IT導入補助金(2026年はデジタル化・AI導入補助金)では、ホームページやネットショップ(ECサイト)の制作費は補助対象外です。事務局の公式FAQは、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)のどちらについても「ホームページ制作(ECサイト制作含む。)は補助対象外です」と回答しています。

ただし、ホームページやネットショップの裏側で使う業務ソフトは、事務局に登録されたITツールであれば補助の対象になり得ます。予約の管理、受注・在庫・出荷の管理、決済・会計、顧客管理などのソフトです。この記事では、デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領・ITツール登録要領・公式FAQの原文をもとに、その線引きを整理します。当社の主な対象である通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を中心に扱います。要点は次の5つです。

  • ホームページ・ECサイトの制作費は対象外です。ページのデザイン・コーディング、ショップ画面や商品ページの作り込みは補助されません
  • 対象になり得るのは、事務局に登録された業務ソフトとその導入費用です。予約の店舗側管理、受注・売上請求、在庫・配送、CRM(顧客管理)などが該当し得ます
  • 予約システムは、店舗側の管理機能が対象です。お客さまが使う予約画面の新規制作は、スクラッチ開発として対象外です(顧客側・店舗側の機能の切り分けができない場合は顧客側機能も対象)
  • インボイス枠は、過去の受給歴で申請できない場合があります。2022・2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型など)、2024・2025のインボイス枠で交付決定を受けた事業者は対象外です
  • サイト制作そのものに補助を使うなら、小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費が候補です。第20回は2026年12月15日17:00締切です。ウェブサイト関連費の補助金交付申請額は30万円(税込)が上限で、単独では申請できません

補助額の目安は見積シミュレーター(無料)で、自社に合う制度は補助金かんたん診断で確認できます。

IT導入補助金でホームページ・ECサイトは作れる?の記事でわかる3つのこと:ホームページ・ECサイトの制作費が対象外になる理由、予約・受注・在庫など、対象になり得る業務ソフトとの線引き、サイト制作に使える持続化補助金のウェブサイト関連費
図解:IT導入補助金でホームページ・ECサイトは作れる?で最初に押さえたい3つのポイント

結論:ホームページ・ECサイトの制作費は補助対象外

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では、ホームページ・ECサイトの制作費は補助対象外です。補助対象経費は、公募要領で「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」と定められています。どんな費用でも申請できるわけではありません。IT導入支援事業者が事前に登録し、事務局の審査を通ったソフトウェア・オプション・役務だけが対象です。インボイス枠では、これらのソフトとあわせて購入するPC・タブレットやレジなど、一部のハードウェアも対象になります。

事務局の「よくあるご質問」(通常枠版・インボイス枠〈インボイス対応類型〉版、いずれも2026年6月3日更新)にも、同じ文言で次の回答があります。

  • 質問:ホームページ制作は補助対象ですか。
  • 回答:ホームページ制作(ECサイト制作含む。)は補助対象外です。

なぜ対象外なのか:ITツール登録要領の対象外規定

ホームページ・ECサイトの制作費が対象外になる理由は、ITツールの登録ルールを定めた「ITツール登録要領」にあります。ソフトウェアとして登録するには、登録要領が定義するプロセス(業務プロセス又は汎用プロセス)のいずれか1つ以上に該当する機能を持つことが条件です。業務プロセスとは、顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収、供給・在庫・物流、会計・財務・経営など、特定の業務の生産性向上又は効率化に資する機能のことです。そして、登録要件を満たすソフトウェアであっても、次のものはITツール登録の対象外とされています(登録要領 2-3(1)2.より、関係する項目を抜粋)。

登録要領の項目原文の要旨ホームページ・ECとの関係
(シ)ホームページ制作、サイト制作、WEBアプリ制作、スマートフォンアプリ制作、コンテンツ制作等の制作ツールにおける、追加開発に掛かる費用が含まれているもの制作ツールに追加開発の費用が含まれていると登録できない。ただし、既に完成しており、かつ追加開発に係る費用が含まれていない制作ツールは登録の対象
(ス)ホームページ制作ツールやブログ作成システム等で制作した簡易アプリケーション(情報の入力、保存、検索、表示等の簡易的な機能しか有しないもの)や、ホームページと同様の仕組みのもの制作ツールで作った「サイトそのもの」は対象外。ただし、分析機能や指示機能、演算処理、制御などのプログラムは登録の対象
(セ)広告宣伝に類するものや、広告宣伝費用が含まれるもの集客のための広告は対象外
(ソ)単なるコンテンツ配信管理システム記事や画像を配信するだけの仕組みは対象外
(イ)業務の効率化及び生産性向上を図るものではなく、補助事業者が販売する商品やサービスに付加価値を加えることが目的のものお客さま向けの付加価値づくりが目的のものは対象外
(ク)製品が完成されておらず、スクラッチ開発を伴うソフトウェア自社専用にゼロから作る開発は対象外
(カ)業務プロセスに影響を与えるような大幅なカスタマイズが必要となるもの大がかりな改造を前提にした導入は対象外

デジタル化・AI導入補助金は、社内の業務を効率化する完成品のソフトを買う・使うための制度です。お客さまに見せるためのサイトを制作する費用は、制度の設計上、そもそも対象に入っていません。

「IT導入補助金でホームページ制作」という案内に注意

過去の解説記事や制作会社の広告には、「IT導入補助金でホームページが作れる」という表現が残っていることがあります。2026年の公式FAQと登録要領では、ここまで見てきたとおり対象外です。提案を受けた場合は、見積の中に「ページ制作・デザイン・コーディング」が含まれていないかを確認してください。含まれているなら、その費用を補助対象として計上していないかも見ます(見積書の確認ポイントで詳しく扱います)。

対象になるもの・ならないもの早見表

対象になるもの・ならないものの図解。主な項目:対象外:ホームページ・ECサイトの制作、広告宣伝、スクラッチ開発、対象になり得る:予約の店舗側管理、受注・売上請求、在庫・配送管理、対象になり得る:CRM(顧客管理)・MA・SFA、サイトコントローラー、チャットボットは、業務プロセスを持つソフトと組み合わせて申請
図解:対象になるもの・ならないもので押さえたいポイント

ホームページ・ネットショップまわりの費用のうち、サイト制作・EC構築・広告・スクラッチ開発は対象外です。予約の店舗側管理・受注・在庫・CRMなどの業務ソフトは、登録済みのITツールなら対象になり得ます。公式FAQ・公募要領の別紙2(業種・プロセス一覧)・ITツール登録要領の記載で分類すると、次のとおりです。「対象になり得る」は、その機能を持つソフトがITツールとして登録されている場合の話です。

対象外:サイト制作・EC構築・広告・スクラッチ開発

費用根拠・注意点
ホームページの新規制作・リニューアル(デザイン・コーディング)公式FAQ「ホームページ制作(ECサイト制作含む。)は補助対象外」
ECサイトの構築(ショップ画面・カート・商品ページの制作)同上。ECサイト制作も含むと明記
制作ツールで作った簡易なサイト・アプリ(入力・保存・検索・表示だけ)登録要領(ス)。分析・指示・演算処理・制御などのプログラムは登録対象
予約の顧客側画面を新たに制作する費用別紙2の注意点で「スクラッチ開発に該当するため対象外」
広告宣伝(Web広告の出稿など)登録要領(セ)
自社専用のスクラッチ開発・大幅なカスタマイズ登録要領(ク)(カ)
リース・レンタル契約、中古品、交付決定前に購入したもの公募要領「補助対象外となる経費」

対象になり得る:予約の店舗側管理・受注・在庫・CRM

機能根拠・注意点
予約受付台帳(店舗側で予約を管理する機能)別紙2 共P-01の例示。顧客側・店舗側の機能の切り分けができない場合は顧客側機能も対象
受注・売上請求管理、売掛・回収管理別紙2 共P-02(決済・債権債務・資金回収)
在庫管理、納品・配送管理別紙2 共P-03(供給・在庫・物流)
CRM(顧客管理)・MA・SFA別紙2 共P-01。CRMは単なる顧客情報の保有・表示だけ、SFAは単なる営業活動の情報の保有・表示だけの機能は対象外
サイトコントローラー(宿泊業)別紙2 宿P-06(業種固有プロセス)の例示

条件つき:チャットボットは業務ソフトとセットで

チャットボットは汎用プロセス(汎P-07)の例示に含まれます。汎用プロセスだけを持つツールは単独では申請できず、業務プロセス(共P-01〜各業種P-06)を持つソフトと組み合わせると1プロセスとして数えられます。

同じ「予約」「EC」でも、お客さまが見る画面(フロント)と、事業者が使う管理機能(バックオフィス)とで扱いが分かれます。補助の対象になり得るのは、基本的に事業者が使う管理機能のほうです。

予約システムの扱い(原文で確認)

公募要領の別紙2は、共P-01(顧客対応・販売支援)の「予約受付台帳」について、注意点を次のように定めています。

  • 顧客側が利用・予約を行う画面や機能は該当せず、店舗側で予約を管理する機能を対象とする
  • ただし、顧客側・店舗側で利用する機能の切り分けができない場合は、顧客側機能も対象とする
  • 顧客側画面を新規制作する費用は、スクラッチ開発に該当するため対象外とする

予約管理の完成品ソフトに最初から予約ページの機能が一体になっていて切り分けられない場合は、その顧客側機能も対象に含まれます。一方で、自社サイトのデザインに合わせて予約画面を新たに作る費用は対象外です。

通常枠とインボイス枠で変わること

通常枠とインボイス枠の違いの図解。主な項目:制作費が対象外なのは通常枠・インボイス枠で共通、通常枠は150万円以上で4プロセス以上と賃上げの計画が必要、インボイス枠は1機能のみ上限50万円、2機能以上は上限350万円、インボイス枠は過去の受給歴で申請できない場合がある
図解:通常枠とインボイス枠の違いで押さえたいポイント

ホームページ・ECサイトの制作費が対象外である点は、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)で共通です(公式FAQの回答がどちらも同じ文言)。違いが出るのは「どんなソフトなら対象になるか」「いくら・何割補助されるか」です。

先に確認:過去の受給歴で申請できないケース

ネットショップの受注・会計まわりのソフトは、補助率の高いインボイス枠で検討されることが多くあります。ただし、インボイス枠は過去の受給歴によって、申請そのものができない場合があります。枠を比べる前に、そもそも申請できるかを確認してください。

  • インボイス枠(インボイス対応類型)の申請対象外:IT導入補助金2022のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)、IT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)若しくはデジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)、IT導入補助金2024・2025のインボイス枠の交付決定を受けた事業者(公募要領2-1-2)
  • 通常枠の12カ月制限:IT導入補助金2025の通常枠および複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)が対象です。交付決定日から12カ月以内は、2026の通常枠に申請できません
  • インボイス枠の12カ月制限:IT導入補助金2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)が対象です。交付決定日から12カ月以内は、2026のインボイス枠(インボイス対応類型)に申請できません
  • 申請は1法人・1個人事業主につき1申請(交付決定も同様)。ただし通常枠とインボイス枠・セキュリティ対策推進枠は、それぞれ申請・交付決定を受けることが可能です(オプション・役務の二重計上に注意。下の減点も確認)

このほか、審査には減点の決まりがあります。減点されるのは次の2つに当たる事業者です。

  • ①IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者
  • ②2026のもう一方の枠(通常枠の審査ではインボイス枠、インボイス枠の審査では通常枠)で申請中または交付決定を受けた事業者

①②で選んだツールと同じ機能(会計・受発注・決済)を持つツールを導入する場合は、さらに減点されます。また、IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトとプロセスが完全に一致すると不採択になります。くわしくは再申請の対象外・12カ月制限・減点の一覧で確認してください。

2つの枠の違い(比較表)

通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)の違いを、対象になるソフトの条件・補助額・補助率などの項目で比べると次のとおりです。

項目通常枠インボイス枠(インボイス対応類型)
ホームページ・ECサイト制作対象外対象外
対象になるソフトの条件業務プロセス(共P-01〜各業種P-06)を1種類以上含む登録ITツール。補助金申請額150万円〜450万円以下は、共P-01〜汎P-07のうち4種類以上インボイス制度に対応し、「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含む登録ITツール
ネットショップの裏側で該当し得る例受注・売上請求管理、在庫・配送管理、予約の店舗側管理、CRMインボイス制度に対応した「受発注」「会計」「決済」の機能を持つ登録ソフト
補助額5万円〜150万円未満(1プロセス以上)/150万円〜450万円以下(4プロセス以上)ソフト等:1機能のみは上限50万円、2機能以上は上限350万円
補助率1/2以内(※)補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分は2/3以内
ハードウェア対象外ソフトとあわせて導入する場合に限り、PC・タブレット等は上限10万円、レジ・券売機は上限20万円(いずれも補助率1/2以内)
賃上げの事業計画補助金申請額150万円以上を申請する場合と、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者(150万円未満を含む)は、3年間の賃金引上げ計画の策定・従業員への表明が要件IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、3年間の賃金引上げ計画の策定・従業員への表明が要件
役務(導入設定・研修・保守など)補助対象経費200万円が上限補助対象経費200万円が上限

※通常枠の補助率は、6次締切(2026年10月30日・受付終了)までは、令和6年10月から令和7年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は2/3以内です。7次締切(2026年12月1日)からは、期間が令和7年10月から令和8年9月まで、基準が令和8年度改定の地域別最低賃金未満に変わります。

賃上げの事業計画は、どちらの枠も、保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校等は適用外です。目標を達成できなかった場合は補助金の返還を求められることがあります。目標値と返還額の決まり方は賃上げ加点と返還の解説で整理しています。

インボイス枠のPC・タブレット等の購入は、ソフトウェアの購入先として選定したIT導入支援事業者からの購入に限られます。補助額・補助率の詳細はインボイス枠の解説、どちらの枠が合うかは通常枠とインボイス枠の選び方で整理しています。

ケース別:予約・ネットショップ・問い合わせの線引き

予約・ネットショップ・問い合わせのどのケースでも、サイトそのものの制作費や広告は対象外です。対象になり得るのは、店舗側・事業者側の業務を効率化する登録済みソフトです。よくある3つのケースと、業種固有の例を整理します。いずれも、使いたいソフトが登録されているかが出発点です。最初に公式のITツール検索で、登録の有無と機能概要を確認してください。

ケース1:予約サイトを作りたい(美容室・飲食店・治療院など)

  • 対象になり得る:予約受付台帳など、店舗側で予約を管理するソフト(登録済みITツール)。予約ページが製品と一体で切り分けられない場合は、その顧客側機能も対象
  • 対象外:ホームページに予約ページを新たに作り込む費用(顧客側画面の新規制作=スクラッチ開発)、サイト全体のデザイン・コーディング
  • 見方のコツ:見積が「予約ソフトの利用料・導入設定」と「予約ページの制作費」に分かれているかを確認します

ケース2:ネットショップを始めたい・拡大したい

  • 対象外:ショップ画面・商品ページ・カートの制作(公式FAQで「ECサイト制作」は対象外と明記)
  • 対象になり得る:注文が入った後の業務を効率化する登録済みソフト。受注・売上請求管理、売掛・回収管理(共P-02)、在庫管理・納品管理・配送計画(共P-03)などです
  • ネットショップ作成サービスの利用料:対象かどうかは、サービス名では決まりません。ITツールとして登録されているか、どの機能で登録されているかで決まり、登録がなければ対象外です
  • 売上に連動する手数料:公募要領は「交付申請時において、ITツールの利用金額が定められないもの」を補助対象外としています。金額が申請時点で決まらない費用は、見積段階で扱いを確認してください

ケース3:問い合わせ・集客を増やしたい

  • 対象外:Web広告の出稿など広告宣伝に類するもの(登録要領(セ))、ホームページ自体の改修
  • 対象になり得る:CRMとMA(いずれも共P-01)。CRMは、顧客の購買履歴・対応履歴を全社で共有し、顧客分析・販促・アフターケアに使うものです(単なる顧客情報の保有・表示だけの機能は対象外)。MAは、潜在顧客の属性情報や行動履歴を収集・分析するものです
  • チャットボット:汎用プロセス(汎P-07)の例示に「RPA、チャットボットシステム」があります。汎用プロセスだけのツールは単独で申請できず、業務プロセスを持つソフトと組み合わせると1プロセスとして数えられます。シナリオ作成費は役務(導入設定等)として扱われます

業種固有のWeb関連ツール(宿泊・不動産・情報サービス業)

公募要領の別紙2には、業種ごとの「業種固有プロセス」として、Webと関わりの深い機能の例示があります。

業種例示されている機能(別紙2より)
宿泊業(宿P-06)サイトコントローラー、チェックイン管理など
不動産業(不P-06)不動産WEB接客(WEB・リモート内覧、IT重説)、土地・物件情報管理(物件情報、間取り・チラシ・動画・映像作成、マップ連動、ポータル連動)など
情報サービス業(情P-06)制作ツール(業務用デザインツール、動画制作ツール、コーディングツールなど)、マーケットプレイスシステム(サービス提供の場を構築するための完成品システムが対象で、追加開発が必要となる部分は対象外)

これらも「その業種の業務を効率化する完成品のソフト」として登録されたものが対象で、ホームページそのものの制作費が補助されるわけではありません。

見積書で確認したい5つのポイント

ITツールの見積書で確認したいのは、ページ制作費の混入、ツールの登録、役務の中身、発注のタイミング、申請代行費・広告費の混入の5点です。当社(2020年以降の補助金の採択実績800件以上)が、ホームページ・ネットショップに関わる見積書を確認するときに見ているポイントです。ここで食い違いが見つかると、申請内容の組み直しが必要になります。

  1. 見積の中に「ページ制作・デザイン・コーディング」が入っていないか:入っている場合、その費用は補助対象外です。補助対象のITツール(ソフト・役務)と分けて見積もってもらいます
  2. ITツール名が登録されているか:見積に載っているソフト名をITツール検索で確認します。登録されていない製品は対象外です
  3. 役務(導入設定など)の中身:登録要領は、導入設定等の役務について「補助事業者の通常業務に対する代行作業費用」「ITツールの導入とは関連のないデータ作成費用やデータ投入費用等」を含むものを登録対象外としています。サイトの原稿作成や運用代行が、導入設定に紛れていないかを見ます。公募要領も申請要件として「導入するITツールに比して役務費用が占める割合が著しく高額でないこと」を求めています。ソフト代に比べて導入設定費だけが大きい見積は、内訳を確認します
  4. 契約・発注のタイミング:交付決定前にITツールを契約・発注した場合は、補助対象になりません。早く作りたいから先に発注する、ということはできません
  5. 申請代行費・広告費が混ざっていないか:「補助金申請、報告に係る申請代行費」は補助対象外です。広告宣伝費用が含まれるものも登録対象外です

ツールの組み合わせでおおよその補助額を知りたい場合は、見積シミュレーターで試算できます。IT導入支援事業者の選び方は支援事業者の選び方にまとめています。

サイト制作の補助は持続化補助金が候補:対象と注意点

サイト制作は持続化補助金が候補の図解。主な項目:ウェブサイト関連費の補助金交付申請額は上限30万円(税込)、ウェブサイト関連費のみでは申請できず、ほかの経費と一緒に申請、第20回の申請受付は2026年12月15日17:00まで、交付決定より前に発生した制作費は対象外
図解:サイト制作は持続化補助金が候補で押さえたいポイント

ホームページやネットショップの制作費そのものに補助を使いたい場合は、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>の「ウェブサイト関連費」が候補になります。以下は、第20回公募の公募要領(第8版・2026年7月21日)で確認できた内容です。

先に確認:持続化補助金を使えない事業者

持続化補助金は対象者が限られています。検討の前に、次に当てはまらないかを確認してください。

  • 小規模事業者でない:常時使用する従業員の数が、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)は5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業は20人以下、製造業その他は20人以下であることが条件です
  • 補助対象にならない者:医師・歯科医師・助産師、医療法人、一般社団法人・公益社団法人、一般財団法人・公益財団法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人、任意団体、協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)など
  • 申請時点で開業していない創業予定者(開業届上の開業日が申請日より後の場合も対象外)
  • 過去に持続化補助金で採択され、事業効果および賃金引上げ等状況報告書(様式第14)を出していない事業者。過去に補助事業を実施した事業者は、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年が経過し、様式第14の提出を完了していることが申請の条件です
  • 過去に<一般型>の「卒業枠」、または<一般型 通常枠>の「小規模事業者卒業加点」で採択を受けて補助事業を実施した事業者
  • 小規模事業者持続化補助金<創業型>に申請中、または採択を受けている事業者
  • 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されている法人
  • 確定している直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者

ウェブサイト関連費:補助金の上限30万円(税込)・単独申請は不可

第20回公募要領に書かれたウェブサイト関連費のルールを、項目ごとにまとめます。

項目第20回公募要領の記載
対象の範囲販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費
単独申請ウェブサイト関連費のみによる申請はできない(ほかの経費と一緒に申請)
上限当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)
計上の区分ウェブサイト・システム開発等に関連するソフトウェアや委託・外注費も、ウェブサイト関連費で計上する
ソフトの使用権契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権は、按分等の方式で算出した補助事業期間分のみ対象
処分制限50万円(税抜き)以上の費用で作成・更新したウェブサイト・システムは「処分制限財産」に該当し、一定期間(通常は取得日から5年間)処分が制限されることがある
対象となる経費例商品販売のためのウェブサイト作成や更新、効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策、商品販売のためのウェブサイトに掲載する宣材写真の制作費用、顧客管理システムの構築 など
対象とならない経費例ウェブサイトおよびシステムに関連するコンサルティング・アドバイス費用、補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ、既に導入しているソフトウェアの更新料、ウェブサイトに使用する画像等における被写体や商品の購入に係る費用 など

ウェブサイト関連費とは別に、チラシやWeb広告・SNS広告などは「広報費」の区分です(広報費も単独申請はできず、補助金交付申請額の上限は30万円〈税込〉)。補助率は2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)、補助上限は50万円で、インボイス特例・賃金引上げ特例の要件を満たす場合は上乗せがあります。

第20回は2026年12月15日17:00締切(様式4は12月4日まで)

  • 申請受付:2026年11月5日(木)〜2026年12月15日(火)17:00(電子申請のみ)
  • 事業支援計画書(様式4)の発行受付締切:2026年12月4日(金)。地域の商工会・商工会議所から発行を受ける必要があり、締切以降の発行依頼はできません
  • 採択発表:2027年3月頃予定。交付決定には、採択後に詳細な見積書を速やかに提出した場合でも、採択発表からおおむね1〜2か月かかる場合があるとされています
  • 経費の条件:交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払いが完了した経費が対象です。交付決定より前に発生した制作費は対象になりません
  • 第三者の支援を受けた場合の記載:公募要領は、商工会・商工会議所以外の第三者から支援を受けた場合、その相手方と支援に係る金額(着手金・成功報酬など名目を問わない)を様式2に記載するよう求めています。記載がない場合は、虚偽の報告として不採択・交付決定取消になると明記しています

サイトを公開したい時期が決まっている場合、採択発表が2027年3月頃予定という時間軸が合うかを最初に確認してください。持続化補助金を含め、自社が対象になりそうな制度は補助金かんたん診断で確認できます。補助金のご質問は公式LINEでも受け付けています。

市区町村の補助制度も確認する

市区町村によっては、ホームページ作成や販路開拓を対象にした独自の補助制度を設けていることがあります。対象者・上限額・受付期間は自治体ごとに異なるため、募集要項で確認してください。当サイトでは現在、募集中の補助金を273件掲載しており、都道府県別の一覧や目的別の一覧から探せます。

2つの補助金を組み合わせるときの注意

サイト制作は持続化補助金、予約管理や受注管理のソフトはデジタル化・AI導入補助金と分けて考える方法はあります。ただし、同じ取組・同じ経費は重複して受けられず、どちらの補助金も後払いです。組み合わせる前に、次の4点を確認してください。

  1. 同じ取組・同じ経費の重複はできません:デジタル化・AI導入補助金の公募要領は、国や中小機構などの他の補助金等と重複する事業を、補助事業の対象に含めないことを求めています。持続化補助金の公募要領も、同一の補助事業(取組)について、重複して国の他の補助金を受け取ることはできないとしています。受給予定の方には、双方の補助金事務局にあらかじめ確認するよう求めています
  2. 持続化補助金のウェブサイト関連費にもソフトウェアが含まれます:持続化の対象経費例には「顧客管理システムの構築」「業務効率化のためのソフトウェア」もあります。同じソフトを両方に計上しないよう、経費を分けて整理します
  3. 賃上げ加点の未達は、もう一方の申請にも響きます:デジタル化・AI導入補助金で加点を受けて採択されたのに、加点要件を達成できなかったとします。その場合、効果報告で未達が報告されてから18か月の間、持続化補助金を含む中小企業庁所管の補助金で大幅に減点されます(災害等のやむを得ない事情は除く)。逆に、持続化補助金(第15回公募以降)で賃金引上げ計画による加点を受けて採択され、加点要件を達成できなかった事業者は、デジタル化・AI導入補助金の審査で減点されます(やむを得ない理由によるものを除く)
  4. どちらも後払いです:持続化補助金は、公募要領に「補助金は後払い」と明記されています。デジタル化・AI導入補助金も、交付決定後にITツールの契約・導入・代金の支払いを行い、実績報告を経て補助金の額が確定してから交付される流れです。制作費・ソフト代は、いったん自社で全額を支払う前提で資金計画を立ててください

賃上げ要件・加点の全体像は賃上げ加点と返還の解説、制度ごとの違いは補助金と助成金の違いも参考にしてください。

締切日と交付決定日(2026年10月1日確認)

デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)は、同じ日程で公表されています。2026年10月1日に確認した公式サイトの掲載では、7次(2026年12月1日(火)17:00締切)まで公表済みです。各締切回の締切日・交付決定日と受付状況は次のとおりです。

締切回締切日交付決定日状況
1次2026年5月12日(火)17:002026年6月18日(木)受付終了
2次2026年6月15日(月)17:002026年7月23日(木)受付終了
3次2026年7月21日(火)17:002026年9月2日(水)受付終了
4次2026年8月25日(火)17:002026年10月7日(水)受付終了
5次2026年9月29日(火)17:002026年11月9日(月)(予定)受付終了
6次2026年10月30日(金)17:002026年12月10日(木)(予定)受付終了
7次2026年12月1日(火)17:002027年1月19日(火)(予定)公表済み(次回締切)
8次2027年1月7日(木)17:002027年2月17日(水)(予定)公表済み(2026年10月29日追加。9次以降は未公表)

6次で交付決定を受けた場合の事業実施期間・実績報告期限は2027年5月31日(月)17:00(予定)、7次は2027年7月30日(金)17:00(予定)、8次は2027年8月31日(火)17:00(予定)です。申請にはGビズIDプライムとSECURITY ACTIONの宣言が必要です。GビズIDプライムの発行まで、事務局は「おおむね2週間」と案内しています。GビズIDの公式サイトでは書類申請は最大1か月のため、書類郵送申請になる場合は1か月を見込んでください(2026年10月12日確認)。逆算の段取りはスケジュールの解説をご覧ください。

小規模事業者持続化補助金の第20回は、申請受付が2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00です。事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は2026年12月4日(金)です。

よくある質問

Q. 「IT導入補助金でホームページ制作」と提案されました。使えますか?

いいえ、ホームページ制作(ECサイト制作を含む)の費用には使えません。通常枠・インボイス枠とも補助対象外です(公式FAQ)。提案の中身が「登録済みの業務ソフト(予約管理・受注管理など)の導入」で、ページ制作費が別建てになっているなら、ソフト部分は対象になり得ます。見積の内訳を確認し、ページ制作費が補助対象として計上されていないかを見てください。

Q. 既存のネットショップのリニューアルや機能追加なら対象になりますか?

いいえ、リニューアルの制作費も対象外です。ECサイト制作が対象外のためです。また、ITツール登録要領は「すでに導入済みのソフトウェア等の機能を追加・拡張することを目的としたもの(追加モジュール、アドオン、プラグイン等)」を登録対象外としています。注文後の受注・在庫・請求の管理を効率化するソフトを新たに導入する場合は、登録済みITツールであれば対象になり得ます。

Q. 予約システムを導入すると、お客さま用の予約ページも補助されますか?

製品と一体で切り分けられない予約ページなら対象になり得ますが、新たに制作する予約ページは対象外です。公募要領の別紙2では、店舗側で予約を管理する機能が対象で、顧客側が利用・予約を行う画面や機能は該当しないとされています。ただし、顧客側・店舗側で利用する機能の切り分けができない場合は、顧客側機能も対象です。自社サイトに合わせて予約画面を新たに作る費用は、スクラッチ開発として対象外です。

Q. ホームページは持続化補助金、予約管理ソフトはデジタル化・AI導入補助金と分けられますか?

分けて検討することはできますが、同じ取組・同じ経費を重複して計上しないことが前提です。持続化補助金の公募要領は、他の補助金を受給しているか受給予定の場合、受け取りが可能かを双方の補助金事務局にあらかじめ確認するよう求めています。同じソフトを両方に計上しないよう経費を切り分け、申請前に双方の補助金事務局へ確認してください。2つの補助金の併用についてのご質問は公式LINEでも受け付けています。

Q. 個人事業主でもホームページ関連で使える補助金はありますか?

制作費そのものなら、持続化補助金のウェブサイト関連費が候補です。持続化補助金は、商工業者である個人事業主が補助対象となり得る一方、常時使用する従業員の数などの小規模事業者の要件を満たす必要があります。デジタル化・AI導入補助金も個人事業主は対象ですが、ホームページ制作費は対象外です。どの制度が合うかは補助金かんたん診断で確認できます。

Q. ネットショップ作成サービスの利用料は対象になりますか?

サービス名では決まらず、ITツールとして登録されているか、どの機能で登録されているかで決まります。登録がなければ対象外です。また公募要領は「交付申請時において、ITツールの利用金額が定められないもの」を補助対象外としています。売上に連動する手数料のように、申請時点で金額が決まらない費用は、見積段階で扱いを確認してください。

まとめ

  • デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では、ホームページ制作(ECサイト制作を含む)は補助対象外です。通常枠・インボイス枠とも、公式FAQで同じ回答です
  • 対象になり得るのは、予約の店舗側管理、受注・売上請求、在庫・配送、決済・会計、CRMなどの登録済み業務ソフトです。お客さま向け画面の新規制作は対象外です
  • インボイス枠は過去の受給歴で申請できない場合があり、通常枠にも12カ月制限があります。枠選びの前に確認してください
  • 見積書は、ページ制作費・申請代行費・広告費が混ざっていないか、ツールが登録済みか、交付決定前に発注しないかを確認します
  • サイト制作そのものには、小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費が候補です。第20回は2026年12月15日17:00締切です。ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)で、単独申請はできません

ソフト導入の補助額は見積シミュレーターで、使える制度は補助金かんたん診断で確認できます。制度全体の流れはデジタル化・AI導入補助金2026ガイドと補助金申請の流れをご覧ください。デジタル化・AI導入補助金の個別のご相談は公式LINEで受け付けています。

参考(一次情報)

※本記事は2026年10月1日時点(一部は2026年10月12日時点)で確認した公募要領・公式FAQ・公式サイトの原文にもとづいています。制度内容・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。