デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス対応のデジタル化を手厚く補助する枠です。会計・受発注・決済ソフトと、業務に必要なパソコンやレジをまとめて、補助率最大4/5で導入できます。全枠の中で最も補助率が高く、1社単独で申請できる枠の中では、ハードウェアまで補助できる唯一の枠です。一方で2026年版は、過去の受給歴による申請不可と賃上げ要件が加わり、申請前の確認事項が増えました。この記事で全条件を整理します。

  • 対象はインボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」ソフトです(クラウド利用料は最大2年分)
  • 補助率は最大4/5(小規模事業者の場合。それ以外も最大3/4)で、ソフトの補助上限は1機能50万円・2機能以上350万円です
  • ハードはパソコン・タブレットに加え、プリンター・スキャナー・複合機も対象です(合計上限10万円)。レジ・券売機は付属品込みで上限20万円です
  • 2022・2023年のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型など)、2024・2025年のインボイス枠で交付決定を受けた事業者は申請対象外です。それ以外の枠(通常枠など)の過去受給者は原則申請できますが、賃上げ計画の策定・表明が必須要件になります。審査上の減点や、申請できない例外もあります(詳細)
  • 申請は1法人・1個人事業主あたり1回のみです。親子会社や代表者が同じ法人は「みなし同一法人」として、グループで1社しか申請できません(詳細)

まず通常枠との違いと枠の選び方を確認し、希望するソフトとハードを扱うIT導入支援事業者を比較してください。締切と必要手続きは申請方法とスケジュール、制度全体は制度ガイドで確認できます。

デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠の記事でわかる3つのこと:補助率最大4/5・ソフト上限350万円の仕組みと計算例、PC・プリンター・レジが補助対象になる3つの条件、過去受給者の申請不可・賃上げ要件と、1社1申請の制限
図解:デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠で最初に押さえたい3つのポイント

インボイス枠(インボイス対応類型)とは

インボイス枠(インボイス対応類型)とは、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの導入を、通常枠より高い補助率で支援する申請区分です。公募要領はこの枠の目的を、「インボイス制度への対応を強力に推進するため、通常枠よりも補助率を引き上げて優先的に支援する」と定めています。国として「インボイス対応のデジタル化は特に手厚く補助する」と宣言している枠です。

対象になるソフトウェアの条件は2つです。

  1. 事務局に登録されたITツール(カテゴリー1・ソフトウェア)であること
  2. インボイス制度に対応しており、「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むこと

クラウド型・買い切り型のどちらも対象で、クラウドの場合は利用料最大2年分まで補助されます。導入設定・研修などの導入関連費も対象です(経費区分ごとの上限は後述)。

なお、公募要領上のインボイス枠には、このインボイス対応類型のほかに「電子取引類型」があります。こちらは取引の発注側が受発注ソフトを導入し、受注側の中小企業等に無償で使ってもらう場合の類型で、対象事業者や補助率は本類型とは別建てです。中小企業が自社のインボイス対応のために申請するのは、基本的にインボイス対応類型です。この記事もインボイス対応類型を解説します。

補助額と補助率【早見表】

補助額と補助率の早見表の図解。主な項目:ソフト1機能:上限50万円、3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、ソフト2機能以上:上限350万円、補助額50万円超の部分は2/3以内、PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機:上限10万円、1/2以内、POSレジ・券売機(付属品含む):上限20万円、1/2以内
図解:補助額と補助率の早見表で押さえたいポイント

インボイス対応類型の補助率は、ソフトが最大4/5以内(小規模事業者)、ハードが1/2以内です。補助上限は、ソフトが1機能50万円・2機能以上350万円、PC等が10万円、レジ・券売機が20万円です。公募要領の表を整理すると次のとおりです。

項目機能要件補助上限補助率
ソフト購入費・導入関連費会計・受発注・決済のうち1機能50万円3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
ソフト購入費・導入関連費会計・受発注・決済のうち2機能以上350万円補助額50万円以下の部分:3/4以内(小規模は4/5以内)/補助額50万円超の部分:2/3以内
PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機(運搬費含む)上記ソフトの使用に資するもの10万円1/2以内
POSレジ・券売機(付属品・運搬費含む)上記ソフトの使用に資するもの20万円1/2以内

補助率が最大4/5になる「小規模事業者」の定義(公募要領より)

業種常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

※交付決定後に小規模事業者に該当しなくなった場合は、補助額50万円以下部分の補助率が4/5から3/4に変更されます。※補助率の段階は「補助額50万円」が基準です。小規模事業者なら経費62.5万円分までまるごと4/5が適用され(62.5万円×4/5=補助額50万円)、それを超える部分が2/3になります。「経費50万円まで」と誤解しやすい点なので、資金計画を立てるときはご注意ください。

経費区分ごとの期間・金額の上限

同じ「導入関連費」でも、経費区分によって補助対象にできる期間が異なります。経費区分ごとの範囲は次の表のとおりです。

経費区分補助対象にできる範囲
クラウド利用料最大2年分
オプション(機能拡張・データ連携ツール等)最大1年分
保守サポートソフトウェアの利用範囲内で最大2年分
導入コンサルティング・導入設定・研修等の役務上限200万円

クラウド利用料2年分と保守サポート2年分を計上できるため、月額課金のソフトでも申請時点でまとまった補助額を確保できます。区分の細かい線引きは対象経費の解説をご覧ください。

計算例①:小規模事業者が会計・請求ソフトとPCを導入する場合

  • クラウド会計・請求ソフト2年分+導入支援=60万円 → 補助額は60万円×4/5=48万円(補助額50万円以内なので全額4/5適用)→ 48万円補助
  • パソコン15万円 → 1/2で7.5万円(上限10万円の範囲内)→ 7.5万円補助
  • 合計75万円の投資で55.5万円が補助され、実質負担は19.5万円(約1/4)

計算例②:会計+受発注の2機能で200万円を投資する場合(小規模事業者)

  • 経費62.5万円分までは4/5 → 補助額50万円
  • 残りの経費137.5万円分は2/3 → 補助額約91.7万円
  • 合計約141.7万円が補助され、実質負担は約58.3万円(上限350万円の範囲内)

金額はツール構成で変わるため、自社のケースは見積もりシミュレーター(無料・30秒)で試算してください。

ハードウェアの対象範囲:PCだけでなくプリンター・複合機も入る

インボイス対応類型のハードウェアは、PC・タブレットだけでなく、プリンター・スキャナー・複合機とPOSレジ・券売機も対象です。2026年の公募要領では、ハードウェア(カテゴリー8)の範囲が明確に定義されています。対象はPC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機の購入費用と、これらに係る運搬費です。「パソコンだけ」と思われがちですが、請求書の印刷や紙証憑のスキャンに使うプリンター・複合機も、合計10万円の上限内で補助対象にできます。

POSレジ・券売機は、付属品として次のものが対象に含まれます。

  • キャッシュドロワ/カスタマーディスプレイ/レシートプリンタ
  • 自動釣銭機/カードリーダ/バーコード・QRコードリーダ
  • Wi-Fiルータ、これらの運搬費

飲食・小売の店舗であれば、レジ本体+自動釣銭機+キャッシュレス端末をまとめて対象経費に組み込めます。店舗で導入できるものの全体像は飲食店・小売店はIT導入補助金で何を導入できる?で解説しています。

ハードで注意すべき条件は3つあります。

  1. ソフトとセットが大前提:ハード単体の申請はできません。あくまで対象ソフトの継続利用に必要最低限の機器一式が対象です
  2. レジ・券売機のセット条件は厳しめ:PC・タブレット・プリンター等は、会計・受発注・決済いずれかのソフトとセットで構いません。一方、レジ・券売機は「決済」機能を持つ登録済みPOSレジソフトとセットの場合に限り対象です(2026年3月30日の公募要領改訂で厳格化されました)
  3. 購入先はソフトと同じIT導入支援事業者に限る:ハードは、ソフトウェアの購入先として選定したIT導入支援事業者からの購入に限られます(コンソーシアムの場合は構成員を含む)。家電量販店や通販で自分で買ったPCは対象外です

開業時にどの備品を自己資金でそろえ、どれを交付決定まで待つべきかは起業・開業備品チェックリストでも整理しています。

補助対象にならない経費

インボイス対応類型で補助対象にならない主な経費は、リース・レンタル、中古品、交付決定前の購入、申請代行費、消費税です。公募要領には対象外経費が列挙されています。当社への相談でも「これは対象になると思っていた」という行き違いが起きやすい部分なので、主なものを挙げます。

  • リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)。補助対象は「購入」または「クラウド利用」です
  • 中古品
  • 交付決定前に購入したITツール。申請前・審査中の発注や支払いは全額対象外になります
  • 申請代行費・そのほか申請にかかる手続き費用
  • 消費税。補助額の計算は税抜額が基準です

このうち実務でいちばん事故が多いのは「交付決定前の購入」です。ソフトの契約もハードの発注も、交付決定の通知が届いてからが鉄則です。「決算前に急いで買ってしまった」というご相談を毎年いただきますが、現行の公募要領では後から補助対象に戻す方法はありません。

例外として、事務局は「事前着手制度」を予告しています(2026年9月24日更新のお知らせ)。2026年9月15日以降に行ったスマートレジの導入やPOSレジの改修等を、事後に申請できる制度です。令和9年4月からの消費税率引き下げの方針を受けた措置で、申請受付は2027年1月頃の予定です。対象となるレジ・改修の範囲や条件は、後日公開される公募要領で確認してください。段取りは交付決定後にやることにまとめています。

申請できない事業者・条件がつく事業者

申請できない・条件がつく事業者の図解。主な項目:2022・2023デジタル化基盤導入類型など、2024・2025インボイス枠の交付決定者は申請不可、他枠の過去受給者は1人当たり給与支給総額の年平均3.5%以上が必須、2024・2025の交付決定ソフトとプロセスが重複すると減点、完全一致は不採択、みなし同一法人はグループで1社しか申請できない
図解:申請できない・条件がつく事業者で押さえたいポイント

2026年版で大きく変わったのが、過去の受給歴による扱いです。過去にIT導入補助金を使ったことがある場合、「どの枠を・いつ使ったか」で、申請できない・条件がつく・減点される、の3通りに扱いが分かれます。

対象外:2022・2023デジタル化基盤導入類型など/2024・2025インボイス枠の交付決定者

次のいずれかで交付決定を受けた事業者は、2026年のインボイス枠(インボイス対応類型)には申請できません(公募要領2-1-2(4))。期間の定めはなく、何年前の交付決定でも対象外です。

  • IT導入補助金2022の「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」
  • IT導入補助金2023の「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・商流一括インボイス対応類型)」
  • IT導入補助金2024・2025の「インボイス枠」

該当する場合で会計まわり以外のツールを導入したいときは、通常枠の利用を検討してください(枠の選び方)。

また、IT導入補助金2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)も制限を受けます。交付決定日から12カ月以内は、インボイス枠(インボイス対応類型)に申請できません(公募要領3-2(4)(ア))。同じ12カ月の間は通常枠にも申請できないため、交付決定日から12カ月を過ぎてからの申請を検討してください。なお、2025年の通常枠の交付決定者は、通常枠の12カ月制限の対象ですが、インボイス枠の12カ月制限の対象ではありません。

もう1つ、サイバーセキュリティお助け隊サービスに関する制限もあります。公募要領(3-2 交付申請「申請単位と申請回数」)は、「『サイバーセキュリティお助け隊サービス』の登録を受けたITツールについて、IT導入補助金2022、2023、2024及び2025において、いずれかの枠で交付決定を受けた場合又はデジタル化・AI導入補助金2026において、いずれかの枠で申請を行っている若しくは交付決定を受けた場合、本事業の申請を行うことはできない」と定めています。過去にお助け隊サービスの登録ツールで交付決定を受けたことがある場合や、2026年に別の枠でお助け隊サービスを申請している場合は注意が要ります。この規定に当たらないかを、申請前にIT導入支援事業者を通じて事務局へ確認してください(再申請の対象外・減点一覧)。

条件つき:通常枠など他枠の過去受給者は「賃上げ要件」が必須

見落とされがちですが、IT導入補助金2022〜2025のいずれかで交付決定を受けた事業者には、公募要領の申請要件(ツ)で賃上げ要件がかかります。対象は、上記の対象外に該当しない通常枠・セキュリティ対策推進枠などの受給者です。こうした事業者が2026年に申請する場合は、次の要件を全て満たす必要があります。

  • 交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を策定・実行すること
  • その計画で、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の年平均成長率を3.5%以上(日本銀行の「物価安定の目標」+1.5%)向上させること
  • 交付申請時点で、賃金引上げ計画を従業員に表明していること

7次以降に申請する場合は、要件が1つ増えます。2026年10月9日に公開された第7回公募以降の公募要領では、交付申請日の属する事業年度を基準年度とします。そのうえで、1年後に1人当たり給与支給総額を3.5%以上向上させることも求められます。この1年後の目標は、未達でも補助金の返還は求めないとされています。

この賃上げ目標が事業計画終了時点で達成できなかった場合(期間内に事務局へ報告しなかった場合も含む)は、補助金の返還を求められます。返還額は交付額が上限で、加算金・延滞金は含まれません。ただし、公募要領には免除条件もあります。付加価値額が増加しておらず、かつ3年の事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は、返還を求めないと定められています。

また、過去受給者は申請自体はできても、審査上の減点対象になります。特に、IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトウェアと今回導入するソフトウェアのプロセス(機能分類)が重複する場合は、さらに減点されます。プロセスが完全に一致する場合は不採択とされています。前回と同じ系統のツールを入れ替える申請は要注意です(減点の全項目は後述)。

過去受給者にとってのインボイス枠は「申請すれば終わり」ではなく、3年間の賃上げの約束とセットです。当社が過去受給のお客様をサポートする際は、直近の給与支給総額の推移から3.5%成長が現実的かを先に試算します。達成が見込めない場合は、申請自体を見送る判断もお伝えしています。返還リスクを抱えてまで取りにいく補助金ではないからです。事業計画の作り方は事業計画と生産性向上の書き方を参照してください。

なお、この賃上げ要件は、保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校等には適用されません。また、任意で加点を狙う「賃上げ計画の加点」とは別の制度です(加点の仕組みは賃上げ加点の解説)。初めてIT導入補助金を使う事業者には、この必須要件はかかりません。

審査で減点される事業者(減点措置)

申請はできても、審査で減点されて不利になる事業者もいます。インボイス枠(インボイス対応類型)の公募要領「3-3 交付申請の審査」は、次に当てはまる場合に項目ごとに減点すると定めています。

  1. IT導入補助金2022からIT導入補助金2025までの間に交付決定を受けた事業者
  2. デジタル化・AI導入補助金2026で、通常枠に申請している、または通常枠の交付決定を受けた事業者
  3. IT導入補助金2024または2025で交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複する事業者(プロセスが完全に一致する場合は不採択)
  4. IT導入補助金2024以降で、賃金引上げ計画による加点を受けて採択されたのに、申請した加点要件を達成できなかった事業者(やむを得ない理由によるものを除く)
  5. 中小企業庁が所管する他の補助金で、賃金引上げ計画による加点を受けて採択されたのに、申請した加点要件を達成できなかった事業者(やむを得ない理由によるものを除く)。対象は公募要領に列挙されており、ものづくり補助金(第17次公募以降)、小規模事業者持続化補助金(第15回公募以降)、事業承継・M&A補助金(第8次公募以降)、Go-Tech事業(令和6年度公募以降)、事業再構築補助金(第12回公募)、中小企業省力化投資補助事業(第1回公募以降)です(令和8年1月時点)

さらに、1や2の事業者が、過去の交付決定や通常枠の申請で選んだITツールと同じ機能(会計・受発注・決済)を持つITツールを今回導入する場合は、もう一段減点されます。4と5は、過去に賃上げの加点を使った事業者が見落としやすい項目です。過去の効果報告で加点要件を達成できていたかを、申請前に確認してください。減点の詳しい読み方は再申請の対象外・減点一覧にまとめています。

対象外:課税所得15億円超・みなし大企業など

受給歴以外にも、対象外になる事業者が公募要領2-1-2に列挙されています。

  • 確定している(申告済みの)直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者等
  • 大企業が一定割合を出資する、いわゆる「みなし大企業」に該当する会社(資本要件の詳細は公募要領でご確認ください)
  • IT導入支援事業者(コンソーシアムの構成員を含む)の立場と補助事業者の立場が重複する申請にも制限があります。該当しうる場合は公募要領2-1-2をご確認ください

申請は1社1回まで。グループ会社は「みなし同一法人」に注意

デジタル化・AI導入補助金2026では、交付申請期間を通じて1法人・1個人事業主あたり1申請のみと定められています(交付決定も同様)。さらに、次のようなケースは「みなし同一法人」と認定され、グループ全体で1社しか申請できません。

  • 親会社が議決権の50%超を保有する子会社
  • 同一の個人が複数の法人の議決権50%超を保有している場合。配偶者・親子など生計を同一にする者は、全員「同一の個人」として扱われます。夫が代表を務める会社と妻が代表を務める別会社は、それぞれ別人の名義でも、みなし同一法人に該当しうるということです。過去に交付決定を受けた個人事業主が新たに法人を設立した場合も、同じ個人による申請として同様に扱われます
  • 代表者・所在地が同一の法人、主要株主および住所が同じ法人、実質的支配者が同じ法人 など

家族経営で複数法人の代表を兼ねているケースや、持株会社の下に事業会社が並ぶケースは要注意です。夫婦・親子でそれぞれ別会社の代表を務めているだけで「代表者は違うから大丈夫」と判断するのは誤りで、出資関係次第ではみなし同一法人に該当します。当社のサポートでも「2社それぞれで申請したい」というご相談は珍しくありません。みなし同一法人に該当すれば、どちらか1社に絞る必要があります。グループのどの会社で・どのツールを申請するのが最も効果的かを、先に決めてから動いてください。

通常枠とインボイス枠、どちらを選ぶ?

会計・受発注・決済まわりとパソコン・レジならインボイス枠、予約・生産管理などの業務システム全般なら通常枠が基本です。判断の目安は次の3つです。

  • 会計・受発注・決済まわり+パソコン・レジを入れたい → インボイス枠(補助率が高く、ハードも対象)
  • 予約システム・生産管理・グループウェアなど業務システム全般 → 通常枠(対象ソフトの幅が広い)
  • 過去にデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型など)・インボイス枠を受給済み → インボイス枠は申請不可のため通常枠を検討

なお、同じ交付申請期間中にインボイス枠と通常枠の両方に申請(併願)することは可能です。ただし公募要領上、併願すると相互の審査で減点措置の対象になります。同じ会計・受発注・決済機能のツールを両方で導入する場合は、さらに減点されます。同じ経費の二重計上は交付取消・全額返還の対象です。基本は自社に合う1枠に絞り、併願はIT導入支援事業者と相談のうえ判断してください。不採択後の再申請ルールは再申請と減点の解説にまとめています。

押さえておきたい加点ポイント

インボイス対応類型で審査に有利になる主な加点は、インボイス登録予定の加点と「スマートレジ」登録製品の選定です(詳細は公募要領を確認)。

  • インボイス登録予定の加点:交付申請時点で適格請求書発行事業者(インボイス)登録がない事業者が、実績報告までに登録することを約束すると加点されます。ただし約束を果たせないと原則交付決定の取消しになるため、確実に登録できる場合だけ使ってください。すでに登録済みの方は、この加点はつきませんが申請自体は問題なくできます
  • 「スマートレジ」登録製品の選定(3次締切分から実施。これから申請する回次で有効な加点です)。2026年8月28日の公募要領改訂で、インボイス枠の加点項目のうち、この「スマートレジ」選定を特に重視する旨が明記されました。他の加点項目と並記ではなく、審査上の重み付けが高いことが公式に示された形です
  • 賃上げ計画・IT戦略ナビwithなど、通常枠・インボイス枠(両類型)・セキュリティ対策推進枠に共通の加点もあります(賃上げ加点の詳細)。加点項目の全体は加点項目一覧で整理しています

加点は「約束」でもある点に注意してください。公募要領は、加点を受けて採択されたのに申請した加点要件を達成できなかった場合の扱いを定めています。効果報告で未達が報告されてから18カ月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請で、正当な理由が認められない限り大幅に減点するというものです。災害などでやむを得ず達成できなかった場合は、効果報告の提出時に理由を説明し、事務局がやむを得ないと認めた場合に限り減点が免除されます。達成できる見込みのある加点だけを選んでください。

スケジュール・締切と事業実施期間:いつまでに導入・支払い・報告するか

インボイス枠の締切・交付決定日は通常枠と共通で、次回は7次の2026年12月1日(火)17:00締切です。6次は受付を終了しました。締切だけでなく、採択後にいつまでに導入・支払い・実績報告を終えるかも、回次ごとに決まっています(2026年10月30日時点・公式スケジュールより)。

募集回交付申請締切事業実施期間・実績報告期限(予定)
1次〜5次受付終了(5次は2026年9月29日17:00で終了)5次は交付決定〜2027年4月30日(金)17:00
6次(受付終了)2026年10月30日(金)17:00交付決定〜2027年5月31日(月)17:00
7次(次回)2026年12月1日(火)17:00交付決定〜2027年7月30日(金)17:00
8次2027年1月7日(木)17:00交付決定〜2027年8月31日(火)17:00

※公式サイトは「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております。以降のスケジュールは随時更新いたします」としており、2026年10月30日時点の最終公表回は8次です(8次は2026年10月29日に追加公表。9次以降は未公表)。最新の日程は事業スケジュールで必ずご確認ください。

6次は2026年10月30日で受付を終えたため、これから準備を始める場合は7次(12月1日締切)か8次(2027年1月7日締切)が対象です。申請にはGビズIDプライムとSECURITY ACTION宣言(★一つ星でOK)が必要です。GビズIDプライムは、マイナンバーカードを使うオンライン申請なら最短で即日、書類郵送申請なら書類に不備がない場合で最大1か月で発行されます。事務局は発行までを「おおむね2週間」と案内していますが、書類郵送申請になる場合は1か月を見込んでください。逆算の段取りは申請方法とスケジュールをご覧ください。

実務の流れは、①IT導入支援事業者とツールを選ぶ(選び方)→ ②GビズID等の事前準備 → ③交付申請(必要書類)→ ④交付決定後に発注・契約・支払い → ⑤実績報告、の順です。補助金の入金は実績報告と事務局の確定手続きの後になるため、導入費用はいったん全額を立て替える資金繰りを前提にしてください。クラウド2年分を計上する場合は立替額も大きくなります。

よくある質問

Q. freeeやマネーフォワードは補助の対象になりますか?

freee・マネーフォワードとも、インボイス制度対応かつ会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つ登録ITツールとして提供されていれば対象です。対象になるかは製品・プラン・IT導入支援事業者ごとの登録状況次第のため、最新の登録状況は公式サイトのITツール検索でご確認ください。当社(株式会社CAREARC)はIT導入支援事業者として、freee・マネーフォワード クラウドの導入をインボイス枠で支援しています。詳細は会計ソフト×補助金の専用ページにまとめています。

Q. 個人事業主でも使えますか?

はい、使えます。商業・サービス業の個人事業主なら、従業員5人以下で「小規模事業者」に該当し、補助率最大4/5が適用されます。必要書類は法人と異なり4種類(本人確認書類・納税証明書・確定申告書の控え・青色申告決算書または収支内訳書)です。ただし申請は1個人事業主あたり1回のみで、屋号が複数あっても申請枠は1つです。

Q. すでにインボイス登録済みですが申請できますか?

はい、できます。インボイス登録の有無は申請要件ではありません(未登録者の「登録予定」は加点になるだけです)。登録済みの事業者がインボイス対応ソフトを入れ替える用途でも問題なく使えます。

Q. 過去にIT導入補助金のインボイス枠を使いましたが、また申請できますか?

いいえ、できません。IT導入補助金2024・2025の「インボイス枠」で交付決定を受けた事業者は、2026年のインボイス枠に申請できません。IT導入補助金2022・2023の「デジタル化基盤導入枠」(デジタル化基盤導入類型など)の交付決定者も同じです。公募要領にそう定められています。会計まわり以外のツール導入であれば通常枠の利用を検討してください。

Q. 過去に通常枠で受給しました。今回インボイス枠に申請できますか?

はい、申請できます。ただし、IT導入補助金2022〜2025のいずれかで交付決定を受けている場合は、賃上げ要件が必須です。翌事業年度以降3年間で1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上引き上げる事業計画を策定し、従業員に表明する必要があります。目標未達(期限内の未報告を含む)の場合は原則補助金の返還を求められるため(赤字等の免除条件あり)、申請前に給与水準の推移から達成可能性を必ず検討してください。また、過去受給者は審査上の減点対象です。前回(2024・2025)交付決定を受けたソフトとプロセスが重複するとさらに減点され、完全に一致する場合は不採択です(詳細はこちら)。

Q. パソコンだけ、プリンターだけを補助してもらうことはできますか?

いいえ、できません。ハードウェアはあくまで対象ソフトとセットで、その継続利用に必要な範囲が対象です。会計ソフトの導入に合わせれば、PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機(合計上限10万円・1/2補助)を組み込めます。細かい線引きは対象経費の解説をご覧ください。

Q. 家電量販店や通販で買ったパソコンも対象になりますか?

いいえ、対象外です。ハードウェアは、ソフトウェアの購入先として選定したIT導入支援事業者からの購入に限ると、公募要領に明記されています。また交付決定前に購入したものは購入先を問わず対象外です。「先に自分で安く買っておく」は使えないルールなので、機種の希望がある場合はIT導入支援事業者に取り扱いを確認してください。

Q. 会計ソフトをリースやレンタルで導入する場合も対象ですか?

いいえ、対象外です。リース・レンタル契約のITツールは補助対象外経費と定められています(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)。補助対象になるのは「購入」または「クラウド利用(最大2年分)」です。月額負担を抑えたい場合は、リースではなくクラウド型プランでの申請を検討してください。

Q. グループ会社それぞれで申請できますか?

「みなし同一法人」に該当する場合は、グループで1社しか申請できません。親会社が議決権の50%超を持つ子会社や、代表者・所在地が同一の法人などが該当します。該当する場合は、どの会社のどの投資に補助金を充てるのが最も効果的かを先に決めてください。判定に迷うケースは公募要領の定義をご確認ください。

Q. 補助金はいつ受け取れますか?

後払いです。交付決定後にツールを導入・支払いし、実績報告を提出して事務局の確定手続きが済んだ後に入金されます。実績報告の期限は回次ごとに異なります。5次採択分は2027年4月30日(金)17:00(予定)、6次採択分は2027年5月31日(月)17:00(予定)、7次採択分は2027年7月30日(金)17:00(予定)です(受付終了した4次採択分は2027年3月31日(水)17:00(予定))。期限を過ぎると補助金を受け取れなくなるため、導入スケジュールは期限から逆算して組んでください。

まとめ:会計まわりのDXなら最有力。ただし「過去の受給歴」を最初に確認

  • インボイス枠(インボイス対応類型)は補助率最大4/5・ソフト上限350万円の最優遇枠
  • 対象はインボイス対応の会計・受発注・決済ソフト+セットのPC・プリンター・複合機(10万円)・レジ(20万円)
  • リース・中古品・交付決定前の購入・自前調達のPCは対象外。発注は交付決定後が鉄則(スマートレジ導入・POSレジ改修等の「事前着手制度」は例外として予告中)
  • 2022・2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型など)と2024・2025のインボイス枠の受給者は申請不可。他枠の過去受給者は賃上げ要件(未達なら原則返還)つき
  • 申請は1社1回・みなし同一法人はグループで1社のみ。6次締切は10/30で受付終了し、次回は7次(2026年12月1日17:00締切)。次は8次(2027年1月7日17:00締切)で、9次以降は未公表

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参考(一次情報)