「このソフトは補助金の対象になる?」「パソコンは買える?」「クラウドの利用料は何年分まで?」——デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のご相談で、当社にもっとも多く寄せられるのが対象経費の質問です。

結論の全体像を先に示します。

  • 対象になる:事務局に登録されたITツールの「ソフトウェア費」「クラウド利用料(最大2年分)」「導入・活用支援などのサービス費」
  • 条件つきで対象:パソコン・タブレット・レジなどのハードウェア(インボイス枠で、ソフトとセットの場合のみ
  • 対象にならない:リース・レンタル、中古品、交付決定前に購入したもの、消費税、申請代行費など(公募要領で10項目が明記)

以下、公募要領(2026年5月15日更新版)の原文にもとづいて、枠ごとに整理します。制度全体のおさらいはデジタル化・AI導入補助金2026完全ガイドをどうぞ。

大前提:対象は「登録済みITツール」だけ

最初に押さえるべき最重要ルールはこれです。

どんなソフトでも申請できるわけではなく、事務局に事前登録されたITツールだけが対象です。ITツールは「IT導入支援事業者」が事務局に登録し、審査を経て公開されたもの。つまり「使いたいツールが決まっている」場合は、そのツールが登録されているか・どの支援事業者が扱っているかの確認が出発点になります。

登録の有無が分からない場合は、公式LINEでツール名をお送りいただければ当社で確認します。

枠ごとの対象経費【一覧表】

申請枠ソフトウェアクラウド利用料導入支援等の役務ハードウェア
通常枠○(最大2年分)×
インボイス枠(インボイス対応類型)○(会計・受発注・決済)○(最大2年分)○(条件つき)
インボイス枠(電子取引類型)×(クラウド利用料のみ対象)○(クラウド受発注ソフト・最大2年分)×
セキュリティ対策推進枠○(お助け隊サービス利用料・最大2年分)同左×
複数者連携枠○(とりまとめ費・専門家費も)○(条件つき)

通常枠の対象経費:ソフト+「導入を成功させる費用」まで入る

通常枠で対象になるのは、大きく3種類です。

  • ソフトウェア費:登録ITツールの購入費、またはクラウド利用料(最大2年分)
  • オプション費:機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ強化
  • 役務(サービス)費:導入コンサルティング、活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成、導入研修、保守サポート

意外と知られていないのが3つ目で、ツール代金だけでなく「導入設定や研修・保守などの人的サポート費用」も補助対象にできます。「ソフトは安いが初期設定と教育が高い」タイプの導入では、ここを含められるかで実質負担が大きく変わります。

ひとつ注意点があります。通常枠のITツールは、業務プロセス(共通プロセスまたは業種特化型プロセス)を1種類以上含むソフトであることが要件です。単なる自動化・分析ツールなど「汎用プロセスのみ」のツールは単体では申請できません。また補助額150万円以上を申請する場合は4プロセス以上が必要です。

パソコン・レジは「インボイス枠でソフトとセット」なら対象

ハードウェアを補助対象にできるのは、原則としてインボイス枠(インボイス対応類型)です(商店街などの複数者連携枠にも同様の対象があります)。

ハードウェア補助率補助上限
PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機1/2以内10万円
POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機1/2以内20万円

条件は2つ。①ソフトとセットであること(ハードウェア単独の申請は不可)、②そのソフトの使用に必要な範囲であることです。セットにするソフトの条件は機器の種類で異なります——パソコン・タブレット等は会計・受発注・決済いずれかのソフトとセットでよい一方、レジ・券売機は「決済」機能を持つ登録済みPOSレジソフトとセットの場合に限り対象です(2026年3月30日の公募要領改訂で厳格化)。「補助金でパソコンだけ買いたい」は制度上できません——これは当社への相談でも最頻出の誤解です。枠全体の仕組みはインボイス枠の完全解説をどうぞ。

対象外経費の一覧【公募要領の10項目】

公募要領(通常枠)には、対象外となる経費が10項目明記されています。Webページには載っていない情報なので、一覧で押さえておきましょう。

対象外経費実務での注意点
① 顧客が実質負担する費用を含むITツール転売・顧客転嫁型はNG
② 交通費・宿泊費導入支援に伴う出張費も対象外
③ 補助金の申請・報告に係る申請代行費申請サポート費用は補助対象にできない
④ 公租公課(消費税)補助額は税抜金額で計算する
⑤ 交付申請時に利用金額が定められないもの従量課金のみの契約は要注意
⑥ 対外的に無償提供されているもの無料プランは対象外
⑦ リース・レンタル契約のITツールお助け隊サービスのみ例外
⑧ 中古品中古PC・中古レジも不可
⑨ 交付決定前に購入したITツールフライング発注は一円も出ない
⑩ その他事務局が不適当と判断するもの迷ったら事前確認

特に⑨は要注意です。「採択されたから」と交付決定前に契約・支払いをすると、その経費は対象外になります。お金の動きの全体像は補助金申請の流れ5ステップで図解しています。

結局いくら補助される?

対象経費が把握できたら、次は金額です。たとえば従業員4人の小売店が、クラウド会計ソフト(2年分50万円)とパソコン(15万円)をインボイス対応類型で導入する場合、ソフト40万円(補助率4/5)+PC7.5万円(1/2)=47.5万円が補助され、実質負担17.5万円になります。補助率4/5は従業員5人以下の商業・サービス業など小規模事業者の場合で、それ以外の中小企業は3/4、50万円を超える部分は規模によらず2/3です。

自社のツール構成での試算は、無料の見積もりシミュレーター(30秒)でどうぞ。

よくある質問

Q. クラウド利用料は何年分まで対象ですか?

最大2年分です。3年目以降の利用料は自己負担になるため、ランニングコストを含めた資金計画を立てておきましょう。

Q. パソコンやタブレットだけを購入できますか?

できません。ハードウェアはインボイス枠(インボイス対応類型)でソフトとセットの場合のみ対象です。パソコン・タブレット等(上限10万円)は会計・受発注・決済いずれかのソフトとセット、レジ・券売機(上限20万円)は「決済」機能を持つ登録済みPOSレジソフトとセットの場合に限られます。

Q. 中古のパソコンやレジなら安く済むのですが、対象になりますか?

なりません。中古品は公募要領で対象外経費に明記されています。

Q. 導入後の保守サポート費用は対象になりますか?

通常枠では、登録ITツールに付随する保守サポート・導入研修などの役務費用も対象にできます。対象範囲はツールの登録内容によるため、IT導入支援事業者への確認が確実です。

Q. freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトは対象ですか?

主要な会計ソフトの多くはITツールとして登録されていますが、対象になるかはツール・プラン・支援事業者ごとの登録状況次第です。個別のツール名での確認は公式LINEで無料でお調べします。

まとめ

  • 対象は「事務局に登録されたITツール」のソフト費・クラウド利用料(最大2年分)・導入支援などの役務費
  • ハードウェアはインボイス枠でソフトとセットの場合のみ(PC10万円・レジ20万円まで)
  • リース・中古品・交付決定前の購入・消費税・申請代行費は対象外(全10項目)
  • 「このツールは対象?」「いくら補助される?」は見積もりシミュレーター公式LINEで無料確認できます

参考(一次情報)

※本記事は公募要領PDF・公式サイトの原文を照合して作成しています。個別の制度・ツールの最終判断は必ず最新の公募要領をご確認ください。