会計ソフトや予約システム、POSレジなどのITツール導入で使える定番の補助金「IT導入補助金」は、2026年から「デジタル化・AI導入補助金」に名前を変えて続いています(正式名称:中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)。

「何が変わったの?」「いくらもらえるの?」「いつまでに申請?」——この記事1本で全体像がつかめるよう、公式情報にもとづいて整理しました。

まず要点を3行で:

  • 中小企業・個人事業主のITツール導入費用を最大450万円まで補助(枠により補助率1/2〜4/5)
  • 会計ソフト+パソコン・レジをまとめて入れるならインボイス枠が高補助率(ソフトは最大4/5)
  • 申請にはGビズIDプライム(発行約2週間)が必須。執筆時点で公表されている次回締切は2026年8月25日17:00(4次締切分)

自社のケースでいくらになるかは、30秒でわかる補助額の見積もりシミュレーターで無料試算できます。

デジタル化・AI導入補助金とは?(旧IT導入補助金)

デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツール(ソフトウェア・クラウドサービス等)を導入する費用の一部を国が補助する制度です。中小企業庁・中小企業基盤整備機構の監督のもとで事務局が運営されています。

2025年までは「IT導入補助金」の名称で実施されてきた、累計利用者の多い定番制度です。2026年から名称に「AI」が加わりましたが、生成AI専用の特別枠ができたわけではありません。制度の骨格(登録済みITツールの導入を補助する仕組み)は従来どおりで、複数者連携枠の対象例にAIカメラ・センサー・需要予測システム等のAI活用が明示されるなどの位置づけです。「AI枠がある」と誤解を招く解説も見かけるため注意してください。

5つの申請枠と補助額・補助率【比較表】

申請枠補助率補助額主な用途
通常枠1/2以内(特例2/3)5万〜450万円業務システム全般の導入
インボイス枠(インボイス対応類型)ソフト3/4〜4/5、ハード1/2ソフト〜350万円、PC等10万円・レジ20万円まで会計・受発注・決済ソフト+PC・レジ
インボイス枠(電子取引類型)中小2/3(その他1/2)〜350万円取引先に使ってもらうクラウド受発注システム
セキュリティ対策推進枠小規模2/3・中小1/25万〜150万円サイバーセキュリティお助け隊サービス(最大2年分)
複数者連携デジタル化・AI導入枠3/4〜4/5ほかグループ全体で最大3,000万円商店街・組合等が連携する地域DX

各枠の細かい条件(通常枠は450万円申請に4プロセス以上必要、インボイス対応類型は50万円超部分の補助率が2/3に下がる等)があるため、正確な金額は公式サイト見積もりシミュレーターで確認してください。

どの枠を選べばいい?

実務でご相談の大半を占めるのは、次の2枠です。

  • 会計ソフト・受発注・レジ+パソコンをまとめて導入したい → インボイス枠(インボイス対応類型)。補助率が最も高く(ソフトは小規模事業者で4/5)、単独申請でPC・タブレット・レジも対象にできる枠です
  • 予約システム・生産管理・グループウェアなど業務システムを入れたい → 通常枠

このほか、取引先との受発注のクラウド化(電子取引類型)、セキュリティサービス単品の導入(セキュリティ対策推進枠)、商店街・組合ぐるみの地域DX(複数者連携枠)という専用の枠もあります。なお、当社の申請サポートは通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を対象としており、本記事の解説もこの2枠を中心に進めます。インボイス枠の詳細は完全解説、経費の線引きは対象経費の解説にまとめています。

実務メモ:ハードウェアだけの申請はできません
「補助金でパソコンだけ買いたい」というご相談は非常に多いのですが、ハードウェアはあくまでソフトとセットで、その利用に必要な範囲が対象です(インボイス対応類型のみ)。ここは審査以前の門前払いポイントなので最初に押さえましょう。

対象者:個人事業主もOK

中小企業(業種ごとの資本金・従業員数基準のどちらか一方を満たせば対象。例:小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下)と、小規模事業者(商業・サービス業〈宿泊業・娯楽業を除く〉は従業員5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業は20人以下、製造業その他は20人以下)が対象で、個人事業主も申請できます。医療法人・社会福祉法人等も従業員基準で対象になります。

対象になる経費

  • ソフトウェア購入費・クラウド利用料(クラウドは最大2年分)
  • オプション:機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ強化
  • 役務(サービス):導入コンサルティング、導入設定、研修、保守サポート
  • ハードウェア(インボイス対応類型。商店街等の複数者連携枠でも同内容で対象):PC・タブレット・プリンター等(補助上限10万円)、POSレジ・券売機等(同20万円)※いずれも補助率1/2以内

一方、対象外の主な経費(公募要領より)も押さえておきましょう:リース・レンタル契約のITツール(お助け隊サービスを除く)、中古品、交付決定前に購入したもの、消費税、補助金の申請代行費などは対象外です。

重要な前提として、対象になるのは事務局に登録済みのITツールだけです。どんなソフトでも良いわけではなく、「IT導入支援事業者」が登録したツールから選ぶ仕組みです。

いくらもらえる?シミュレーション例

例:従業員4人の小売店が、クラウド会計ソフト(2年分50万円)とパソコン(15万円)を導入する場合(インボイス対応類型)

  1. ソフト50万円 → 小規模事業者なので補助率4/5 = 40万円補助
  2. パソコン15万円 → 補助率1/2(上限10万円)= 7.5万円補助
  3. 合計65万円の投資に対して47.5万円が補助され、実質負担は17.5万円

※金額・補助率が公募要領の条件に合うかは個別確認が必要です。自社のツール構成での試算は見積もりシミュレーター(無料・30秒)をどうぞ。

2026年のスケジュール【公開分の一覧】

2026年度は、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠で6次までの募集回が公表されています(複数者連携枠は3次まで)。執筆時点(2026年8月7日)の日程は次のとおりです。

募集回(通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠)締切交付決定(予定)実績報告期限(予定)
1次〜3次受付終了
4次(現在受付中)2026年8月25日(火)2026年10月7日(水)2027年3月31日(水)
5次2026年9月29日(火)2026年11月9日(月)2027年4月30日(金)
6次2026年10月30日(金)2026年12月10日(木)2027年5月31日(月)
  • 複数者連携枠は2次締切分が2026年8月25日(火)で受付中、3次(現時点の最終公表分)は締切2026年10月30日(金)です
  • 事業実施期間は交付決定日から実績報告期限までです(4次採択なら実質約6ヶ月)
  • 締切は当日17:00で受付終了(超過は理由を問わず不可)のため、2〜3日前までの提出がおすすめです

日程は「確定分のみ公表・随時更新」方式で、現時点の公表は6次までです(7次以降の有無は未発表)。最新は公式スケジュールページでご確認ください。申請手順・必要書類・逆算プランは申請方法とスケジュールの詳細記事にまとめました。

申請の流れ:他の補助金と違う「共同申請」方式

この補助金の最大の特徴は、「IT導入支援事業者」とパートナーを組んで共同申請することです(複数者連携枠を除く)。自社単独では申請できません。

  1. 公募要領を読む(制度の理解)
  2. GビズIDプライムの取得+SECURITY ACTION宣言(全枠共通の必須要件。宣言は★一つ星でOKで、二つ星が必須になる枠はありません。GビズIDは発行までおおむね2週間、SECURITY ACTIONの宣言済アカウントID発行は2〜3日)
  3. IT導入支援事業者と導入ツールを選ぶ(登録済みツールから選定)
  4. 交付申請(支援事業者から申請マイページの招待を受け、共同で作成・提出)
  5. 交付決定 → 導入開始(交付決定前の発注・契約は補助対象外。この鉄則は補助金申請の流れ5ステップで図解しています)

逆算すると、GビズID等の準備だけで約2〜3週間かかります。締切直前に思い立っても間に合わないため、導入を検討し始めた時点でSTEP2まで済ませておくのが実務の鉄則です。

採択率を上げる3つのポイント

審査には公募要領で公表されている「加点項目」(通常枠で15項目)があります。実務目線で効果的なものを挙げます。

  1. クラウド製品・インボイス制度対応製品を選ぶ(ツール選定だけで取れる加点)
  2. 無料で取れる「取り組み系」の加点を拾う:中小機構「IT戦略ナビwith」の実施、「省力化ナビ」で解決策PDFのダウンロード、第3回公募以降は「デジタル化セカンドオピニオン」(第三者とのオンライン面談)——いずれも費用をかけずに積める加点です。なおSECURITY ACTIONの★★二つ星が加点になるのはセキュリティ対策推進枠だけで、通常枠の申請要件は★一つ星で足ります
  3. 賃上げの事業計画は大きな加点ですが、2026年度は要件が引き上げられました(給与支給総額の年平均成長率3%以上+従業員への表明など)。未達成は18ヶ月間、他の中小企業庁系補助金の審査で大幅減点、虚偽は交付決定取消と明記されています。実現できる計画だけを出しましょう
実務でよくあるつまずき
①締切2週間前のご相談でGビズIDが間に合わない(毎年あります) ②「パソコンだけ欲しい」でハード単独申請不可を知らずに計画 ③使いたいソフトが登録ツールに入っておらず枠選びからやり直し——いずれも3週間前に動き始めていれば防げたものばかりです。

2025年度からどう変わった?加点・減点の変更点

公募要領(2025年度・2026年度の通常枠)を突き合わせると、変更点は明確です。

項目IT導入補助金2025デジタル化・AI導入補助金2026
地域経済牽引事業計画・地域未来牽引企業の加点あり廃止
デジタル化セカンドオピニオンの加点なし新設(第3回公募以降)
省力化ナビ活用の加点なし新設
賃上げ加点の給与総額成長率年平均1.5%以上3%以上に引き上げ(過去交付決定者は3.5%)+従業員への表明が要件化
減点の対象者過年度のインボイス関連枠の交付決定者などIT導入補助金2022〜2025の交付決定者すべてに拡大
過去導入ソフトとのプロセス重複減点(完全一致は不採択)同様(対象が2024・2025交付決定分に更新)

ひとことで言うと、「初めて使う事業者に有利、リピーターに厳しく」という方向の改定です。過去に交付決定を受けた事業者にはさらに、

  • IT導入補助金2025の通常枠等で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12ヶ月以内は2026通常枠に申請不可
  • 労働生産性の向上要件が3%→4%以上に引き上げ
  • 補助金申請額150万円未満でも賃上げ目標が必須要件化

という条件が加わっています。2回目以降の申請は「前回と同じ感覚」で出すと減点や門前払いになり得るため、事前の戦略設計が重要です。

よくある質問

Q. 個人事業主でも申請できますか?

はい、対象です。中小企業・小規模事業者の基準(業種ごとの資本金・従業員数)を満たせば、法人・個人を問わず申請できます。

Q. パソコンやタブレットだけを補助金で買えますか?

できません。単独申請でハードウェアが対象になるのはインボイス枠(インボイス対応類型)で、ソフトの利用に必要な範囲に限られます(PC等は上限10万円・レジ等は上限20万円。レジ・券売機は「決済」機能を持つ登録済みPOSレジソフトとセットの場合限定です。商店街等の複数者連携枠にも同様の対象があります)。詳しくはインボイス枠の完全解説へ。

Q. ChatGPTなどの生成AIツールは対象になりますか?

「AI専用枠」はありません。生成AI関連のツールでも、事務局に登録され、業務プロセス要件を満たすITツールであれば対象になり得ますが、汎用ツール単体では申請できません。使いたいツールが対象かどうかはIT導入支援事業者への確認が確実です(LINEでの無料相談でもお調べします)。

Q. 補助金はいつもらえますか?

後払いです。交付決定後にツールを導入し、事業実績報告と検査を経てから入金されます。導入費用はいったん全額自己資金で支払う前提で資金計画を立ててください。

Q. 過去にIT導入補助金を使ったことがあっても申請できますか?

申請自体は可能ですが、2026年度は過去利用者への条件が明確に厳しくなりました。IT導入補助金2022〜2025の交付決定者は審査で減点され、同一機能(会計・受発注・決済)のツールならさらに減点、過去ソフトとプロセスが完全一致する場合は不採択です。IT導入補助金2025の通常枠等で交付決定を受けた方は12ヶ月間の申請制限もあります。2回目以降の申請は枠・ツール選びの設計が採否を分けるため、無料相談で個別にお答えしています。

まとめ

  • 旧IT導入補助金は2026年から「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更(AI専用枠はなし)
  • 5つの枠から選ぶ。会計ソフト+PC・レジなら高補助率のインボイス枠が本命
  • 個人事業主もOK。対象は登録済みITツールのみ
  • 受付中は4次(2026年8月25日締切)。これから準備を始めるなら5次(9月29日)照準が現実的です(申請方法と逆算プラン
  • 申請はIT導入支援事業者との共同方式。パートナー選びも成否を分けます

自社のケースでいくら補助されるか無料の見積もりシミュレーターで30秒で試算できます。「うちのツールは対象?」「どの枠がいい?」という個別相談は公式LINEへ。申請サポート実績800件以上の経験からご案内します。

参考(一次情報)

※本記事の加点・減点・要件は、公募要領PDF(通常枠:2026年5月15日更新版/IT導入補助金2025:最終改訂版)の原文を照合して作成しています。