IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)で飲食店・小売店が導入できるのは、POSレジ・予約管理・在庫管理・会計などの業務ソフトです。ソフトは通常枠・インボイス枠のどちらでも対象になり得ますが、レジ本体などの機器(ハードウェア)が対象になるのはインボイス枠だけです。ご相談でも、この違いで迷う方が多くいらっしゃいます。

この記事では、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の公募要領の原文をもとに、飲食店・小売店が何を、どの枠で導入できるかを整理します。当社の主な対象である通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を中心に扱います。要点は次の5つです。

  • 通常枠:公募要領の別紙2で、決済(POSレジ、券売機システム)、予約受付台帳、入出庫管理・実地棚卸管理、飲食業・小売業それぞれの業種固有プロセスなどが機能例に挙がっています。対象はソフト・オプション・役務で、ハードウェアは補助対象に含まれていません
  • インボイス枠(インボイス対応類型):ソフトは、インボイス制度に対応し、「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むものに限られます。そのうえで、POSレジ・券売機は上限20万円、PC・タブレット等は上限10万円(どちらも補助率1/2以内)の機器費用が対象になります
  • レジとして使う機器は、PC・タブレットの枠では申請できません。レジ用途は「カテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)」から選ぶ決まりです
  • 「対象になり得る」は登録が前提です。製品が補助対象かどうかは、公式のITツール検索で確認します
  • 申請できない事業者がいます。インボイス枠は過去の交付決定歴、通常枠は12カ月制限などで、申請自体ができない場合があります(先に確認する)

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飲食店・小売店はIT導入補助金で何を導入できる?の記事でわかる3つのこと:POSレジ・予約・在庫・会計ソフトが対象になる条件、レジ・券売機は上限20万円、対象はインボイス枠だけ、申請できない事業者と、通常枠・インボイス枠の選び方
図解:飲食店・小売店はIT導入補助金で何を導入できる?で最初に押さえたい3つのポイント

結論:ソフトは両方の枠、機器はインボイス枠だけ

飲食店・小売店が導入するソフトは、通常枠・インボイス枠のどちらでも対象になり得ます。一方、POS専用機・レジ用タブレット・券売機などの機器が対象になるのは、インボイス枠だけです。よく検討される導入物を、公募要領の原文に沿って枠別に整理すると次のとおりです。

導入したいもの通常枠インボイス枠(インボイス対応類型)
POSレジのソフト(会計・決済機能)対象になり得る(共P-02「決済(POSレジ、券売機システム)」)「会計」「受発注」「決済」のいずれかを含む登録ソフトなら対象になり得る
POS専用機・レジ用のタブレット・券売機対象外(通常枠にハードウェアの区分はありません)対象(カテゴリー9。上限20万円・補助率1/2以内)
予約管理(店舗側の台帳)対象になり得る(共P-01「予約受付台帳」)会計・受発注・決済の機能が要件。予約管理だけのソフトは単独では要件を満たしません
在庫・棚卸・発注の管理対象になり得る(共P-03、共P-02の発注・仕入管理)「受発注」機能を持つ登録ソフトなら対象になり得る
会計・経理ソフト対象になり得る(共P-04)「会計」機能として対象になり得る
事務用のPC・タブレット・プリンター対象外会計・受発注・決済のいずれかのソフトとあわせて導入する場合、上限10万円(補助率1/2以内)

この表は機能の分類で、特定の製品が対象だという保証ではありません。公募要領が定めるのは、どの機能がどのプロセスに分類され、どのハードウェアが対象かまでです。製品が補助対象になるかは、IT導入支援事業者が事務局に登録し、審査を通ったかで決まります。

先に確認:申請できない事業者・使えない枠

導入したいものが対象でも、申請する側が対象外なら申請できません。飲食店・小売店では、複数の店舗を別法人で運営している場合の「みなし同一法人」と、過去の受給歴が特に問題になります。

通常枠・インボイス枠に共通の対象外(公募要領 2-1-2)

公募要領2-1-2は、次のいずれかに該当する事業者を申請の対象外としています(抜粋)。

  • 発行済株式の総数の2分の1以上を同一の大企業が所有している事業者など、大企業との資本関係が深い事業者(①〜⑤)
  • 確定している(申告済みの)直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者(⑥)
  • 「みなし同一法人」は1社のみしか申請できません。該当するのは、親会社が議決権の50パーセント超を有する子会社がある場合や、個人が複数の会社の議決権をそれぞれ50パーセント超保有する場合です。代表者及び住所が同じ法人・主要株主及び住所が同じ法人・実質的支配者が同じ法人の場合も該当します
  • IT導入支援事業者(構成員を含む)として登録されている、または登録しようとする事業者
  • 過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条各項に規定する営業を営む事業者(旅館業法の許可を受けて旅館業を営むものを除く)。飲食店でも、風営法の許可が必要な業態は対象外になり得ます(通常枠は2-1-2(5)、インボイス枠は2-1-2(6))
  • 宗教法人、法人格のない任意団体(同窓会・PTA・サークルなど)

店舗ごとに法人を分けている飲食グループ・小売チェーンでは、代表者と住所が同じ法人はまとめて1社しか申請できない点を先に確認してください。

申請の単位と回数、12カ月制限

  • 交付申請期間中、1法人・1個人事業主あたり1申請のみです(みなし同一法人の考え方を適用)。インボイス枠の公募要領は、通常枠およびセキュリティ対策推進枠については、同じ期間中に申請して交付決定・交付を受けることは可能としています。ただし、通常枠とインボイス枠の併願は審査で減点の対象になります。オプション・役務などを二重に計上したと疑われると、交付決定の取消しや全額返還になる場合があります(インボイス枠の公募要領 3-3(2)②・【補足4】)
  • IT導入補助金2025の通常枠および複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、12カ月制限の対象です。交付決定日から12カ月以内は、2026の通常枠で申請できません
  • IT導入補助金2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、インボイス枠も12カ月制限の対象です。交付決定日から12カ月以内は、2026のインボイス枠(インボイス対応類型)でも申請できません

インボイス枠(インボイス対応類型)の対象外

インボイス枠の公募要領は、次の交付決定を受けた事業者を申請の対象外としています(2-1-2(4))。

  • IT導入補助金2022のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
  • IT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)・同(商流一括インボイス対応類型)
  • IT導入補助金2024・2025のインボイス枠

過去の補助金でレジや会計ソフトを導入した飲食店・小売店は、この対象外に当たる場合があります。インボイス枠を選べない場合は、通常枠を検討することになります。ただし通常枠にも12カ月制限などがあるため、再申請の対象外・減点一覧と通常枠とインボイス枠の選び方で先に確認してください。

事業者の規模は「主たる業種」で判定します

申請できる中小企業・小規模事業者等の範囲は、業種ごとの資本金または常時使用する従業員数で決まります(公募要領 2-1-1(1))。飲食店・小売店に関係する区分は次のとおりです。

業種分類定義(資本金の額又は出資の総額、または常時使用する従業員数)
小売業5千万円以下の会社、または従業員50人以下の会社及び個人事業主
サービス業(ソフトウェア業又は情報処理サービス業、旅館業を除く)5千万円以下の会社、または従業員100人以下の会社及び個人事業主

業種の判定は、事業者の主たる業種に記載の従業員規模以下かどうかで行います。公募要領は、日本標準産業分類上のコードの確認先として、総務省統計局(e-Stat)の分類ページを示しています。自社がどの業種分類に当たるかは、公募要領の定義と、e-Statの分類で確認してください。

小規模事業者(インボイス枠で補助率が上がる区分)の定義は、「商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)」が常時使用する従業員5人以下です。「常時使用する従業員」は、労働基準法第20条の「予め解雇の予告を必要とする者」を指し、会社役員と個人事業主は含みません。小規模事業者として申請する場合は、実績報告時に指定様式の「従業員一覧」の提出が求められます。

通常枠:飲食・小売で使える機能とプロセスの数え方

通常枠では、飲食店・小売店の決済(POSレジ)・予約・在庫・会計・業種固有の機能が対象になり得ます。必要なプロセス数(ソフトが持つ業務機能の分類の数)は、補助額によって次のように変わります(公募要領 2-3)。

補助額必要なプロセス数
5万円〜150万円未満1プロセス以上
150万円〜450万円以下4プロセス以上

プロセスは、共通プロセス(共P-01〜共P-05)、業種固有プロセス(各業種P-06)、汎用プロセス(汎P-07)の7種類です。別紙2が挙げている機能例のうち、飲食店・小売店に関係するものを原文の表記で整理します。

プロセス飲食・小売に関係する機能例(別紙2の原文)
共P-01 顧客対応・販売支援予約受付台帳(店舗側で予約を管理する機能)、CRM(顧客購買履歴及び対応履歴の全社共有・顧客分析・販促・アフターケア機能)
共P-02 決済・債権債務・資金回収決済(POSレジ、券売機システム、多通貨対応)、発注・仕入管理、買掛・支払管理、受注・売上請求管理、採算管理(売上分析、粗利管理)
共P-03 供給・在庫・物流ロケーション管理、入出庫管理、実地棚卸管理、検品受入、在庫分析、在庫基準
共P-04 会計・財務・経営仕訳、各種出納帳、総勘定元帳、残高試算表、財務三表、経費精算(仕訳機能や会計ソフトへの連携機能がなく、費目と金額を入力・表示するだけのものは対象外)
共P-05 総務・人事・給与・労務…出退勤申請・管理、シフト作成、給与計算など(詳しくは勤怠管理・給与計算ソフトの記事)
飲P-06 飲食業テーブル管理(注文履歴、配席・配膳状況、来店履歴、客層分析)、飲食店舗向けレシピ・メニュー管理(調理工程)、食材棚卸・店間移動・廃棄管理、複数店舗対応・FC管理、セルフオーダーシステム、オーダーエントリーシステム、店舗改善業務管理
小P-06 小売業MD支援(売れ筋商品分析、棚割管理、販促予測・商品タグツール・販促品作成管理)、賞味期限管理、検品・破棄管理、品質管理、標準商品規格書、クレジット・ローンシミュレーション、FC・代理店・販売店管理

数え方のポイント

  • 1つのソフトが複数の機能を持っていても、プロセス数は「どのプロセスに分類されるか」で数えます。たとえばPOSレジ(決済)と在庫管理(入出庫・棚卸)の機能を持つ製品は、共P-02と共P-03にまたがる登録なら2プロセスです。どのプロセスで登録されているかは、公式のITツール検索で確認できます
  • 150万円未満で申請する場合は、1プロセス以上の要件で足ります
  • 150万円以上で申請する場合は、4プロセス以上と賃上げ要件が必須です(IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けたことがある事業者は、150万円未満でも賃上げ要件が必須です。保険医療機関・保険薬局などの適用外の事業者は除きます。後述)。7次締切(2026年12月1日)からは、賃上げ要件に、1年後に1人当たり給与支給総額を3%以上(交付決定歴のある事業者は3.5%以上)向上させる要件が加わります(未達でも返還は求めないとされています)。飲食店・小売店では、POSレジ(共P-02)、在庫管理(共P-03)、会計(共P-04)、業種固有(飲P-06/小P-06)の組み合わせが現実的な構成になります。ただし、組み合わせの可否は登録内容で決まります
  • 予約管理は、店舗側の管理機能が対象です。お客さまが使う予約画面の新規制作費用はスクラッチ開発に当たり、対象外です(顧客側・店舗側の機能の切り分けができない場合は、顧客側機能も対象になります)

通常枠にハードウェアの区分はありません

通常枠の補助対象は、大分類Ⅰ「ソフトウェア」、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」の3つです。POS専用機、レジ用のタブレット、券売機、プリンターなどの機器は、通常枠の補助対象に含まれていません。通常枠でPOSレジのソフトを導入し、機器を自己負担で購入する、という組み立てになります。

別紙2では、カメラ等で得たデータを分析するAIトラッキング機能や、無人受付システム・順番発券機システムなどに注意点が付いています。「ソフトウェアのみが対象であり、ハードウェア部分は対象外」「ソフトウェアとハードウェアが一体で切り分けが困難な場合も対象外」というものです。店頭に設置する機器と一体の製品は、この点を導入前に確認してください。

補助率の2/3の条件

通常枠の補助率は1/2以内です。7次締切(2026年12月1日)からの公募要領(第7回公募以降・2026年10月9日公開)は、次の条件を満たす場合に2/3以内とする旨を定めています(原文)。

令和7年10月から令和8年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上~令和8年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、2/3以内

受付を終了した6次締切(2026年10月30日)までの公募要領では、期間と基準が次のとおりでした(原文)。

令和6年10月から令和7年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上~令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、2/3以内

この2/3は、賃上げ要件を満たしたかどうかとは関係なく、最低賃金に近い水準で働く従業員の割合で決まる措置です。パート・アルバイトの多い飲食店・小売店で当てはまるかは、賃金台帳で月ごとの従業員の割合を確認してください。

インボイス枠:レジ・券売機が対象になる

インボイス枠の補助額と補助率の図解。主な項目:ソフト(1機能):〜50万円、補助率3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、ソフト(2機能以上):〜350万円。50万円超の部分は2/3以内、レジ・券売機(カテゴリー9):〜20万円、補助率1/2以内、PC・タブレット等:〜10万円、補助率1/2以内(レジ用途は不可)
図解:インボイス枠の補助額と補助率で押さえたいポイント

インボイス枠(インボイス対応類型)では、POSレジ・会計・発注などのソフトに加えて、レジ・券売機(上限20万円)とPC・タブレット等(上限10万円)の機器費用も対象になります。補助対象ソフトは、公募要領2-2(3)で次のとおり定められています。

カテゴリー1(ソフトウェア)に区分されるもののうち、インボイス制度に対応しており、かつ「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含む必要がある

POSレジ、会計ソフト、発注・仕入管理のソフトなどが、この要件に当たり得ます。補助額と補助率は次のとおりです(公募要領 2-3)。

項目補助額補助率
ソフト購入費・導入関連費(会計・受発注・決済のうち1機能)〜50万円3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
ソフト購入費・導入関連費(会計・受発注・決済のうち2機能以上)〜350万円補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、補助額50万円超の部分は2/3以内
PC・タブレット等〜10万円1/2以内
レジ・券売機〜20万円1/2以内

なお、役務(導入設定、研修、保守サポートなど)の補助対象経費は200万円が上限です。オプション・役務・ハードウェアは、ソフトとあわせて交付申請する場合に限られます。ハードウェアだけを単独で申請することはできません(公募要領 2-2(3)(イ))。

POSレジ・券売機(カテゴリー9)の条件

POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機の機器費用が対象になるのは、次の条件を満たす場合です(公募要領 2-2【補足2】)。

  1. 「決済」機能を持つカテゴリー1(ソフトウェア)で登録されたPOSレジシステムをインストールして使う、POS専用機、PC・タブレット(モバイルPOSレジとして使う汎用機器)、券売機であること。会計・受発注のみの機能では、この機器費用の要件を満たしません
  2. IT導入支援事業者があらかじめPOSレジとして登録したパッケージの中から選ぶこと。カテゴリー9はITツール登録が必要です
  3. 付属品は、次の8つに限って対象です:(a)キャッシュドロワ、(b)カスタマーディスプレイ、(c)レシートプリンタ、(d)自動釣銭機、(e)カードリーダ、(f)バーコード・QRコードリーダ、(g)Wi-Fiルータ、(h)運搬費。設定費用は、機器ではなく役務として登録されるものです
  4. 価格に経済的合理性があり、市場価格を逸脱していないこと。事務局から説明を求められた場合は追加資料で説明します

公募要領は、交付決定後であっても、価格や用途に疑義が生じて事務局が不適当と判断した場合の措置を定めています。交付決定の全部または一部の取消しや、補助対象外とする措置を取る可能性があるとしています。

PC・タブレット・プリンター等(カテゴリー8)の条件

事務作業用のPC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機は、次の条件で対象です(公募要領 2-2【補足2】)。

  • 「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を持つカテゴリー1(ソフトウェア)とあわせて導入する場合に限る
  • ソフトの購入先として選んだIT導入支援事業者から購入する場合に限る
  • レジ以外の用途で使うものが対象。レジの用途として導入する場合は、カテゴリー9からPOSレジ・モバイルPOSレジを選ぶ決まりです

レジとして使うタブレットを、10万円の枠で買うことはできません。レジとして使うなら、20万円の枠(カテゴリー9)の条件で申請します。

試算例:補助額の計算の仕方

以下は、公募要領の補助率・上限額の計算の仕方を示すための仮の金額での例です(実際の補助額は、登録された製品の価格・機能数・事業者の区分で変わります)。

仮定計算
小規模事業者の飲食店が、決済機能1つのPOSレジソフト(補助対象経費40万円)を導入補助額50万円以下の部分の補助率は4/5以内のため、40万円×4/5=32万円が上限の目安
同じ店が、POSレジ用の機器(補助対象経費60万円)をカテゴリー9で導入補助率は1/2以内で60万円×1/2=30万円ですが、上限は20万円のため20万円が上限
小規模事業者に当たらない小売店が、会計と受発注の2機能を持つソフト(補助対象経費100万円)を導入3/4以内が使えるのは補助額50万円までなので、経費約66.7万円分×3/4=50万円。残りの経費約33.3万円分は2/3以内で約22.2万円。合計約72.2万円が上限の目安(経費50万円で区切る計算ではありません)

公募要領は、補助金は事務局から補助事業者に直接支払うとしています。補助額は補助対象経費に補助率を乗じた額の合計で、自己負担となる残りの費用は事業者が支払います。

補助対象外になる費用

リース・レンタル契約のITツール、中古品、交付決定前に購入したITツールなどは補助対象外です。公募要領は、次の費用を補助対象外としています(インボイス枠の公募要領 2-2(4))。

  • 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの
  • 交通費、宿泊費
  • 補助金申請・報告にかかる申請代行費
  • 公租公課(消費税)
  • 交付申請時にITツールの利用金額が定められないもの
  • 対外的に無償で提供されているもの(ITツール登録が認められたものを除く)
  • リース・レンタル契約のITツール
  • 中古品
  • 交付決定前に購入したITツール

飲食店・小売店で対象外になる例が起きやすいのは、レジやタブレットのリース契約と、中古品の購入です。もう1つ多いのが、すでに店に入れているレジの買い替え費用を、交付決定前に支払ってしまうことです。

加点項目と、レジを選ぶ際の注意

インボイス枠の審査では、「スマートレジ」と「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の選定が加点項目に含まれています(公募要領 3-3)。

  • 導入するITツールとして「スマートレジ」を選定していること(第3回公募回より加点)。POSレジ・券売機のカテゴリー9を導入する場合は、カテゴリー1(ソフト)とカテゴリー9の双方が「スマートレジ」として登録されている場合に加点の対象になる
  • 導入するITツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること

加点項目の全体像は加点項目一覧で整理しています。賃上げの取組みは、原則として加点として扱われます。ただし、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けたことがある事業者は、通常枠は150万円未満でも、インボイス枠でも、賃金引上げ計画が申請要件(必須)です。1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の計画を策定し、従業員に表明する必要があります(通常枠 2-1-1(テ)、インボイス枠 2-1-1(ツ))。なお、保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校などは適用外です。通常枠の補助額150万円以上の賃上げ要件も、同じく適用外になります(通常枠 2-1-1(2)(ニ)、インボイス枠 2-1-1(2)(テ))。保険薬局を営む小売店は、公募要領の適用外の規定に当てはまるかを確認してください。詳しくは賃上げ要件の記事で確認してください。

飲食店・小売店で枠を選ぶ目安

レジ本体・券売機などの機器まで補助対象にしたいならインボイス枠、在庫・発注・予約などの機能を広くそろえたいなら通常枠が目安です。状況別の検討の方向は次のとおりです。

状況検討の方向
レジ本体・券売機・付属機器もまとめて入れたいインボイス枠(カテゴリー9)。機器の上限は20万円で、ソフトとあわせた申請が前提
在庫・発注・予約・業種固有の管理を広くそろえたい(機器は自己負担でよい)通常枠。プロセス数と、補助額150万円以上の場合の賃上げ要件を先に確認
過去にインボイス枠などで交付決定を受けているインボイス枠は対象外の場合あり。通常枠の12カ月制限などを確認
会計・経理ソフトを入れ替えたい「会計」機能として、どちらの枠でも対象になり得る(登録の確認が前提)

枠の考え方の全体像は通常枠とインボイス枠の選び方にまとめています。

申請を検討するときの確認手順

申請を検討するときの確認手順の図解。主な項目:申請できる事業者か確認する(みなし同一法人・12カ月制限)、使う枠を決める(機器ならインボイス枠、機能を広くなら通常枠)、ITツール検索で、製品の登録と「決済」機能の有無を確認する、交付決定前に発注・契約・支払いをしない
図解:申請を検討するときの確認手順で押さえたいポイント

申請を検討するときは、申請できる事業者かの確認から始め、枠と製品、補助額を決めてから発注に進みます。順番は次のとおりです。

  1. 申請できる事業者か確認する(対象外の事業者・12カ月制限。複数店舗を別法人で運営している場合は「みなし同一法人」も)。GビズIDプライムの取得、SECURITY ACTION(一つ星または二つ星)の宣言も申請要件です。申請直近月の事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であることも求められます(公募要領 2-1-1)。GビズIDプライムの発行まで、事務局は「おおむね2週間」と案内しています。GビズIDの公式サイトでは書類申請は最大1か月のため、書類郵送申請になる場合は1か月を見込んで早めに手続きしてください
  2. 使う枠を決める:レジ・機器まで補助対象にしたいならインボイス枠、機能を広くそろえるなら通常枠
  3. 公式のITツール検索で、導入したい製品が登録済みか確認する。POSレジは「決済」機能を持つか、機器をカテゴリー9として登録しているかも確認します
  4. 補助額が150万円未満か以上かを決める(通常枠)。以上なら4プロセス以上と賃上げ要件が必須です。過去にIT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、150万円未満でも賃上げ要件が必須です(いずれも、保険医療機関・保険薬局などの適用外の事業者を除く)
  5. 交付決定前に発注・契約・支払いをしない(交付決定前に購入したITツールは補助対象外)
  6. 見積書に申請代行費や、登録外の費用、リース契約が混ざっていないか確認する

補助額の試算は見積シミュレーターが使えます。登録の有無や対象になるかの確認は、公式LINEでも受け付けています。当社は登録IT導入支援事業者として、デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠)の申請サポートを完全成功報酬で行っています。

実務で起きやすいつまずき

当社がご相談を受けるなかで、飲食店・小売店の導入で起きやすいつまずきは次の4つです。

  • 「レジも補助される」と聞いて、通常枠で申請しようとしていた。通常枠にはハードウェアの区分がなく、POS専用機やレジ用タブレットは対象外です。機器まで補助対象にしたいなら、インボイス枠の条件を確認します
  • レジ用のタブレットを、PC・タブレットの枠(上限10万円)で見積もっていた。レジの用途で導入する場合は、カテゴリー9のPOSレジとして登録されたパッケージから選ぶ決まりです
  • 予約システムの画面を、店の独自デザインで作ってもらおうとしていた。お客さまが使う予約画面の新規制作費用は、スクラッチ開発として対象外です。店舗側で予約を管理する機能が対象になります
  • レジの入れ替えを先に発注・支払いしていた。交付決定前に購入したITツールは補助対象外で、あとから補助対象に戻すことはできません

2026年10月29日公表:スマートレジ類型・POSレジ類型の新設

事務局は2026年10月29日、デジタル化・AI導入補助金2026に「スマートレジ類型」と「POSレジ類型」を新設すると案内しました。令和9年4月に予定されている飲食料品の消費税率変更と、将来の消費税率変更への対応を支援する類型です。公募要領は後日公開され、案内の内容は変更になる可能性があると明記されています。案内に書かれている要点は次のとおりです。

項目案内の内容(2026年10月29日版)
対象になる費用令和8年9月15日以降に実施した、スマートレジシステムの導入やPOSレジシステム等の導入・改修等の費用。契約日・発注日が2026年9月15日以降であることが必要
申請の時期・方法導入・改修と支払いを終えた後に申請する「事前着手制度」。2027年1月中旬以降に、申請者が単独で申請マイページを開設して申請(GビズIDプライムは必要)
補助額(中小企業・小規模事業者等)1機能:(下限なし)〜50万円、2機能以上:(下限なし)〜350万円。POSレジ等のハードウェアは〜20万円
補助率(中小企業・小規模事業者等)〜50万円部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超〜350万円部分は2/3以内。ハードウェアは1/2以内
中堅企業POSレジ類型の改修費用のみ対象(〜2,500万円・1/3以内)。スマートレジ類型は申請対象外
ハードウェア単独では申請できない。券売機はPOSレジ類型だけが対象

この類型を使えない事業者も、案内に書かれています。インボイス枠でレジを検討している場合は、次の2点を先に確認してください。

  • デジタル化・AI導入補助金2026で「スマートレジ」に該当するITツールの交付申請をした事業者は、スマートレジ類型に申請できません。POSレジ類型は、「スマートレジ」か「POSレジ」に該当するITツールの交付申請をした事業者が対象外です(いずれも不採択になった者を除く)
  • 2つの類型を合わせて、同じ事業者が申請できるのは1回だけです。同一事業者かどうかは、みなし同一法人の考え方で判定されます

この類型は、導入して支払いを終えてから申請する仕組みです。公募要領の公開を待たずに導入する場合は、案内に書かれた次の条件から外れないようにしてください。条件を満たさない導入は、後から申請しても補助の対象になりません。

  • レジのソフトウェアとハードウェアは、デジタル化・AI導入補助金2026に登録されたIT導入支援事業者から導入します。申請の時点でITツール登録が完了している必要があり、対象は1社(または1コンソーシアム)から導入支援を受けた経費だけです。導入コンサルティング・活用コンサルティング(カテゴリー5)は対象外です
  • 契約日・発注日と、ハードウェアの納品日は2026年9月15日以降である必要があります
  • 支払いは原則として銀行振込かクレジットカードの1回払いに限られます。現金払いや、分割払い・リボルビング払いは認められません。クレジットカードは、法人なら法人名義の口座から決済されるカード、個人事業主なら本人名義のカードで支払います
  • 改修費用は、契約先1件あたりの見積額が50万円(税抜き)以上なら、相見積もりを取るのが原則です
  • 先に導入しても、補助金の交付が保証されるわけではありません。公募要領の要件を満たさない場合は交付の対象外になると、案内に明記されています

インボイス枠でスマートレジを申請するか、新しい類型を使うかで、申請できる制度が変わります。公募要領が公開されたら、補助額・申請時期・対象外の規定を比べてから決めてください。

締切日と交付決定日(2026年10月5日確認)

デジタル化・AI導入補助金2026の次回締切は、7次の2026年12月1日(火)17:00です。6次は2026年10月30日(金)17:00で受付を終了しました。公式の事業スケジュールに公表されている締切回は次のとおりです(通常枠・インボイス枠〈インボイス対応類型〉とも同じ日程です)。

締切回締切日時交付決定日事業実施期間
6次締切分(受付終了)2026年10月30日(金)17:002026年12月10日(木)(予定)交付決定〜2027年5月31日(月)17:00(予定)

7次締切分の日程は、公式スケジュールの記載で締切日が2026年12月1日(火)17:00とされています。8次締切分(2027年1月7日(木)17:00締切、交付決定日2027年2月17日(水)予定、事業実施期間は交付決定〜2027年8月31日(火)17:00予定)は2026年10月29日に追加公表されました。公式スケジュールは「確定している募集回のスケジュールのみ公表」とされているため、9次以降の有無・日程は公式サイトで最新の情報を確認してください。締切日の17:00をもって、申請マイページから申請できなくなります。

よくある質問

Q. POSレジのタブレットやレシートプリンターも補助されますか?

インボイス枠(インボイス対応類型)なら対象になり得ます。条件は、「決済」機能を持つソフトで登録されたPOSレジシステムとして選ぶことです。その場合、機器と付属品(キャッシュドロワ、レシートプリンタ、カードリーダなど8項目)が、上限20万円・補助率1/2以内で対象になります。通常枠にはハードウェアの区分がなく、機器は対象外です。

Q. 食材の発注や在庫管理のソフトは対象ですか?

はい、登録済みのソフトなら通常枠の対象になり得ます。別紙2に、共P-02の「発注・仕入管理」、共P-03の「入出庫管理」「実地棚卸管理」、飲P-06の「食材棚卸・店間移動・廃棄管理」などが機能例として載っています。インボイス枠では「受発注」の機能を持つ登録ソフトであれば対象になり得ます。

Q. 予約管理ソフトは対象ですか?

通常枠では対象になり得ます。共P-01の「予約受付台帳」(店舗側の管理機能)が該当します。インボイス枠は会計・受発注・決済のいずれかの機能が要件のため、予約管理の機能だけのソフトは単独では要件を満たしません。

Q. フランチャイズ店舗でも申請できますか?

申請の単位は法人または個人事業主で、みなし同一法人に当たる場合は1社しか申請できません。加盟店が独立した法人であっても、代表者及び住所が同じ法人や、親会社が議決権の50パーセント超を持つ子会社などは、みなし同一法人に当たります。個別の判断は、事務局の公募要領と、IT導入支援事業者への確認が必要です。

Q. 家族で営む個人事業の店でも対象ですか?

はい、個人事業主は申請の対象です。小規模事業者の判定で「常時使用する従業員」に数えるのは、労働基準法第20条の「予め解雇の予告を必要とする者」で、事業主本人は含みません。

Q. すでに使っているレジの月額料金を補助してもらえますか?

いいえ、導入済みのソフトの利用料を、あとから補助対象にすることはできません。補助対象は、交付決定後に新たに導入するITツールの費用です。交付決定前に購入したITツールは補助対象外です。

Q. IT導入補助金2025で交付決定を受けましたが、今回申請できますか?

申請できるかは、2025年に交付決定を受けた枠と、交付決定日からの期間によって変わります。通常枠は、IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)の場合、交付決定日から12カ月以内は申請できません。インボイス枠には、次の交付決定を受けた事業者は申請できません。IT導入補助金2022・2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型。2023は商流一括インボイス対応類型も)と、2024・2025のインボイス枠です。2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた場合は、交付決定日から12カ月以内はインボイス枠にも申請できません。また、2022〜2025のいずれかで交付決定を受けた事業者は、通常枠・インボイス枠のどちらでも3.5%の賃金引上げ計画が申請要件です。保険医療機関・介護サービス事業者などの適用外の事業者は除きます。審査上の減点もあります。

まとめ

  • ソフトは通常枠・インボイス枠のどちらも対象になり得ます。一方、レジ・券売機(上限20万円)とPC・タブレット等(上限10万円)の機器はインボイス枠だけです
  • レジ用途の機器は、PC・タブレットの枠ではなく、カテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)から選びます。「決済」機能を持つPOSレジとして登録されたパッケージが前提です
  • 通常枠は、決済・予約・在庫・会計・飲食業・小売業の機能が別紙2に挙がっています。補助額150万円以上は4プロセス以上と賃上げ要件が必須です(賃上げ要件は、保険医療機関・保険薬局などの適用外の事業者を除く)
  • 申請前に、申請できない事業者(みなし同一法人・対象外・12カ月制限・過去の受給歴)でないか確認してください
  • 製品が対象かどうかは、公式のITツール検索で登録の有無を確認します

補助額の目安は見積シミュレーター、自社に合う制度は補助金かんたん診断で確認できます。対象経費の全体像はIT導入補助金の対象経費、IT導入支援事業者の選び方、制度全体はデジタル化・AI導入補助金2026ガイドをご覧ください。デジタル化・AI導入補助金のご質問は公式LINEでも受け付けています。

参考(一次情報)

※本記事は2026年10月5日時点(一部は2026年10月12日時点)で確認した公募要領・公式サイトの原文にもとづいています。製品が補助対象かどうかは、ITツール検索の登録情報と事務局の判断によります。制度内容・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。