「IT導入補助金2026」で検索される制度の正式名称は「デジタル化・AI導入補助金2026」です。中小企業・小規模事業者・個人事業主が、会計・受発注・予約・在庫管理などのITツールを導入する費用の一部を国が補助する制度で、通常枠の補助額は最大450万円です。

この記事は、公式情報と、2020年以降の補助金の採択実績800件以上の申請サポートで得た実務知見をもとにまとめました。申請の検討から入金後まで、判断が必要なことを順に整理しています。まず要点です。

  • 補助の対象は、事務局に登録済みのソフトウェア、クラウド利用料(最大2年分)、導入支援費などです。インボイス枠(インボイス対応類型)は補助額50万円以下の部分が最大4/5と全枠で最も手厚く、ソフトとセットのPC・レジも対象にできます
  • 未登録ツール、交付決定前の契約・購入、ハードウェアだけの申請、ホームページ制作費は補助されません
  • 審査があり、2026年の交付決定実績から計算すると、通常枠は申請の半数以上が不採択です(後述の採択率データ参照)。加点の積み上げが効きます
  • 過去の受給者には制限があります。2025年の通常枠・複数社連携IT導入枠の交付決定者は、通常枠に12カ月申請できません。複数社連携IT導入枠の交付決定者は、インボイス対応類型も同じです。インボイス対応類型には、過年度の交付決定歴による対象外規定もあります
  • 6次締切(2026年10月30日17:00)で受付を終了しました。これから準備を始める場合は7次締切(2026年12月1日)から逆算します。8次締切は2027年1月7日です

読み進める前に自社の状況を確認したい方は、再申請の対象外・減点一覧で申請資格を、見積もりシミュレーター(無料・30秒)で補助額の目安をチェックしてください。

IT導入補助金2026(デジタル化・AI導入補助金)とはの記事でわかる3つのこと:通常枠は最大450万円。4枠5区分の補助率と選び方、対象経費と、ハード単独・HP制作など対象外の線引き、採択率の実態と、申請から入金までの10ステップ
図解:IT導入補助金2026(デジタル化・AI導入補助金)とはで最初に押さえたい3つのポイント

デジタル化・AI導入補助金とは?(旧IT導入補助金)

デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツール(ソフトウェア・クラウドサービス等)を導入する費用の一部を国が補助する制度です。中小企業庁・中小企業基盤整備機構の監督のもとで事務局が運営されています。

2025年までは「IT導入補助金」の名称で実施されてきた、累計利用者の多い定番制度です。2026年から名称に「AI」が加わりました。この名称変更は誤解されやすいので、先に整理します。

  • 「AI専用枠」はありません。制度の骨格(登録済みITツールの導入を補助する仕組み)は従来どおりです
  • 「AIツールだから有利」という加点もありません。生成AI関連ツールも、登録済みで業務プロセス要件を満たせば、通常のITツールとして対象になり得るという位置づけです
  • 複数者連携枠の対象例には、AIカメラ・センサー・需要予測システム等のAI活用が明示されています。「AIも正面から対象に含む」ことを名称で明確にした改定と理解するのが正確です

検索結果には「AI枠新設」「AI優先」といった不正確な解説も残っています。公募要領に基づいて整理すると、ここまでの3点のとおりです。

4つの申請枠・5区分と補助額・補助率【比較表】

4つの申請枠と補助率・補助額の図解。主な項目:通常枠:補助率1/2以内、補助額5万〜450万円、インボイス対応類型:ソフトは最大4/5以内、PC等10万円・レジ20万円まで、電子取引類型:中小企業・小規模事業者等2/3以内、350万円まで、セキュリティ対策推進枠:小規模2/3以内・中小1/2以内、5万〜150万円
図解:4つの申請枠と補助率・補助額で押さえたいポイント

デジタル化・AI導入補助金は4つの申請枠で構成され、インボイス枠を2類型に分けると申請区分は5つです。補助率は通常枠が1/2以内で、インボイス対応類型のソフトは補助額50万円以下の部分が最大4/5以内です。5区分の補助率・補助額・主な用途を次の表にまとめました。

枠・類型補助率補助額主な用途
通常枠1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)5万〜450万円業務システム全般の導入
インボイス枠(インボイス対応類型)ソフト:補助額50万円以下部分は中小3/4以内・小規模4/5以内、50万円超部分2/3以内/ハード1/2以内ソフト〜350万円(会計・受発注・決済の1機能のみは上限50万円、2機能以上で350万円)、PC等10万円・レジ20万円まで会計・受発注・決済ソフト+PC・レジ
インボイス枠(電子取引類型)中小企業・小規模事業者等2/3以内(その他の事業者1/2以内)下限なし〜350万円取引先に使ってもらうクラウド受発注ソフト
セキュリティ対策推進枠小規模2/3以内・中小1/2以内5万〜150万円サイバーセキュリティお助け隊サービス(最大2年分)
複数者連携デジタル化・AI導入枠ソフト:1構成員あたり50万円まで3/4以内(小規模4/5以内)・50万円超〜350万円は2/3以内基盤導入経費+分析経費でグループ全体3,000万円まで商店街・組合等が連携する地域DX

通常枠の「最低賃金近傍の事業者」の特例(2/3以内)は、公募要領で「令和6年10月から令和7年9月までの間で、地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合」と定義されています。該当しそうな場合は追加様式が必要です。なお、7次以降の公募要領(2026年10月9日公開)では、期間が令和7年10月から令和8年9月まで、基準が令和8年度改定の地域別最低賃金に改められています。

どの枠を選べばいい?目的別の選び方

会計ソフト・レジ+パソコンならインボイス枠(インボイス対応類型)、予約・勤怠などの業務システムなら通常枠が基本の選び方です。実務でご相談の大半を占めるのも、この2枠です。ただし、過去の交付決定歴によっては対象外となるため、先に再申請の制限を確認してください。

  • 会計ソフト・受発注・レジ+パソコンをまとめて導入したい → インボイス枠(インボイス対応類型)。補助率が最も高く、単独申請でPC・タブレット・レジも対象にできる唯一の枠です
  • 予約システム・生産管理・勤怠管理・グループウェアなど業務システムを入れたい → 通常枠
  • 取引先との受発注をクラウド化したい(自社は発注側) → 電子取引類型。発注側の事業者(大企業含む)が導入し、受注側の中小企業等に無償でアカウントを発行して使ってもらえるクラウド型受発注ソフトが対象です
  • セキュリティサービスだけを導入したい → セキュリティ対策推進枠。IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービスのうち、ITツール登録されたものを単品で申請できます
  • 商店街・組合ぐるみで面的にデジタル化したい → 複数者連携枠。申請主体は商店街振興組合・商工会議所・商工会・事業協同組合などの商工団体等、まちづくり会社・DMO等、または複数の中小企業によるコンソーシアムです

なお、当社の申請サポートは通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を対象としており、この記事の解説もこの2枠を中心に進めます。インボイス枠の詳細はインボイス枠の解説、2枠の比較は通常枠とインボイス枠の選び方にまとめています。

実務メモ:ハードウェアだけの申請はできません
「補助金でパソコンだけ買いたい」というご相談は非常に多くあります。しかしハードウェアは、あくまでソフトとセットで、その利用に必要な範囲が対象です(インボイス対応類型のみ。レジ・券売機は「決済」機能を持つ登録済みPOSレジソフトとセットの場合限定)。また、インボイス対応類型のソフト補助上限350万円は「会計・受発注・決済」の2機能以上を持つソフトの場合で、1機能のみなら上限50万円です。審査より前に申請できるかどうかが決まる点なので、計画の最初に確認してください。

対象者:個人事業主も申請できる。対象外になる規定に注意

デジタル化・AI導入補助金の対象は中小企業と小規模事業者で、個人事業主も申請できます。中小企業は、業種ごとの資本金・従業員数基準のどちらか一方を満たせば対象です(例:小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下)。小規模事業者は、商業・サービス業〈宿泊業・娯楽業を除く〉は従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下です。医療法人・社会福祉法人等も従業員基準で対象になります。

一方で、規模基準を満たしていても対象外になる規定があります。

  • 過去の交付決定歴による対象外・申請制限:通常枠は、IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠の交付決定日から12カ月以内は申請できません(グループ構成員を含む)。2025年の複数社連携IT導入枠の交付決定者は、同じ12カ月の間、インボイス対応類型にも申請できません。インボイス対応類型は、IT導入補助金2022・2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型。2023は商流一括インボイス対応類型も含む)、IT導入補助金2024・2025のインボイス枠の交付決定者が対象外です
  • 大企業の関連会社等も対象外になり得ます。公募要領の対象者の章には、発行済株式の保有関係などにより大企業と一体とみなされる事業者(いわゆる「みなし大企業」)を対象外とする規定があります。大企業の子会社・関連会社の方は、申請前に公募要領の該当条件を必ず確認してください

対象になる経費・ならない経費

デジタル化・AI導入補助金の対象経費は、登録済みITツールのソフトウェア購入費・クラウド利用料と、オプション・役務です。インボイス対応類型などでは、一部のハードウェアも対象になります。

対象になる経費:

  • ソフトウェア購入費・クラウド利用料(クラウドは最大2年分)
  • オプション:機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ強化
  • 役務(サービス):導入コンサルティング、導入設定、研修、保守サポート
  • ハードウェア(インボイス対応類型。複数者連携枠でも同内容で対象):PC・タブレット・プリンター等(補助上限10万円)、POSレジ・券売機等(同20万円)※いずれも補助率1/2以内

対象外の主な経費(公募要領より):

  • リース・レンタル契約のITツール(お助け隊サービスを除く)
  • 中古品、交付決定前に購入したもの
  • 消費税、補助金の申請代行費
  • ホームページ・ECサイトの制作費(顧客向け画面の新規制作はスクラッチ開発として対象外と公募要領に明記されています)

「HP制作にIT導入補助金が使える」という古い解説にご注意ください。サイト制作なら小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費など別制度の土俵です。対象・対象外の線引きはIT導入補助金でホームページ・ECサイトは作れる?で詳しく説明しています。

重要な前提として、対象になるのは事務局に登録済みのITツールだけです。どんなソフトでも良いわけではなく、「IT導入支援事業者」が登録したツールから選ぶ仕組みです。詳細な線引きは対象経費の詳しい解説へ。

「プロセス要件」を理解する:補助額の上限を決める仕組み

通常枠の補助額の上限は、導入するITツールがいくつの業務プロセスをカバーするかで決まります。公募要領が定めるプロセスの区分は、次の表のとおりです。

区分プロセス
業務プロセス(共通)共P-01 顧客対応・販売支援
〃共P-02 決済・債権債務・資金回収
〃共P-03 供給・在庫・物流
〃共P-04 会計・財務・経営
〃共P-05 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務
業種特化型プロセス各業種P-06 業種固有プロセス
汎用プロセス汎P-07 汎用・自動化・分析ツール

ルールは2つです。

  • 補助額5万円以上150万円未満:共P-01〜各業種P-06のプロセスを1種類以上含むITツールが必要
  • 補助額150万円以上450万円以下:共P-01〜汎P-07のうち4種類以上を含むITツールが必要(さらに賃上げ目標が必須要件になります)

汎P-07(RPA・分析ツール等)だけのITツールは単独では申請できず、業務プロセスと組み合わせて初めて1プロセスと数えられます。

勤怠管理(出退勤・シフト作成)・給与計算・年末調整・人事評価などバックオフィス系のソフトは、共P-05に含まれます。そのため「労務まわりのソフトはIT導入補助金の対象になるの?」という疑問の答えは「対象になり得る」です。詳しくは勤怠管理・給与計算ソフトは対象になる?で解説しています。

いくらもらえる?補助額のシミュレーション3例

補助額は、対象経費に補助率を掛け、枠ごとの上限額の範囲で決まります。よくある3つのケースで試算します。

例1:従業員4人の小売店が、クラウド会計ソフト(2年分50万円)とパソコン(15万円)を導入(インボイス対応類型)

  1. ソフト50万円 → 小規模事業者なので補助率4/5 = 40万円補助
  2. パソコン15万円 → 補助率1/2(上限10万円)= 7.5万円補助
  3. 合計65万円の投資に対して47.5万円が補助され、実質負担は17.5万円

例2:美容室が予約管理・顧客管理ソフト(クラウド2年分90万円)を導入(通常枠・1プロセス以上)

  • 90万円 × 補助率1/2 = 45万円補助、実質負担45万円

例3:製造業が会計・在庫・給与などをカバーする統合業務システム(600万円)を導入(通常枠・4プロセス以上)

  • 600万円 × 補助率1/2 = 300万円 →上限450万円の範囲内なので300万円補助
  • ただし補助額150万円以上の申請は、4プロセス以上のツールであることに加えて、賃上げ目標の設定が必須要件です。未達の場合の返還リスクは賃上げ要件の解説を参照してください

※実際の金額・補助率が公募要領の条件に合うかは個別確認が必要です。自社のツール構成での試算は見積もりシミュレーター(無料・30秒)をどうぞ。

実際の採択率は?【2026年の公表データ】

デジタル化・AI導入補助金2026の採択率は、公表データから計算すると通常枠が約42〜44%、インボイス枠(インボイス対応類型)が約45〜55%です。事務局は「交付決定事業者一覧」ページで申請数と交付決定数を公表しています(2026年10月7日更新で4次締切分まで)。公表値から当社が計算した、締切回ごと・枠ごとの採択率は次のとおりです。

締切回(交付決定日)通常枠インボイス枠(インボイス対応類型)セキュリティ対策推進枠
1次(2026年6月18日)2,028件中891件(約43.9%)4,324件中2,027件(約46.9%)88件中64件(約72.7%)
2次(2026年7月23日)1,879件中819件(約43.6%)3,790件中2,096件(約55.3%)28件中20件(約71.4%)
3次(2026年9月2日)1,913件中807件(約42.2%)3,982件中1,781件(約44.7%)18件中13件(約72.2%)
4次(2026年10月7日)1,836件中816件(約44.4%)3,536件中1,610件(約45.5%)22件中16件(約72.7%)

※採択率は公式発表ではなく、公表された申請数・交付決定数からの当社算出値です。

この数字から分かるのは、通常枠は半数以上が不採択になる審査だということです。「要件を満たして出せば通る」制度ではないため、後半で紹介する加点対策まで含めて準備することをおすすめします。

2026年のスケジュール・締切【公開分の一覧】

公表済みの締切日と交付決定日の図解。主な項目:1次〜6次は受付終了。7次は2026年12月1日(火)17:00締切、7次の交付決定は2027年1月19日予定、8次は2027年1月7日(木)17:00締切、8次の交付決定は2027年2月17日予定。9次以降は未公表、契約・発注は交付決定の後。締切当日の17:00を過ぎると申請できない
図解:公表済みの締切日と交付決定日で押さえたいポイント

2026年度は、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠で8次までの募集回が公表されています(複数者連携枠は4次まで。8次は2026年10月29日に追加公表されました)。各募集回の締切・交付決定・実績報告期限は次の表のとおりです。

募集回(通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠)締切交付決定実績報告期限(予定)
1次(受付終了)2026年5月12日(火)17:002026年6月18日(木)2026年12月25日(金)
2次(受付終了)2026年6月15日(月)17:002026年7月23日(木)2027年1月29日(金)
3次(受付終了)2026年7月21日(火)17:002026年9月2日(水)2027年2月26日(金)
4次(受付終了)2026年8月25日(火)17:002026年10月7日(水)2027年3月31日(水)
5次(受付終了)2026年9月29日(火)17:002026年11月9日(月)(予定)2027年4月30日(金)
6次(受付終了)2026年10月30日(金)17:002026年12月10日(木)(予定)2027年5月31日(月)
7次(これから申請するならここ)2026年12月1日(火)17:002027年1月19日(火)(予定)2027年7月30日(金)
8次(2026年10月30日時点の最終公表分)2027年1月7日(木)17:002027年2月17日(水)(予定)2027年8月31日(火)
  • 複数者連携枠は3次の締切が2026年10月30日(金)、4次(2026年10月30日時点の最終公表分)の締切が2027年1月7日(木)です
  • 事業実施期間は交付決定日から実績報告期限までです(通常枠の公募要領では「交付決定日〜6ヶ月間程度」)
  • 締切は当日17:00で受付終了(超過は理由を問わず不可)のため、2〜3日前までの提出がおすすめです

日程は「確定分のみ公表・随時更新」方式です。8次は2026年10月29日に追加公表され、9次以降の有無は未発表です(2026年10月30日時点)。最新は公式スケジュールページと申請方法とスケジュールの詳細記事でご確認ください。

申請前の準備:取得に時間がかかるものから逆算する

デジタル化・AI導入補助金の申請には、締切直前に始めると間に合わない手続きが2つあります。GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTION宣言です。GビズIDプライムは、書類郵送申請だと発行まで最大1か月かかります。7次(12月1日)を狙うなら、未取得の方はマイナンバーカードを使うオンライン申請も検討し、ほかの準備より先に済ませてください。準備にかかる期間は次の表のとおりです。

準備所要期間の目安備考
GビズIDプライム取得オンライン申請は最短で即日(公式FAQの比較表では即日〜数日)、書類郵送申請は不備がない場合で最大1か月全枠共通の必須要件
SECURITY ACTION宣言宣言済アカウントID発行まで2〜3日★一つ星でOK。二つ星が必須になる枠はありません
必要書類の収集法人の履歴事項全部証明書・納税証明書は取得に数日〜次章参照

事務局は発行までを「おおむね2週間」と案内しています。ただしGビズIDの書類申請の審査期間は、2026年7月9日に最大2週間から最大1か月へ延びました(2026年10月12日確認)。書類郵送申請なら1か月を見込んでください。

必要書類:法人3種類・個人事業主4種類

デジタル化・AI導入補助金の交付申請に必要な基本書類は、法人が3種類、個人事業主が4種類です。公募要領では、これらの基本書類について「代替書類は一切認められない」と明記されています。

法人(3種類):

  1. 履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)
  2. 税務署発行の直近分の法人税の納税証明書(その1もしくはその2)
  3. 直近分の貸借対照表および損益計算書

個人事業主(4種類):

  1. 本人確認書類(有効期限内の運転免許証・運転経歴証明書、もしくは発行3カ月以内の住民票)
  2. 直近分の所得税の納税証明書(その1もしくはその2)
  3. 税務署が受領した直近分の確定申告書の控え
  4. 所得税の青色申告決算書または収支内訳書

個人事業主の確定申告書控えは「税務署の受領が確認できること」が条件です。受付番号・受付日時の印字、または受信通知の添付で確認でき、確認できない場合は納税証明書その2で代替します。細かい条件と、該当者だけに必要な追加様式は必要書類の詳しい解説にまとめています。

対象ITツール・IT導入支援事業者の探し方

「使いたいソフトが対象かどうか」は、公式のITツール・IT導入支援事業者検索で自分で調べられます。

  • 「ITツールを探す」「IT導入支援事業者を探す」の2つの検索があり、対応エリア(47都道府県)・ツール名・機能・申請枠で絞り込めます
  • 検索結果の一覧には、オプション・役務やPC・タブレット・プリンター等のハードウェアは表示されません
  • 使いたいソフトが見つからない場合、そのソフトはそもそも申請に使えません。類似の登録ツールを探すか、ベンダーに登録予定を確認することになります

パートナーになるIT導入支援事業者は、採択後の導入・実績報告まで並走する相手です。選び方の基準はIT導入支援事業者の選び方で解説しています(当社CAREARCも登録IT導入支援事業者です。申請番号ITP04-0002803)。

申請から入金までの全体像【10ステップ】

申請から入金までの流れの図解。主な項目:IT導入支援事業者と登録ツールを選び、共同で交付申請する、交付決定を待つ(決定前の発注・契約は禁止)、契約・納品・支払い(銀行振込かクレジットカード1回払い)、実績報告・確定検査・承認手続きを経て入金、その後は効果報告
図解:申請から入金までの流れで押さえたいポイント

デジタル化・AI導入補助金は、公募要領を読む段階から効果報告まで10ステップで進みます。最大の特徴は、「IT導入支援事業者」とパートナーを組んで共同申請することです(複数者連携枠を除く)。自社単独では申請できません。

  1. 公募要領を読む(制度の理解)
  2. GビズIDプライムの取得+SECURITY ACTION宣言(前章のリードタイム参照)
  3. IT導入支援事業者と導入ツールを選ぶ(登録済みツールから選定)
  4. 交付申請(支援事業者から申請マイページの招待を受け、共同で作成・提出)
  5. 交付決定(ここまでは発注・契約禁止)
  6. ITツールの契約・発注(公募要領上、事業実施の中で必ず最初に行う手続きです)
  7. 納品・導入 → 請求 → 支払い(支払いは原則、銀行振込かクレジットカード1回払いのみ。現金・手形は不可)
  8. 実績報告の作成・提出(導入したツールの利用開始まで完了していることが前提)
  9. 確定検査 → 補助金額の確定 → 申請マイページでSMS認証による承認 → 入金(承認手続きをしないと補助金は振り込まれません)
  10. 効果報告・アフターフォロー(導入後も生産性などの報告義務が続きます)

順序を間違えると補助金が出ません。特に「交付決定前の発注・契約」と「支払い方法の違反」は、確定検査で交付不能・交付決定取消しになり得る典型パターンです。例外として、2026年9月15日以降のスマートレジ導入・POSレジ改修等を事後に申請できる「事前着手制度」が予告されています(申請受付は2027年1月頃の予定。条件は後日公開の公募要領で確認してください)。交付決定後の実務は交付決定後の手順の解説で手順書レベルまで説明しています。

なお、補助金は後払いです。ツール代金はいったん全額自己資金で支払うため、入金までの資金計画を最初に立ててください。後払いの仕組みは補助金申請の流れ5ステップで図解しています。

採択率を上げる:加点対策と賃上げ要件の注意点

デジタル化・AI導入補助金の審査には、公募要領で公表されている「加点項目」(通常枠で15項目)があります。実務目線で効果的なものを3つ挙げます。15項目すべての取り方・項目ごとに違う期限・賃上げ加点の4類型は加点項目一覧で整理しています。

  1. クラウド製品・インボイス制度対応製品を選ぶ(ツール選定だけで取れる加点)
  2. 無料で取れる「取り組み系」の加点を拾う:中小機構「IT戦略ナビwith」の実施、「省力化ナビ」で解決策PDFのダウンロード、第3回公募以降の「デジタル化セカンドオピニオン」(第三者とのオンライン面談)です。通常枠では第6回公募以降、IT戦略ナビwithの代わりに中小機構の無料相談「IT経営サポートセンター」の利用でも同じ加点です(両方利用しても加点は一方のみ)。条件は、2026年8月1日以降の利用申込(申請と同じ法人名・住所・法人番号を入力)と、交付申請日以前かつ締切日の前月末日までの利用です。6次向けの期限(2026年9月30日)は過ぎたため、2026年10月12日時点で新たに使うなら7次(11月30日までの利用)が対象です。6次ならIT戦略ナビwith(交付申請前に実施)を使います。いずれも費用をかけずに積める加点です。なお、SECURITY ACTIONの★★二つ星が加点になるのはセキュリティ対策推進枠だけで、通常枠の申請要件は★一つ星で足ります
  3. 賃上げの事業計画は大きな加点ですが、2026年度は要件が引き上げられました。非常勤を含む全従業員の1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上+従業員への表明などが求められます(過去交付決定者は3.5%)

賃上げには「加点としての賃上げ」と「必須要件としての賃上げ」の2種類があり、未達のときのペナルティが違います。

  • 加点として賃上げを取って採択され、未達だった場合は、効果報告で未達が報告されてから18か月間、中小企業庁が所管する補助金の審査で大幅減点されます
  • 補助額150万円以上の申請は、交付決定歴の有無にかかわらず賃上げが必須要件です。150万円未満でも、IT導入補助金2022〜2025のいずれかで交付決定を受けている場合は必須要件になります。必須要件の未達は、補助金の全部または一部返還の対象です
  • 7次以降の公募要領(2026年10月9日公開)では、必須要件に「1年後に1人当たり給与支給総額を3%以上(過去の交付決定者は3.5%以上)向上」が加わります。ただし、1年後の目標は未達でも返還は求めないとされています(給与支給総額の返還は事業計画終了時点で判断)

虚偽は交付決定取消しの対象です。計画は実現できる内容だけにしてください。詳細は賃上げ加点と返還の解説へ。審査そのものの仕組み(書類不備の扱い・審査で見られる観点・唯一の自動不採択条件・不採択理由の開示ルール)は、不採択にならないための審査チェックにまとめています。

このほか通常枠では、翌事業年度以降3年間の事業計画で、労働生産性を1年後3%以上・年平均3%以上向上させる計画が求められます(過去の交付決定歴によっては4%以上)。労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 総労働時間」で計算します。計画の作り方は3年間の事業計画の解説にまとめました。

2025年度からどう変わった?加点・減点の変更点

2026年度は、賃上げ加点の要件引き上げと、過去の交付決定者への減点拡大が大きな変更点です。公募要領(2025年度・2026年度の通常枠)を突き合わせた結果を、次の表にまとめました。

項目IT導入補助金2025デジタル化・AI導入補助金2026
地域経済牽引事業計画・地域未来牽引企業の加点あり廃止
デジタル化セカンドオピニオンの加点なし新設(第3回公募以降)
省力化ナビ活用の加点なし新設
賃上げ加点の給与指標と成長率給与支給総額(総額)の年平均1.5%以上1人当たり給与支給総額の年平均3%以上へ変更・引き上げ(過去交付決定者は3.5%)+従業員への表明が要件化
減点の対象者過年度のインボイス関連枠の交付決定者などIT導入補助金2022〜2025の交付決定者すべてに拡大
過去導入ソフトとのプロセス重複減点(完全一致は不採択)同様(対象が2024・2025交付決定分に更新)

ひとことで言うと、「初めて使う事業者に有利、リピーターに厳しく」という方向の改定です。2回目以降の申請は「前回と同じ感覚」で出すと減点や門前払いになり得るため、再申請の対象外・12カ月制限・減点の一覧で事前確認してください。

他の補助金との使い分け

デジタル化・AI導入補助金が第一候補になるのは、業務ソフト・クラウドの導入です。「ITも設備も人も」という場合は、ほかの制度が向いていることもあります。当社が相談時に使う使い分けの目安を表にまとめました。

やりたいこと第一候補
業務ソフト・クラウドの導入デジタル化・AI導入補助金(本記事)
ホームページ・ECサイトの制作小規模事業者持続化補助金(ウェブサイト関連費)
券売機・配膳ロボット・製造設備など機械そのもの中小企業省力化投資補助金/新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
従業員の研修・リスキリング人材開発支援助成金(厚生労働省)

同じ経費を複数の補助金で重複してまかなうことはできません。一方で、対象経費が重ならない形で別制度と組み合わせる使い方は一般的です(個別の可否は各制度の公募要領でご確認ください)。制度の全体像は補助金とは?の入門記事へ。

よくある失敗5パターン

デジタル化・AI導入補助金で多い失敗は、準備の遅れと、交付決定前後の順序の誤りです。当社が申請サポートの現場で繰り返し見てきた、もったいないつまずきを5つ挙げます。

  1. 書類申請のGビズIDが締切に間に合わない(最大1か月かかる前提で最初に着手)
  2. 「パソコンだけ欲しい」と考え、ハード単独では申請できないことを知らずに計画する(インボイス対応類型でソフトとセットが原則)
  3. 使いたいソフトが登録ツールに入っておらず、枠選びからやり直しになる(公式検索で最初に確認)
  4. 採択の連絡を受けて、交付決定前に発注してしまう(補助対象外。取消しリスクも)
  5. 実績報告の準備不足(支払方法の違反・証憑の不備は確定検査で発覚します。クレジットカードは1回払いのみ、が典型的な見落とし)

よくある質問

Q. デジタル化・AI導入補助金は個人事業主も対象ですか?

はい、対象です。中小企業・小規模事業者の基準(業種ごとの資本金・従業員数)を満たせば、法人・個人を問わず申請できます。個人事業主は確定申告書の控えなど4種類の基本書類が必要です。

Q. パソコンやタブレットだけを補助金で買えますか?

いいえ、ハードウェアだけでは申請できません。単独申請でハードウェアが対象になるのはインボイス枠(インボイス対応類型)で、ソフトの利用に必要な範囲に限られます(PC等は上限10万円・レジ等は上限20万円。レジ・券売機は「決済」機能を持つ登録済みPOSレジソフトとセットの場合限定です)。詳しくはインボイス枠の解説へ。

Q. ホームページ制作に使えますか?

いいえ、使えません。2026年の公募要領では、顧客向け画面の新規制作(ホームページ・ECサイト制作)はスクラッチ開発として対象外と明記されています。サイト制作の補助を探している場合は、小規模事業者持続化補助金など別制度が候補です。

Q. ChatGPTなどの生成AIツールは対象になりますか?

事務局に登録され、業務プロセス要件を満たすITツールであれば、生成AI関連のツールも対象になり得ます。ただし、汎用ツール単体では申請できず、「AI専用枠」もありません。使いたいツールが対象かどうかは、IT導入支援事業者への確認が確実です(LINEでの無料相談でもお調べします)。ClaudeやChatGPTに使える制度を研修助成なども含めて比べたい場合は、Claude・ChatGPTの導入に使える補助金・助成金一覧をご覧ください。

Q. 採択率はどのくらいですか?

公表データから計算すると、2026年の通常枠は1次〜4次で約42〜44%、インボイス枠(インボイス対応類型)は約45〜55%です。採択率は公式発表ではなく、公表された申請数・交付決定数からの当社算出値です。半分前後は不採択になる審査だと考えて、加点対策まで準備するのが現実的です。

Q. 補助金はいつもらえますか?

後払いです。交付決定後にツールを導入し、事業実績報告と確定検査を経て、補助金額の確定後に申請マイページでの承認手続きを済ませてから入金されます。導入費用はいったん全額自己資金で支払う前提で資金計画を立ててください。

Q. 申請は自分でできますか?費用はかかりますか?

いいえ、自社単独では申請できず、IT導入支援事業者との共同申請が必須です。申請そのものに事務局へ払う手数料はありません(補助金の申請代行費は補助対象外経費です)。支援事業者は、採択後の導入・報告まで並走してもらえるかで選んでください。

Q. リースやレンタルで導入するITツールは対象になりますか?

いいえ、リース・レンタル契約のITツールは対象外です(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)。ソフトウェアの購入またはクラウド利用(最大2年分)が対象です。

Q. 過去にIT導入補助金を使ったことがあっても申請できますか?

申請できるかどうかは、枠と過去の交付決定歴によります。通常枠は、IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠の交付決定日から12カ月以内は申請対象外です。2025年の複数社連携IT導入枠の交付決定者は、同じ期間、インボイス対応類型にも申請できません。インボイス対応類型は、過去のデジタル化基盤導入類型など(2022・2023)、インボイス枠(2024・2025)の交付決定者が対象外です。該当しない過去交付決定者にも減点や生産性4%要件などの追加条件があるため、再申請の対象外・減点一覧で確認してください。

Q. 締切に間に合わなかったらどうなりますか?

締切(当日17:00)を過ぎた申請は理由を問わず受け付けられません。次の募集回に回すことになります。公表済みの残る締切は7次(2026年12月1日)・8次(2027年1月7日)です。6次以前は受付を終了しています。

まとめ

  • 旧IT導入補助金は2026年から「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更(AI専用枠・AI加点はなし)
  • 4枠・5区分から選ぶ。会計ソフト+PC・レジならインボイス枠(インボイス対応類型)、業務システムなら通常枠が候補
  • 個人事業主も申請できる。対象は登録済みITツールのみで、ハード単独・HP制作は対象外
  • 採択率は公表値から計算して通常枠およそ42〜44%。無料で積める加点から拾っていく
  • これから準備するなら7次(2026年12月1日締切)か8次(2027年1月7日締切)が目標(6次は2026年10月30日17:00で受付終了)。GビズID・SECURITY ACTION・必要書類の準備から先に動かす
  • 申請はIT導入支援事業者との共同方式。交付決定前の発注禁止など順序のルールを守れば、入金までは10ステップで見通せます

自社のケースでいくら補助されるかは無料の見積もりシミュレーターで30秒で試算できます。「うちのツールは対象?」「どの枠がいい?」という個別相談は公式LINEへ。2020年以降の補助金の採択実績800件以上の経験からご案内します。

参考(一次情報)

※本記事の金額・要件・採択データは、公募要領PDFと公式サイトの原文を2026年8月25日に照合して作成しました。採択データ・日程・GビズIDの発行期間・過去受給者の制限・7次以降の変更点などは2026年10月12日に再確認しています。