製造業・建設業の生産管理・施工管理・CAD・原価管理などのソフトは、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)の補助対象になり得ます。一方、工作機械・測量機器・ドローンなどの機械・設備は補助対象ではありません。ソフトが対象になるのは、IT導入支援事業者が事務局に登録したITツールの場合です。

「生産管理システムをIT導入補助金で入れたい」「建設業の施工管理や原価管理のソフトは対象になる?」というご相談では、この線引きで迷う方が多くいらっしゃいます。この記事では、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の公募要領の原文をもとに、製造業・建設業が何を、どの枠で導入できるかを整理します。当社の主な対象である通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を中心に扱います。

  • 通常枠:公募要領の別紙2に、製造業は「製P-06」、建設・土木業は「建P-06」という業種固有プロセスがあります。製造業の機能例は、生産管理・製造工程管理・品質管理・CAD/CAM/CAE・原価計算などです。建設・土木業では、施工管理・工程管理・積算・出来形管理・電子小黒板・図面管理などが挙がっています。補助対象はソフトウェア・オプション・役務で、機械・設備や測量機器は含まれません
  • インボイス枠(インボイス対応類型):ソフトはインボイス制度に対応し、「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むものに限られます。生産管理や施工管理の機能だけのソフトは、この要件を単独では満たしません
  • 通常枠で補助額が150万円以上になると、4プロセス以上と賃上げ要件が必須です。製造業・建設業は、共通プロセスと業種固有プロセスを組み合わせて数えます
  • 「対象になり得る」は登録が前提です。製品が登録済みかどうかは、公式のITツール検索で確認します
  • 事業者の側にも条件があります。インボイス枠は過去の交付決定歴、通常枠は12カ月制限などで、申請自体ができない場合があります(先に確認する)

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製造業・建設業はIT導入補助金で何を導入できる?の記事でわかる3つのこと:生産管理・施工管理・CADのソフトが対象になる条件、工作機械・測量機器などの機械・設備が対象外になる理由、通常枠・インボイス枠の違いと150万円以上の4プロセス要件
図解:製造業・建設業はIT導入補助金で何を導入できる?で最初に押さえたい3つのポイント

製造業・建設業で対象になるもの・ならないもの

製造業・建設業の生産管理・施工管理・CADなどのソフトは、登録されたITツールであれば通常枠の対象になり得ます。工作機械・測量機器・ドローンなどの機械・設備は、通常枠でもインボイス枠でも対象外です。よく検討される導入物を公募要領の原文に沿って整理すると、次の表のとおりです。

導入したいもの通常枠インボイス枠(インボイス対応類型)
生産管理・製造工程管理・品質管理のソフト対象になり得る(製P-06)「会計」「受発注」「決済」の機能を含む登録ソフトなら対象になり得る。生産管理の機能だけでは要件を満たしません
施工管理・工程管理・原価管理のソフト対象になり得る(建P-06)同上
CAD/CAM/CAE、積算・見積のソフト対象になり得る(製P-06のCAD/CAM/CAE、建P-06のCAD・積算)同上
受発注・仕入・在庫管理のソフト対象になり得る(共P-02、共P-03)「受発注」機能を持つ登録ソフトなら対象になり得る
会計・原価計算の連携ソフト対象になり得る(共P-04、製P-06の原価計算)「会計」機能として対象になり得る
工作機械・製造設備・測量機器・ドローン・重機対象外(補助対象はソフトウェア・オプション・役務のみ)対象外(機器として対象になるのは、PC・タブレット等とレジ・券売機に限られます)
現場用のタブレットや事務用PC対象外会計・受発注・決済のいずれかのソフトとあわせて導入する場合、上限10万円の枠が使えるかを確認

この表は機能の分類を示したもので、特定の製品が対象になる保証ではありません。公募要領が定めるのは、どの機能がどのプロセスに分類されるかまでです。製品が補助対象になるかは、IT導入支援事業者が事務局に登録し、審査を通ったかで決まります。設備投資そのものを補助してほしい場合は、この補助金とは別の制度(ものづくり補助金との使い分けなど)を検討することになります。

申請できない事業者・使えない枠を先に確認

導入したいソフトが対象でも、申請する事業者が対象外に当たる場合は申請できません。製造業・建設業で特に問題になりやすいのは、グループ会社や親族経営の複数法人が「みなし同一法人」に当たるかどうかと、過去の受給歴です。

通常枠・インボイス枠に共通の対象外(公募要領 2-1-2)

公募要領2-1-2は、次のいずれかに該当する事業者を申請の対象外としています(抜粋)。

  • 発行済株式の総数の2分の1以上を同一の大企業が所有している事業者など、大企業との資本関係が深い事業者((1)①〜⑤)
  • 確定している(申告済みの)直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者((1)⑥)
  • 「みなし同一法人」は1社のみしか申請できません((2))。親会社が議決権の50パーセント超を有する子会社がある場合や、個人が複数の会社のそれぞれの議決権を50パーセント超保有する場合が該当します。代表者及び住所が同じ法人、主要株主及び住所が同じ法人、実質的支配者が同じ法人の場合も該当します。本補助金を受けることを目的に、主要株主や出資比率を変更して申請することも認められません
  • IT導入支援事業者(構成員を含む)として登録されている、または登録しようとする事業者((3))
  • 過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者((6))
  • 宗教法人、法人格のない任意団体(同窓会・PTA・サークルなど)((8)(9))

製造・建設グループで、代表者と住所が同じ法人を複数持っている場合は、まとめて1社しか申請できない点を先に確認してください。

申請の単位と回数、12カ月制限

  • 交付申請期間中、1法人・1個人事業主あたり1申請のみです(みなし同一法人の考え方を適用)。通常枠の公募要領は、同じ期間中に交付申請を受け付けている他の枠も申請し、交付決定・交付を受けることは可能としています。対象の枠は、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)とセキュリティ対策推進枠です
  • ただし、通常枠とインボイス枠の両方で申請している場合は、審査で減点措置の対象になります(公募要領 3-3(2)②)。さらに、複数申請では補助対象経費の二重計上が疑われると、交付決定の取消しや全額返還になる場合があります(通常枠 3-2(4)・【補足3】)
  • IT導入補助金2025の通常枠および複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12カ月以内は2026の通常枠で申請できません。グループ構成員も含みます

インボイス枠(インボイス対応類型)の対象外

インボイス枠の公募要領は、次の交付決定を受けた事業者を申請の対象外としています(2-1-2(4))。

  • IT導入補助金2022のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
  • IT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)・同(商流一括インボイス対応類型)
  • IT導入補助金2024・2025のインボイス枠

IT導入補助金2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)にも、12カ月の制限があります。交付決定日から12カ月以内は、2026のインボイス枠(インボイス対応類型)でも申請できません。

過去の補助金で会計ソフトや受発注のソフトを入れた製造業・建設業は、インボイス枠の対象外に当たる場合があります。インボイス枠を選べない場合は、通常枠を検討することになります。ただし通常枠にも12カ月制限などがあるため、再申請の対象外・減点一覧と通常枠とインボイス枠の選び方で先に確認してください。

事業者の規模は「主たる業種」で判定します

申請できる中小企業・小規模事業者等の範囲は、業種ごとの資本金または常時使用する従業員数で決まります(公募要領 2-1-1(1))。製造業・建設業の区分は次のとおりです。

業種分類定義(資本金の額又は出資の総額、または常時使用する従業員数)
製造業(ゴム製品製造業を除く)、建設業、運輸業3億円以下の会社、または従業員300人以下の会社及び個人事業主
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円以下の会社、または従業員900人以下の会社及び個人事業主

自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業と工業用ベルト製造業は、上の「製造業・建設業・運輸業」の区分に当たります。自社がどの業種分類に当たるかは、公募要領の定義と、公募要領が示す総務省統計局(e-Stat)の日本標準産業分類で確かめます。

小規模事業者(インボイス枠で補助率が上がる区分)の定義は、「製造業その他」が常時使用する従業員20人以下です。公募要領の小規模事業者の表は「①商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)」「②サービス業のうち宿泊業・娯楽業」「③製造業その他」の3区分で、建設業は①②に当たらないため、③の20人以下で判定します。「常時使用する従業員」は、労働基準法第20条の「予め解雇の予告を必要とする者」を指し、会社役員と個人事業主は含みません。

通常枠:製造業・建設業で使える機能とプロセスの数え方

通常枠のプロセス数の数え方の図解。主な項目:製造業は製P-06、建設・土木業は建P-06が業種固有プロセス、生産管理ソフトが製P-06と共P-03にまたがる登録なら2プロセス、補助額150万円未満は1プロセス以上で足りる、150万円以上は4プロセス以上と賃上げ要件が必須
図解:通常枠のプロセス数の数え方で押さえたいポイント

通常枠で必要なプロセスの数は補助額で変わり、5万円〜150万円未満は1プロセス以上、150万円〜450万円以下は4プロセス以上です(公募要領 2-3)。補助額ごとの区分を表にすると、次のとおりです。

補助額必要なプロセス数
5万円〜150万円未満1プロセス以上
150万円〜450万円以下4プロセス以上

プロセスとは、公募要領の別紙2で、ITツールの機能を業務ごとに分類した区分です。共通プロセス(共P-01〜共P-05)、業種固有プロセス(各業種P-06)、汎用プロセス(汎P-07)の7種類があります。別紙2が挙げている機能例のうち、製造業・建設業に関係するものを原文の表記で整理します。

業種固有プロセス(製P-06・建P-06)

プロセス別紙2の機能例(原文)
製P-06 製造業品質管理(部品・完成品の品質検証、生産プロセスの改善、トレーサビリティ、外注先評価)、製造工程管理(製造指示、指示書、納期管理、ロット管理)、製造管理(作業進捗、作業日報、安全管理、MES)、製造設備管理(稼働状況、設備保全)、生産管理(生産計画立案、工程計画、資材所要量計算)、CAD・CAM・CAE、部品表(BOM)・配合表(食品加工)、コスト計算、原価計算、CO2排出量管理、食品表示、プリプレスツール
建P-06 建設・土木業点群データ解析・処理、CAD(設計、プレゼン支援、シミュレーション)、積算・拾い出し・見積、出来形管理・総括表・電子小黒板、図面管理、工程管理(工程表)・品質管理・写真管理・工事台帳、施工管理(工事案件・契約、日報管理、原価管理・実行予算管理、作業員・資材手配、安全管理)、安全衛生管理、BIM/CIM対応、省エネ性能(分析・評価)・建築確認申請書等法令提出・電子納品対応

「製造設備管理(稼働状況、設備保全)」で対象になるのは、設備の稼働状況や保全を管理するソフトウェアです。設備そのものを購入する費用ではありません。

共通プロセスで数えられる機能

製造業・建設業でも、次の共通プロセスは数えられます。

プロセス製造・建設に関係する機能例(別紙2の原文)
共P-01 顧客対応・販売支援SFA(見込客情報、案件情報、商談進捗などを可視化し営業力の強化につなげるもの。営業活動の情報を保有・表示するだけの機能は対象外)、CRM(顧客購買履歴及び対応履歴の全社共有・顧客分析・販促・アフターケア機能)
共P-02 決済・債権債務・資金回収発注・仕入管理、買掛・支払管理、受注・売上請求管理、売掛・回収管理、採算管理(売上分析、粗利管理)
共P-03 供給・在庫・物流取引条件管理、入出庫管理、実地棚卸管理、検品受入、在庫分析、納品管理、配送計画
共P-04 会計・財務・経営仕訳、総勘定元帳、財務三表、固定資産台帳・減価償却計算、経費精算(仕訳機能や会計ソフトへの連携機能がなく、費目と金額を入力・表示するだけのものは対象外)、管理会計、経営分析
共P-05 総務・人事・給与・労務…出退勤申請・管理、シフト作成、給与計算、人事基本台帳、社内向け研修ツール、電子契約、ワークフロー、BI(詳しくは勤怠管理・給与計算ソフトの記事)
汎P-07 汎用・自動化・分析ツール文書証憑管理ソフト、OCR、ペーパーレス化ツール、グループウェア、WEB会議システム、RPA、チャットボット。ただし汎用プロセスだけを持つITツールは単独では申請できず、共P-01〜各業種P-06と組み合わせると1プロセスとして数えられます

プロセス数の数え方と賃上げ要件

  • プロセス数は、ITツールの機能が「どのプロセスに分類されるか」で数えます。たとえば生産管理ソフトが製P-06(業種固有)と共P-03(在庫・入出庫)にまたがる登録なら、2プロセスです。どのプロセスで登録されているかは、公式のITツール検索で確認できます
  • 150万円未満で申請する場合は、1プロセス以上の要件で足ります
  • 150万円以上で申請する場合は、4プロセス以上と賃上げ要件が必須です。賃上げ要件は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすることです。7次締切(2026年12月1日)からは、1年後に1人当たり給与支給総額を3%以上向上させる要件も加わります(未達でも返還は求めないとされています)
  • IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けたことがある事業者は、150万円未満でも賃金引上げ計画が必須です。計画の水準は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上です(公募要領 2-1-1(テ)(ト)(ナ))。7次締切からは、1年後に3.5%以上向上させる要件も加わります
  • 製造業・建設業では、生産管理(製P-06)、受発注・原価(共P-02)、在庫(共P-03)、会計(共P-04)を組み合わせる構成が現実的です。ただし、組み合わせられるかどうかは登録内容で決まります
  • 単なる情報の保有・表示では対象外になる機能があります。別紙2の注意点は、SFAでは「単なる営業活動の情報を保有・表示する機能」、CRMでは「単なる顧客情報を保有・表示する機能」を対象外としています。経費精算は「仕訳機能や会計ソフトへの連携機能がなく、経費費目と金額を入力・表示するだけのもの」が対象外です

通常枠にハードウェアの区分はありません

通常枠の補助対象は、大分類Ⅰ「ソフトウェア」、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」の3つです。工作機械、製造ライン、検査装置、測量機器、ドローン、重機、現場用の機器などは、通常枠の補助対象に含まれていません。機械・設備の導入を補助してほしい場合は、別の制度を検討します。

別紙2は、カメラ等で得たデータを分析するAIトラッキング機能などに注意点を付けています。「ソフトウェアのみが対象であり、ハードウェア部分は対象外」「ソフトウェアとハードウェアが一体で切り分けが困難な場合も対象外」という内容です。機器と一体になった製品は、この点を導入前に確認してください。

補助率の2/3の条件

通常枠の補助率は1/2以内です。7次締切(2026年12月1日)からの公募要領(第7回公募以降・2026年10月9日公開)は、次の条件を満たす場合に2/3以内とする旨を定めています(原文)。

令和7年10月から令和8年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上~令和8年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、2/3以内

受付を終了した6次締切(2026年10月30日)までの公募要領では、期間と基準が次のとおりでした(原文)。

令和6年10月から令和7年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上~令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、2/3以内

この2/3以内の補助率は、最低賃金に近い水準で働く従業員の割合で決まる措置で、賃上げ要件の達成とは別の基準です。当てはまるかどうかは、賃金台帳で月ごとの従業員の割合を確かめて判断します。

インボイス枠の要件と補助額:受発注・会計の機能が必要

インボイス枠(インボイス対応類型)で対象になるソフトは、インボイス制度に対応し、「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むものです。公募要領2-2(3)の原文は次のとおりです。

カテゴリー1(ソフトウェア)に区分されるもののうち、インボイス制度に対応しており、かつ「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含む必要がある

製造業・建設業では、受発注(発注・仕入管理、受注・売上請求管理)や会計の機能を持つ登録ソフトが、この要件に当たり得ます。補助額と補助率をまとめると、次の表のとおりです(公募要領 2-3)。

項目補助額補助率
ソフト購入費・導入関連費(会計・受発注・決済のうち1機能)〜50万円3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
ソフト購入費・導入関連費(会計・受発注・決済のうち2機能以上)〜350万円補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、補助額50万円超の部分は2/3以内
PC・タブレット等〜10万円1/2以内
レジ・券売機〜20万円1/2以内

役務(導入設定、研修、保守サポートなど)の補助対象経費は200万円が上限です。オプション・役務・ハードウェアを申請できるのは、ソフトとあわせて交付申請する場合に限られます。ハードウェアだけを単独で申請することはできません(公募要領 2-2(3)(イ))。

PC・タブレット等は、「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を持つカテゴリー1(ソフトウェア)とあわせて導入する場合に限り、対象になります。購入先も、ソフトの購入先として選んだIT導入支援事業者に限られます(公募要領 2-2【補足2】)。生産管理や施工管理のソフトだけを入れる場合は、この枠の要件を満たしません。

試算例:補助額の計算の仕方

以下は、公募要領の補助率・上限額の計算の仕方を示すための仮の金額での例です(実際の補助額は、登録された製品の価格・機能数・事業者の区分で変わります)。

仮定計算
従業員20人以下の製造業が、受発注機能1つのソフト(補助対象経費40万円)を導入(インボイス枠)補助額50万円以下の部分の補助率は小規模事業者で4/5以内のため、40万円×4/5=32万円が上限の目安
小規模事業者に当たらない建設会社が、受発注と会計の2機能を持つソフト(補助対象経費100万円)を導入(インボイス枠)3/4以内が使えるのは補助額50万円までなので、経費約66.7万円分×3/4=50万円。残りの経費約33.3万円分は2/3以内で約22.2万円。合計約72.2万円が上限の目安(経費50万円で区切る計算ではありません)
製造業が生産管理を含む登録ソフト(補助対象経費120万円)を導入(通常枠・補助率1/2以内)120万円×1/2=60万円が上限の目安。補助額が150万円未満なので1プロセス以上で足ります

公募要領は、補助金は事務局から補助事業者に直接支払うとしています。補助額は補助対象経費に補助率を乗じた額の合計で、自己負担となる残りの費用は事業者が支払います。

補助対象外になる費用

公募要領は、次の費用を補助対象外としています(通常枠の公募要領 2-2(4))。

  • 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの
  • 交通費、宿泊費
  • 補助金申請・報告にかかる申請代行費
  • 公租公課(消費税)
  • 交付申請時にITツールの利用金額が定められないもの
  • 対外的に無償で提供されているもの
  • リース・レンタル契約のITツール
  • 中古品
  • 交付決定前に購入したITツール

製造業・建設業では、次のような進め方で補助対象外になる例が起きやすくなります。

  • 交付決定前に、生産管理ソフトの導入契約や支払いを済ませてしまう
  • 自社専用の機能を一から作るスクラッチ開発の費用を、見積に混ぜる(補助対象は登録済みのITツールです)
  • リース契約のソフトを選ぶ

顧客側が実質負担する費用がITツール代金に含まれるものも、対象外とされています(「補助事業者にとっての売上原価に相当すると事務局が判断するもの」)。工事の原価や製品の原価に計上される費用は、見積の段階で内訳を確認してください。

賃上げ要件・労働生産性の目標と加点項目

製造業・建設業で見落としやすいのは、過去の交付決定歴によって必須になる賃上げの計画と、労働生産性の目標です。加点項目の全体像は加点項目一覧で整理しています。

  • IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けたことがある事業者は、通常枠の150万円未満の申請でも、インボイス枠の申請でも、賃金引上げ計画が申請要件(必須)です。1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の計画を策定し、従業員に表明します(通常枠 2-1-1(テ)、インボイス枠 2-1-1(ツ))。7次締切(2026年12月1日)からは、1年後に3.5%以上向上させる要件も加わります。詳しくは賃上げ要件の記事で確認してください
  • 賃上げの計画は、従業員への表明まで行う必要があります。表明したと申告したのに実際は表明していないことが交付決定後に分かった場合、事務局は交付決定の取消しを行います(通常枠 2-1-1 の注記)
  • 労働生産性の目標を満たす3年間の事業計画を策定する必要があります(通常枠 2-1-1(ク))。目標は、1年後に3%以上、事業計画期間の年平均成長率3%以上です。IT導入補助金2023の通常枠(A・B類型)・デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)、2024・2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、どちらも4%以上になります。計算式は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の事業者当たり総労働時間」です。詳しくは労働生産性要件の記事をご覧ください

製造業・建設業で枠を選ぶ目安

業種固有の機能を中心に入れるなら通常枠、受発注・会計をインボイス制度に対応させるならインボイス枠が目安です。状況ごとの検討の方向を、次の表にまとめました。

状況検討の方向
生産管理・施工管理・CADなど業種固有の機能を中心に入れたい通常枠。製P-06・建P-06を含む登録ソフトか、ITツール検索で確認。補助額150万円以上は4プロセス以上と賃上げ要件が必須
受発注・請求・会計をインボイス制度に対応させたいインボイス枠。「会計」「受発注」「決済」の機能を持つ登録ソフトであることが要件
工作機械・測量機器・ドローンなどの機械・設備を導入したいこの補助金の対象外。別の制度を検討(ものづくり補助金との使い分け)
過去にインボイス枠などで交付決定を受けているインボイス枠は対象外の場合あり。通常枠の12カ月制限などを確認

枠の考え方の全体像は通常枠とインボイス枠の選び方にまとめています。

申請の流れ:検討するときの確認手順

申請を検討するときの確認手順の図解。主な項目:申請できる事業者か確認する(みなし同一法人・12カ月制限)、使う枠を決め、ITツール検索で製品の登録プロセスを確認する、通常枠は補助額を150万円未満にするか、以上にするかを決める、交付決定前に発注・契約・支払いをしない
図解:申請を検討するときの確認手順で押さえたいポイント

申請を検討するときは、申請できる事業者かどうかの確認から始め、次の順に進めます。交付決定までは、発注・契約・支払いをしないことが前提です。

  1. 申請できる事業者か確認する(対象外の事業者・12カ月制限。グループ会社や親族経営の複数法人は「みなし同一法人」も)。GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTION(一つ星または二つ星)の宣言も申請要件です。申請直近月の事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であることも求められます(公募要領 2-1-1)。GビズIDプライムは申請方法によっては発行までに日数がかかるため、早めに手続きしてください(取得の手順はGビズIDプライムの取得方法)
  2. 使う枠を決める。業種固有の機能を広くそろえるなら通常枠、受発注・会計をインボイス制度に対応させるならインボイス枠です
  3. 導入したい製品が登録済みか、公式のITツール検索で確認する。業種固有プロセス(製P-06・建P-06)や共通プロセスの何に登録されているかも見ておきます
  4. 補助額を150万円未満にするか、150万円以上にするかを決める(通常枠)。150万円以上なら4プロセス以上と賃上げ要件が必須です。過去にIT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、150万円未満でも賃上げ要件が必須になります
  5. 交付決定前に発注・契約・支払いをしない(交付決定前に購入したITツールは補助対象外)
  6. 見積書に申請代行費や登録外の費用、リース契約が混ざっていないか確認する

補助額の試算は見積シミュレーターが使えます。登録の有無や対象になるかの確認は、公式LINEでも受け付けています。当社は登録IT導入支援事業者として、デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠)の申請サポートを完全成功報酬で行っています。

実務で起きやすいつまずき

当社がご相談を受けるなかで、製造業・建設業の導入で起きやすいつまずきは次の4つです。

  • 「設備も補助される」と考えて、申請を準備していた。この補助金の対象はITツール(ソフトウェア・オプション・役務)で、機械・設備・測量機器などは対象外です。導入したいものが機器なのかソフトなのかを、最初に切り分けます
  • 生産管理や施工管理のソフトだけで、インボイス枠に申請しようとしていた。インボイス枠は「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能が要件で、業種固有の管理機能だけでは単独で要件を満たしません
  • 自社専用に作り込む見積を出してもらっていた。補助対象は、IT導入支援事業者があらかじめ事務局に登録したITツールの導入費用です。登録のない自社専用開発は対象になりません
  • 導入を先に契約・支払いしていた。交付決定前に購入したITツールは補助対象外で、あとから補助対象に戻すことはできません

締切日と交付決定日(2026年10月13日確認)

デジタル化・AI導入補助金2026の次回締切は、7次締切分の2026年12月1日(火)17:00です。6次は2026年10月30日(金)17:00で受付を終了しました。通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)とも同じ日程で、公式の事業スケジュールに公表されている内容は次のとおりです。

締切回締切日時交付決定日事業実施期間
6次締切分(受付終了)2026年10月30日(金)17:002026年12月10日(木)(予定)交付決定〜2027年5月31日(月)17:00(予定)

7次締切分は、公式スケジュールで締切日が2026年12月1日(火)17:00とされています。8次締切分(2027年1月7日(木)17:00締切、交付決定日2027年2月17日(水)予定、事業実施期間は交付決定〜2027年8月31日(火)17:00予定)は2026年10月29日に追加公表されました。公式スケジュールは「確定している募集回のスケジュールのみ公表」とされているため、9次以降の有無・日程は公式サイトで最新の情報を確認してください。締切日の17:00をもって、申請マイページから申請できなくなります。

よくある質問

Q. 工作機械や製造ラインの導入費用は補助されますか?

補助されません。通常枠の補助対象は、ソフトウェア・オプション・役務の3つで、機械・設備は含まれていません。インボイス枠(インボイス対応類型)で機器として対象になるのは、PC・タブレット等(上限10万円)とレジ・券売機(上限20万円)に限られます。設備投資を支援する制度は、別の補助金を検討してください。

Q. 施工管理アプリや電子小黒板のソフトは対象ですか?

登録済みのソフトであれば、通常枠の対象になり得ます。別紙2の建P-06に、「出来形管理、総括表、電子小黒板」「施工管理」「工程管理」「写真管理」などが機能例として載っています。製品ごとに、どのプロセスで登録されているかはITツール検索で確認してください。

Q. 生産管理システムだけでインボイス枠は使えますか?

使えません。インボイス枠は、インボイス制度に対応し、かつ「会計」「受発注」「決済」の機能を1種類以上含むソフトが対象です。生産管理の機能だけでは要件を満たさないため、受発注や会計の機能を含む登録ソフトか、通常枠を検討することになります。

Q. CADソフトは対象ですか?

登録済みのソフトであれば、通常枠の対象になり得ます。別紙2には、製造業の製P-06に「CAD、CAM、CAE」、建設・土木業の建P-06に「CAD(設計、プレゼン支援、シミュレーション)」が機能例として載っています。製品が登録されているかは、ITツール検索で確認してください。

Q. 子会社や関連会社がある場合、複数社で申請できますか?

みなし同一法人に当たる場合は、1社しか申請できません。みなし同一法人には、親会社が議決権の50パーセント超を有する子会社や、代表者及び住所が同じ法人などが含まれます。本補助金を受けることを目的に、主要株主や出資比率を変更して申請することも認められません。個別の判断は、公募要領と、IT導入支援事業者への確認が必要です。

Q. IT導入補助金2025で交付決定を受けましたが、今回申請できますか?

2025で交付決定を受けた枠によっては、申請できない場合があります。通常枠は、IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)が、交付決定日から12カ月以内は申請できません。インボイス枠には、IT導入補助金2022・2023のデジタル化基盤導入枠(2023は商流一括インボイス対応類型を含む)で交付決定を受けた事業者は申請できません。2024・2025のインボイス枠で交付決定を受けた事業者も同じです。2025の複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた場合は、インボイス枠にも交付決定日から12カ月以内は申請できません。また、2022〜2025のいずれかで交付決定を受けた事業者は、どの枠で申請する場合も3.5%の賃金引上げ計画が申請要件です。

まとめ

  • ソフトは通常枠で対象になり得る一方、機械・設備・測量機器は補助対象外です。インボイス枠の機器も、PC・タブレット等とレジ・券売機に限られます
  • 製造業は製P-06、建設・土木業は建P-06に業種固有の機能例があり、共通プロセスと組み合わせてプロセス数を数えます。補助額150万円以上は4プロセス以上と賃上げ要件が必須です
  • インボイス枠は「会計」「受発注」「決済」の機能が要件で、生産管理や施工管理の機能だけでは単独で要件を満たしません
  • 申請前に、申請できない事業者(みなし同一法人・対象外・12カ月制限・過去の受給歴)に当たらないか確認してください
  • 製品が対象かどうかは、公式のITツール検索で登録の有無を確認します

補助額の目安は見積シミュレーター、自社に合う制度は補助金かんたん診断で確認できます。対象経費の全体像はIT導入補助金の対象経費、支援事業者の選び方はIT導入支援事業者の選び方、制度全体はデジタル化・AI導入補助金2026ガイドをご覧ください。デジタル化・AI導入補助金のご質問は公式LINEでも受け付けています。

参考(一次情報)

※本記事は2026年10月13日時点で確認した公募要領・公式サイトの原文にもとづいています。製品が補助対象かどうかは、ITツール検索の登録情報と事務局の判断によります。制度内容・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。