各種様式のダウンロード(2026年9月3日確認)
- キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)パンフレット(令和8年4月8日現在)——Ⅱ-5 短時間労働者労働時間延長支援コース(P.54〜58)の支給額表・対象労働者/事業主要件・支給申請期間・添付書類、共通要件(P.4)・小規模企業事業主の範囲(P.4)、事業主要件の「合理的な理由なく減額していない」の記載(P.56)(2026年9月3日確認、2026年10月1日再確認。P.58の申請時の確認事項は2026年10月12日確認)
- キャリアアップ助成金支給要領(令和8年4月8日付け)——6000番台(短時間労働者労働時間延長支援コース)の概要・支給対象事業主(6002ハの減額要件を含む)・対象労働者・支給対象期間・支給額・支給申請期間・添付書類・支給要件の確認(6008ニ)、0503(支給申請回数及び併給調整)(2026年9月3日確認、2026年10月1日再確認。6003ハの対象労働者要件は2026年10月12日確認)
- キャリアアップ助成金Q&A(令和8年版・令和8年7月29日)——⑦短時間労働者労働時間延長支援コース Q-1〜Q-4(小規模企業の定義、複数年の取組、2年目の取組、取組前後の比較方法と減額の扱い)(2026年10月1日確認)
- 雇用関係助成金ポータル(厚生労働省)——電子申請の窓口
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