IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)では、データを集めて分析・可視化するBIツールは、登録済みの製品なら通常枠の補助対象になり得ます。一方、RPA・OCR・チャットボットは「汎用プロセス」に分類され、それだけでは申請できません。

この記事では、第7回公募(7次締切)からの公募要領の原文をもとに、業務の自動化とデータ分析のソフトの線引きを整理します。当社の主な対象である通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を中心に扱います。要点は次の5つです。

  • 通常枠:BI・分析ツールは「共P-05」の機能例です。1プロセスとして単独で申請できます
  • 通常枠:RPA・チャットボット・OCR・ペーパーレス化ツールは「汎P-07 汎用・自動化・分析ツール」です。汎P-07だけのソフトは単独では申請できません
  • RPAのシナリオ作成費は、ソフト代ではなく役務(カテゴリー6 導入設定・マニュアル作成・導入研修)として扱われます
  • インボイス枠(インボイス対応類型):対象は「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むソフトに限られます。RPA・OCR・BIだけでは対象になりません
  • 申請できない事業者がいます。通常枠は12カ月制限、インボイス枠は過去の交付決定歴などで、申請自体ができない場合があります(先に確認する)

補助額の目安は見積シミュレーター(無料)で、自社に合う制度は補助金かんたん診断で確認できます。

IT導入補助金でRPA・AI-OCR・チャットボット・BIツールは対象?の記事でわかる3つのこと:BI・分析ツールは共P-05として通常枠で単独でも対象になり得る、汎P-07のRPA・OCR・チャットボットは、単独では申請できない、インボイス枠は会計・受発注・決済が要件で、RPA・OCR・BIだけでは使えない
図解:IT導入補助金でRPA・AI-OCR・チャットボット・BIツールは対象?で最初に押さえたい3つのポイント

結論:BIは共P-05、RPA・OCR・チャットボットは汎P-07

自動化・分析のソフトは、通常枠の公募要領の別紙2で、2つのプロセスに分かれて載っています。補助対象は、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用です。登録されたソフトは、別紙2の「共P-01」〜「各業種P-06」のプロセスを1種類以上含む必要があります(公募要領 2-2(3)(ア))。

別紙2の機能例のうち、業務の自動化とデータ分析に関係するものは次のとおりです(機能例は原文の表記)。

Pコード機能例(原文)使い方の例単独での申請
共P-05BI、分析・解析専門ツール:データ抽出・加工、レポート、ダッシュボード、分析、共有売上・在庫・勤怠のデータをまとめ、ダッシュボードで見るできる
共P-05ビジネスアプリ作成ツール(ノーコード、ローコード)日報や点検表の業務アプリを社内で作るできる
汎P-07RPA、チャットボットシステム定型のパソコン作業の自動化、問い合わせの自動応答できない
汎P-07文書証憑管理ソフト、OCR、PDF、ペーパーレス化ツール紙の請求書・申込書を読み取ってデータにするできない
汎P-07文書作成ワープロソフト、表計算ソフト、簡易データベースソフト、プレゼンテーションツール、メールソフト文書・表計算・メールのソフトできない

BIについて、別紙2は「企業や組織が持つデータを収集・分析・可視化し、意思決定や戦略立案・需要予測に活用するものを対象とする」と注意点を付けています。

この一覧は機能の分類で、特定の製品が対象だという保証ではありません。製品が補助対象になるかは、IT導入支援事業者が事務局に登録し、審査を通ったかで決まります。同じ「AI-OCR」と呼ばれる製品でも、会計や経費精算の機能を持つ製品は別のプロセスで登録されていることがあります。登録状況とプロセスは、公式のITツール検索で確認します。

公募要領は、ITツールのソフトウェアに「AIを含む」と定めています(1-2)。そのうえで、AIの搭載有無を含む機能概要は、ITツール検索で確認できるとしています(2-2(2))。「AI搭載」をうたう製品かどうかより、どのプロセスで登録されているかが申請の可否を左右します。

先に確認:申請できない事業者・使えない枠

ソフトが対象でも、申請する側が対象外なら申請できません。製品を選ぶ前に、次の点を確認してください。

通常枠・インボイス枠に共通の対象外(公募要領 2-1-2)

通常枠の公募要領2-1-2は、次のいずれかに該当する事業者を申請の対象外としています(抜粋)。

  • 大企業が株式の2分の1以上を同一で所有している中小企業など、大企業との資本関係が深い事業者((1)①〜⑤)
  • 確定している直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者((1)⑥)
  • 親会社が議決権の50パーセント超を持つ子会社がある場合など、「みなし同一法人」は1社のみしか申請できません((2))
  • IT導入支援事業者(構成員を含む)として登録されている、または登録しようとする事業者((3))
  • 補助金交付等停止措置・指名停止措置を受けている事業者、風俗営業等を営む事業者(旅館業の許可を受けた一部を除く)、反社会的勢力に関係する事業者
  • 過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
  • 宗教法人、法人格のない任意団体(同窓会・PTA・サークルなど)、他の補助金等で不正行為等を行った事業者

ここでは主な項目を抜き出しています。全項目は公募要領2-1-2で確認してください。インボイス枠の公募要領2-1-2にも、同じ趣旨の項目があります。

インボイス枠(インボイス対応類型)の対象外

インボイス枠の公募要領2-1-2は、次の交付決定を受けた事業者を申請の対象外としています。

  • IT導入補助金2022のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
  • IT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)・同(商流一括インボイス対応類型)
  • IT導入補助金2024・2025のインボイス枠

IT導入補助金2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、交付決定日から12カ月以内は2026のインボイス枠(インボイス対応類型)で申請できません(インボイス枠の公募要領 3-2(4)(ア))。

申請の単位と回数、12カ月制限(通常枠)

  • 交付申請期間中、1法人・1個人事業主あたり1申請のみです(みなし同一法人の考え方を適用)。例外として、同じ期間中に受付中のインボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)とセキュリティ対策推進枠は、あわせて申請し、交付決定を受けることができます(公募要領 3-2(4))
  • IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、交付決定日から12カ月以内は2026の通常枠で申請できません
  • IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトのプロセスと、今回のソフトのプロセスが重複すると減点されます。プロセスが完全に一致する場合は不採択です(公募要領 3-3(2)②)。前回もBIや勤怠管理など共P-05のソフトを入れている場合は、特に確認してください
  • IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者全般も、減点の対象です。補助額150万円未満の申請でも、1人当たり給与支給総額を1年後と事業計画期間の年平均で3.5パーセント以上向上させる賃金引上げ計画の策定と、従業員への表明が要件になります(公募要領 2-1-1(テ))。事業計画終了時点で達成できない場合は、補助金の返還を求められる場合があります(賃上げ要件)。2022〜2025の交付決定で選んだソフトと同じ機能(会計・受発注・決済)を持つソフトを今回導入する場合は、さらに減点されます(公募要領 3-3(2)②)

組み合わせの確認は、再申請の対象外・減点一覧と通常枠とインボイス枠の選び方が役立ちます。

RPA・OCR・チャットボットは単独で申請できない(汎用プロセス)

RPA・OCRを申請するときの組み合わせの図解。主な項目:RPA(汎P-07)だけでは申請できない、OCRとチャットボットの組み合わせも申請できない、OCRは経費精算などと組み合わせて申請する、シナリオ作成費はカテゴリー6の役務として扱う
図解:RPA・OCRを申請するときの組み合わせで押さえたいポイント

RPAやAI-OCRだけを入れたい場合、そのソフトが汎P-07だけで登録されていると、通常枠に申請できません。公募要領は次のように定めています(2-2(3)(ア)の注記、原文)。

「汎用プロセス」のみを保有するITツールは、単独では交付申請不可だが、「共P-01」~「各業種P-06」と組み合わせて交付申請することで、1プロセスとしてカウントされ交付申請が可能となる。

汎用プロセスは「業種・業務に限定されず、業務プロセスと一緒に導入することで更に労働生産性を向上させるもの」と位置づけられています。自動化したい業務のソフトとあわせて申請を考えます。

組み合わせの例プロセス数の数え方申請の可否
RPA(汎P-07)だけ業務プロセスがない申請できない
AI-OCR(汎P-07)+チャットボット(汎P-07)業務プロセスがない申請できない
BIツール(共P-05)だけ1プロセス補助額150万円未満なら申請できる
経費精算(共P-04)+AI-OCR(汎P-07)2プロセス申請できる
受発注(共P-02)+在庫管理(共P-03)+BI(共P-05)+RPA(汎P-07)4プロセス150万円以上の申請も検討できる

汎P-07の機能を2つ組み合わせても、業務プロセスが入らなければ申請できません。プロセスの実際の数え方は、製品の登録内容で決まります。申請前にIT導入支援事業者に確認してください。

RPAのシナリオ作成費は「導入設定」の役務になる

RPAで費用がかさみやすいのは、ロボットに作業手順を覚えさせるシナリオ作成です。別紙2は、RPA・チャットボットについて次の注意点を付けています(原文)。

シナリオ作成費は、カテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)として登録申請すること。

カテゴリー6は大分類Ⅲ「役務」です。役務には、次の決まりがあります(公募要領 2-2(2))。

  • IT導入支援事業者がITツール登録の際に選んだカテゴリー1(ソフトウェア)と、対になっている役務を導入する場合に限って申請できます
  • 役務(導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート)の補助対象経費は、合計200万円が上限です
  • 申請要件として、導入するITツールに比べて役務費用の割合が著しく高額でないことが求められます(公募要領 2-1-1(2)(タ))。シナリオ作成費がソフトの費用を大きく上回る見積もりは、内訳をIT導入支援事業者に確認してください

RPA本体が補助対象にならない組み合わせでは、そのシナリオ作成費も申請できません。見積書では、シナリオ作成費がどのソフトと対の役務として登録されているかを確認してください。

AI-OCRは「読み取ったデータをどの業務で使うか」で考える

AI-OCRは、紙やPDFの帳票を読み取ってデータにするソフトです。別紙2では「文書証憑管理ソフト、OCR、PDF、ペーパーレス化ツール」として汎P-07に載っています。読み取ったデータを使う業務のソフトとあわせて申請するのが基本です。

たとえば請求書・領収書の読み取りなら、経費精算や会計のソフト(共P-04 会計・財務・経営)と組み合わせます。ただし経費精算について、別紙2は「仕訳機能や会計ソフトへの連携機能がなく、経費費目と金額を入力・表示するだけのものは対象外とする」と注意点を付けています。読み取り結果を表示するだけで仕訳や会計ソフトへの連携がないものは、共P-04の経費精算には当たりません。

チャットボットも汎P-07。問い合わせ対応のソフトと組み合わせる

社内の問い合わせでも顧客からの問い合わせでも、別紙2で「RPA、チャットボットシステム」は汎P-07の機能例です。顧客対応に使う場合は、顧客管理(CRM)などの共P-01のソフトとの組み合わせが考えられます。製品によっては別のプロセスで登録されていることもあるため、ITツール検索で確認してください。CRMの線引きはIT導入補助金で顧客管理(CRM)・営業支援(SFA)・MAツールは対象?で整理しています。

利用料が「問い合わせ件数」「処理件数」に応じて変わる従量課金の契約は、申請時に金額を確定できるかを確認してください。交付申請時に、ITツールの利用金額が定められないものは補助対象外です(公募要領 2-2(4)(オ))。

BIツールは共P-05として単独でも対象になり得る

BIツールは、補助額150万円未満なら単独で申請できる可能性があります。別紙2で「BI、分析・解析専門ツール」は共P-05の機能例で、業務プロセスに当たるためです。

分析の機能は、ほかのプロセスにも分かれて載っています。製品の分析機能が、どのプロセスで登録されているかで数え方が変わります。

Pコード分析に関わる機能例(原文)
共P-02 決済・債権債務・資金回収採算管理(売上分析、粗利管理)
共P-03 供給・在庫・物流在庫分析、在庫基準
共P-04 会計・財務・経営管理会計、経営分析
共P-05 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務BI、分析・解析専門ツール:データ抽出・加工、レポート、ダッシュボード、分析、共有

会計ソフトの経営分析画面と、BIツールのダッシュボードは、同じ「分析」でも別のプロセスです。IT導入補助金2024・2025で入れたソフトが会計(共P-04)だけなら、今回のBI(共P-05)とはPコードが異なります。ただし、前回のソフトが共P-05も持っていればプロセスの重複の減点に当たります。前回のソフトの登録プロセスを確認してください。2022〜2025に交付決定を受けたこと自体も、別の減点の対象です(公募要領 3-3(2)②)。

インボイス枠:RPA・OCR・BIだけでは対象外

インボイス枠(インボイス対応類型)は、RPA・OCR・BI・チャットボットだけのソフトでは使えません。補助対象のソフトは、公募要領2-2(3)(ア)で次のとおり定められています。

カテゴリー1(ソフトウェア)に区分されるもののうち、インボイス制度に対応しており、かつ「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含む必要がある

RPA・OCR・BIは、この3つの機能に含まれていません。インボイス枠のオプション・役務・ハードウェアも、要件を満たす大分類Ⅰ「ソフトウェア」とあわせて申請するものです(同 2-2(3)(イ))。業務の自動化やデータ分析が目的なら、通常枠で検討するのが基本です。

請求書の読み取りと会計の処理が一体になった製品もあります。インボイス枠で使えるかどうかは、その製品がインボイス制度に対応した「会計」などの機能で登録されているかによります。会計ソフトの扱いはIT導入補助金で会計ソフト・経理・請求書ソフトは対象?で整理しています。

通常枠と同時に申請するときの減点

会計ソフトをインボイス枠、RPAやBIを通常枠で、と分けて申請することは制度上できます。ただし、通常枠の公募要領3-3(2)②は、インボイス枠で申請している(または交付決定を受けた)事業者を減点の対象としています。さらに、インボイス枠で選んだソフトと同じ機能(会計・受発注・決済)を持つソフトを通常枠で導入すると、さらに減点されます。

通常枠でAI-OCRと組み合わせる経費精算・会計ソフトが、インボイス枠の会計ソフトと「同じ機能」に当たらないかを確認してください。どちらか1つの枠にまとめるか、機能が重ならない組み合わせにするかを、IT導入支援事業者と相談して決めます。導入設定などの役務やオプションを両方の枠に重ねて計上すると、交付決定の取消しや補助金の全額返還を求められる場合があります(通常枠の公募要領 3-2(4)の申請時の注意事項)。

補助率・補助額の試算

通常枠の補助率は1/2以内です。7次締切からの公募要領(第7回公募〜)は、次の条件を満たす場合に2/3以内とする旨を定めています(公募要領 2-3、原文)。

令和7年10月から令和8年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上~令和8年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、2/3以内

この2/3は、賃上げ計画を立てたかどうかとは関係なく、最低賃金に近い水準で働く従業員の割合で決まる措置です。

試算の例です。年額24万円のクラウド型経費精算ソフトと、年額18万円のAI-OCR、年額30万円のRPAを、それぞれ2年分申請します。RPAのシナリオ作成(導入設定)30万円を加えると、補助対象経費は174万円です(消費税は補助対象外)。

費目補助対象経費補足
経費精算(共P-04)2年分48万円年額24万円×2年。仕訳または会計ソフトへの連携機能があるもの
AI-OCR(汎P-07)2年分36万円年額18万円×2年。経費精算と組み合わせるので申請できる
RPA(汎P-07)2年分60万円年額30万円×2年
シナリオ作成(役務・カテゴリー6)30万円RPAと対になっている役務に限る
合計174万円汎P-07は1種類なので2プロセス
ケース補助額の計算補助額
通常枠(補助率1/2)174万円×1/287万円
通常枠(補助率2/3の条件を満たす場合)174万円×2/3116万円

補助額が150万円未満なので、プロセスは1種類以上で足ります(IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、賃金引上げ計画も必須です)。3年目以降の利用料は自己負担です。

補助対象になる費用の範囲には、次の上限があります(公募要領 2-2(2))。

  • ソフトウェア(買取形式、月額・年額のサブスクリプション販売形式等):最大2年分
  • オプション(機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ):最大1年分
  • 役務(導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート):合計200万円が上限。保守サポートは、ソフトウェアの利用範囲内で最大2年分

そのほか、公募要領は次の費用を補助対象外としています(2-2(4)の抜粋)。

  • 補助金申請・報告にかかる申請代行費
  • 交付申請時に、ITツールの利用金額が定められないもの
  • 交付決定前に購入したITツール
  • リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)、中古品
  • 対外的に無償で提供されているもの
  • 交通費、宿泊費、公租公課(消費税)

無料プランで使っているOCRやチャットボットをそのまま使い続ける場合、その部分は「対外的に無償で提供されているもの」に当たります。

150万円以上は4プロセスと賃上げ要件が必須(通常枠)

通常枠で補助額150万円以上を申請する場合は、プロセスが4種類以上必要です。公募要領2-2(3)(ア)は、この場合「共P-01」〜「汎P-07」のうち4種類以上を含むことを求めています。汎P-07のRPAやOCRも、業務プロセスと組み合わせれば4種類のうちの1種類に数えられます。

補助額必要なプロセス数賃上げ目標の扱い
5万円〜150万円未満1プロセス以上加点項目(IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は必須要件)
150万円〜450万円以下4プロセス以上必須要件

補助額150万円以上の場合、公募要領は次の4つをすべて満たす3年間の事業計画を求めています(2-1-1(ト))。基準年度は、交付申請日の属する事業年度です。

  1. 1年後に、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)を3パーセント以上向上させること
  2. 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3パーセント以上とすること
  3. 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
  4. 交付申請時点で、上記の賃金引上げ計画を策定し、従業員に表明していること

IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、1と2が3.5パーセント以上になります(2-1-1(ナ))。事業計画終了時点で年平均成長率の要件や事業場内最低賃金の要件を達成できない場合は、補助金の返還を求められる場合があります。期間内に報告しなかった場合も同じです。保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校等は、賃上げ要件の適用外です(2-1-1(ニ))。賃上げの考え方はIT導入補助金の賃上げ要件と加点で詳しく解説しています。

通常枠には、補助額にかかわらず労働生産性の目標もあります。1年後に労働生産性を3パーセント以上、事業計画期間の年平均成長率を3パーセント以上向上させる計画が求められます。IT導入補助金2023の通常枠(A・B類型)などや2024・2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、4パーセント以上です(2-1-1(ク))。RPAやOCRで減る入力・転記の時間を、この目標と結びつけて説明できるようにしておくと計画が立てやすくなります。

申請を検討するときの確認手順

自動化・分析のソフトの申請前の確認手順の図解。主な項目:申請できる事業者か(対象外・12カ月制限)を確認する、ITツール検索で製品の登録とプロセスを確かめる、汎P-07だけの製品は共P-01〜各業種P-06と組み合わせる、交付決定前に発注・契約・支払いをしない
図解:自動化・分析のソフトの申請前の確認手順で押さえたいポイント

申請できる事業者かの確認から始め、製品・組み合わせ・補助額を決めてから発注に進みます。

  1. 申請できる事業者か確認する(対象外の事業者・12カ月制限)。GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTION(一つ星または二つ星)の宣言も申請要件です。交付申請の直近月の事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であることも求められます(公募要領 2-1-1(2))
  2. 自動化・分析したい業務を決め、公式のITツール検索で、製品が登録済みか、どのプロセスで登録されているかを確認する
  3. RPA・OCR・チャットボットが汎P-07だけで登録されている場合は、共P-01〜各業種P-06のソフトと組み合わせる
  4. RPAのシナリオ作成費が、ソフトと対になった役務(カテゴリー6)として見積もられているか確認する
  5. 補助額が150万円未満か以上かを決める。150万円以上なら、4プロセス以上と賃上げ要件が必須です
  6. インボイス枠もあわせて使う場合は、会計・受発注・決済の機能が重なっていないか確認する(同時申請の減点)
  7. 交付決定前に発注・契約・支払いをしない(交付決定前に購入したITツールは補助対象外)

補助額の試算は見積シミュレーターが使えます。当社は登録IT導入支援事業者として、デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠)の申請サポートを完全成功報酬で行っています。登録の有無や対象になるかのご質問は、公式LINEでも受け付けています。

実務で起きやすいつまずき

当社がご相談を受けるなかで、自動化・分析のソフトの導入で起きやすいつまずきは次の4つです。

  • RPAだけで申請しようとしていた。汎P-07だけのソフトは単独で申請できません。自動化する業務のソフト(会計・受発注・勤怠など)と組み合わせます
  • AI-OCRとチャットボットで2プロセスになると考えていた。どちらも汎P-07です。業務プロセスが入らない組み合わせは申請できません
  • シナリオ作成を外部の会社に別途頼もうとしていた。補助対象になるのは、登録されたソフトと対になっている役務です。登録外の作業費は補助対象になりません
  • 従量課金のAIサービスをそのまま申請しようとしていた。交付申請時に利用金額が定められないものは補助対象外です。定額のプランがあるかを確認します

締切日と交付決定日(2026年11月3日確認)

6次締切(2026年10月30日(金)17:00)で受付を終えた後、公表されている締切は7次締切と8次締切です。通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)とも同じ日程です。

締切回締切日時交付決定日事業実施期間
6次締切分(受付終了)2026年10月30日(金)17:002026年12月10日(木)(予定)交付決定〜2027年5月31日(月)17:00(予定)
7次締切分2026年12月1日(火)17:002027年1月19日(火)(予定)交付決定〜2027年7月30日(金)17:00(予定)
8次締切分2027年1月7日(木)17:002027年2月17日(水)(予定)交付決定〜2027年8月31日(火)17:00(予定)

9次締切以降の日程は、2026年11月3日時点で公表されていません。公式サイトは「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」としています。締切日の17:00をもって、申請マイページから申請できなくなります。7次締切で申請する場合、ソフトの契約ができるのは交付決定日(2027年1月19日予定)以降です。全募集回の日程はIT導入補助金のスケジュールにまとめています。

よくある質問

Q. RPAツールだけでIT導入補助金に申請できますか?

いいえ、汎P-07だけで登録されたRPAは単独では申請できません。共P-01〜各業種P-06のソフトと組み合わせて申請すると、1プロセスとして数えられます。製品の登録状況はITツール検索で確認してください。

Q. BIツールだけで通常枠に申請できますか?

はい、登録済みのBIツールなら申請できる可能性があります。BIは別紙2の共P-05の機能例で、補助額150万円未満なら1プロセスで要件を満たせます。

Q. RPAのシナリオ作成費は補助対象ですか?

はい、ソフトと対になった役務として登録されていれば対象になり得ます。別紙2は、シナリオ作成費をカテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)として扱うとしています。役務の補助対象経費は合計200万円が上限です。

Q. AI-OCRで請求書を読み取るソフトは対象ですか?

OCRは汎P-07のため、経費精算や会計などの業務プロセスのソフトと組み合わせれば申請できます。経費精算は、仕訳機能や会計ソフトへの連携機能があるものが対象です。

Q. AIチャットボットはインボイス枠で申請できますか?

いいえ、チャットボットだけではインボイス枠の対象になりません。インボイス枠は「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むソフトが要件です。チャットボットは通常枠で、業務プロセスのソフトと組み合わせて検討します。

まとめ

  • BI・分析ツールは共P-05として、通常枠で単独でも対象になり得ます
  • RPA・OCR・チャットボットは汎P-07で、単独では申請できません。汎P-07同士の組み合わせでも申請できません
  • RPAのシナリオ作成費は、ソフトと対になった役務(カテゴリー6)として扱われます
  • インボイス枠は会計・受発注・決済の機能が要件のため、RPA・OCR・BIだけでは使えません
  • 申請前に、申請できない事業者(対象外・12カ月制限・過去の受給歴)でないか確認してください

補助額の目安は見積シミュレーター、自社に合う制度は補助金かんたん診断で確認できます。社内チャットやグループウェアの扱いはIT導入補助金でグループウェア・ワークフロー・電子契約は対象?、対象経費の全体像はIT導入補助金の対象経費、制度全体はデジタル化・AI導入補助金2026ガイドをご覧ください。デジタル化・AI導入補助金のご質問は公式LINEでも受け付けています。

参考(一次情報)

※本記事は2026年11月3日時点で確認した公募要領・公式サイトの原文にもとづいています。製品が補助対象かどうかは、ITツールの登録情報と事務局の判断によります。制度内容・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。