IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)では、在庫管理システムも受発注システムも、登録済みのソフトなら通常枠の補助対象になり得ます。インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応した「受発注」の機能があれば使えます。ただし、在庫管理の機能だけのソフトはインボイス枠の要件を満たしません。

この記事では、第7回公募(7次締切)からの公募要領の原文をもとに、在庫管理・受発注のソフトの線引きを整理します。当社の主な対象である通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を中心に扱います。要点は次の5つです。

  • 通常枠:入出庫・棚卸・在庫分析は「共P-03 供給・在庫・物流」、発注・仕入管理と受注・売上請求管理は「共P-02 決済・債権債務・資金回収」の機能例です
  • インボイス枠(インボイス対応類型):対象のソフトは「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むものに限られます。在庫管理だけでは対象になりません
  • 申請できない事業者がいます。インボイス枠は過去の交付決定歴、通常枠は12カ月制限などで、申請自体ができない場合があります(先に確認する)
  • 機器は枠で扱いが違います。通常枠に機器の区分はありません。インボイス枠でも、対象の機器はPC・タブレット等とPOSレジ・券売機に限られます
  • 通常枠とインボイス枠をあわせて申請すると、受発注など同じ機能のソフトを選んだ場合に審査でさらに減点されます

補助額の目安は見積シミュレーター(無料)で、自社に合う制度は補助金かんたん診断で確認できます。

IT導入補助金で在庫管理・受発注システムは対象になる?の記事でわかる3つのこと:在庫管理は共P-03、受発注は共P-02として通常枠の対象になり得る、インボイス枠は受発注の機能があれば使えるが、在庫管理だけのソフトは対象外、通常枠とインボイス枠で同じ機能のソフトを選ぶと、審査でさらに減点
図解:IT導入補助金で在庫管理・受発注システムは対象になる?で最初に押さえたい3つのポイント

結論:在庫は共P-03、受発注は共P-02として対象になり得る

在庫管理と受発注の機能は、通常枠の公募要領の別紙2で、別々のプロセスに分類されています。補助対象は、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用です(公募要領 2-2(1))。登録されたソフトは、別紙2の「プロセス」を1種類以上含む必要があります。

別紙2の機能例のうち、在庫管理・受発注に関係するものは次のとおりです(機能例は原文の表記)。

Pコード機能例(原文)使い方の例
共P-03 供給・在庫・物流取引条件管理(取引先、納入条件)取引先ごとの納入条件を登録しておく
共P-03 供給・在庫・物流ロケーション管理、入出庫管理、実地棚卸管理、検品受入倉庫・店舗の置き場所と入出庫を記録し、棚卸を楽にする
共P-03 供給・在庫・物流在庫分析、在庫基準適正在庫の基準を決め、過剰在庫と欠品を減らす
共P-03 供給・在庫・物流納品管理(納品先、納品期限、納品商品、配送状況確認等)、配送業者管理、配送計画、納品手続処理納品先・納品期限と配送の状況をまとめて管理する
共P-02 決済・債権債務・資金回収発注・仕入管理、買掛・支払管理仕入先への発注と買掛金の支払いを管理する
共P-02 決済・債権債務・資金回収受注・売上請求管理、売掛・回収管理受注から請求書の発行、入金の消込までを管理する
共P-02 決済・債権債務・資金回収採算管理(売上分析、粗利管理)商品ごとの売上と粗利を見る

この一覧は機能の分類で、特定の製品が対象だという保証ではありません。製品が補助対象になるかは、IT導入支援事業者が事務局に登録し、審査を通ったかで決まります。どの製品が登録済みか、どのプロセスで登録されているかは、公式のITツール検索で確認します。機能概要には、AIの搭載有無も載っています(公募要領 2-2(2))。

業種ごとの在庫関連の機能(各業種P-06)

在庫や仕入に関わる機能は、業種固有のプロセス(各業種P-06)にも載っています。別紙2から主なものを抜き出すと、次のとおりです。

業種Pコード在庫・仕入に関わる機能例(原文)
製造業製P-06生産管理(生産計画立案、工程計画、資材所要量計算)、製造工程管理(製造指示、指示書、納期管理、ロット管理)、部品表(BOM)・配合表(食品加工)
卸売業卸P-06MD支援(売れ筋商品分析、棚割管理、販促予測・商品タグツール)、品質管理(保管期限、保管状態管理等)、トレーサビリティ管理
小売業小P-06MD支援(売れ筋商品分析、棚割管理など)、賞味期限管理、検品・破棄管理
飲食業飲P-06飲食店舗向けレシピ・メニュー管理(調理工程)、食材棚卸・店間移動・廃棄管理
宿泊業宿P-06調理・献立管理(メニュー・顧客の嗜好・アレルギー)、食材管理(発注・仕入・在庫)

飲食店の食材棚卸や、小売店の賞味期限管理のように、業種に合わせた在庫機能はこちらに分類されることがあります。業種ごとの使い方は、飲食業・小売業のIT導入補助金、製造業・建設業のIT導入補助金、運送業・物流・卸売業のIT導入補助金で詳しく整理しています。

先に確認:申請できない事業者・使えない枠

ソフトが対象でも、申請する側が対象外なら申請できません。在庫管理・受発注のソフトを選ぶ前に、次の点を確認してください。

通常枠・インボイス枠に共通の対象外(公募要領 2-1-2)

通常枠の公募要領2-1-2は、次のいずれかに該当する事業者を申請の対象外としています(抜粋)。

  • 大企業が株式の2分の1以上を同一で所有している中小企業など、大企業との資本関係が深い事業者((1)①〜⑤)
  • 確定している直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者((1)⑥)
  • 親会社が議決権の50パーセント超を持つ子会社がある場合など、「みなし同一法人」は1社のみしか申請できません((2))
  • IT導入支援事業者(構成員を含む)として登録されている、または登録しようとする事業者((3))
  • 補助金交付等停止措置・指名停止措置を受けている事業者、風俗営業等を営む事業者(旅館業の許可を受けた一部を除く)、反社会的勢力に関係する事業者
  • 過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
  • 宗教法人、法人格のない任意団体(同窓会・PTA・サークルなど)、他の補助金等で不正行為等を行った事業者

ここでは主な項目を抜き出しています。全項目は公募要領2-1-2で確認してください。インボイス枠の公募要領2-1-2にも、同じ趣旨の項目があります。

インボイス枠(インボイス対応類型)の対象外

インボイス枠の公募要領2-1-2は、次の交付決定を受けた事業者を申請の対象外としています。受発注のソフトをインボイス枠で入れたい場合は、最初に確認してください。

  • IT導入補助金2022のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
  • IT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)・同(商流一括インボイス対応類型)
  • IT導入補助金2024・2025のインボイス枠

IT導入補助金2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、交付決定日から12カ月以内は2026のインボイス枠(インボイス対応類型)で申請できません(インボイス枠の公募要領 3-2(4)(ア))。

申請の単位と回数、12カ月制限(通常枠)

  • 交付申請期間中、1法人・1個人事業主あたり1申請のみです(みなし同一法人の考え方を適用)。例外として、同じ期間中に受付中のインボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)とセキュリティ対策推進枠は、あわせて申請し、交付決定を受けることができます(公募要領 3-2(4))
  • IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、交付決定日から12カ月以内は2026の通常枠で申請できません
  • IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトのプロセスと、今回のソフトのプロセスが重複すると減点されます。プロセスが完全に一致する場合は不採択です(公募要領 3-3(2)②)。前回も在庫管理(共P-03)と受発注(共P-02)だけのソフトを入れている場合は、特に確認してください
  • IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者全般も、減点の対象です。補助額150万円未満の申請でも、1人当たり給与支給総額を1年後と事業計画期間の年平均で3.5パーセント以上向上させる賃金引上げ計画の策定と、従業員への表明が要件になります(公募要領 2-1-1(テ))。事業計画終了時点で達成できない場合は、補助金の返還を求められます(賃上げ要件)

組み合わせの確認は、再申請の対象外・減点一覧と通常枠とインボイス枠の選び方が役立ちます。

インボイス枠(インボイス対応類型):受発注は使える、在庫だけでは足りない

インボイス枠で在庫・受発注を入れるときの線引きの図解。主な項目:会計・受発注・決済の機能を1種類以上含むソフトが要件、在庫管理(入出庫・棚卸・在庫分析)だけでは対象外、受発注だけの1機能なら補助額の上限は50万円、受発注+会計の2機能以上なら上限は350万円
図解:インボイス枠で在庫・受発注を入れるときの線引きで押さえたいポイント

インボイス枠(インボイス対応類型)では、受発注の機能を持つソフトが対象になり得ます。補助対象のソフトは、公募要領2-2(3)(ア)で次のとおり定められています。

カテゴリー1(ソフトウェア)に区分されるもののうち、インボイス制度に対応しており、かつ「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含む必要がある

在庫管理(入出庫・棚卸・在庫分析)は、この3つの機能に含まれていません。そのため、在庫管理の機能だけのソフトは、インボイス枠では対象になりません。在庫管理と受発注を一緒に持つソフトなら、インボイス制度に対応した受発注の機能が登録されていれば、インボイス枠の候補になります。登録上どの機能に分類されているかは製品ごとに違うため、ITツール検索で確認してください。

補助額の上限は、ソフトが持つ機能の数で変わります(公募要領 2-3【補足3】)。

機能の数補助額の上限補助率
会計・受発注・決済のうち1機能(例:受発注だけ)50万円3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
会計・受発注・決済のうち2機能以上(例:受発注+会計)350万円補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分は2/3以内

受発注と会計の両方の機能を持つソフトにすると、上限が50万円から350万円に上がります。会計ソフトの扱いはIT導入補助金で会計ソフト・経理・請求書ソフトは対象?で整理しています。

インボイス枠(インボイス対応類型)でも、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者には、補助額にかかわらず賃金引上げ計画の要件があります。1年後と事業計画期間の年平均で、1人当たり給与支給総額を3.5パーセント以上向上させる計画を策定し、従業員に表明することが求められます(インボイス枠の公募要領 2-1-1(ツ))。計画を立てるだけでは済みません。事業計画終了時点で年平均成長率3.5パーセント以上を達成できない場合(期間内に報告しなかった場合を含む)は、補助金の全部の返還を求められる場合があります。ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ3年の事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は、返還を求めないとされています(同 2-1-1【補足1】)。保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校等は、この要件の適用外です(同 2-1-1(テ))。

取引先にアカウントを配る受発注システムは「電子取引類型」

インボイス枠には、電子取引類型という別の類型もあります。発注側の事業者が受発注のソフトを導入し、取引先(受注側)にアカウントを無償で発行して使ってもらえる機能を持つものが対象です(インボイス枠の公募要領の概要表)。取引先との受発注をまとめて電子化したい発注側の事業者が検討する類型です。この記事では、当社の申請サポートの対象であるインボイス対応類型を中心に扱います。

通常枠と同時に申請するときの減点

在庫管理を通常枠、受発注をインボイス枠で、と分けて申請することは制度上できます。ただし、通常枠の公募要領3-3(2)②は、インボイス枠で申請している(または交付決定を受けた)事業者を減点の対象としています。さらに、インボイス枠で選んだソフトと同じ機能(会計・受発注・決済)を持つソフトを通常枠で導入すると、さらに減点されます。

在庫管理と受発注が一体になったソフトを、通常枠とインボイス枠の両方で使おうとすると、この「同じ機能」に当たるおそれがあります。補助対象経費の二重計上(特にオプション・役務)が疑われる場合は、交付決定の取消しや補助金の全額返還を求められる場合があります(公募要領 3-2(4)【補足3】)。どちらか1つの枠にまとめるか、機能が重ならない組み合わせにするかを、IT導入支援事業者と相談して決めてください。

通常枠:在庫・受発注で「プロセス数」はどう数える?

在庫管理と受発注は別のプロセスなので、両方の機能を持つソフトは2プロセスと数えます。通常枠で必要なプロセス数は、補助額によって次のように変わります(公募要領 2-3)。

補助額必要なプロセス数賃上げ目標の扱い
5万円〜150万円未満1プロセス以上加点項目(IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は必須要件)
150万円〜450万円以下4プロセス以上必須要件

プロセスの種類は、公募要領の表で次の7つです(原文の表記)。

Pコードプロセス名在庫・受発注との関係の例
共P-01顧客対応・販売支援顧客の購買履歴の管理(CRM)
共P-02決済・債権債務・資金回収発注・仕入管理、受注・売上請求管理、POSレジ
共P-03供給・在庫・物流入出庫・棚卸・在庫分析、納品管理
共P-04会計・財務・経営仕訳、管理会計
共P-05総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務BI(データ抽出・加工、レポート、ダッシュボード)、ワークフロー
各業種P-06業種固有プロセス生産管理、食材棚卸、賞味期限管理など
汎P-07汎用・自動化・分析ツールOCR、RPA、グループウェア

右の列は、別紙2の機能例から在庫・受発注と関係の深いものを抜き出した例です。需要予測に使う「BI、分析・解析専門ツール」は、汎P-07ではなく共P-05の機能例に載っています。

  • 150万円未満で申請する場合:在庫管理(共P-03)または受発注(共P-02)を含む登録ソフト1つで、1プロセス以上の要件を満たせます
  • 150万円以上で申請する場合:「共P-01〜汎P-07のうち4種類以上」が必要です。在庫(共P-03)と受発注(共P-02)に、会計(共P-04)や業種固有プロセス(各業種P-06)などを加える組み合わせが前提になります
  • 汎用プロセス(汎P-07)だけのソフトは、単独では申請できません。共P-01〜各業種P-06と組み合わせて申請すれば、1プロセスとして数えられます(公募要領 2-2(3)(ア))

ハンディターミナル・ラベルプリンターなどの機器は?

通常枠では、機器は補助対象に含まれていません。通常枠の補助対象は、大分類Ⅰ「ソフトウェア」、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」の3つです。

インボイス枠(インボイス対応類型)では、ソフトとあわせて導入する一部の機器が対象になります(公募要領 2-2【補足2】)。

区分対象になる機器主な条件補助額の上限・補助率
カテゴリー8PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を持つソフトとあわせて導入する場合に限る。ソフトの購入先として選んだIT導入支援事業者から購入する。レジ以外の用途で使うもの10万円・1/2以内
カテゴリー9POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機「決済」機能を持つソフトで登録されたPOSレジシステムを使うための機器。事前に登録されたパッケージから選ぶ20万円・1/2以内

在庫管理でよく使われる機器のうち、次の点は原文で確認できます。

  • プリンター・スキャナーは、「文書の印刷あるいはスキャン機能を主とし、一般的にプリンター・複合機と呼称される製品」が対象です。ハンディターミナルやラベルプリンターは、この列挙に名前が出ていません
  • バーコード・QRコードリーダは、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機の付属品としてだけ、対象に挙げられています
  • 機器は、補助対象のソフトの継続的な利用に必要最低限の一式に限られます。価格に経済的合理性があり、市場価格を逸脱していないことも必要です

倉庫や店舗で使う専用の端末を入れたい場合は、申請前にIT導入支援事業者へ、どの区分で申請できるかを確認してください。PC・タブレット・レジの扱いはデジタル化・AI導入補助金でパソコン・タブレット・レジは買える?で詳しく整理しています。

補助率・補助額の試算

同じ在庫・受発注のソフトでも、枠によって補助額が変わります。通常枠の補助率は1/2以内です。7次締切からの公募要領(第7回公募〜)は、次の条件を満たす場合に2/3以内とする旨を定めています(原文)。

令和7年10月から令和8年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上~令和8年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、2/3以内

この2/3は、賃上げ計画を立てたかどうかとは関係なく、最低賃金に近い水準で働く従業員の割合で決まる措置です。

試算の例です。年額48万円のクラウド型の在庫・受発注システムを2年分(96万円)と、導入設定24万円を申請し、補助対象経費が120万円になる場合で比べます(消費税は補助対象外)。

ケース補助額の計算補助額
通常枠(補助率1/2)120万円×1/260万円
インボイス枠・受発注+会計の2機能(小規模事業者でない)補助額50万円までは経費約66.7万円×3/4=50万円、残りの経費約53.3万円×2/3=約35.6万円約85.6万円
インボイス枠・受発注+会計の2機能(小規模事業者)補助額50万円までは経費62.5万円×4/5=50万円、残りの経費57.5万円×2/3=約38.3万円約88.3万円
インボイス枠・受発注だけの1機能上限50万円50万円

インボイス枠の補助率は、「補助額50万円以下の部分」に3/4(小規模事業者は4/5)がかかります。経費50万円で区切る計算ではありません。3年目以降の利用料は自己負担です。

補助対象になる費用の範囲には、次の上限があります(公募要領 2-2(2))。

  • ソフトウェア(買取形式、月額・年額のサブスクリプション販売形式等):最大2年分
  • オプション(機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ):最大1年分
  • 役務(導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート):合計200万円が上限。保守サポートは、ソフトウェアの利用範囲内で最大2年分

そのほか、公募要領は次の費用を補助対象外としています(2-2(4)の抜粋)。

  • 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの
  • 補助金申請・報告にかかる申請代行費
  • 交付申請時に、ITツールの利用金額が定められないもの
  • 交付決定前に購入したITツール
  • リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)、中古品
  • 対外的に無償で提供されているもの
  • 交通費、宿泊費、公租公課(消費税)

商品点数や出荷件数に応じて料金が変わる従量課金の契約は、申請時に金額を確定できるかを事業者に確認してください。

150万円以上は賃上げ要件が必須(通常枠)

通常枠で補助額150万円以上を申請する場合は、賃上げ要件が必須です。公募要領は、次の4つをすべて満たす3年間の事業計画を求めています(2-1-1(ト))。基準年度は、交付申請日の属する事業年度です。

  1. 1年後に、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)を3パーセント以上向上させること
  2. 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3パーセント以上とすること
  3. 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
  4. 交付申請時点で、上記の賃金引上げ計画を策定し、従業員に表明していること

IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、1と2が3.5パーセント以上になります(2-1-1(ナ))。事業計画終了時点で年平均成長率の要件を達成できない場合や、事業場内最低賃金の要件を達成できない場合は、補助金の返還を求められる場合があります。期間内に報告しなかった場合も同じです。保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校等は、賃上げ要件の適用外です(2-1-1(ニ))。賃上げの考え方はIT導入補助金の賃上げ要件と加点で詳しく解説しています。

通常枠には、補助額にかかわらず労働生産性の目標もあります。1年後に労働生産性を3パーセント以上、事業計画期間の年平均成長率を3パーセント以上向上させる計画が求められます。IT導入補助金2023の通常枠(A・B類型)などや2024・2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、4パーセント以上です(2-1-1(ク))。棚卸や発注にかかる時間がどれだけ減るかを、この目標と結びつけて説明できるようにしておくと計画が立てやすくなります。

在庫・受発注システムの申請を検討するときの確認手順

在庫・受発注システムの申請前の確認手順の図解。主な項目:申請できる事業者か(対象外・12カ月制限)を確認する、ITツール検索で製品の登録とプロセス・機能を確かめる、両方の枠を使うなら、同じ機能のソフトを重ねない、交付決定前に発注・契約・支払いをしない
図解:在庫・受発注システムの申請前の確認手順で押さえたいポイント

申請できる事業者かの確認から始め、枠・製品・補助額を決めてから発注に進みます。順番は次のとおりです。

  1. 申請できる事業者か確認する(対象外の事業者・12カ月制限)。GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTION(一つ星または二つ星)の宣言も申請要件です。交付申請の直近月の事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であることも求められます(公募要領 2-1-1(2))
  2. 使う枠を決める:受発注と会計を中心にするならインボイス枠、在庫管理・生産管理などを中心にするなら通常枠が基本です
  3. 公式のITツール検索で、導入したい製品が登録済みか、どのプロセス・機能で登録されているかを確認する
  4. 両方の枠を使う場合は、受発注など同じ機能のソフトを重ねていないか確認する(同時申請の減点)
  5. 補助額が150万円未満か以上かを決める。通常枠で150万円以上なら、4プロセス以上と賃上げ要件が必須です
  6. 交付決定前に発注・契約・支払いをしない(交付決定前に購入したITツールは補助対象外)
  7. 見積書に申請代行費や、登録外の費用・機器が混ざっていないか確認する

補助額の試算は見積シミュレーターが使えます。当社は登録IT導入支援事業者として、デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠)の申請サポートを完全成功報酬で行っています。登録の有無や対象になるかのご質問は、公式LINEでも受け付けています。

実務で起きやすいつまずき

当社がご相談を受けるなかで、在庫管理・受発注のソフトの導入で起きやすいつまずきは次の4つです。

  • 在庫管理だけのソフトをインボイス枠で申請しようとしていた。インボイス枠は会計・受発注・決済の機能が要件です。在庫管理だけでは選べません
  • ハンディターミナルも補助対象だと思い込んでいた。通常枠には機器の区分がありません。インボイス枠の機器も、PC・タブレット等とPOSレジ・券売機の範囲です
  • 在庫と受発注を別々の枠で申請すれば得だと考えていた。枠を重ねると減点され、同じ機能のソフトならさらに減点されます。1つの枠にまとめたほうが有利な場合もあります
  • 前回と同じ種類のソフトに乗り換えようとしていた。IT導入補助金2024・2025で入れたソフトとプロセスが完全に一致すると、通常枠は不採択です

締切日と交付決定日(2026年11月1日確認)

6次締切(2026年10月30日(金)17:00)で受付を終えた後、公表されている締切は7次締切と8次締切です。通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)とも同じ日程です。

締切回締切日時交付決定日事業実施期間
6次締切分(受付終了)2026年10月30日(金)17:002026年12月10日(木)(予定)交付決定〜2027年5月31日(月)17:00(予定)
7次締切分2026年12月1日(火)17:002027年1月19日(火)(予定)交付決定〜2027年7月30日(金)17:00(予定)
8次締切分2027年1月7日(木)17:002027年2月17日(水)(予定)交付決定〜2027年8月31日(火)17:00(予定)

9次締切以降の日程は、2026年11月1日時点で公表されていません。公式サイトは「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」としています。締切日の17:00をもって、申請マイページから申請できなくなります。7次締切で申請する場合、ソフトの契約ができるのは交付決定日(2027年1月19日予定)以降です。全募集回の日程はIT導入補助金のスケジュールにまとめています。

よくある質問

Q. 在庫管理システムだけで、通常枠に申請できますか?

登録済みの在庫管理システムであれば、通常枠で申請できる可能性があります。入出庫・棚卸・在庫分析は別紙2の共P-03「供給・在庫・物流」にあたり、補助額150万円未満なら1プロセスで要件を満たせます。製品の登録状況はITツール検索で確認してください。

Q. 受発注システムはインボイス枠の対象ですか?

はい、インボイス制度に対応した受発注の機能を持つ登録ソフトなら、インボイス枠(インボイス対応類型)の対象になり得ます。受発注だけの1機能なら補助額の上限は50万円、会計など2機能以上なら350万円です。

Q. 在庫管理と受発注が一緒になったソフトは、プロセスがいくつになりますか?

通常枠では、在庫管理(共P-03)と受発注(共P-02)の2プロセスと数えます。ただし、実際のプロセス数は製品がどのプロセスで登録されているかで決まります。補助額150万円以上を狙う場合は、4種類以上のプロセスが必要です。

Q. ハンディターミナルやバーコードリーダーは補助対象になりますか?

通常枠では対象になりません。インボイス枠でも、ハンディターミナルは機器の列挙に名前が出ていません。バーコード・QRコードリーダは、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機の付属品としてだけ対象に挙げられています。

Q. ECサイトと在庫を連動させるソフトは対象ですか?

在庫連動の機能そのものは、共P-03の入出庫管理などとして登録されていれば対象になり得ます。ECサイトそのものの制作費は扱いが異なります。詳しくはIT導入補助金でホームページ・ECサイトは作れる?をご覧ください。

まとめ

  • 在庫管理(入出庫・棚卸・在庫分析)は共P-03、受発注(発注・仕入、受注・売上請求)は共P-02として、通常枠の対象になり得ます
  • インボイス枠は受発注の機能があれば使えますが、在庫管理だけのソフトは対象外です。受発注+会計の2機能以上なら上限は350万円です
  • 通常枠とインボイス枠を重ねると減点され、同じ機能のソフトならさらに減点されます
  • 機器は、通常枠では対象外です。インボイス枠でもPC・タブレット等とPOSレジ・券売機に限られます
  • 申請前に、申請できない事業者(対象外・12カ月制限・過去の受給歴)でないか確認してください

補助額の目安は見積シミュレーター、自社に合う制度は補助金かんたん診断で確認できます。対象経費の全体像はIT導入補助金の対象経費、インボイス枠の詳細はインボイス枠の解説、制度全体はデジタル化・AI導入補助金2026ガイドをご覧ください。デジタル化・AI導入補助金のご質問は公式LINEでも受け付けています。

参考(一次情報)

※本記事は2026年11月1日時点で確認した公募要領・公式サイトの原文にもとづいています。製品が補助対象かどうかは、ITツールの登録情報と事務局の判断によります。制度内容・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。